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第6章 本当の自分
[3] 心の居場所
しおりを挟む遠吠えが聞こえた。
というより、あたしが寝付けないでいると、まるで子守唄みたいにずっと聞こえていた。
それが心地いい。
見知らぬ土地にいる不安も、不思議な気分になる疑問も、どうでもよくなってくる。
そうして耳を傾けているうちに、朝になるまでぐっすりと眠っていた。
物音がした気がして目を開けると、遠慮がちに扉がノックされ、あたしは体を起こした。
「マリア? 起きてる?」
扉が開き、顔を覗かせた絢華さんは、ほっとしたような顔をしている。
「おはようございます、絢華さん」
「おはよう。よく眠れた?」
「はい。自分でも驚くくらい」
「なら良かった。そろそろ、冬呀の所に行こうと思うんだけど、大丈夫?」
あたしは、ベットから足を出して、床に着けると力を入れて立ち上がった。
昨日の痛みを待ったけど、それほどでもなくて、ほっとした。
「大丈夫です。これくらいなら歩けるんで、行きましょう」
洗面所で顔を洗うだけの時間をもらってから、一緒に下りる。
台所には、昨日は出会わなかった人がいた。
「よう、マリアちゃん」
「あ、琅吾さん……おはようございます。お邪魔してます」
「あまり快適とは言えない家だが、いくらでもゆっくりしていってくれよ」
普段〈バイソン〉では厨房にいてあまり顔を見る機会はないけど、一度見たら忘れられないくらいのハンサムだ。
彼は二つの包みを持って階段の下までくると、あたしと絢華さんに一つずつくれた。
「冬呀のところでメシを食うだろうが、とりあえず食いながら行け」
「ありがとう。じゃあ、行ってくるね、兄さん」
「ありがとうございます」
「またな」
琅吾さんに見送られて、あたしたちは家を出た。
外に出ると、思わず深呼吸した。周りにビルやマンションがない代わりに、どこまでも続く森があって、かなり寒いけど和む。
「せっかくだから、食べちゃお。まったく兄さん……マリアがいるからって、張り切っちゃって」
「え、そうなんですか?」
「うん。普段、家で作るなんてしないもん」
包みを開けると、温かいコーヒーの香りとパンとハムの匂いがあたしの心を満たした。
中身を取り出すと、より一層匂いが鼻をくすぐる。
「いただきます」
「はい、どうぞ……って、わたしが作った訳じゃないけど」
二人で笑い、サンドイッチとコーヒーを楽しみながら歩いていた。
一軒一軒の家が遠く、まるで森の中を散歩しているみたいな気分になる。
「アヤー!」
静かな時間を台無しにする子供の声に、あたしは顔をしかめた。
「絢華さん……冬呀の家さえ教えてくれれば、自分で」
「ああ、そっか。マリアって、子供が苦手だっけ」
話をしている間に、子供たちはどんどん近づいてくる。
軽く数えても五人。
とにかく、逃げる場所を探した。
「大丈夫よ。この子たちを苦手なんて、誰も思えないわよ」
そんな訳がない。
子供は子供だ。他の何者でもない。
「あ! こらっ!」
絢華さんの大きな声に、はっとして見ると――。
「い、犬?」
腕の中に、灰褐色の子犬が飛び込んできた。
柔らかくて、温かい体が愛しい。
子犬は、あたしの腕の中でもぞもぞ動いて、鼻先をアゴにこすりつけてくる。
「可愛い」
「ほらね。苦手でいるのは、無理でしょ? ただ、そんなちっこいけど、狼って言ってほしいと思うよ」
「でも、この子は」
動物だからと言おうとしたけど、腕の中の感触が変わって、あたしは視線を落とした。
ふわふわした体毛の感触はなくなり、すべすべした感触に変わって――。
「子供!? さっきの子犬は?」
「おおかみだよ!」
腕の中にいたのは、裸の男の子だった。舌足らずな口調で反論してくる。
「その子よ」
「えっ……だって、子犬だったでしょ?」
「そうよ。おいで」
絢華さんが手を伸ばすと、あたしの腕の中にいた子供は、喜んで彼女に腕を伸ばした。
これまで子供に感じていた反発はない。
このまま、ずっと抱いていてもいいくらいの気持ちだ。
「さあ、冬呀のところで洋服を着ようね」
絢華さんに抱き抱えられている子も、周りをちょろちょろ歩く子も、あたしのことを見ている。
今までなら、子供に見つめられるだけで顔が強ばって、睨み付けることばかりだったのに、この子たちにはそんな気分にならない。
「どうかしたの?」
