5 / 5
その5
しおりを挟む
「え?こ、んやくしゃ?」
アルフォンス様の今放った言葉は私たちの母国語がしら、それとも外国語?
こんやくしゃ?誰と誰が?
「あれ?知らなかったの?僕たちは1週間前にやっと正式な婚約者になったんだよ。君のお父上が中々首を縦に振らないから、最終的に脅す...いや交渉するのが大変だったけどね」
ニコニコと爽やかな顔で笑いながら、衝撃的な事実を発するアルフォンス様を凝視する。
「まさか君のお父上が君に話してないなんてね、これはこれは。最後まで往生際が悪いなぁ...」
小声で何かを呟いているアルフォンス様の、さらにニコニコと笑みを深めた顔がイケメンすぎて直視できない。
え、待って婚約者?1週間前?
な、え?
「そんな、アルフォンス様。ダメです、今からでも破棄しないと!」
「ん?破棄?」
いまだにニコニコ顔ではあるのに、破棄の二文字を発した途端、部屋の温度が5℃くらい寒くなった。
なんとなくアルフォンス様からは不穏なオーラが発せられている気がする。
こ、こわい!
「リリー、婚約は破棄しないよ。君がもし僕との結婚を嫌がったとしても絶対に離してはあげないし、もし僕以外の男を見たら僕はその男を生きながらにして地獄に堕とすよ、永遠にリリーに会わないようにしてね」
「!?」
「どうしてそんな言葉が出てくるの?」
え?イクリットは?
婚約しちゃったら、イクリットとの恋を諦めないといけなくなるわ。私は嬉しいけれど、アルフォンス様が幸せじゃなければ、私は....
「アルフォンス様には、お慕いしている女性がいらっしゃるでしょう...?私なんかと婚約しては、その人との恋がうまく行きませんわ...アルフォンス様は王子という身ではありますが、アルフォンス様も一人の人間です。生涯を共にする者くらいは、心の底から愛しいと想える者と一緒になってほしいのです」
たとえこの恋が実らなくても。
たとえ私の家が没落しようとも。
...いや没落は流石に身を削りすぎだけども。
でもアルフォンス様には!幸せになってもらいたい!
「リリー...」
途中まで絶対零度の冷気を放っていたアルフォンス様が、私の言葉を聞いて幾分が雰囲気を和らげた。
安心して下さったのね、私が恋の障害にならないから!
「僕は君のそういうところが本当に愛おしい」
「え?」
「僕が慕っているのは君だし、生涯を添い遂げたいと思ってるのも君だ。」
「えっ、え?」
「僕は好きでもない女性に抱きついたり、ましてやこんな、広い部屋で密着して過ごしたいとも思わないよ」
また耳元で囁かれて、ゾワゾワ感が戻ってくる。あ、アルフォンス様が私を好き?
イクリットは...?
「でも、イクリット様が...アルフォンス様の想い人...」
小さく呟くと、それでもアルフォンス様の耳にはバッチリと聞こえていたらしい
ム、と眉を寄せると少し不機嫌に声を出す。普段感情を悟られないように完璧なニコニコ顔なのにこの表情も珍しいわ。好き。
「その女性はテオバルトから話を聞いて知っているよ、リリーの予言通りになってるから勘違いしないように凄く遠ざけていて、今では接触もない。なのに結局勘違いするなんてね...」
よ、予言?予言といえばそうなのかしら。
なんだかしっくりこない表現だわ
「勘違い...」
「テオバルトに聞いた時はバカにしていたけど、同じクラスに件の女性が転入してくると聞いた時は驚いたね」
同じクラス?でも、実際にはイクリットはアルフォンス様とは一番遠いクラスだったわ
「だから転入した際に一番遠いクラスにさせたのに、何故が接触を測ってきて、さらには僕と恋仲のように振る舞ってくるから......」
ボソボソとつぶやかれた台詞は、最後の方は何も聞こえなかった。
振る舞ってくるからなんなのでしょうか...
アルフォンス様...?
