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大変なことが起きてしまった②

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※紳也視点

雪兎君を生徒会長にしてから二週間。どんな仕事を押しつけられても文句一ついわずに黙々やり続けて、親睦会の起案書や予算案なども一切の妥協をしない。素晴らしすぎる人材だった。先生方には雪兎君に何かあればすぐに報告するように言ってあり華宮先生には雪兎君が困っているようならすぐに報告するように言ってある
そしてすぐに報告が来た。親睦会実行委員会の会議をしたいとのことで風紀委全員を集めて欲しいとのこと。頼まれたのは一週間前の職員会議中に乗り込んできて集めるための条件まで考えて志願した、と...

「あと少しで集まりそうなので...出来れば理事長が主席していただけるとありがたいのですが...」

「そうだね...わかった。明日予定なしだから出てみるよ」

「お願いします」

「それで、雪兎君はどうだい?」

「...それが.......」

華宮先生の話によれば寮に戻っていないらしく夜遅くまで始末書や書類作りをしているらしくまともな睡眠すらとれていないらしい...
他の役員のことを聞いてみれば今までと同じで手伝うどころか仕事を増やしていた。手伝っているのは有栖川君だけとのこと...

「...降谷は......雪兎は馬鹿にしてくる乾達を殴りたいのを我慢して、そのストレスを仕事にぶつけているみたいです」

「......そうか...会議が終わったらご褒美ぐらい用意しなくちゃな...」

「ご褒美...ですか?」

「そう。有能な人材を見ようともせず無能ばかりを集めてしまった重要役員を少しでも変えようと頑張っているんだ...そういった子にはご褒美をあげなくちゃだろ?」

言いたいことがわかるのか華宮先生は少し笑って部屋を出た

****************

翌日、いつもの仕事を終えた私は会議室へ向かった。途中生徒の黄色い悲鳴が響き渡っていたが耳障りなだけだ。アイツらは俺自身ではなく俺のネームバリューが好きなだけなんだ。色眼鏡で私を見て、俺に気に入られようと媚びを売り嘘を言う。そんな奴らなんてただのクズにしか見えない。そんなクズ共が選んだ無能達が次々と入室してくる。俺が居ることを知ると途端に媚びてくる。実に気分が悪い

「遅れてすみませんでした」

少しして生徒会長が入ってきた。乾隆宏を筆頭に席へ座っていく。だが肝心の雪兎君がいなかった。休んでいるのかと思ったが華宮先生に担がれていた。席におろされた雪兎君は二週間で随分と痩せたように見えた。顔の線が細くなり顔色がよくない...隈もできており時折目をこすっていた。体も服で隠されているが少し小さくなったと思う...

「はい...え~...生徒会長の降谷です...」

声も少し掠れていた。あんな酷い状態になるまで働いていたのか...彼は......
それなのにここにいる連中は一部を除いて助けもしなかったのか?そして彼がああなるまで働かせたのは紛れもない自分だ...自分が情けない...守ると決めたのに俺が彼を、彼の笑顔を奪ってどうする!
なにより気に入らないのが彼の頑張りより俺に気に入られようとする奴らに失望した。私の言葉に何故拍手をする?褒め称えるのは雪兎君の頑張りだろう!雪兎君がどんなに頑張ってもコイツらは見向きもしない...
お灸をそえる必要があるな

「一ついいかな?」

手を上げ全員の視線がこちらに集まっていることを確認してから笑みを消し怒りを露わにした。俺が怒ることが怖いらしく肩をビクつかせた。雪兎君も少しビックリしていたがすぐに落ち着いてまわりを見わたしていた。彼にとっては俺の睨みなど少し驚く程度のものらしい
唸るように罵倒を言えば全員が青ざめガタガタしだす者が出始めた。これ以上俺の怒りを雪兎君に見られたくないので雪兎君と雪兎君を助けていた二人と華宮先生に私の部屋に行くように言えば四人はそれに従い部屋を出た。これで、心置きなく彼らを罰することができる...

「さて、まずは言い訳を聞こうか?私が直々に任命した生徒会長を手助けせずに何か重大なことをしていたんですよね?」

そういえば全員が下を向く。なにをしていたか、他の先生方や雪兎君が上げてくれた始末書で知っている俺は彼らがどんな言い訳をしてくるか待っていた。長い沈黙の後、重い空気に耐えられなくなった乾冬馬が手を上げた

「...なんで...理事長は...あの平凡の肩を持つんですか?」

「平凡?雪兎君のどこが平凡かね?顔だけのお前らよりずっと可愛げのある彼のどこが平凡なんだい?それに私は君たちに問いかけをしたんだが?何故私に質問するんじゃないよ」

「ッ....すみません...」

「まともな言い訳一つ出来ないのか......少しでも期待した私が馬鹿だったよ」

反論すらしない彼らに雪兎君を罵倒する資格なんてあるわけ無いし俺が許さない
生徒会と風紀委メンバーには今までの責任を取らせるために雪兎君が上げていた始末書を自分達で片づけるように言い、今後彼ら関係の問題が起これば即役員を解約することにした。そして自らに与えられた職務をまっとうすること。もし少しでも怠けたなら罰を与える...今回はそれだけにした
そのほかの連中は反省文五枚で手を打った。反論がないので部屋を出ようとしたがその前に...

「それと、今後雪兎君を見下すようなことを言ったら...君たちの家族もろとも路頭に迷わせてやる...わかったな」

見下すような視線と唸るような声で脅しを入れてから部屋を出た。これで雪兎君の負担は少しは軽くなるだろう...
軽い足取りで理事長室に向かうと室内で言い争いの声が聞こえた。何事だと思い静にドアを開けると、華宮先生と有栖川君と十五君君が席順でもめていた。その原因は...

「君たち、もう少しトーンを下げて話なさい。雪兎君が起きてしまいますよ」

「「「...すみません」」」

寝ている雪兎君の隣に誰が座るかを争っていた









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