月の絆~最初で最後の運命のあなた~

大神ルナ

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第7章 想いの行方

[2] もう離したくない

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 男を受け入れるのが初めてのマリアだけに、本当はもっと時間をかけて狼呀は先に進む気でいた。
 しかし、自分の愛撫に感じて体をとろけさせるマリアの様子に、股間のものが脈打っている。
 痛いくらいに血が流れこんで、ジーンズとボクサーパンツを押し上げ、狼呀の勃起したものは早くマリアの中に入りたいと訴えた。
 はやくどちらも脱がなければ、このまま中で達してしまいそうだ。
 だが、焦って脱いでマリアを怯えさせたくない。
 どうにか落ち着いてボタンを外し、ボクサーパンツとジーンズの両方をいっぺんに下ろして蹴り脱いで爆発してしまわないように根元をぎゅっと握りしめると、女らしい息をのむ声が聞こえた。
 顔を上げると、肘をついて軽く体を起こし、固く膝を閉じているマリアが狼呀の股間に視線が注がれていた。
 恐怖と欲望。
 二つが混ざりあって、マリアの匂いをさらに高めている。
 そして信じられないことが起きた。
 彼女は手を伸ばし、先走りの浮かぶ先端に触れたのだ。

「クソッ!」
 
 狼呀は、マリアにのしかかった。

「マリア……君は俺だけのものだ」

 力無い膝を開かせ、腰を割り込ませた。

「全部……見せてくれ」

 まるで本能的にわかっているみたいに、マリアは狼呀の腰に両方の足を引っかけてきた。
 下半身の密着が増して、股間のものはマリアの熱くて濡れた柔かな場所をつつく。意識はしていないのか、マリアの口からは甘い声がもれて、物足りなさを無言で訴えるかのように腰を揺らしている。

「狼呀……もうっ」

 こんな風に望まれて、誰が理性的でいられるだろう。
 狼呀は手を伸ばしてベットの脇にある引き出しから避妊具を取り出して、マリアと目を合わせたまま自身に被せた。
 そして、何度かマリアの熱く濡れた秘部に擦り付けて、準備が整うとそっと押し付けた。
 ゆっくりと、壊さないように進んでいく。悦びと情欲に頭が爆発しそうだった。

(この時を、どんなに待ちわびたことか)

 狼呀の腹部は期待と快感で引き締まった。

「ああ……熱くて、狭い」 

 マリアのそこは、濡れて綻んではいるが、やはりきつい。
 でも、そのきつさが狼呀は嬉しかった。
 マリアにとって、狼呀が最初の男である証だ。

「痛くないか?」

「んっ……少しくるしいだけ」

 狼呀は少し体を前に倒して、マリアの唇に啄むキスをしながら、片手を二人の間に差し入れて、結合部分を撫でた。二人が繋がっているのを嫌でも意識するようにする。
 すると、彼女の腰がびくりと揺れて、狼呀を迎え入れるように収縮を繰り返す。
 腰に絡み付いた足はきつく腰を締め付け、狼呀の理性を奪っていく。
 甘い喘ぎを上げ、マリアが両手でシーツをギュッと握りしめたところで、狼呀は一気に自身を押し込んだ。
 痛みで悲鳴を上げたが、狼呀はキスで塞いで口の中に受け止めた。
 痛みが過ぎるまで腰を動かさず、乳房を愛撫しながら深くキスを続けて慰める。
 マリアの目尻からは涙がこぼれ、さ迷う手が狼呀の首に回り抱きついてきた。
 どれくらいの時間、熱く絡み付くマリアの中で動かずにいただろう。無いにも等しい理性をどうにかかき集めるのは、二十六年間の人生で一番難しいことかもしれない。
 おそらく、伴侶への愛と気遣いが可能にした奇跡だ。
 時間の感覚なんてものは、狼呀の中からは消えていた。
 ようやく少しづつマリアが力を抜いて、小さく息を吐いたところで腰を軽く引く。

「もう……平気か?」

 マリアは、甘いキャラメルを思わせる瞳を潤ませながら頷いた。出生の秘密を知った今は、この瞳の色と人狼に作用するフェロモンの不思議も理解できる。
 狼呀はマリアを見つめながら、ゆっくりと引き、様子をうかがいながらゆっくりと入れる。
 そんなことを繰り返しているうちに、マリアの中が変わり始めた。
 強ばっていた中が、狼呀の動きに合わせて収縮して、ついには中に引き込もうとするかのように強く締め付けはじめる。
 マリアの顔を見ると、ぎゅっと目を閉じて、片方の手首を口に押しつけて声を押し殺していた。

(ああ、頭がくらくらする)

 その光景は、狼呀を酷く欲情させた。

(もうそろそろ……)

 痛みを与えていないと分かると、狼呀は抽挿を早くした。
 それでも耐えようとするマリアもいいが、狼呀はこの行為で感じるマリアの声が聞きたかった。満月の影響だからという、一方的な行為だとは思いたくない。
 繋がったまま体を倒し、マリアの手首を掴んで口から離す。
 体を倒したことによって、角度の変わった接触に、マリアは息をのんだ。

「声を我慢しないでくれ。同じ気持ちで感じているのを聞きたい」

「で、でも恥ずかしい。隣に……」

「大丈夫だ。この部屋は、防音になってる。それに、今日は誰もいない」

 マリアは顔を赤くした。
 それと一緒に、中が締まって狼呀はにやりと笑った。
 片手をマリアの顔の横について、片手で腰を少し浮かせて結合を深くする。
 そのまま首筋に顔を埋めて、柔らかくて滑らかな肌を吸うと、次の欲求に襲われた。マリアが自分のモノだという印をつけろという本能が頭をもたげる。
 印をつけたい思いと、伴侶に傷をつけたいという思いに挟まれながら、狼呀は抽挿を速めて暴力的ともいえるくらい腰を叩きつけた。

「マリア……ッ」

 お互いの息が荒くなり、突くたびに上がる喘ぎ声に、狼呀は限界が近いことを感じた。
 マリアは声を我慢することなく啜り泣き、狼呀の背中に手を回すと、爪で肌を引っ掻いてくる。

「あなただって……あたしだけのものよ。愛してる」

 マリアの独占欲を感じさせる一言に、本能が狼呀を支配し始めた。

(もう、無理だ)

 突き上げてくる欲求に負けて、マリアの肩に牙を突き立てた。
 その瞬間、快感に体を震わせてマリアはひときわ甲高い喘ぎ声を上げて達した。

(俺の伴侶……俺の半身)

 離したくない。
 だが、伴侶の絆はかわらず繋がる場所を求めて漂っている。
 愛してると言った言葉は嘘じゃないと分かっていたが、そのことが酷く悲しかった。
 しかし、マリアの中が痙攣して、絞りとる動きをしたためもう何も考えられなくなった。
 狼呀は絶頂と悲しみを複雑に混ぜ合わせた咆哮を上げながら、あつい熱を薄いゴム越しに吐き出したのだった。







 
 




 



 



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