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強まる想いが光る葉
溺愛カップル
しおりを挟む君を好きになって良かった事ばかりで、ずっとずっとこの「好き」を更新して生きたいって今でも思ってるよ。
それでもね、私は出来た人じゃないからずっとずっとこの気持ちだけを持って生きていくなんて出来なくて…
病みやすい私に気づかなく君が私を傍に掬い入れてくれて、今では申し訳ないって思っていて…それでいて、この私を知らなければいいのに。なんて利用するような気持ちがあって…。
君を独占したい気持ちばかりが前のめりになるのを必死に止めていても、この「好き」が決壊しない訳じゃなく…、溢れ出てしまう。
可愛子ぶる事も、少しぶりっ子になってしまうのも、不細工な一面も、寝言を言ってしまうような私に君はそばに居てくれる。
君にだけ魅せたい可愛い部分が、私には出来なくて…君だけの私を少ししか出せなくて…、どうしても他の人にも可愛い自分を見せてしまう。
意識して出してるわけじゃないんだよ?
それでも、どうしてか出ちゃって…それを『可愛い』って言ってくれる皆を大切にしてしまって、その皆に精神をボコボコにされてしまう馬鹿な彼女を、「ずっと好きだよ」って言ってくれるのは、私の事全部を好きでいてくれてるって、自惚れて良いのか戸惑ってしまうのに君は、
「そんな桃愛だから俺は好きだよ。」
なんて言ってくれる。
甘くて甘くて胸焼けしそうなその言葉に、照れと安心と居心地の良さと、再度愛情が湧いてくるのに、少しすると私は不安になってしまう。
中々君は「好きだ」と言わない人だから分かってるのに、「離さない」と言ってくれるのに、何度言われても〔嫌われちゃうのではないか〕と〔嫌われた〕と、〔捨てられる〕なんて考えてしまう馬鹿な私で…。
よく、蛙化現象というモノを聞くけれど、私は真反対で、王子化現象というのが私の症状に似合う気がする。
「好きだ」と言ってくれて、私も君に好意があったから、付き合ったけれど付き合ってから、見る見るうちに「好き」が溢れて、いつの間にか重度なメンヘラになりつつある程に「好き」が溢れてしまう。
だから、君が苦しい時は私は夜も眠れない程不安になるし、君が喜んでる時は私も嬉しいし楽しくなる。支えたいし支えられたい。そんな仲に成りたくて…。私の不安を君には見せないようにしてしまって…。
君と同じ時に精神が落ちてしまうし、支えて欲しい時は、君が何か頑張ってて隠してしまうし、泣きたい時は面倒臭い彼女だと思われたくないから隠してしまう…。
でも、分かってるよ。そんな恋人だから君は私に相談をしてくれないし出来ないんだって。
でもね、怖いの。
ずっとずっと、手離したくないって思ってる人に怒られたくないし足でまといに感じてもらいたくないから…
でも、君はそんな私でも受け止めてくれるって知ってて…信じてて、打ち明ければいいのにって思ってて…。
こんな彼女だけど、君は傍に居てくれて…
苦しくて怖くて、辛いのは君の方なのに、大事な時に上手く話せないし、自分でも気持ち悪い程の文脈になる可愛げのない彼女でごめん。
でもね、君を心配させたくないから、自傷行為なんてしてないんだよ?だから、少しは心配は無くなってくれてると嬉しいな。
心から、愛してるよ。
桃愛より。
┄┄┄┄┄┄┄┄
「この手紙を読んでくれてるといいんだけど…、重すぎたかな…。
ダメだな…こうやって綴り過ぎて、趣旨が見えなくなっちゃったけど…、届いてくれるといいな。」
私はベッドのテーブルにスマホを置いて、窓を見る。
あず君がお仕事をしてる様子を想像すると、なんだか変な感じがする。
「あはは…。こんな死んじゃうかもしれない手術なんて、言えないよね。」
小さく乾いた笑い声が出る。隣の人には聞こえないと思う程の小さな声で言う。
「送るボタン、押すのも震えちゃうなんて…、言葉を綴った時は普通なのにな…
…っ。死にたくない…」
でも、こんな恋人なんて居なくなった方が、あず君にとっていいはずなのに…
「消えたいし、死にたくない…」
足を曲げて抱きしめるようにしてると静かに涙が流れていくのが分かる。けれど気にしてられない程、君を…あず君を想ってしまう。
私の運命が決まる時間になって、看護師さんに呼ばれる。何故か冷静に文章を送信すると、続けて「私の事を忘れていいからね」そう送ると、看護師さんについて行った。
┈┈┈┈┈┈
どうか、君のトラウマにも足枷にもなれなければ良いのに。
でも、忘れられたくないよ。忘れてもらえばいいって思うのに、馬鹿な彼女でごめんね。
┈┈┈┈┈┈
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