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斎藤福寿、1回目の花火大会。
1 もうすぐ八月二六日の二時五六分がやってくる
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八月一五日になった。今日は日曜日だ。僕らに残された時間はもう少ない。地元の花火大会の一回目の大きなもの。三階の窓から花火が見える。やはりこのアパートは綺麗に花火が見えるなと関心していた。僕の実家の自室からも昔は花火が見えたが、アパートができてから前ほど見れなくなっちゃったから。僕は窓華さんの料理を待っている。カレーの良い匂いがしていて、夏といったらカレーだよなぁと感じていた。僕は塾の行事でしか海に行ったことがないが、海の家で食べるカレーは美味しかった気がする。
「あぁ、花火大会行きたかった」
「なんなら今からでも行きましょうよ」
「花火大会といえば浴衣じゃん?浴衣のない花火大会なんて意味ないよ」
窓華さんがわけの分からないことを言う。一般的に、花火があがれば花火大会というのではないだろうか。今日は八月一五日だ。だから来週の二二日にもあと一回花火大会が残っていることを思い出す。でもマザーさんが言うには今年の花火大会は雨なんだよなぁ……
「そんなに浴衣が欲しいなら配給で頼みますか?」
「呪は花火大会も乙女心も分かってないよ。こういうのは自分で選びたいの!」
「でも窓華さんは前に配給が優秀って言ってましたよね?」
「それとは別問題!大問題だよ!」
そんなにも問題のあることなのだろうか。僕には分からないけれども、僕は花火大会は混雑するし雨が降ると知っているから行きたくない。
じゃあ、手持ち花火をすれば良いじゃないかと僕は思った。あの打ち上げ花火のような感動はなくとも、夏という感じがする。
「窓華さん、あとどれくらいで作れます?」
「もうルーを入れて煮込むだけだよ」
「ちょっと僕出かけてきますんで」
僕はアパートを抜け出し、近くのホームセンターに花火を買いに行った。手持ち花火をアパートの庭でやろうと思ったからだ。小さいときは僕も家の庭で手持ち花火とかしたことがある。花火大会には連れて行ってもらえなかったし、行きたいとも思わなかったけれど。僕は線香花火を買って戻った。
「ただいま」
買ってきた線香花火のセットを見せる。国産しか売っていないため高い。窓華さんはカレーをリビングの机に並べており、もう食べる準備が終わっていた。
「こういうのがやりたいわけじゃないけど、まぁ、良いとしましょう」
「花火がやりたいのではなくて?」
「花火大会の雰囲気が楽しみたいんだよ」
窓華さんはもうカレーを食べていた。今日は夏野菜のカレーみたいだ。もう二人で過ごして春から夏になっていた。八月二六日は確実にやってくる。もう八月に入っているからもうすぐだ。
「夏になるね。お盆になればきっとご先祖様が帰って来るよね。私は呪のところには会いに行かないからよろしく」
「はぁ、そうですか……」
僕はなんて答えたら良いか分からなかった。正直、幽霊には来て欲しくないと感じている。そして窓華さんに質問した。
「家族で花火大会は行ったんですか?」
「行ったよ。光る飲み物とか桜に買ってさ、それで私と楓はお酒を飲んでそれはもう楽しく過ごしたよ」
じゃあ、最期の瞬間も家族と過ごせば良いのに?と僕が聞きたくなるようなことを、窓華さんは当たり前のように言う。桜ちゃんだって旦那さんだって、僕みたいな他人が看取ることを良しとした理由が分からない。
「今日はお酒OKにしようよ。一緒にお酒飲んで花火しようよ」
「そうですね、窓華さんは酒癖悪いので嫌ですが付き合いましょう」
「やった!」
また死にたくないなんて僕は言われてもどうしたら良いんだ。お酒は飲んで欲しくないと思った。何か弱気なことを言わたらきっと僕は死んだら悲しくなってしまう。
「あぁ、花火大会行きたかった」
「なんなら今からでも行きましょうよ」
「花火大会といえば浴衣じゃん?浴衣のない花火大会なんて意味ないよ」
窓華さんがわけの分からないことを言う。一般的に、花火があがれば花火大会というのではないだろうか。今日は八月一五日だ。だから来週の二二日にもあと一回花火大会が残っていることを思い出す。でもマザーさんが言うには今年の花火大会は雨なんだよなぁ……
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「呪は花火大会も乙女心も分かってないよ。こういうのは自分で選びたいの!」
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「それとは別問題!大問題だよ!」
そんなにも問題のあることなのだろうか。僕には分からないけれども、僕は花火大会は混雑するし雨が降ると知っているから行きたくない。
じゃあ、手持ち花火をすれば良いじゃないかと僕は思った。あの打ち上げ花火のような感動はなくとも、夏という感じがする。
「窓華さん、あとどれくらいで作れます?」
「もうルーを入れて煮込むだけだよ」
「ちょっと僕出かけてきますんで」
僕はアパートを抜け出し、近くのホームセンターに花火を買いに行った。手持ち花火をアパートの庭でやろうと思ったからだ。小さいときは僕も家の庭で手持ち花火とかしたことがある。花火大会には連れて行ってもらえなかったし、行きたいとも思わなかったけれど。僕は線香花火を買って戻った。
「ただいま」
買ってきた線香花火のセットを見せる。国産しか売っていないため高い。窓華さんはカレーをリビングの机に並べており、もう食べる準備が終わっていた。
「こういうのがやりたいわけじゃないけど、まぁ、良いとしましょう」
「花火がやりたいのではなくて?」
「花火大会の雰囲気が楽しみたいんだよ」
窓華さんはもうカレーを食べていた。今日は夏野菜のカレーみたいだ。もう二人で過ごして春から夏になっていた。八月二六日は確実にやってくる。もう八月に入っているからもうすぐだ。
「夏になるね。お盆になればきっとご先祖様が帰って来るよね。私は呪のところには会いに行かないからよろしく」
「はぁ、そうですか……」
僕はなんて答えたら良いか分からなかった。正直、幽霊には来て欲しくないと感じている。そして窓華さんに質問した。
「家族で花火大会は行ったんですか?」
「行ったよ。光る飲み物とか桜に買ってさ、それで私と楓はお酒を飲んでそれはもう楽しく過ごしたよ」
じゃあ、最期の瞬間も家族と過ごせば良いのに?と僕が聞きたくなるようなことを、窓華さんは当たり前のように言う。桜ちゃんだって旦那さんだって、僕みたいな他人が看取ることを良しとした理由が分からない。
「今日はお酒OKにしようよ。一緒にお酒飲んで花火しようよ」
「そうですね、窓華さんは酒癖悪いので嫌ですが付き合いましょう」
「やった!」
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