漆黒の魔術師と金の聖女ー時空転移は永遠の出会いー

雛瀬智美

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第二章

12,私を魔界に連れてって♪(2/☆)

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 ルシアは、クライヴの肩に頬を寄せてはにかんだ。

 魔界とは、魔物が蔓延る世界であり、黒魔術師との縁も深い。

 クライヴが使役しているホークスも、魔界から呼び出されたと聞いた時、ルシアは、少なからず興味をおぼえた。

「……は」

「ホークスはそこから来たんでしょ? 行ってみたいわ。

 あなたに闘いを挑んだ勇気と度胸に免じてご褒美をください」

 声を弾ませて言うルシアにクライヴは苦く笑う。

「……分かったよ」

 ふう、と息をついたあと了承の意を返すと、

 ルシアは満面の笑みを浮かべた。

「七日間、甘い時間を過ごした後でな」

「……身が持ちませんよ」

「お前は条件を飲んで勝負を申し出たんだろ」

 にやり、笑うとルシアは、顔を上げた。

 悔しげだが、諦めた様子にクライヴは笑えてきた。

「……さっきまでの楽しい気分が台無し」

 クライヴが、ルシアの体に指を這わせながら、問いかける度に、

「っ……あ、でも」

 ルシアは、小刻みに震え何度も背中を反らせた。

「俺をこれ以上待たせるなよ」

 焦らしてはルシアを煽って、彼女が降参の白旗を上げるのを待っている。

 クライヴは、余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)だが、ルシアの方がもちそうになかった。

 求められれば、欲してしまう。

 体の奥がざわめいて早くと訴えている。

 クライヴは、黙ってルシアの様子を見守っている。

「ルシア」

 耳朶に、言葉を吹きかける。

 ルシアの心臓が、どくどくと音を立てるのが聞こえてきた。

 胸に触れる手の平に自分の手の平を重ねて、

「キスして」

 背伸びして瞳を閉じたルシアに、クライヴは口づける。

 舌先を絡めて、唾液を啜る。

 体が疼いたルシアは、クライヴに自然と身を寄せていた。

 胸のふくらみを押しつけていることに気づいてもいない。

 堪えに堪えたクライヴは、頭の中で理性の糸が切れる音を聞いた。

「罪な女」

 クライヴは、ぼそっ、と呟く。

 ルシアが、何を言われたのか理解できないという顔で、

 彼を振り仰いだ瞬間、持っていた剣で、ルシアの服を切り裂いた。

 肌を傷つけないよう細心の注意を払い、服だけを見事にばらばらにした。

 真白の肌が、晒され肌を隠そうと試みる姿はクライヴの欲を煽るだけだった。

 手のひらから、こぼれたふくらみが、妖しさを醸し出している。

「いい眺めだな」

 ルシアは顔を赤らめたが、外気に触れた肌を意識するとぶるりと震えた。

「すぐに温めてやるよ」

 クライヴは、一糸まとわぬ姿でうずくまったルシアを横抱きにし、転移した。



「三日三晩で許してやるよ。七日だとさすがに身が持たまい。俺は平気だが」

「……譲歩してくれたようには聞こえないし、

 どれだけ底なしなんですか」

 寝台(ベッド)の上で、ルシアを組み敷きながら、発した言葉は、容赦がなかった。

 ルシアが、頬を上気させて、上目遣いで見てくると、欲情を煽られて、たまらない。

「どれだけ、誘うのが上手いんだよ」

「……上手くないです……っあ」

 耳朶を食み、ふくらみを撫でながら、クライヴはくっ、と笑った。

 そうして二日間朝昼晩問わず色んな愛し方でルシアを翻弄して三日目の夜。

「……あぁ……ん……っ」

 指先に灯る熱にルシアは自分も高まるのを感じた。

(これは彼から与えられる紛れもない愛情だ。

 焦らされるのも実は嫌じゃない。

 ゆっくり愛されるのはたまらない)

