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その4
しおりを挟む「ロゼ、ん、可愛い」
ちゅぅ、ちゅっと音を響かせて、角度を変えて何度も口付けをされる。
もうやめてほしい。心臓が苦しい。
「っんぅ、キリ、ァ、ん」
ぎゅうっとキリアンの服を掴む
どうしよう、服が皺になったら。
でもだって、クラクラして。
縋らないと倒れちゃいそう
「ンンッ」
「ロゼ、ロゼ」
もう終わらないんじゃないかくらい長い口付けが、チュッというリップ音と共に終わる
名残惜しそうなキリアンの顔がさらに羞恥を煽ってくる
「っはぁ、可愛い」
今日幾度となく紡がれるその言葉は
口付けでクラクラしている脳に甘く浸透した
「キリアン...」
「本当はこんなところで告白なんてするつもりなかったんだけどな。ロゼが悪い」
スル、と頬を撫でられる。
火照った顔にキリアンの温かい熱が加わる。
心なしかキリアンの頬も少し赤い。
それがなんだか大人びていて、なんだか艶かしい。
「ロゼ、これからは勘違いされないように態度で示していくようにするから」
そのまま頬を撫でていた手で、髪の毛を耳にかけられると頭をそのまま撫でられた。
何も考えられず、されるがままだ。
「覚悟していてくれ」
そのままソッと耳に顔を近づけると、この教室には二人しかいないのに、まるで内緒話をするかのように小声で囁かれる
「っ!」
コクコクと頷くと、満足したようにキリアンが笑ったのがわかる。
遠くの方で授業が終わる終業ベルが鳴ったのが聞こえて
そういえば授業サボっちゃったな、とか考えながら、それでもまだ思考は定まらないままだった。
その後、宣言通り態度で示してくるキリアンに悩まされるとは。
この時の私は思いもしていないのである。
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書ききれなかった補足
・キリアンは騎士科なのでカリキュラムの一貫で聖女様の護衛をすることがある(聖女と二人きりにはならない)
・聖女も同じ学園に通っている
・聖女の名前がロゼッタのため、ロゼの話をするとクラスメイトが勘違することがあるけどそもそもキリアンは聖女のことを聖女様としかよばない
・聖女はキリアンが好きで結構アプローチ強め(ロゼが悲しむといけないのでキリアンは絶対にこの事実を知られないようにしている)
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