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斎藤福寿、守咲窓華と台湾旅行する。
5 高級ディナー
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「楽しんできた?その荷物を見るには楽しんできたように見えるけど?」
窓華さんの買った服とか雑貨を持たされた僕を見て言った。
「ホテルのチェックインは済ませておいたよ。君たちは特別だから、ちょっと特殊な書類とかあって面倒だから俺がしておいたから」
「ありがとうございます」
僕は李さんはエリートで文法じゃない英語も話せるのだろうなと思っていた。僕は英語文法をオプションで付けたけど、これは学力をはかるためのもの。実際の英語圏でも海外でも使えるようなものじゃないらしい。それでも今も日本は英語の勉強はしているし、小学生になるとローマ字だって習う。教育過程は大昔と同じだ。オプションによって少し難易度に差は出るが……
「ディナーは二十時ね。それまで休んだら?」
「すももさんも休まれるんです?」
「そうだね、君たちの跡をつけるのも疲れたからね」
と言ってディナーの場所の地図を渡してきた。
「レストランってタワーの八十六階ってありますね……」
「まぁ、お金にびっくりしちゃうよね」
「そうですよ、ここって高い中国料理の店じゃないですか。パンフレットでもかなり高そうな料理出てましたよ」
窓華さんはすごくこの旅行を楽しんでいる。僕だって楽しい。
「まぁ、俺から奮発してあげたみたいな?」
「李さんにはいくらお礼を言っても足りませんよ」
「それじゃあ、保護人を最期まで楽しませてね」
無理なことを言う李さんには困ったものの、この生活も悪いことばかりではないのだなと思っている自分も居た。
「ホテルの冷蔵庫のものは高いから、近くのコンビニで買うと良いよ」
「あぁ、それは日本と同じなんですね」
僕らはホテル近くのコンビニへ行ってお菓子やお茶を買った。窓華さんは翻訳された日本の漫画を見つけて、それを記念に欲しいと言ったのでそれも買った。日本に入ってくる海外のものは少ないのに、海外には日本のものがたくさんある。歩いてきた道を考えても、車やバイクも日本メーカーのものが多かった印象だ。日本では外車なんて滅多に見かけないのに。空にも車は走っている。僕は最初こそは落ちてきたら怖いと思ったけれど、これが当たり前な世界もあるのだと思うことにした。
ホテルの部屋はカードキーだ。もちろん窓華さんには渡さない。逃げられたら困るから二枚あるものを僕が管理していた。
「豪華なホテルだね」
と窓華さんは言った。本当に豪華だ。洗面台が二つある。それにお風呂だって信じられないほど大きい。二つあるベッドだって大きかった。
「こんな部屋に泊まるなんて夢みたいです」
「それは、私が夢見させているんだからさ」
「李さんが配慮したんですよ?」
そんな窓華さんよりも、僕らにこれほどまで良い部屋を手配してくれた李さんがすごいと思う。この部屋だったら夜景は絶景だろう。
「私の喜代也による命の上にこの旅行があるの。私の異常さという価値が起こす出来事なわけ。私のベッドはこっちにするからよろしく」
「命の価値って。でも自殺は駄目ですからね」
「それは理解はしている。でも、この旅行は私のおかげでしょう?」
と言って、窓際のベッドを選択し僕はそこに持たされていた荷物を置いた。確かに窓華さんのための旅行だ。だからこの楽しい経験は窓華さんのおかげだ。僕はもう足がパンパンで、運動する習慣のなかった自分を恨んだ。でも、窓華さんだって同じで疲れたと言ってベッドでごろごろお菓子を食べながら休んでいる。コンビニで買った中国語に翻訳された漫画を開けては読むふりというか、眺めたりしていると時間が来た。僕らはタワーに向かうことにした。
僕はいつもと違うスーツを着て、窓華さんはフォーマルなドレスを着ていた。僕らは高いとされるタワーの八十六階のレストランへ行くために李さんが運転席に座った車に乗っていた。李さんもいつものスーツより良いものを着ていることが分かる。いつものようにただ派手なだけではない。ベストも着用していた。