「とにかく、僕が好きなのはリリアンヌ、君だけだよ。愛している」
そう言って蕩けるような笑みを浮かべるアルフォンス様に、私はとうとう認めるしかなかった。
その事実が嬉しくて涙が溢れてくる。
私も、ずっとずっと好きだったから。
叶わない恋だと思っていたから。
「私も、アルフォンス様のことが好きですわ。愛しています」
泣きながらもそう口にするとアルフォンス様に顎を持ち上げられ目を合わせられる
「ふふ、リリー、泣かないで。」
ちゅ、と涙にキスを落として、アルフォンス様が顔中にキスをしてくる
「大好きだよ、リリー」
甘い声が部屋に落ちる
「アルフォンス様、私も、大好きです」
先ほどまでは絶対に叶うことのない相手だと思っていた。
嬉しさに声が震えて、きゅっ、とアルフォンス様の胸元に縋り付く。
にっこりとまた笑顔のアルフォンス様は、最後に私の唇にキスをした。
「やっと僕のものだね、リリアンヌ。一生大切にするからね」
優しく響いて、その声が脳に浸透する。
私も一生、アルフォンス様を大切にする。
うっとりとした気持ちでアルフォンス様に身を預けた。
今はただ、この幸せに身を寄せたい。
アルフォンス様の今放った言葉は私たちの母国語がしら、それとも外国語?
こんやくしゃ?誰と誰が?
「あれ?知らなかったの?僕たちは1週間前にやっと正式な婚約者になったんだよ。君のお父上が中々首を縦に振らないから、最終的に脅す...いや交渉するのが大変だったけどね」
ニコニコと爽やかな顔で笑いながら、衝撃的な事実を発するアルフォンス様を凝視する。
「まさか君のお父上が君に話してないなんてね、これはこれは。最後まで往生際が悪いなぁ...」
小声で何かを呟いているアルフォンス様の、さらにニコニコと笑みを深めた顔がイケメンすぎて直視できない。
え、待って婚約者?1週間前?
な、え?
「そんな、アルフォンス様。ダメです、今からでも破棄しないと!」
「ん?破棄?」
いまだにニコニコ顔ではあるのに、破棄の二文字を発した途端、部屋の温度が5℃くらい寒くなった。
なんとなくアルフォンス様からは不穏なオーラが発せられている気がする。
こ、こわい!
「リリー、婚約は破棄しないよ。君がもし僕との結婚を嫌がったとしても絶対に離してはあげないし、もし僕以外の男を見たら僕はその男を生きながらにして地獄に堕とすよ、永遠にリリーに会わないようにしてね」
「!?」
「どうしてそんな言葉が出てくるの?」
え?イクリットは?
婚約しちゃったら、イクリットとの恋を諦めないといけなくなるわ。私は嬉しいけれど、アルフォンス様が幸せじゃなければ、私は....
「アルフォンス様には、お慕いしている女性がいらっしゃるでしょう...?私なんかと婚約しては、その人との恋がうまく行きませんわ...アルフォンス様は王子という身ではありますが、アルフォンス様も一人の人間です。生涯を共にする者くらいは、心の底から愛しいと想える者と一緒になってほしいのです」
たとえこの恋が実らなくても。
たとえ私の家が没落しようとも。
...いや没落は流石に身を削りすぎだけども。
でもアルフォンス様には!幸せになってもらいたい!
「リリー...」
途中まで絶対零度の冷気を放っていたアルフォンス様が、私の言葉を聞いて幾分が雰囲気を和らげた。
安心して下さったのね、私が恋の障害にならないから!
「僕は君のそういうところが本当に愛おしい」
「え?」
「僕が慕っているのは君だし、生涯を添い遂げたいと思ってるのも君だ。」
「えっ、え?」
「僕は好きでもない女性に抱きついたり、ましてやこんな、広い部屋で密着して過ごしたいとも思わないよ」
また耳元で囁かれて、ゾワゾワ感が戻ってくる。あ、アルフォンス様が私を好き?
イクリットは...?
「でも、イクリット様が...アルフォンス様の想い人...」
小さく呟くと、それでもアルフォンス様の耳にはバッチリと聞こえていたらしい
ム、と眉を寄せると少し不機嫌に声を出す。普段感情を悟られないように完璧なニコニコ顔なのにこの表情も珍しいわ。好き。
「その女性はテオバルトから話を聞いて知っているよ、リリーの予言通りになってるから勘違いしないように凄く遠ざけていて、今では接触もない。なのに結局勘違いするなんてね...」
よ、予言?予言といえばそうなのかしら。
なんだかしっくりこない表現だわ
「勘違い...」
「テオバルトに聞いた時はバカにしていたけど、同じクラスに件の女性が転入してくると聞いた時は驚いたね」
同じクラス?でも、実際にはイクリットはアルフォンス様とは一番遠いクラスだったわ
「だから転入した際に一番遠いクラスにさせたのに、何故が接触を測ってきて、さらには僕と恋仲のように振る舞ってくるから......」
ボソボソとつぶやかれた台詞は、最後の方は何も聞こえなかった。
振る舞ってくるからなんなのでしょうか...