自分から子供に話しかけるなんて、はじめての経験だ。
けど、話しかけると、男の子たちは絢華さんのところに行ってしまった。
残ったのは、唯一の女の子。
「あのねー、みんなおねえちゃんのおなまえがしりたいんだって」
そう言ったのは、ワンピースを着た可愛らしい女の子だ。
あたしは抱き上げて、目と目が合うようにした。
「あたしは、マリアよ。あなたのお名前は?」
「ルナ」
ルナは、あたしの首に腕を巻きつけて、ぎゅっとしがみついた。
はじめて自分の意思で、子供を抱き上げた。
なんだか愛しい。
「マリア、着いたよ」
たどり着いたのは、絢華さんの家と同じコテージみたいな家だ。
一つ違うのは、平屋作りという所。
玄関の扉は閉まっていたけど、絢華さんはチャイムも鳴らさずに入っていく。
「冬呀! 連れてきたわよ」
声をかけると、奥から顔を覗かせた。
「ああ、ありがとう。マリア、こっちだ」
冬呀に示されたのは、入ってすぐのソファー。あたしはルナを下ろした。
「わたしは、この子に服を着せてくるから」
暖炉のあるリビングにあたしは通され、絢華さんは奥の部屋へと消えていくと、ルナもついていってしまった。
残されたのは、あたしと冬呀。
「ココアで良かったかな?」
木のテーブルにカップが置かれ、あたしは席についた。
壁には、牛の頭蓋骨と見事な模様のタペストリー。
暖炉の前には、たくさんのクッションとソファーがある。
冬呀は独り暮らしをしていそうだけど、所々に置かれた調度品は、一人だけで使うものじゃないように見えた。
失礼だと思ったけど、一通り眺めてから冬呀に視線を向ける。
「話って、なんですか?」
昨日のアニーからはじまり、冬呀、琅吾さん、さっきの男の子と見てきたから、ただの世間話じゃないことくらい分かる。
「あたし、遠回しな話とか、無駄な説明って好きじゃないんです。何の話かは分かりませんが、要点だけ言ってください」
失礼な物言いだとは思った。
でも、彼は気にした様子もない。
それどころか、安堵したような笑みを浮かべた。
「じゃあ、単刀直入に言う。君は――俺たちと同じなんだ」
「……えっ?」
あたしの頭の中は、真っ白になった。
同じって何?
彼が何を言っているのかわからない。
「俺たちは、狼に変身する者……狼シフターだ。君が一緒にいる人狼と違って、自由に変身ができる」
狼シフター。
その言葉が、心の中に染み込んでいく。まるで、土が水を自然に吸っていくように。
でも、今の話の中に、素直に吸い込めないものがあった。
「な、なにを言ってるんですか? あたしは変身なんて出来ない。ただの人間よ」
人間の両親と兄がいる。
一度だって、あたしは狼の姿になったことはない。もちろん、家族も。
両親から説明を受けたこともない。
なのに、冬呀は言い切った。
「人と違うと思ったことはないか?」
そんなモノはない。
頭脳も運動神経も普通で、秀でた事もないただの人間。あまりにも出来が悪くて、ここが居場所じゃないと感じていただけ。
「あたしは」
「強い怒り、人を簡単に信用できない心、家族を守りたいという保護本能。都会が合わず、自然が酷く恋しくなる。
その全てが、異常につよくないか?」
次々と言われたことに、あたしは唾を飲みこんだ。
強い怒り。確かにある。
切り裂いて、血の色を見たいと思うほどの異常な怒り。
人間とは、上手く信頼関係が築けなかった。
兄のせいで舞い込んだ問題が、家族を壊しそうで、吸血鬼になってでも守ろうとさえ思った。
都会も合わなくて、息苦しくて何度も自然を求めた。
恋しくて、恋しくて、仕方なかった。
「思い当たるだろ? アヤから、何度も報告は受けてる。マリア……君は、前アルファ夫婦の子なんだよ」
冬呀は、一枚の写真をこちらに差し出した。
それをあたしは、真実を見る恐怖と真実を知りたい好奇心に震える手で受け取った。
写真に写っていたのは、赤ん坊を抱いて嬉しそうに笑う夫婦。
最高に幸せだってことが、写真から溢れでている。
「二人は、どこに?」
「亡くなっている。君が産まれて、半年後のことだ。あの頃、この場所をめぐって、酷い争いがあった。一番狙われるのは、アルファの夫婦だ。だから、君を誰かに預けたんだろうと考えている」
「でも、どうして二人の子だとおもったんですか?」
「俺のアルファとしての本能かもしれない。二人は、誰にも君の預け先を言わなかった。でも、人間社会で狼の姿になるのは危険だから、ずっと探していたんだ。まさか、こんなに近くにいるとは思ってもいなかった」
