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第2章
第26話 三日後
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帝都に竜が現れて三日が経った。
民は巨大な竜に恐れをなし、保護を求めて神殿に殺到し、未だ混乱は収まっていない。
城は上から下への大騒ぎだったが、今のところ竜の破壊による死者はでていない。だが、行方不明者がたった一人。グラナート国王・ウルカヌスの子を宿した娘、テルーである。
テルーに付き添っていた侍女は、轟音と共に砂埃に巻かれ、竜の目を間近に見た。その赤い目を見、侍女は恐怖のあまりショック状態にある。
「まさかあれほど巨大な竜だとは」
ジークバルトは呟く。
部下に指示し、現在帝都中に大弓を用意させている。あれほど大きな魔族が現れたのは初めてだったので、若い兵士たちは顔を青ざめさせていた。
そして、同時に消えたプロクス=ハイキング。
ジークバルトの知るプロクスは、非常に穏やかな老人。王に誠実に仕え、民を愛し、動物たちを慈しむ。遠目に見たウェールスに、事情は問いただせそうになかった。
「ジークバルト」
副団長に呼ばれて、振り返る。副団長ルナールの視線の指し示す先に現れた一行に、ジークバルトは眉間に皺を寄せた。
「アズラク公国で、結界が破られました!」
広間に響く、悲痛な声。駆け込んできたのは、アズラク公国特使。
「妖魔を操る魔術師共が、砦を破壊しているとの報告が……国境兵は全滅、新たに結界が造られたために、公国騎士団が近づけない状態です!村人たちが逃げるまでとても持ちこたえられそうにありません!どうぞ、お助けを!」
「……神鹿軍魔術師隊・三番を派遣する。川を上れ。中央のアズラク公国騎士団よりは早いだろう。アズラクの神殿兵に武器の補給を」
そう低い声で命じたのは、黒真珠こと元神鹿軍団長イオダス・サージェスである。
軍団長を辞した彼は、貴族たちに請われて王宮に入った。そして、今や軍の実権は王立軍・神殿兵問わず彼が掌握している。
その彼の座る椅子の背に留まるのは、漆黒の孔雀。長い尾羽は繊細なレースのよう。ため息をつくほど美しいが、その正体は冷酷な【商人】蚕子である。
「副将軍、異論はあるか?」
イオダスが問うた先、そこにいたのは、元近衛騎士団長・ウェールスである。ガーガリオンの槍を先だって下賜された彼は、副将軍として昇格した。
そして、イオダスは長らく空位だった将軍として就任。
ウェールスは、彼が全ての軍の数、能力、人物まで把握していることに内心舌を巻く。イオダスは、文句の付けようのない采配を振るっていた。
「ありません」
ウェールスは答え、横目で周囲の兵士たちを見る。
いつの間にか、城の奥深くまで神殿兵たちは入り込んでいる。境目は今や消え失せた。王家に忠実な騎士たちが、少しずつ――王族から、引き離されている。
近衛騎士団長には、まだ若いアイビスが就任した。ろくに引き継ぎもままならず、ウェールスはイオダスと共に執務に臨んでいる。
一方、居並ぶ貴族たちのほとんどはイオダスを恐れ、沈黙し、静観を決め込んだ。
ライラ王女は新たに配置された騎士たちによって厳重に守られたまま。古参の騎士たちは彼女に近づけていない。
「あと四日だ」
突然の将軍の言葉に、ウェールスは我に返る。
「プロクス=ハイキングの休暇が終わるまで」
イオダスは言う。派遣命令書に鮮やかにサインをする。
「だから、私はまだ追わない」
そして、黒真珠の顔をウェールスに向ける。
「遊ばせてやろう。第一の敵は、ウルカヌス王。次は我が弟子のスルーダーだ。倒せずとも、かなり消耗するだろう」
ウェールスは、顔色を変える。
「ウルカヌス王を……サーティス=ヘッドに?」
