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消えた世界、消えかけた世界の葉
7人の祝福と天からの迫害
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僕達はいつも太陽から始まっている。
生命の始まりでもあり、生命の終わりのリミットを感じるものでもある。
そんな中、僕達は不思議な力を持っている。この世界の中で7人しか持てない不思議な力。膨大な力。
人助けとしか使えないよう命じられているこの力は、きっと、危険なものだから。一般的には知られていないこの力は、包み隠さなければいけない。
それは、事情があっても自分のためには使ってはいけない。
だから僕達は、立場が弱くて強い。力を使えば捻り潰せるからだ。どこからどこまでが、自分の力なのか、その不思議な力なのか分からないから、僕達は虐められたとしても何も手を出せない。
ある日、勇者が現れた。
得体の知れない闇へ立ち向かうための勇者だ。僕達よりも、強い精神を持っていそうで、何よりも全てが完璧に見えるその勇者は、赤い瞳をしている。
薄紫色の長い髪を結って、綺麗な服を着たその姿は絵本にある勇者よりも、とても綺麗で美しいその姿で、とてもじゃないけど近寄れない。
数日後、その勇者は僕に会いに来た。
「こんにちは。」
「えっと…勇者様、どうされましたか?」
彼の目は赤く、とてもじゃないけど怖くて直視出来ない。
「君も、なんだろ?」
「え?」
「君も、私と同じ力を持ってる。そうだろ?」
「……何をおっしゃられてるか、分かりませんが…仕事があるので…」
「逃げるなっ!!」
その場から逃げたくて、去ろうとすると手首を握られて、動けなかった。
彼は、彼には関わってはいけない空気がした。
「あぁ、ごめん。
痛かったかな?
私は勇者だと名乗ったが、実は君と同じ力を…あっ、見せた方が早いかな?
さぁ、私に着いてきて?」
彼はそう言い、1日僕は彼と行動する羽目になった。見せられたのは、目に映した者を手を下さずに殺せる事。
「…?あぁ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。
これは罪人なんだから。
私が手を下さずとも大きな力で、この…人だった物?は時期に塵になるよ。」
そう言って、クスクスと片手で口を隠して笑う姿は、恐ろしかった。
「悪用、してはいけないと、この世界の理だと言われていると思うんですけれど…」
「ん?私は悪用なんかしてないよ?
世のため人の為に私はこの力を使っているだけさ。」
「…っ、で、でも、僕はこの人達が悪い事をしている様には見えませんでしたっ!」
「……君。なんで、そんな事を言うんだい?
力を手にした物は、活用しなければいけない義務がある。俺はその命に沿って仕事をしているだけだ。」
そう言って、僕へにじり寄る彼はとてもじゃないけど、怖くて震え上がった。
正直、体が動かなかったんだ。
「あ、あの…ゆ、勇者様は、」
「スペルビア。そう呼んでくれ。」
「スペルビアさんのその赤い指輪。それと、いつも大事そうにしている大きな赤い宝石が真ん中に付いている本。それは何なんですか?」
スペルビアさんは、一瞬固まってニコッと笑いながら僕に向かって微笑む。顔は全く笑っていなかった。
「これは、天からの贈り物なんだ。
選ばれし者が行き着く先は、これを手にするらしい。
この髪と瞳。気になるだろ?
これも、指輪と本を持ってから変わってしまったんだ。
元々は、私の力も君と同じくらいの力だったんだけれど、強くなろうと行き着いた時にはこんな風になってた。
だから、君も私と共に戦ってくれないか?」
僕は怖かった。何が怖いかと言うと、僕達7人はある石を手にすると、天災が起きると言われているから。
「あの…」
「あぁ!私の仲間を紹介するよ!
まだ、7人揃えれてないんだけれど、3人は集めたんだ。
さぁ、こっちへおいで?
イーラとグーラ、それとアーケディアだ。まだこの3人は私のように強い力を持てる物を見つけれてなくて、それを探しながら君を探したんだ。
この3人は攻撃出来るけど、回復をさせることも出来るんだ。
だが、まだ本当に回復を全面に出来るものを探しているんだ。君って、全ての能力を使えるよね?
