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番外篇
騎士長様の一日
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起きる時間は決まって夜明け前。眠りが浅いわけでも、意識しているわけでもない。自然と夜明け前に目が覚めてしまう
寝床を出て着替えをして、朝一番にやることは素振りと筋トレだ。最近は報告書の期限だなんだでまともに出来なかった。昨日、全てあげおわったので今日は満足いくまでできるだろう。二時間ぐらいやっていると副騎士長のハイルが現れる
「よぉ、ラリック」
「......あぁ...」
「今日は隣国の戦場鎮圧があるんでしたっけ?」
「......そうだ...」
「いつ頃出発を?」
「三時間後だ......それまでに各隊の準備を言い渡してくれ...」
「わかった...久々に相手をしないか?」
「......すまん...そろそろ最終確認をしなければならない」
ハイルとは長いつきあいだが、いまだに距離を取っている。俺は国中から嫌悪されているが、ハイルは貴族共から気に入られている。俺と真逆の人間なんだ
ハイルと別れ、シャワー室に行き汗を流して部屋に戻る。鎮圧すべき戦場は過去最大規模で行われている。なにが理由かは忘れてしまったが...この国の王妃と隣国の国王が親戚というだけで、我々が隣国の戦場に行かなければならない...
簡単に命令をくだす国王に嫌味を言いたくなる
「失礼します!」
「........ん」
「団長!間もなく出発の時刻です!!」
「...........ん...今回は...俺と数名との少数遠征にする...ハイルに伝えてくれ」
「...ぇ......それでは...」
「...戦場の地形は多勢で行くのには無理がある......何よりわが国が援助したとなれば...この国になにが起こるかわからない......多くの兵に残って貰い、警戒を強めて貰え」
「!......了解しました!!」
...やっぱり、変に思われるか......
この国がどうなろうとどうでも良いが、もし、この国に何かあれば、朱雀の全責任になってしまう。それだけは嫌なので、こういう形をとるのが一番だろう。俺たちの責任になればまた、書類漬けだ
騎士団の鎧を身につけて、王宮入り口に向かった。既にハイルを筆頭に朱雀でもトップクラスの腕前を持っている四名がいた
「.....残りの兵は?」
「俺たちが行った後、国の警備に当たって貰うように行っといた」
「...わかった......行くぞ」
今回の、計画を頭で繰り返しながら俺は戦場へと向かった
──────その頃残された兵士達は...
「カーティルさん、かっけぇよな」
「だな...俺が時間になったから呼びに行って命令されたとき、俺たちのこと考えてんだ!って思っちゃったよ」
「...でもさ、カーティルさんって...そこらの女より...」
「おまっ...言うなよ!!この団に入った奴らは全員思うことだぞ!?」
「まぁ、そうだよなぁ...あれでスラム出身とか...やばいよなぁ」
「だなぁ...」
こうして部下と上司の考えはズレていく
*******************
戦場に着いたのは真夜中だった
時間道理だったが、予想以上に激戦していた。ハイル達は少し離れたところにある森の入り口で仮眠を取っている。やるなら今しかない
「......行くぞ...いつものことだ......」
ゆっくりと戦場に入り、敵陣に入った瞬間、敵を切りまくった。夜明け前までに片づけなければ...
焦りはない。確実に敵を倒していく。冷静さを無くしてしまえば相手の思うつぼだ。人間を切り続けていく行為は、人間の肉体と魂を切り離していく行為となっていく
人としての情がある隣国の兵士達やハイル達には出来ない行為だ。人を殺すなんて...
どんな強靱な精神を持っている奴でも良心というブレーキが一瞬の恐怖心を煽る。そしてたちまちその恐怖に支配されてしまう
だが、俺の中に良心なんてない。そんなのを教えてくれる奴なんて......誰も居なかったからだ
「...お前は......」
「.......とっとと終わらせたいんだ......殺されたくなかったら降伏しろ」
「誰が...この国を変えるまで...わが軍は止まらんぞ!!」
「......なら...........死ね」
敵の大将を打ち取り、生首にする
隣国の国王は悪趣味で敵の大将の生首を見るのが好きらしい。そんなに生首が好きなら死刑執行場へ行けば無限に生首を拝めるのにな...