「彼もまた、【商人】と契約した者だ。プロクスを捕えたならば、テルーも、腹の子も好きにすれば良い。が、それには契約者本人が実行しなければならない。他の者ならば、対価としては価値がない。アトラスの末裔が、ガリウスの末裔を捕えることに意義がある」
そう言い、イオダスは再び書類にサインを始める。
「……捕えたならば、どうするつもりですか」
誰を、とは言わなかった。
「プロクスならば、私が管理下に置く。――ウェールス、もう下がっても良いぞ。市軍からの報告をまとめて奏上せよ」
扉の前に誰かの気配があって、イオダスは侍従に合図する。扉が開かれ、年若い青年が入ってきた。
仄暗い翡翠の瞳。美しい、一見すると女性のような顔立ち。長い赤銅色の髪は、後ろに一つにまとめられている。体格で言うと、標準の兵士と言って差し支えがない。漆黒の詰襟の軍服に、赤い甲冑をまとう。
まだ二十になったばかりの若者だが――その全身にまとう空気は、他の兵、騎士を圧倒的に凌駕する。まるで、獅子が目の前を歩むよう。
「我が師よ。ただいま参りました」
「よく戻った、スルーダー」
イオダスは言う。
ある程度近づいたところで、スルーダーは側にいたウェールスに眼差しを向ける。
その、獰猛な肉食獣のような瞳。口元には、残忍な笑みが浮かぶ。狂犬、と呼ばれるその表情。
荒事に慣れたウェールスですら、彼は危険だと思う。ウェールスは静かにイオダスに頭を垂れると、部下を伴い、その場を辞した。
「それで、師匠。オレの役割は?」
背後で扉が閉まると同時、スルーダーは声をかける。
「執念深いお前によく合った仕事だ。追跡。監視。準備が整い次第、捕獲だ」
「それって、逃げた騎士王さまが標的なんだよね?師匠を教えた師匠を捕えるだなんて。しかも、妊婦を連れているなんて、そんなに面白いこと?」
スルーダーは首をこてんと傾ける。楽勝なように思えた。騎士王といえど、老人だ。
「侮るな。あの御方はガリウス王の末裔であり、魔族の頂点に立つ竜を操りし騎士。先だって、竜殻甲冑をまとったウルカヌス王を圧倒している」
「……へぇ?そうだとは知らなかったなぁ……」
スルーダーの目が、みるみる大きくなっていく。カチカチ、と喜びで歯を鳴らす。狂気を孕んだその表情を見た者は震え上がる。
「ただし、お前の出番はウルカヌス王の後だ。彼が失敗すれば、任務はそなたが引き継げ」
「師匠。失敗ってあっさりおっしゃるけど、それってウルカヌスが死ぬってことですか?」
「それだけの罪を、すでに彼は犯している」
ふぅん、とスルーダーはまた首を傾げる。こてん、こてん、と。
「別にそんなことどうだって良いけど。まぁ、行ってきます」
まるでお使いに行くかのような軽い口調。彼は師匠の前で、頭をごりごり掻く。
「そなたには、導き手が必要だ。――蚕子」
ぱさり、と漆黒の孔雀が飛び立つ。そのまま床に舞い降りると、その尾羽を広げた。次いで、再び飛び上がった時には、銀の両手に収まるぐらいの箱が床に残される。
「師匠、これは?」
迷うことなく、スルーダーは箱の蓋を跳ね上げる。
そこにあったのは、人間のものと思しき手。黒とも緑ともつかぬ色に変じている。手首から先はなく、そこに黒く錆び付いた手錠を掛けられ、鎖が中途半端に残る。
「そなた専属の【商人】、百禍だ」
手が、自らの指を足のように動かし歩く。まるで蜘蛛のような姿が面白くて、スルーダーはにやりと笑う。
「百禍が、そなたをサーティス=ヘッドでの案内役となる」
「わかった」
スルーダーが手を差し出すと、百禍はとことこと彼の腕をよじ登る。なるほど、蜘蛛というよりその感触は人間の指に近いか。
しばしスルーダーがそれを見ていると、別の角度から声かけがあった。
「――我が師よ」
そこにいたのは、スルーダーの弟・スカラーだった。スルーダーは、彼の左目が黄金になっていることにすぐ気がついたが、何も言わずに口角を跳ね上げるに留まった。
