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プロローグ
大騒ぎ
しおりを挟む「じゃあ、周りのみんなの名前は言えるかい?」
「ここがどこだかわかる?」
いろいろいっぱい質問されたが、何一つ答えられない。
周りの人達は、本当に分からないんだと伝わったみたいで、絶望しているのが見て取れた。絶望?困惑?よく分からないが、いいと思われていないのは確かである。
貴族の女の人は泣き崩れてしまい、周りのメイドさんに介抱されていた。
それから、貴族の男の人と、最初の執事の格好の男だけ部屋に残り、他は皆退室して行った。それと入れ違いに医者っぽい人が入ってくる。
部屋は急に静かになった。
俺は未だに困惑しているものの、取り乱す程ではなく、なぜか妙に冷静だった。
これは夢なのだ。
そう確信した。
「さて…。xx様、体調は如何ですか?」
医者の男が口を開く。ベッドの脇にはいつの間にか椅子があり、その男が腰掛けた。足元の方には貴族の男が、少し離れたところに執事の男が立っている。
「特には…。」
そう答えると、失礼しますと断ってから医者が俺の容態を確認していく。
特に異常はなかった様で、今までの出来事を軽く説明してくれた。
友人2人と共に遊んでいたこと、木登りをしていたこと、太めの枝に3人で腰掛けていたこと、そして鳥が向かってきて避けようとし落ちたこと。
なるほど、通りで落ちたような感覚がしたんだな、と1人納得していると、その友人たちが今来ていると教えてくれた。
今頑張って取り押さえているそうだが、早く会わせろとの抗議がすごく、もしかしたら駆けつけてくるかもしれない。
そんな話をしている最中、「さくや!!?」と大声がした。
と同時に駆けてくる足音。遠くでは、待ってください~という男の声もしていた。
部屋の全員の注目を浴びて登場したのは、豪華なドレスを着た ちびっ子2人。
ピンク髪の元気そうな女と、黒髪の優しそうな男。
あれ、もしかして、
「かいと…?あいり?」
こぼれた声は思ったより弱々しかった。
「「さくや!!」」
思わず視界が歪んでしまった。
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