アウァリティア君。」
試すような赤い瞳の視線を浴びながら、僕は為す術もなかった。「ただ一言言えば良い」と言うほどのその視線は、僕を殺してしまうんじゃないかと言うほど、鋭くて、いつの間にか返事をしてしまった。
朝日が登った。今日で何回目の朝日か分からないけれど、確実にこの世界のタイムリミットが迫っていると感じた。
あと2人で、僕達7人は禁忌を犯した集団になる。そうすれば、僕達は自制することが出来なくなる。
そう。この赤い瞳を持ったものは、人を変わらせる。大きな力を得て、力に溺れる。
それは、大きな過ちで、大きな罪。様々な形をした綺麗な石のソレは、皆の自我も人柄も全て奪って、名前すら変わった。
僕らの名前は、スペルビアでも、イーラでも、グーラでも、アーケディアでも、インウィディアでも、ルクスリアでもアウァリティアでもない。
不思議な力を持った僕らがその石を持った事でその名前になるだけ。
僕達は、こんな事しちゃいけないんだ。
あと2人。それは、僕、通称アウァリティアと、彼女、通称ルクスリア。もう何人、人を殺したか分からない。
確実に平和なこの世界になっているのに、まだ求めるこの勇者だと名乗るスペルビアは、脅威にしかなかった。
僕達2人とも自我が無くなる前に、誰でもいい。この集団を抹殺してください。
─────
これはかつて、楽園だった世界の最後の救済を呼ぶ手紙を送った者の話
─────
生命の始まりでもあり、生命の終わりのリミットを感じるものでもある。
そんな中、僕達は不思議な力を持っている。この世界の中で7人しか持てない不思議な力。膨大な力。
人助けとしか使えないよう命じられているこの力は、きっと、危険なものだから。一般的には知られていないこの力は、包み隠さなければいけない。
それは、事情があっても自分のためには使ってはいけない。
だから僕達は、立場が弱くて強い。力を使えば捻り潰せるからだ。どこからどこまでが、自分の力なのか、その不思議な力なのか分からないから、僕達は虐められたとしても何も手を出せない。
ある日、勇者が現れた。
得体の知れない闇へ立ち向かうための勇者だ。僕達よりも、強い精神を持っていそうで、何よりも全てが完璧に見えるその勇者は、赤い瞳をしている。
薄紫色の長い髪を結って、綺麗な服を着たその姿は絵本にある勇者よりも、とても綺麗で美しいその姿で、とてもじゃないけど近寄れない。
数日後、その勇者は僕に会いに来た。
「こんにちは。」
「えっと…勇者様、どうされましたか?」
彼の目は赤く、とてもじゃないけど怖くて直視出来ない。
「君も、なんだろ?」
「え?」
「君も、私と同じ力を持ってる。そうだろ?」
「……何をおっしゃられてるか、分かりませんが…仕事があるので…」
「逃げるなっ!!」
その場から逃げたくて、去ろうとすると手首を握られて、動けなかった。
彼は、彼には関わってはいけない空気がした。
「あぁ、ごめん。
痛かったかな?
私は勇者だと名乗ったが、実は君と同じ力を…あっ、見せた方が早いかな?
さぁ、私に着いてきて?」
彼はそう言い、1日僕は彼と行動する羽目になった。見せられたのは、目に映した者を手を下さずに殺せる事。
「…?あぁ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。
これは罪人なんだから。
私が手を下さずとも大きな力で、この…人だった物?は時期に塵になるよ。」
そう言って、クスクスと片手で口を隠して笑う姿は、恐ろしかった。
「悪用、してはいけないと、この世界の理だと言われていると思うんですけれど…」
「ん?私は悪用なんかしてないよ?
世のため人の為に私はこの力を使っているだけさ。」
「…っ、で、でも、僕はこの人達が悪い事をしている様には見えませんでしたっ!」
「……君。なんで、そんな事を言うんだい?
力を手にした物は、活用しなければいけない義務がある。俺はその命に沿って仕事をしているだけだ。」
そう言って、僕へにじり寄る彼はとてもじゃないけど、怖くて震え上がった。
正直、体が動かなかったんだ。
「あ、あの…ゆ、勇者様は、」
「スペルビア。そう呼んでくれ。」
「スペルビアさんのその赤い指輪。それと、いつも大事そうにしている大きな赤い宝石が真ん中に付いている本。それは何なんですか?」
スペルビアさんは、一瞬固まってニコッと笑いながら僕に向かって微笑む。顔は全く笑っていなかった。
「これは、天からの贈り物なんだ。
選ばれし者が行き着く先は、これを手にするらしい。
この髪と瞳。気になるだろ?
これも、指輪と本を持ってから変わってしまったんだ。
元々は、私の力も君と同じくらいの力だったんだけれど、強くなろうと行き着いた時にはこんな風になってた。
だから、君も私と共に戦ってくれないか?」
僕は怖かった。何が怖いかと言うと、僕達7人はある石を手にすると、天災が起きると言われているから。
「あの…」
「あぁ!私の仲間を紹介するよ!
まだ、7人揃えれてないんだけれど、3人は集めたんだ。
さぁ、こっちへおいで?
イーラとグーラ、それとアーケディアだ。まだこの3人は私のように強い力を持てる物を見つけれてなくて、それを探しながら君を探したんだ。
この3人は攻撃出来るけど、回復をさせることも出来るんだ。
だが、まだ本当に回復を全面に出来るものを探しているんだ。君って、全ての能力を使えるよね?
アウァリティア君。」
試すような赤い瞳の視線を浴びながら、僕は為す術もなかった。「ただ一言言えば良い」と言うほどのその視線は、僕を殺してしまうんじゃないかと言うほど、鋭くて、いつの間にか返事をしてしまった。
朝日が登った。今日で何回目の朝日か分からないけれど、確実にこの世界のタイムリミットが迫っていると感じた。
あと2人で、僕達7人は禁忌を犯した集団になる。そうすれば、僕達は自制することが出来なくなる。
そう。この赤い瞳を持ったものは、人を変わらせる。大きな力を得て、力に溺れる。
それは、大きな過ちで、大きな罪。様々な形をした綺麗な石のソレは、皆の自我も人柄も全て奪って、名前すら変わった。
僕らの名前は、スペルビアでも、イーラでも、グーラでも、アーケディアでも、インウィディアでも、ルクスリアでもアウァリティアでもない。
不思議な力を持った僕らがその石を持った事でその名前になるだけ。
僕達は、こんな事しちゃいけないんだ。
あと2人。それは、僕、通称アウァリティアと、彼女、通称ルクスリア。もう何人、人を殺したか分からない。
確実に平和なこの世界になっているのに、まだ求めるこの勇者だと名乗るスペルビアは、脅威にしかなかった。
僕達2人とも自我が無くなる前に、誰でもいい。この集団を抹殺してください。
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これはかつて、楽園だった世界の最後の救済を呼ぶ手紙を送った者の話
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