アルフォンス様...?
「とにかく、僕が好きなのはリリアンヌ、君だけだよ。愛している」
そう言って蕩けるような笑みを浮かべるアルフォンス様に、私はとうとう認めるしかなかった。
その事実が嬉しくて涙が溢れてくる。
私も、ずっとずっと好きだったから。
叶わない恋だと思っていたから。
「私も、アルフォンス様のことが好きですわ。愛しています」
泣きながらもそう口にするとアルフォンス様に顎を持ち上げられ目を合わせられる
「ふふ、リリー、泣かないで。」
ちゅ、と涙にキスを落として、アルフォンス様が顔中にキスをしてくる
「大好きだよ、リリー」
甘い声が部屋に落ちる
「アルフォンス様、私も、大好きです」
先ほどまでは絶対に叶うことのない相手だと思っていた。
嬉しさに声が震えて、きゅっ、とアルフォンス様の胸元に縋り付く。
にっこりとまた笑顔のアルフォンス様は、最後に私の唇にキスをした。
「やっと僕のものだね、リリアンヌ。一生大切にするからね」
優しく響いて、その声が脳に浸透する。
私も一生、アルフォンス様を大切にする。
うっとりとした気持ちでアルフォンス様に身を預けた。
今はただ、この幸せに身を寄せたい。
136
お気に入りに追加
94
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
気だるげの公爵令息が変わった理由。
三月べに
恋愛
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したリーンティア。王子の婚約者にはまだなっていない。避けたいけれど、貴族の義務だから縁談は避けきれないと、一応見合いのお茶会に参加し続けた。乙女ゲーのシナリオでは、その見合いお茶会の中で、王子に恋をしたから父に強くお願いして、王家も承諾して成立した婚約だったはず。
王子以外に婚約者を選ぶかどうかはさておき、他の見合い相手を見極めておこう。相性次第でしょ。
そう思っていた私の本日の見合い相手は、気だるげの公爵令息。面倒くさがり屋の無気力なキャラクターは、子どもの頃からもう気だるげだったのか。
「生きる楽しみを教えてくれ」
ドンと言い放つ少年に、何があったかと尋ねたくなった。別に暗い過去なかったよね、このキャラ。
「あなたのことは知らないので、私が楽しいと思った日々のことを挙げてみますね」
つらつらと楽しみを挙げたら、ぐったりした様子の公爵令息は、目を輝かせた。
そんな彼と、婚約が確定。彼も、変わった。私の隣に立てば、生き生きした笑みを浮かべる。
学園に入って、乙女ゲーのヒロインが立ちはだかった。
「アンタも転生者でしょ! ゲームシナリオを崩壊させてサイテー!! アンタが王子の婚約者じゃないから、フラグも立たないじゃない!!」
知っちゃこっちゃない。スルーしたが、腕を掴まれた。
「無視してんじゃないわよ!」
「頭をおかしくしたように喚く知らない人を見て見ぬふりしたいのは当然では」
「なんですって!? 推しだか何だか知らないけど! なんで無気力公爵令息があんなに変わっちゃったのよ!! どうでもいいから婚約破棄して、王子の婚約者になりなさい!! 軌道修正して!!」
そんなことで今更軌道修正するわけがなかろう……頭おかしい人だな、怖い。
「婚約破棄? ふざけるな。王子の婚約者になれって言うのも不敬罪だ」
ふわっと抱き上げてくれたのは、婚約者の公爵令息イサークだった。
(なろうにも、掲載)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。
みゅー
恋愛
王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。
いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。
聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。
王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。
ちょっと切ないお話です。
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?
うり北 うりこ@ざまされ書籍化決定
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。
これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは?
命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者とその幼なじみがいい雰囲気すぎることに不安を覚えていましたが、誤解が解けたあとで、その立ち位置にいたのは私でした
珠宮さくら
恋愛
クレメンティアは、婚約者とその幼なじみの雰囲気が良すぎることに不安を覚えていた。
そんな時に幼なじみから、婚約破棄したがっていると聞かされてしまい……。
※全4話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
おもしろくて一気に読みました!
もしあれば王子サイドやテオサイド、イクリットのその後など読んでみたいです。
次回作も楽しみにしています。
tefuさん
最後までお読みいただき、さらには感想までありがとうございます!とても嬉しいです!
続き...は書く自信がないですが、いつか書けたらと思います。