朝日が昇ると共に残党兵は降伏した。隣国の兵士達の基地へ行き生首を渡して必要最低限の報告をした。途中、ハイル達が来たが俺の格好を見て察したらしい
帰り際、先導をしていた俺の隣にハイルが並んできた
「また...か」
「...............」
「これで、何度目だ?一人で突っ走ったのは」
「............さぁな」
「...なぜ、俺達を信じないんだ?」
「.........足手まといはいらねぇ......殺しも出来ない奴が戦場に居ても......死ぬだけだ」
「...カーティル」
「俺は...役立たずの尻ぬぐいだけは御免だ」
「...そうかよ...ガキのくせにいっちょ前に騎士長様気取りですか...立派になられたものですね」
「..............好きでなったわけじゃねぇ...」
「お前...いつか殺されるぞ」
「........なら、お前が殺してくれよ」
俺の言葉にハイルは立ち止まった
出来るわけがない。仲間を大切にする奴がその仲間を殺せるわけがない
だから、裏切り者を処断するのはいつもの俺なんだ。立ち止まったままのハイルに視線を向けずに、ほらな、って言ってやったら悔しそうな唸り声が聞こえた
太陽が影を作るように、朱雀の太陽はハイルなんだ。そして、陰が俺...
なのに、太陽のポジションに俺がいる...
いつか、俺は沈む
そうなっても俺は悔やんだりしない。人を照らすのは性に合わない
いつか死ぬのなら......
その時は、裏切り者として...
────────────────
こんにちは、腐でーす
やっっっと、ラリックの過去編書けました
*補足*
ハイルはカーティルの本名を知っています。そして二人でいるときだけ、カーティルのとこをラリックと呼びます
そして、ラリックは無意識ながら団員のことを思って行動をしています。それが影響して、ラリックは朱雀のアイドル(裏で言われている)です
寝床を出て着替えをして、朝一番にやることは素振りと筋トレだ。最近は報告書の期限だなんだでまともに出来なかった。昨日、全てあげおわったので今日は満足いくまでできるだろう。二時間ぐらいやっていると副騎士長のハイルが現れる
「よぉ、ラリック」
「......あぁ...」
「今日は隣国の戦場鎮圧があるんでしたっけ?」
「......そうだ...」
「いつ頃出発を?」
「三時間後だ......それまでに各隊の準備を言い渡してくれ...」
「わかった...久々に相手をしないか?」
「......すまん...そろそろ最終確認をしなければならない」
ハイルとは長いつきあいだが、いまだに距離を取っている。俺は国中から嫌悪されているが、ハイルは貴族共から気に入られている。俺と真逆の人間なんだ
ハイルと別れ、シャワー室に行き汗を流して部屋に戻る。鎮圧すべき戦場は過去最大規模で行われている。なにが理由かは忘れてしまったが...この国の王妃と隣国の国王が親戚というだけで、我々が隣国の戦場に行かなければならない...
簡単に命令をくだす国王に嫌味を言いたくなる
「失礼します!」
「........ん」
「団長!間もなく出発の時刻です!!」
「...........ん...今回は...俺と数名との少数遠征にする...ハイルに伝えてくれ」
「...ぇ......それでは...」
「...戦場の地形は多勢で行くのには無理がある......何よりわが国が援助したとなれば...この国になにが起こるかわからない......多くの兵に残って貰い、警戒を強めて貰え」
「!......了解しました!!」
...やっぱり、変に思われるか......