「今回のコースは特別からね」
「特別高いってことですか?」
「そう、お肌に良い前菜にフカヒレにアワビ!」
李さんは楽しそうに言う。自分も食べれるからだろう。
「経費で落ちるんですか?そんなことするから日本は増税ばかりなんですよ」
「君は冷めているね」
「お肌に良いって?」
窓華さんはそこに興味があるようだ。
「前菜は白くらげだよ。もう一度言うけどキクラゲじゃないよ?それにフカヒレだってコラーゲンがたっぷりだから翌朝違うと思うよ」
「すももさん、すごいコースですね」
僕は一般市民として生活していたため、そのコース料理が想像できない。
僕らは長いエレベーターでそのレストランにつくと、さっそく窓側の席に案内された。僕は窓際を窓華さんに譲る。店員さんが何か言って、今日の料理のメニューを持ってきた。僕らは席で夜景を見る。なるほど、言われた通りに地上鉄はそこまで夜景を邪魔する感じではない。きっと昔ほどは綺麗には見れないと思うけど、空はとても綺麗でいて、僕らをわくわくさせた。
はっきり言って、これから食べたものについて言及できない。それは桁外れの場違い人物だったからだ。フカヒレスープなんて、あんな原型がしっかりしているものは初めて食べた。アワビだって僕は日本で食べたことがなかったから食感が不思議な味でびっくりした。うまく言えないがソースが絶品だった。食後のデザートでも聞いたことあるけれど、食べたことのないドラゴンスーツを食べることができた。
これ以上のことは何を求めるのだろうか。僕は一般庶民として生きてきたのでこんな贅沢はしたことない。あれだけよく話す窓華さんが無口になってしまう。それくらえい料理は素晴らしいもので僕らは一心に食べた。李さんには後から馬鹿にされるかもしれないが、僕には関係ない。僕らはある意味放心状態のままホテルに戻ることになる。別世界だった。ここに来るまでは次の予定があった。蛍がロマンチックだとか李さんと話していたから行こうと思っていた。でも、そんなことは考えられないぐらい僕らは食事でテンションが高くなって疲れてしまった。
窓華さんの買った服とか雑貨を持たされた僕を見て言った。
「ホテルのチェックインは済ませておいたよ。君たちは特別だから、ちょっと特殊な書類とかあって面倒だから俺がしておいたから」
「ありがとうございます」
僕は李さんはエリートで文法じゃない英語も話せるのだろうなと思っていた。僕は英語文法をオプションで付けたけど、これは学力をはかるためのもの。実際の英語圏でも海外でも使えるようなものじゃないらしい。それでも今も日本は英語の勉強はしているし、小学生になるとローマ字だって習う。教育過程は大昔と同じだ。オプションによって少し難易度に差は出るが……
「ディナーは二十時ね。それまで休んだら?」
「すももさんも休まれるんです?」
「そうだね、君たちの跡をつけるのも疲れたからね」
と言ってディナーの場所の地図を渡してきた。
「レストランってタワーの八十六階ってありますね……」
「まぁ、お金にびっくりしちゃうよね」
「そうですよ、ここって高い中国料理の店じゃないですか。パンフレットでもかなり高そうな料理出てましたよ」
窓華さんはすごくこの旅行を楽しんでいる。僕だって楽しい。
「まぁ、俺から奮発してあげたみたいな?」
「李さんにはいくらお礼を言っても足りませんよ」
「それじゃあ、保護人を最期まで楽しませてね」
無理なことを言う李さんには困ったものの、この生活も悪いことばかりではないのだなと思っている自分も居た。
「ホテルの冷蔵庫のものは高いから、近くのコンビニで買うと良いよ」
「あぁ、それは日本と同じなんですね」
僕らはホテル近くのコンビニへ行ってお菓子やお茶を買った。窓華さんは翻訳された日本の漫画を見つけて、それを記念に欲しいと言ったのでそれも買った。日本に入ってくる海外のものは少ないのに、海外には日本のものがたくさんある。歩いてきた道を考えても、車やバイクも日本メーカーのものが多かった印象だ。日本では外車なんて滅多に見かけないのに。空にも車は走っている。僕は最初こそは落ちてきたら怖いと思ったけれど、これが当たり前な世界もあるのだと思うことにした。
