月の絆~最初で最後の運命のあなた~

大神ルナ

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第7章 想いの行方

[1]寄り添いたくて

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 狼呀と協力して瑞季さんを車から降ろし、地下に下りていく。
 狼呀に渡された鍵で扉を開くと、瑞季さんは逃げるように中へと入っていった。
 その顔は、少しだけ人間のものではなくなっていた。でも、恐怖や嫌悪はない。
 ただ、本来の姿があることが羨ましかった。

「部屋で、満月が終わるのを待っていてくれ」

 あたしが瑞季さんを見送っていると、前に約束した言葉をもう一度狼呀は口にした。
 責めてる様子はない。
 きっと、あたしが出ていきたくて出た訳じゃないのを知っている。
 ただ、傷ついているのが分かった。
 彼は、自分を責めている。
 その傷を癒してあげたい。忘れさせてあげたいと心から思う。
 気づけば、あたしは扉の中に消えようとしていた狼呀の手を掴んでいた。
 まずは話を聞いてもらわないといけない。

「あたし……あなたを愛してる」

「マリア?」

 突然の告白に、狼呀はあきらかに戸惑っている。
 何も言わずに手を引いて、上へと行くためのエレベーターに乗る。
 扉が閉まる直前、彼は不安そうにあたしから離れて外に出ようとしたけど、あたしは手を放さなかった。

「マリア? 俺は地下に」

「黙って」

 大胆な事をしてるという自覚はあった。でも、困惑する狼呀に向き直って、Tシャツの首もとを少し引っ張りながらつま先立ちでキスをする。
 勇気を出して言って、もし拒絶されたらと思うと、どうしても言葉にするのは恥ずかしい。

「これで分かった?」

 狼呀は驚いて固まっている。
 でも、瞳の奥には深い欲求が現れた。
 だから、今度は両腕を彼の首に回して、もっと深くキスをした。
 固く結ばれた唇に舌を這わせて、望みを伝える。
 彼は体を震わせた。
 甘い吐息をもらして口を開くと、あたしの舌を迎え入れて、貪るようなキスを返してくれる。
 あたしは、どうしたらいいんだろう?
 一気に体温が上がり、二人で夢中になって舌を絡めた。
 荒い呼吸と唸り声。
 エレベーターが到着を告げると、キスしたままで狼呀があたしの膝の裏を掴んで腰に引っかけるように促す。
 彼の意図を感じ取って、あたしは片足で飛び上がって同じように腰に引っかけた。 
 息をつく間もなく、酸素を求めるようにキスを続けていると、あたしを抱き上げたまま器用に部屋の鍵を開けて、入ってすぐの壁に押し付けてくる。
 ようやく離れた唇に、お互い荒い息を吐いた。

「本当にいいのか? 今なら……まだ、やめられるぞ。鍵は開いてるから、逃げたければ」

 彼は優しい。
 ここまできても、まだあたしに逃げ道をくれる。
 まだ付き合いは長くないけど、これまで色んな事をくれた。
 でも、あたしは一度だって、狼呀の望む事をしてあげていない。
 彼自身、お返しを求めた事はなかった。
 だから、今がその時――。

「かまわない」

 他の言葉は、言わせてもらえなかった。優しくもあり、激しい思いのこもったキスで口を塞がれたから。
 夢中でしがみついて、彼の愛撫に心の奥まで撫でられているうちに、優しくベットに下ろされた。
 あたしを見つめる琥珀色の瞳は色合いを増し、情熱と欲望で燃えている。
 あたしの腰をまたぐ形で膝をついて、Tシャツを脱ぐ姿は男らしくて、その下から現れた筋肉に、思わず女らしいため息がもれた。

「マリアのこの服……気に入らない」

 狼呀は、あたしの着ているパーカーの裾を掴むと、体を倒して布地の匂いを嗅いだ。

「これ……冬呀の服なの」

 だから、乱暴に扱わないでほしいと言いたかった言葉は、狼呀の口の中にのみこまれた。
 この先を想像させるみたいに、ねっとりと口内を舐めあげられて、舌を吸われる。
 もっと深い部分で繋がりたい。
 胸の先端が甘く疼いて、彼を待ちわびている。
 早く服を脱いでしまいたくて、パーカーのファスナーを手探りで探していると、気づいた狼呀に両手を掴まれて頭上で固定されてしまった。

「俺が……脱がす」

 荒い息を吐きながら、狼呀は片手でファスナーを下ろして、あたしの素肌をさらした。
 熱い掌が、腰から撫でるように上へとあがってきて、ブラ越しに胸を包んだ。

「んっ……」

 甘い声をもらすと、首、鎖骨と下りた狼呀の唇が、ブラから出た膨らみに吸い付く。
 早く触ってほしい。
 そんな願望がよけいに身体中を熱くさせたているのに、狼呀はゆっくりと進んでいく。
 一ヶ所に、どれだけの時間をかけるのかと思うほど、胸元にキスの雨を降らせてから顔をあげた。
 あたしは、文句を言ってやるつもりだった。
 なのに、あまりにも嬉しそうに笑われて、言葉なんて出てこない。
 喜んでくれるなら、なんでもいい。 
 まるで、壊れ物でも扱うように、背中に滑らせた手が、ブラのホックを器用に片手で外した。
 生まれてはじめての体験に、顔が熱い。
 火を吹きそうなくらい恥ずかしい。
 あたしは、スタイルがいい訳じゃないから、筋肉のついた綺麗な狼呀に見られていて落ち着かない。