冬呀は、泣きそうな顔で笑った。だから、申し訳なくなったけど、真実は変わらない。
「悪いけど、あたしは狼の姿になれない。人違いよ」
写真を返して、もう出て行こうと立ち上がろうとすると、太ももに圧力を感じた。
「ファングか」
冬呀にファングと呼ばれたのは、真っ白な狼だった。
「そいつも、君を仲間だと核心してるみたいだな。ファングも狼シフターなんだ。君とは逆で、人の姿になれなくなった。 生まれた数ヶ月後に狼の姿になったら人の姿になれなくなったんだ」
ファングは、美しい琥珀色の瞳で見つめてくる。
思わず首もとに手を伸ばした。危険なんてことは頭に浮かばず、柔らかい毛の感触を楽しんだ。
その感触に、自然と涙がこぼれてきた。
「あれ……なんでだろ」
「君は、群れが恋しかったんだよ。俺たち狼シフターは、群れがないと不安定になる。何より、今の君の家は群れとしては最悪の状態だ」
冬呀は、すべてを知っているように言った。
「分かってる。だから、あたしがどうにかしなくちゃいけないの」
「その気持ちは分かる。だが、あの吸血鬼に頼むのは、正しくない。君の人生が台無しになってしまう」
ファングを撫でる手が止まった。レンの事や、あたしがどうしようとしたかを絢華さんに話したことはない。
「どうして、知ってるんですか?」
「俺たちは、人間じゃない存在には敏感なんだ。まあ、アヤに会ったのに人狼は気がつかなかったみたいだけど」
ステーキハウス〈バイソン)での絢華さんの態度は、そのせいだったのかと思えば納得がいく。
「その傷は、人狼の女たちの仕業だろうな。マリアの彼氏は、人狼だろ?」
「彼氏……ええ、人狼のアルファよ」
「あいつの群れの女たちは、この土地に置き去りにすれば、マリアの命はないと思ってやったはずだ」
「とんでもない女よね」
割って入ったのは、嫌悪に顔をしかめた絢華さんだ。
「どういう事?」
「俺たちは、他者の侵入を許さない。たとえ、知らずに足を踏み入れたとしてもな。ここには、子供たちもいるんだ。危険になる前に、脅威となりうる存在は排除する。とは言え、深くは知らないらしい」
冬呀は馬鹿にするように鼻で笑った。
「俺たちは、ただの獣じゃない。無知な人間が無断で入ってきても、殺しはしないさ。俺たちが排除するのは、人間以外の生き物だ」
「マリアだったから良かったけど、もし他の種族だったら……見つけた子たちが引き裂いてたと思う」
「じゃあ、あの時の光は……狼の目?」
「そう。知らせにファングが来てくれて良かった。あの時、あの辺りにいたのは大人の階段を上ったばかりの子たちだったから」
その言葉に、ぞっとした。
一歩間違っていたら、あたしは肉片になっていたのだ。
「ところで、マリアは話を受け入れられた?」
「えっと、それは……」
「アヤ。そう急かすもんじゃない」
冬呀が間に入ってくれたけど、狼呀の時と同じで、あっさりと心の中に入ってくる話だった。
不思議だと思う。今までの生活が、嘘だと言われたのに。
でも、あたしの中の本能は、今の話とこの場所を受け入れろと爪を立てる。
「少し、時間は必要だと思う」
「そうだよね。ここで、いくらでも時間をかけるといいよ」
「そのほうがいい。アヤの家の近くに、君の両親の家がある。手入れはしていたから、そこに泊まるといい」
冬呀は鍵を取り出した。無理に受け入れようとさせないところが、今のあたしにはありがたかった。
「よければ、見に行ってみるか?」
「いいんですか?」
その申し出が嬉しかった。
考えるより、すぐに行動したほうがいい。
「ここからも、そんなに離れていないんだ。特にきみの両親は、群れの近くにいることを選んでいた」
冬呀に促されるまま立ち上がり外に出ると、ファングも着いてきて、あたしの横についた。
その様子を、冬呀は楽しそうに見ている。
「まさか、そこまでファングがなつくとはな」
「……そうなんですか?」
「ああ。俺にしか心を開いていない。たぶん、マリアと何か通じるものでもあるんだろう」
あたしは、ファングを見つめた。
話が本当なら、狼の姿になれないあたしと、人間の姿になれないファング。
あたしたちは、半身を失っている。
もしかしたら、絆があるのかもしれない。
そんな風に思っていると、ファングが唸り声をあげた。