帝都に竜が現れて三日が経った。
民は巨大な竜に恐れをなし、保護を求めて神殿に殺到し、未だ混乱は収まっていない。
城は上から下への大騒ぎだったが、今のところ竜の破壊による死者はでていない。だが、行方不明者がたった一人。グラナート国王・ウルカヌスの子を宿した娘、テルーである。
テルーに付き添っていた侍女は、轟音と共に砂埃に巻かれ、竜の目を間近に見た。その赤い目を見、侍女は恐怖のあまりショック状態にある。
「まさかあれほど巨大な竜だとは」
ジークバルトは呟く。
部下に指示し、現在帝都中に大弓を用意させている。あれほど大きな魔族が現れたのは初めてだったので、若い兵士たちは顔を青ざめさせていた。
そして、同時に消えたプロクス=ハイキング。
ジークバルトの知るプロクスは、非常に穏やかな老人。王に誠実に仕え、民を愛し、動物たちを慈しむ。遠目に見たウェールスに、事情は問いただせそうになかった。
「ジークバルト」
副団長に呼ばれて、振り返る。副団長ルナールの視線の指し示す先に現れた一行に、ジークバルトは眉間に皺を寄せた。
「アズラク公国で、結界が破られました!」
広間に響く、悲痛な声。駆け込んできたのは、アズラク公国特使。
「妖魔を操る魔術師共が、砦を破壊しているとの報告が……国境兵は全滅、新たに結界が造られたために、公国騎士団が近づけない状態です!村人たちが逃げるまでとても持ちこたえられそうにありません!どうぞ、お助けを!」
「……神鹿軍魔術師隊・三番を派遣する。川を上れ。中央のアズラク公国騎士団よりは早いだろう。アズラクの神殿兵に武器の補給を」
そう低い声で命じたのは、黒真珠こと元神鹿軍団長イオダス・サージェスである。
軍団長を辞した彼は、貴族たちに請われて王宮に入った。そして、今や軍の実権は王立軍・神殿兵問わず彼が掌握している。
その彼の座る椅子の背に留まるのは、漆黒の孔雀。長い尾羽は繊細なレースのよう。ため息をつくほど美しいが、その正体は冷酷な【商人】蚕子である。
「副将軍、異論はあるか?」
イオダスが問うた先、そこにいたのは、元近衛騎士団長・ウェールスである。ガーガリオンの槍を先だって下賜された彼は、副将軍として昇格した。
そして、イオダスは長らく空位だった将軍として就任。
ウェールスは、彼が全ての軍の数、能力、人物まで把握していることに内心舌を巻く。イオダスは、文句の付けようのない采配を振るっていた。
「ありません」
ウェールスは答え、横目で周囲の兵士たちを見る。
いつの間にか、城の奥深くまで神殿兵たちは入り込んでいる。境目は今や消え失せた。王家に忠実な騎士たちが、少しずつ――王族から、引き離されている。
近衛騎士団長には、まだ若いアイビスが就任した。ろくに引き継ぎもままならず、ウェールスはイオダスと共に執務に臨んでいる。
一方、居並ぶ貴族たちのほとんどはイオダスを恐れ、沈黙し、静観を決め込んだ。
ライラ王女は新たに配置された騎士たちによって厳重に守られたまま。古参の騎士たちは彼女に近づけていない。
「あと四日だ」
突然の将軍の言葉に、ウェールスは我に返る。
「プロクス=ハイキングの休暇が終わるまで」
イオダスは言う。派遣命令書に鮮やかにサインをする。
「だから、私はまだ追わない」
そして、黒真珠の顔をウェールスに向ける。
「遊ばせてやろう。第一の敵は、ウルカヌス王。次は我が弟子のスルーダーだ。倒せずとも、かなり消耗するだろう」
ウェールスは、顔色を変える。
「ウルカヌス王を……サーティス=ヘッドに?」
「彼もまた、【商人】と契約した者だ。プロクスを捕えたならば、テルーも、腹の子も好きにすれば良い。が、それには契約者本人が実行しなければならない。他の者ならば、対価としては価値がない。アトラスの末裔が、ガリウスの末裔を捕えることに意義がある」
