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大変なことが起きてしまった

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親睦会の起案書を提出してから二週間が経ち起案に賛成が募ったのでこの方針で親睦会をすることになり、現在、全生徒用と職員用と実行委員会用のしおりを作成している。問題関係の始末書を片付けながら...

「降谷君...これも」

「...............」

「お願いしますね?」

「...............」

「あっちゃ~ん、お茶欲しぃ~」

「あ、俺にも」

有栖川先輩に渡された始末書を受け取り、無言で処理をしている最中でもこれ見よがしにソファーに寝っ転がりお菓子を食べながらマンガを読んでいる深道先輩と青野先輩に無くしたはずのストレスがチラッと戻ってきた。また無心になろうとしたら大きな音を立てながら乾隆宏が入ってきた。そのまま王様のようにソファーに座って俺のほうを睨んでくる。これが毎日毎日...仕事してんの有栖川先輩だけなんじゃ...

「おい平凡」

「.................」

「おい!聞こえてんのか!?」

「.................」

「はっ、仕事におわれるなんてなってねぇな」

毎日罵倒して...そろそろ俺キレそうなの分からないのかな...乾隆宏の顔を殴ろうかと思った時、辰兄が慌ただしく入ってきた。何事かと顔を上げればようやく仕事が終わったときの顔をしていた

「やっと風紀委員が捕まった。今すぐ第一会議室に全員来い」

「えぇ~...」

「これは強制かつ絶対的だ。拒否すれば生徒会役員の権利を剥奪する」

「つまり出ないと生徒会役員クビってことですね」

「あぁ...ただし、降谷だけには拒否権があるが...」

「いきます。一応生徒会長ですから」

風紀委と実行委員会の会議...実は俺が一週間前に職員会議に乗り込んで風紀委全員と生徒会全員の親睦会についての会議をしたいと発言した。確実にするための案も持っていったので否定されることはなかったが風紀委員が全然捕まらないのだ。いっちゃんに事情を話して協力を頼もうとしたがやらなければならないことが土砂のように押し寄せてきて二週間まともに寝ていない

「早くしよう」

「...降谷君...そっちは仮眠室ですよ」

「...すみません...では」

「...はぁ...降谷担いでいくから少し寝ろ」

「俺は猫かよ」

「猫だろ」

辰兄に首根っこをつかまれそのまま肩に担ぐようにして会議室に連れてかれた。生徒会役員は前を歩いているので見えないがもう悲鳴が凄い。なんでろくに仕事をしない奴らだけが評価されるんだろ...やっぱり俺が平凡だからか?美形の方が良いのか?本当に少しは内面見ろよ...

「降谷、ついたぞ」

「...へ?」

「大丈夫か?」

「...あ~...はい」

席まで担がれたようで椅子の上におろされた。右には生徒会役員、左にはいっちゃん含む風紀委。その奥に実行委員と担当の先生、そしてなんと理事長様がいた
初回の会議なので顔合わせと予定日とかの確認だけなのに...
参加メンバーに悩んでいたら辰兄が司会をしてくれるようで俺の横に立って進行を進めてくれた

「あ~...ただいまより親睦会実行委員会会議を始めます。まずは生徒会長、一言よろしく」

「はい...え~、生徒会長の降谷です...初めての企画なので不手際が出ると思いますが助言や手助けをよろしくお願いします」

「はい。次に理事長の話です」

俺の時は誰もこっちを見ようとしなかったのに(見てたのは有栖川先輩といっちゃんと理事長だけ)理事長様の時は全員同じタイミングで理事長様の方を向いた。そのタイミングと息の合いようにすごく驚いている

「今回は風紀委、生徒会全員参加ということで監視のために来ました。以上」

アッサリとしたお言葉。それなのに拍手が止まない。俺との格差が酷い。泣きそうになる...泣かないけど
その後、各自己紹介になり生徒会から順にやっていくことになった。いつも以上に偉そうにしている乾隆宏にぶりっ子になっている深道先輩にだらしない青野先輩...ホントに有栖川先輩を見直して欲しいものだ
そして、ついに風紀委の自己紹介になった

「あー、乾冬馬いぬいとうまで~す。よろしくね~」

乾隆宏と同じ金髪でそっくりな顔でチャラい男という印象がある乾冬馬...
アイツが風紀委長か...
乾隆宏と同じで問題しか起こさないタイプだな
いっちゃんは真面目そうにしてたから問題なかったが残り二人が問題児過ぎた

時森夏波ときもりなつで~す。よろっ!」

羽田毅はぶたつよしっす!」

染めたであろうピンクの髪をカールして女っぽく振りまいている時森先輩とスポーツマンで脳筋タイプの羽田先輩...
風紀委はいっちゃん以外は始末書で嫌というほど名前を見てきた。一番多かったのは乾冬馬で次に多かったのが時森夏波と羽田毅だった。実物を見て確かに問題を起こしそうな顔ぶれだ...

「全員終わったな...最後に親睦会の実行日の確認をします。予定日は6月の上旬を予定しています。それに向け会議を何回か入れようと思うので必ず参加してください」

「一ついいかな?」

突然、今まで黙っていた理事長が手を上げた。そして今まで微笑んでいた笑みをやめて怒っているように睨んできた。あまりの変わりようにだらしなくしていた青野先輩や偉そうに座っていた乾隆宏すらキチンと座り直した

「君たちは、ふざけてるのか?今回の会議をやるのに一週間もかかるなど...ふざけてるとしか思えない。なにより会議をしているというのに真面目にやっている者が三名だけとはどういうことだ!」

理事長の怒鳴り声にビビらなかったのは辰兄と俺ぐらいじゃね?って思うぐらい他の人達は見て分かるぐらい肩をビクつかせた

「失望したよ...ここまでふざけるとは...思わなかったよ。降谷君と十五君君と有栖川君以外はこの場に残り処分を下す。三人は華宮先生と共に理事長室に行ってくれるかい?」

理事長の命令とも言える言い方に反発する者はいなかった。俺たちは指示通りに会議室を出て理事長室に向かった。当然のように俺は辰兄に担がれて...

「先生~...腹が圧迫されて痛いで~す」

「そうか...すまん」

「華宮先生、俺がおんぶしますよ」

「いや、顧問の俺が連れて行く」

「「..............」」

文句を言ってやっと担ぐポーズから解放されたと思ったら何故か横抱きになった。横抱き、俗に言うお姫様抱っこ...はっきり言おう。メッチャ恥ずい

そして有栖川先輩といっちゃん!悔しそうな顔しないで!!









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