 早く、来てと、せっかちに彼を求めてしまうルシアだが、

  クライヴは望む通りに動いてはくれないこともある。

 そんな意地悪なクライヴも好きだなんてどうかしているのかもしれないと

 自分自身でも思うが、どうしようもない。

 彼の身のうちに宿る炎で身も心も焼き尽くされたいと願っている。

 深く口づけ、舌を絡ませる。

 蜜口に突きつけられた肉欲に、溝から蕾(つぼみ)を

 なぞられて、ルシアは甘い悲鳴を上げた。

 唇からも、下腹部からも粘膜が触れ合う水音がする。

 豊かなふくらみを大きな手が押さえている。
 乳暈から、乳首全体を五本の指が、くにくにと捏ねていた。

 官能に喘ぐルシアはぽろぽろと涙を落とした。

 己の昂りは溝を行き来させながら、指で蕾をくにくにと転がす。
 じん、と甘い快楽が、押し寄せては消える。

 熟れて疼いている蜜口が、クライヴ自身を求めている。

 ルシアは悪戯にクライヴの指を口に含んで吸い上げた。

「くっ……いい度胸だな」

 ルシアがリップノイズを響かせて、

 指先に口づける度にクライヴの動きが忙しなくなる。

 乱暴に胸を鷲掴み、口に含む。

 やわらかく歯を立てて、吸い上げた。

 濡れた頂から、体中に痺れが広がっていくようで、ルシアは背中を震わせて喘いだ。

「いい声で啼くようになった。俺に本心から焦がれているのが伝わってくる」

「……クライヴ」

 自信に満ちた言葉はルシアを理解していた。

 ちゅ、と軽く彼に口づけると、クライヴは、ルシアの唇に指を押し当てた。

「お前から来いよ」

 にやり、と笑うクライヴに、ルシアはぱちぱちと瞬きをした。

 抱き起こされたルシアは、クライヴと体の位置と体勢が入れ替わる。

 仰向けになったクライヴの上を跨ぐ格好になったルシアは焦った。

 瞳を泳がせているルシアは、あからさまに動揺している。

「まったく手がかかる」

「……きゃっ」

 前のめりになったルシアのお腹の辺りに硬いものが当たっている。

 張り詰めたクライヴの焦熱が、行き先を求めて彷徨っているのだ。

「そのまま腰を浮かせろ……そうだ、それでいい」

 立場が逆だと恥ずかしさも数百倍に膨れあがるものなのだ。

 ルシアは、顔を赤らめつつもクライヴの指示に従う。

 とくとく、と心臓が音を鳴らす。
 ただ、彼に従うままに、ゆっくりと腰を浮かせ、焦熱を求めて腰を下ろした。

「っ……あ」

 熱く硬い漲りを胎内(ナカ)に迎え入れて、一気に背筋から快感が駆け上ったルシアは、うめく。

 すっぽりと全部受け入れてしまい、彼の存在を感じると身体の奥がざわめき始める。

「動け。俺がお前を抱いている時のように」

 かあっとルシアの頭に血が上る。

 受け入れている時点でこれ以上の羞恥はなかった。

 躊躇いなんて簡単に捨ててしまえた。

「あん……はっ……あ……」

「……いい」

 漏れる声を抑えようと唇を手を当てるルシアだったが徒労に終る。

 ずん、と突き上げられ、奥を擦られてびくん、と腰を揺らす。

 力強い律動で、揺れるふくらみが、下から揉みしだかれる。

 ルシアは彼に奏でられ甘く歌った。

「っ……やぁ……っ」

 ルシアはうっとりと陶酔し、しどけなく口を開いていた。

 凄まじい衝撃に襲われ首を反らせる。

 汗を散らした二人の肌はほんのりと色づき、やけに艶めかしかった。

 腰を動かすスピードが上がる。

 これ以上はないほどに繋がって、一番近い場所に互いを感じて

 もうどうなってもいいとまで、感じる。

 このまま、、何もかも壊れてしまえばいい。

 クライヴは、深い結合に生きていることを感じていた。

 肌がぶつかる淫らな水音、抱き合っている時にしか聞くことはできない

 ルシアのあまやかな声、秘めた女の姿。

「お前は俺の腕の中で啼いていればそれでいい」

 掠れた声が、空気に融ける。

 本能の衝動で腰を揺らめかせているルシアは、あられもない

 肢体を晒して歓喜の叫びを上げている。

「……もっと抱いて。奥まであなたの想いを届けて」

 うわ言のように呟くルシアは、聖女のような魔女だった。

 クライヴは想いに応えて、鋭く突き上げた。

 繋がったまま再びルシアを組み敷く。

 腰を大きく前後させ、円を描く。

「ああっ……っ!」

 ルシアの最奥で、クライヴ自身が跳ねた。

 飛沫が注がれる。

 それは長い時間続き、ルシアの体がぐらぐらと揺れた。

 クライヴは思いの丈を存分に彼女に注いだ。

 ルシアが、クライヴの背に爪を立てる。

 キスを啄ばんでは、腰を突き上げる。

 幾度意識を飛ばしても、甘美な時間は終らない。

 結局、夜が明けるまで二人は懲りもせず愛し合っていた。





 ルシアが目を覚ました時、 彼女の身体は隅々まで綺麗にされていた。

 あらゆる意味で最後まで手を抜かない男だ。

 手が固く握り締められている。

 痛いほど強く繋がれた手に、絆を感じた。

「おはようございます」

 くすっと微笑みかける。

 気づいてくれるかしらと期待をこめて。

 クライヴはうっすら半眼を開けた。

 その様は、彼に似合っている上、強烈な色香を放っている。 