そう言い、イオダスは再び書類にサインを始める。
「……捕えたならば、どうするつもりですか」
誰を、とは言わなかった。
「プロクスならば、私が管理下に置く。――ウェールス、もう下がっても良いぞ。市軍からの報告をまとめて奏上せよ」
扉の前に誰かの気配があって、イオダスは侍従に合図する。扉が開かれ、年若い青年が入ってきた。
仄暗い翡翠の瞳。美しい、一見すると女性のような顔立ち。長い赤銅色の髪は、後ろに一つにまとめられている。体格で言うと、標準の兵士と言って差し支えがない。漆黒の詰襟の軍服に、赤い甲冑をまとう。
まだ二十になったばかりの若者だが――その全身にまとう空気は、他の兵、騎士を圧倒的に凌駕する。まるで、獅子が目の前を歩むよう。
「我が師よ。ただいま参りました」
「よく戻った、スルーダー」
イオダスは言う。
ある程度近づいたところで、スルーダーは側にいたウェールスに眼差しを向ける。
その、獰猛な肉食獣のような瞳。口元には、残忍な笑みが浮かぶ。狂犬、と呼ばれるその表情。
荒事に慣れたウェールスですら、彼は危険だと思う。ウェールスは静かにイオダスに頭を垂れると、部下を伴い、その場を辞した。
「それで、師匠。オレの役割は?」
背後で扉が閉まると同時、スルーダーは声をかける。
「執念深いお前によく合った仕事だ。追跡。監視。準備が整い次第、捕獲だ」
「それって、逃げた騎士王さまが標的なんだよね?師匠を教えた師匠を捕えるだなんて。しかも、妊婦を連れているなんて、そんなに面白いこと?」
スルーダーは首をこてんと傾ける。楽勝なように思えた。騎士王といえど、老人だ。
「侮るな。あの御方はガリウス王の末裔であり、魔族の頂点に立つ竜を操りし騎士。先だって、竜殻甲冑をまとったウルカヌス王を圧倒している」
「……へぇ?そうだとは知らなかったなぁ……」
スルーダーの目が、みるみる大きくなっていく。カチカチ、と喜びで歯を鳴らす。狂気を孕んだその表情を見た者は震え上がる。
「ただし、お前の出番はウルカヌス王の後だ。彼が失敗すれば、任務はそなたが引き継げ」
「師匠。失敗ってあっさりおっしゃるけど、それってウルカヌスが死ぬってことですか?」
「それだけの罪を、すでに彼は犯している」
ふぅん、とスルーダーはまた首を傾げる。こてん、こてん、と。
「別にそんなことどうだって良いけど。まぁ、行ってきます」
まるでお使いに行くかのような軽い口調。彼は師匠の前で、頭をごりごり掻く。
「そなたには、導き手が必要だ。――蚕子」
ぱさり、と漆黒の孔雀が飛び立つ。そのまま床に舞い降りると、その尾羽を広げた。次いで、再び飛び上がった時には、銀の両手に収まるぐらいの箱が床に残される。
「師匠、これは?」
迷うことなく、スルーダーは箱の蓋を跳ね上げる。
そこにあったのは、人間のものと思しき手。黒とも緑ともつかぬ色に変じている。手首から先はなく、そこに黒く錆び付いた手錠を掛けられ、鎖が中途半端に残る。
「そなた専属の【商人】、百禍だ」
手が、自らの指を足のように動かし歩く。まるで蜘蛛のような姿が面白くて、スルーダーはにやりと笑う。
「百禍が、そなたをサーティス=ヘッドでの案内役となる」
「わかった」
スルーダーが手を差し出すと、百禍はとことこと彼の腕をよじ登る。なるほど、蜘蛛というよりその感触は人間の指に近いか。
しばしスルーダーがそれを見ていると、別の角度から声かけがあった。
「――我が師よ」
そこにいたのは、スルーダーの弟・スカラーだった。スルーダーは、彼の左目が黄金になっていることにすぐ気がついたが、何も言わずに口角を跳ね上げるに留まった。
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