この国がどうなろうとどうでも良いが、もし、この国に何かあれば、朱雀の全責任になってしまう。それだけは嫌なので、こういう形をとるのが一番だろう。俺たちの責任になればまた、書類漬けだ
騎士団の鎧を身につけて、王宮入り口に向かった。既にハイルを筆頭に朱雀でもトップクラスの腕前を持っている四名がいた
「.....残りの兵は?」
「俺たちが行った後、国の警備に当たって貰うように行っといた」
「...わかった......行くぞ」
今回の、計画を頭で繰り返しながら俺は戦場へと向かった
──────その頃残された兵士達は...
「カーティルさん、かっけぇよな」
「だな...俺が時間になったから呼びに行って命令されたとき、俺たちのこと考えてんだ!って思っちゃったよ」
「...でもさ、カーティルさんって...そこらの女より...」
「おまっ...言うなよ!!この団に入った奴らは全員思うことだぞ!?」
「まぁ、そうだよなぁ...あれでスラム出身とか...やばいよなぁ」
「だなぁ...」
こうして部下と上司の考えはズレていく
*******************
戦場に着いたのは真夜中だった
時間道理だったが、予想以上に激戦していた。ハイル達は少し離れたところにある森の入り口で仮眠を取っている。やるなら今しかない
「......行くぞ...いつものことだ......」
ゆっくりと戦場に入り、敵陣に入った瞬間、敵を切りまくった。夜明け前までに片づけなければ...
焦りはない。確実に敵を倒していく。冷静さを無くしてしまえば相手の思うつぼだ。人間を切り続けていく行為は、人間の肉体と魂を切り離していく行為となっていく
人としての情がある隣国の兵士達やハイル達には出来ない行為だ。人を殺すなんて...
どんな強靱な精神を持っている奴でも良心というブレーキが一瞬の恐怖心を煽る。そしてたちまちその恐怖に支配されてしまう
だが、俺の中に良心なんてない。そんなのを教えてくれる奴なんて......誰も居なかったからだ
「...お前は......」
「.......とっとと終わらせたいんだ......殺されたくなかったら降伏しろ」
「誰が...この国を変えるまで...わが軍は止まらんぞ!!」
「......なら...........死ね」
敵の大将を打ち取り、生首にする
隣国の国王は悪趣味で敵の大将の生首を見るのが好きらしい。そんなに生首が好きなら死刑執行場へ行けば無限に生首を拝めるのにな...
朝日が昇ると共に残党兵は降伏した。隣国の兵士達の基地へ行き生首を渡して必要最低限の報告をした。途中、ハイル達が来たが俺の格好を見て察したらしい
帰り際、先導をしていた俺の隣にハイルが並んできた
「また...か」
「...............」
「これで、何度目だ?一人で突っ走ったのは」
「............さぁな」
「...なぜ、俺達を信じないんだ?」
「.........足手まといはいらねぇ......殺しも出来ない奴が戦場に居ても......死ぬだけだ」
「...カーティル」
「俺は...役立たずの尻ぬぐいだけは御免だ」
「...そうかよ...ガキのくせにいっちょ前に騎士長様気取りですか...立派になられたものですね」
「..............好きでなったわけじゃねぇ...」
「お前...いつか殺されるぞ」
「........なら、お前が殺してくれよ」
俺の言葉にハイルは立ち止まった
出来るわけがない。仲間を大切にする奴がその仲間を殺せるわけがない
だから、裏切り者を処断するのはいつもの俺なんだ。立ち止まったままのハイルに視線を向けずに、ほらな、って言ってやったら悔しそうな唸り声が聞こえた
太陽が影を作るように、朱雀の太陽はハイルなんだ。そして、陰が俺...
なのに、太陽のポジションに俺がいる...
いつか、俺は沈む
そうなっても俺は悔やんだりしない。人を照らすのは性に合わない
いつか死ぬのなら......
その時は、裏切り者として...
────────────────
こんにちは、腐でーす
やっっっと、ラリックの過去編書けました
*補足*
ハイルはカーティルの本名を知っています。そして二人でいるときだけ、カーティルのとこをラリックと呼びます
そして、ラリックは無意識ながら団員のことを思って行動をしています。それが影響して、ラリックは朱雀のアイドル(裏で言われている)です
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