ホテルの部屋はカードキーだ。もちろん窓華さんには渡さない。逃げられたら困るから二枚あるものを僕が管理していた。
「豪華なホテルだね」
と窓華さんは言った。本当に豪華だ。洗面台が二つある。それにお風呂だって信じられないほど大きい。二つあるベッドだって大きかった。
「こんな部屋に泊まるなんて夢みたいです」
「それは、私が夢見させているんだからさ」
「李さんが配慮したんですよ?」
そんな窓華さんよりも、僕らにこれほどまで良い部屋を手配してくれた李さんがすごいと思う。この部屋だったら夜景は絶景だろう。
「私の喜代也による命の上にこの旅行があるの。私の異常さという価値が起こす出来事なわけ。私のベッドはこっちにするからよろしく」
「命の価値って。でも自殺は駄目ですからね」
「それは理解はしている。でも、この旅行は私のおかげでしょう?」
と言って、窓際のベッドを選択し僕はそこに持たされていた荷物を置いた。確かに窓華さんのための旅行だ。だからこの楽しい経験は窓華さんのおかげだ。僕はもう足がパンパンで、運動する習慣のなかった自分を恨んだ。でも、窓華さんだって同じで疲れたと言ってベッドでごろごろお菓子を食べながら休んでいる。コンビニで買った中国語に翻訳された漫画を開けては読むふりというか、眺めたりしていると時間が来た。僕らはタワーに向かうことにした。
僕はいつもと違うスーツを着て、窓華さんはフォーマルなドレスを着ていた。僕らは高いとされるタワーの八十六階のレストランへ行くために李さんが運転席に座った車に乗っていた。李さんもいつものスーツより良いものを着ていることが分かる。いつものようにただ派手なだけではない。ベストも着用していた。
「今回のコースは特別からね」
「特別高いってことですか?」
「そう、お肌に良い前菜にフカヒレにアワビ!」
李さんは楽しそうに言う。自分も食べれるからだろう。
「経費で落ちるんですか?そんなことするから日本は増税ばかりなんですよ」
「君は冷めているね」
「お肌に良いって?」
窓華さんはそこに興味があるようだ。
「前菜は白くらげだよ。もう一度言うけどキクラゲじゃないよ?それにフカヒレだってコラーゲンがたっぷりだから翌朝違うと思うよ」
「すももさん、すごいコースですね」
僕は一般市民として生活していたため、そのコース料理が想像できない。
僕らは長いエレベーターでそのレストランにつくと、さっそく窓側の席に案内された。僕は窓際を窓華さんに譲る。店員さんが何か言って、今日の料理のメニューを持ってきた。僕らは席で夜景を見る。なるほど、言われた通りに地上鉄はそこまで夜景を邪魔する感じではない。きっと昔ほどは綺麗には見れないと思うけど、空はとても綺麗でいて、僕らをわくわくさせた。
はっきり言って、これから食べたものについて言及できない。それは桁外れの場違い人物だったからだ。フカヒレスープなんて、あんな原型がしっかりしているものは初めて食べた。アワビだって僕は日本で食べたことがなかったから食感が不思議な味でびっくりした。うまく言えないがソースが絶品だった。食後のデザートでも聞いたことあるけれど、食べたことのないドラゴンスーツを食べることができた。
これ以上のことは何を求めるのだろうか。僕は一般庶民として生きてきたのでこんな贅沢はしたことない。あれだけよく話す窓華さんが無口になってしまう。それくらえい料理は素晴らしいもので僕らは一心に食べた。李さんには後から馬鹿にされるかもしれないが、僕には関係ない。僕らはある意味放心状態のままホテルに戻ることになる。別世界だった。ここに来るまでは次の予定があった。蛍がロマンチックだとか李さんと話していたから行こうと思っていた。でも、そんなことは考えられないぐらい僕らは食事でテンションが高くなって疲れてしまった。
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