「まあ、許してやれよ。あいつらも、マリアのことが気になってるんだからな」
そう冬呀に言われて、辺りを見回してみると、たくさんの人々があたしを見ていた。
なのに、いつもみたいな苛立ちはわいてこない。
「全員、君の両親を知る者たちだよ」
「全員ですか?」
「そうだ。中には、マリアの両親が名前をつけた者もいる。二人は、良きアルファ夫婦だった。全員が慕っていたんだ。あんなことがなければ、今も二人がこの群れをまとめていたはずだよ」
冬呀の顔には、こちらの胸まで痛くなるほどの悲しみが表れていた。
顔すら思い出せない両親。
でも、慕われていたということが、なんだか嬉しい。
「さあ、ここだ」
冬呀は持っていた鍵で、焦げ茶色の扉を開けた。
家の回りの草は綺麗に刈られ、花は美しく咲き誇っている。誰が見ても、人の住んでいない場所とは思わないだろう。
扉を開けた時にも、錆びた嫌な音もしないし、カビ臭い匂いもしなかった。
家の中は、木の香りと温もりで溢れていた。
ほとんどの家具が加工されていない木で出来ていて、天井にある光を取り入れるための窓からは太陽の光が降り注いでくる。まるで晴れた日の森にいる気分にさせた。
あたしは、暖炉に近づいた。
暖炉の上には、何枚もの写真が飾られている。
ベットに横になりながら、枕元に寝かされている赤ちゃんに優しい微笑みを浮かべる女性。
タオルに包まれた赤ちゃんを、泣きながら抱き締める男性。
小さな赤ちゃんを守るように、周りを囲むオオカミたち。
オオカミにくっついて眠る赤ちゃんの写真。
どの写真にも、愛情を感じる。
また自然と涙が流れ、懐かしさが込み上げてきた。
「マリア……君の両親だ」
横に並んだ冬呀は、オオカミにくっついて眠る赤ちゃんの写真を手に取った。
「それから、このオオカミは俺だ。一度、子守りを頼まれた時に、一緒に寝てしまった俺たちを、聖奈と勇利が面白がって撮ったんだよ」
「ミナとユウリ?」
「そうか、名前を教えていなかったな。マリア……君の両親の名前だよ」
冬呀は、少しだけ悲しそうな顔をしながら、他の写真に目を向けた。
「君の父親は、勇利って響きを女々しいと言って嫌がっていた。よく仲間内でからかったものだ」
懐かしむように、冬呀はリビングを見回していた。
きっと、この場所には笑い声が響いていて、幸せな時間が流れていたんだと思う。
あたしも、その時間の一部になりたかった。
この場所で育ちたかった。
そうすれば、ずっと純粋なままでいられたかもしれない。
「ここで……暮らしたかったな」
自然と、そんな一言がもれていた。
「今からでも、遅くないさ」
冬呀は、ゆっくりと優しく抱き締めてくれた。
その抱擁は、まったく性的な意味を持たない、大きな愛を感じさせた。
温かくて、強くて、優しいオオカミ。
あたしは、彼を知っている。
「ありがとう……見つけてくれて」
「マリア?」
不思議そうな声を出した冬呀は、あたしを抱き締める腕に力を入れた。
古くて、擦りきれた記憶だけど、オオカミの毛皮に手を滑らせたことがよみがえってきた。
心も、冬呀を覚えている。
この家と写真のおかげで、まるで霧が晴れたみたいに世界は別物に見えた。
もう、頭で考える時は終わった。
狼呀とのことと一緒。
大事なのは、心の声に耳を傾けることだったと気づいた。
「我が群れにようこそ。マリア……君を歓迎するよ」
あたしが受け入れたのを感じとったのか、冬呀はそんなことを言った。
「あら。話はまるく収まったみたいね。お帰りなさい、マリア」
入ってきたばかりの絢華さんも、まるで買い物から帰ってきたのを迎えるみたいに、優しく迎えてくれた。
まるで、空白の時間なんてなかったみたいに――。
嬉しいけれど、あたしはよけいに一つの願いを強烈に意識した。
「ここに帰ってくるまでに、やらなくちゃいけない事があるの」
冬呀は何かを言おうとしたけど、室内に響く唸り声に注意を引かれた。
唸ったのは、さっきまで大人しかったファング。
鼻にシワを寄せ、牙を剥き出しにして外を睨み付けている。
「まさか、もうお出ましか? アヤは、マリアと一緒にいろ」
そう指示する声は、今までと違って従わなければと思わせる強いものだった。
訳のわからない力を感じていると、ファングが走り去り、後を追うように冬呀も外へと出ていった。
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