 口をぽかんと開けたルシアは、これは罠だと悟った。

 強く腕を引かれ、クライヴの上に倒れこむ。

「ク、クライヴ」

「魔術を使えなくなって寂しいか」

 藍の瞳が、真剣な光を放っている。

 どくん。心臓が一つ鳴った。

 ルシアは少しだけ拍子抜けする。

 ふるふると首を振る。

「いいえ」

「お前の心に開いた穴は俺が塞いでやる」

 ルシアはたまらなく嬉しくてクライヴの首に腕を回す。

「だから、泣くなよ。お前に泣かれると調子が狂う」

 こくこくと頷く。

 ルシアの頬から、溢れ出した涙がクライヴの胸元を濡らした。

「泣くなって言ったのに……しょうがないな。

 今だけは許してやる」

「ありがとう。クライヴって優しいのね」

「馬鹿を言え」

 ぷっと吹き出したルシアが、クライヴの胸を叩く。

「この城の中に魔界への扉がある」

 いきなり素に戻るクライヴに、ルシアは毎度、不満を覚える。

 雰囲気に浸りたいルシアにとって

 彼の切り替えの速さは、時々酷く憎らしい。

「……私が知らない所がたくさんありそうですね」

「使っていない部屋ばかりだから、お前にも教える必要がないと思ってな」

「やっぱりそんな理由ですか」

 フンと鼻を鳴らすクライヴにルシアは、頬を膨らませた。

 その頬を指先でつつくクライヴの眼差しはとても柔らかい。

「魔界へ連れていってやるついでに城の中を案内してやるよ」

「楽しみです」

「じゃあもうひと眠りするか」

「えっ……そろそろお腹空いたんですけど」

 ルシアは上目遣いに訴えるが、俺様魔術師は聞く耳を持たないようだ。

 素知らぬ顔で、ぐっとルシアを強く抱きこんだ。

 クライヴは、ふわりとしたルシアの金髪を撫でて

 彼女が瞳を閉じるのを誘導した。

 ルシアは虚ろな眼差しでクライヴを見上げる。

 すうっと閉じていく瞳にクライヴも誘われて瞳を閉じた。



「クライヴ、服!」

 ルシアは、着るべき衣服がないことに今更ながら思い至ったのだ。

 自分の部屋まで取りに戻る為には、シーツを引きずっていかなければならない。

 シーツで肌を隠しながら、恨みがましく見つめる。

 衣服を奪い去った張本人は極めて平然としていた。

「ほら」

 クライヴは服をぽんと投げて寄越す。

 どこからともなく出てきた服にルシアはきょとんとした。

 手に取ると、上から下まで服をじいっと眺めた。

「気に入らないか」

 ぶんぶんと首を振る。

 ルシアは、その服があまりに可愛くて目を奪われていた。

 総レース仕様のワンピースは胸元には大きなリボンが飾られていて、

 ウエスト部分で切り替えが入ったデザインだった。

 膝丈の長さは、クライヴの趣味なのだろう。

「着て見せろよ」

「っ……ちょっと隣の部屋に行っててくれますか」

 さすがに平静では、肌を晒すのは恥ずかしかったので、

 クライヴに、しっ、しっと手を振った。

「はいはい」

 クライヴは、上半身は裸だが下は、

 ちゃっかり下衣(ズボン)を穿いていた。

 すたすたと隣室(酒棚がある小部屋だ)に行くクライヴを見送ってルシアは、着替えを始めた。

「この服、どうなってるの!」

 胸元のリボンを結ばなければ衣服としての役割を果たさず布切れ同然。

 リボンをほどくと、簡単に脱げる仕組みだ。

 変な作りの服をルシアは大いに疑問に思ったが、

「可愛いからいいか。着替えも楽だし」

 生来(せいらい)の性分(しょうぶん)か、開き直るのも早かった。

「入っていいですよ」

 声と共にクライヴが、部屋に入ってくる。

 彼もいつもの長衣(マント)を纏っている。黒魔術師の正装だ。

 フードまできっちり被っているのを見て、ルシアは密かに

 可愛いと思ったが口には出さなかった。

 クライヴは、ルシアを見るなり無言になり顎に手を当てた。

「どこかおかしいですか?」

 不安になったルシアは、尋ねた。  

 反応は返らない。

「……よく似合ってる。想像以上だ」

「そ、それならよかった。

 これ、簡単に脱げるから楽なんですよ」

「だろうな」

 意味深な微笑みの意味をルシアはこの時まだ知らなかった。

 クライヴの後ろをルシアが歩き、寝室を出た。

「これはお前が持っていろ」

 ルシアの手の平に落とされたのは

 シルバーチェーンのクロスの首飾り(ネックレス)。

「あの時クライヴに渡したクロス……

 ずっと持っていてくれたんですね」

「お前が側にいない時も、肌身から離したことはなかった」

 ルシアは、花の如く微笑んだ。

「またお前が持っていろ。魔よけなんだろ? 」

 クライヴが、ルシアの首にそっとクロスをかけた。

 髪を避けて、大切なものに触れるように。

「ありがとう、クライヴ」

「元々お前のだろ。変なやつだな」

「つけてくれたのが、嬉しかったの」

「そうか」

 クライヴとルシアは手を繋いで、地上一階への階段を上る。

 ルシアは、初めて訪れた明るい空間に目が眩(くら)んだ。

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