「恥ずかしいから、見ないで」

 泣きそうだった。
 幻滅されたら、どうしよう。
 がっかりされたら、どうしよう。
 そんな事ばかり頭に浮かぶ。

「一回、体を起こすぞ」

 少し腕を引っ張られ、体を起こすとパーカーとブラを取り外される。
 これで、上半身を隠す物はない。
 見られるのが恥ずかしくて、両手で胸を隠そうとしたけど、すぐに両手を掴まれてしまい隠すことが出来ない。

「綺麗だ、マリア」

 慰めるためのお世辞だと思った。
 彼の目を見るまでは。

「そんな目で……見ないで」

 まるで彼の視線は、宝物でも見るみたいに輝いている。

「俺がどう思うか不安になるな。俺の気持ちを疑うな」

 優しいキスと共に、狼呀の手があたしの乳房を包み込んだ。 やんわりと形と感触を確かめるように揉んでくる。
 あまりにも迷いない触れかたに、びくりと震えた。
 恐怖じゃない。
 ゆっくりと、強すぎない力加減で揉まれる乳房は、狼呀の手の中で形を変える。
 もう訳が分からなくて、彼の唇が離れていった事にも、遅れて気がついた。

「ああ……っ!」

 狼呀の唇が、胸の先端にたどり着き口に含まれた瞬間には、信じられないくらい甲高い声をあげていた。
 熱い舌で胸の先端を丸く舐め、片手でもう片方の膨らみを愛撫され、頭の奥が痺れてもう何も考えられない。
 はじめての感覚に、あたしの頭の中はぐちゃぐちゃになってしまった。

「もう……これ以上は、むりっ」

 そう言うと、狼呀の唇が戻ってきた。

「悪いが、その願いはもう聞けない。それに、この先はこんなもんじゃない」

 胸の間にキスしながら鳩尾、へその上と下りていく。

「待って!」

 情欲に輝く瞳で、一度だけあたしを見たけど、狼呀はジーンズに手をかけた。
 ボタンを外され、ゆっくりファスナーが下ろされジーンズを脱がされていく。
 狼呀はジーンズをベットの脇に投げると、危険な獣みたいに四つん這いで近づいてきて、下着のすぐ上の肌にキスをした。

「最高に綺麗で、セクシーだ」

 敏感な肌の上でしゃべられ、熱い吐息が肌をかすめる。
 今までの人生で、こんなに恥ずかしかったことはない。
 あたしは、狼呀の肩を掴んだ。
 その肌は燃えるように熱くて、彼が嘘を言っていないことを伝えてくる。
 彼も欲情しているのだ。
 ほんの少しだけ慰められて、勇気が出てきた。

「何を考えてる? そんな余裕を持てるほど、俺には魅力がないか?」

「ち、違う!」

「もっと頑張らなくちゃな」

 そう言って、狼呀はあたしの胸の間に手を這わせ、焦らすような動きで下に滑らせて、下着の中に手を入れた。
 恥ずかしい場所にたどり着いた手は、探るように茂みを掻き分けて、もっとも恥ずかしい場所に触れる。
 その瞬間、狼呀の口から小さな唸り声が聞こえてきた。

「ああ、すごく濡れてる」

 その言葉に、あたしは頬に血がのぼるのを感じた。
 ぎゅっと目を閉じると、文句を言う間もなく素早く下着を脱がされた。
 あたしの体を守るものは、もう一枚もない。
 恥ずかしくて両方の膝を立てて足を閉じる。

「大丈夫だから」

 緊張で力の入った体に気づいて、狼呀はあたしの太ももを撫でながら膝頭にキスをした。
 何度もキスを繰り返し、少しざらざらする手を太ももからふくらはぎに滑らせてから優しく揉む。
 そのまま、すくいとるみたいに持ち上げられ、両方の足を肩にかけるようにされて、あたしの腹部はきゅっと締まった。

「な、何をする気!?」

「しーっ、痛くないようにするんだよ。初めてなんだろ? もっと濡らして解して、痛くないようにしないと」

 そう言うと、らんらんと輝く琥珀色の瞳を伏せて、足の間に顔を埋めた。
 あまりの恥ずかしさに足を閉じたいし、顔をその場所から離したいけど、両足は狼呀の肩に乗せられ膝を掴まれていて体を起こすことすらできない。

「狼呀! ああっ!」

 さっき狼呀が触れてれている場所に、熱くてしっとりとした肉厚なものが触れた。
 ゆっくりと、味わうみたいに下から上へと舐めあげる。
 遅れて、それが狼呀の舌であることに気がついた。

「ああ、たまらない。クリトリスも」

 言葉とともに、知識としては知っているその部分を爪で引っ掻かれ、あまりの衝撃にあたしは狼呀の背中に踵を押し付け、爆発した。
 それ以外、言葉が見つからない。
 呼吸が荒くて、心臓は今まで経験したことがないほど暴れまくっている。
 頭の中は真っ白で、ただ啜る音があたしの耳に届いた。
 ぼんやりと足の間に目を向けると、体を起こした狼呀は口元を手で拭い、見ているあたしに気づいてわざと愛液で濡れたその手を舐めた。
 自分が今、どんなことをしたのかを明確に示すために。
 とても得意気で、酷く卑猥な眼差しに、あたしは言葉を失った。
 こんなのは、はじまりに過ぎない。
 そう意識した途端に、狼呀は余裕のないざらついた声で宣言した。

「本当は……もっとゆっくりと進めたいんだが、無理そうだ」

 そう言って、狼呀はベットから下りて、自分のジーンズのボタンを外した。
 初めての快感に指一本動かせず、ぼんやりと見つめる前で、ジーンズを脱ぎ捨てた狼呀はそそり立つぺニスを掴んだ。
 恐怖を感じてもいいはずなのに、彼の手に握られたぺニスが欲しくてたまらない。
 あたしは手を伸ばして、先端に触れた。





 






 



    
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