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斎藤福寿、守咲窓華との日々。
5 アニメの話
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いつも通りの朝食の後、深夜のアニメ番組を録画していたのでリビングで見ようとしていた。パソコンは自室にあるのにテレビはリビングにしかない。パソコンでテレビ番組も確認できるからテレビの普及率は減った。僕はこのアパートに来ることでサブスクを解約したから、テレビでアニメを見るしかない。だから窓華さんがソファーでぐだぐだしているところで僕は録画したアニメをつけた。
「何見ているの?」
「昨日録画したアニメ」
「へぇ、呪もアニメを見るんだ。私もオタクだから詳しいよ。呪がやってたゲームのエンドザワールドで好きなキャラぐらい分かるよ」
そうして窓華さんは推していたキャラのモノマネをする。似ていたわけじゃないけどその行動に僕はびっくりした。確かにプレイ人口はとても多いし、ダウンロード数も半端ない。もう関係のない話だけど。でも、僕はどうして好きなキャラがバレたのかが気になった。
「なんで僕の推しが分かるんですか?」
「そりゃあ、スマホにラバストつけてたら分かるよぉ」
僕は前にアニメショップでくじを引いたときのラバーストラップだ。好きなキャラだったからつけていた。シンプルだからバレるとは思っていなかった。詩乃と一緒に一番くじを引きに行ってペアで付けた。一般人にバレるとは思わなかった。
「ならこれ見てたんです?」
と言って、僕は昨日録画した魔法少女のアニメを見せた。これもコンビニやお菓子でコラボしているので、見たことない人は少ないだろう。内容をみんなが知っているほどメジャーなアニメではない。
「大人の魔法少女アニメよね。キャラとかばんばん死ぬし、桜に見せられなくて私も録画で見ていたなぁ」
「なるほど。知ってたとは驚きですね」
「これ、家に初代からBOX持っているよ。あと豪華特典もあったかな」
僕は羨ましいなと思った。僕はアニメのグッズとか高値の商品を買うことがなかったから。でも窓華さんの財産はどうなるのだろう。 今の時代はアニメもドラマも参加型が多い。でも、僕は古い考え方でこういう鑑賞するだけの作品が好きだった。そして、こういういにしえの文化はまだ日本では続いていて、オタクはだいたいこういう作風を好む。だからこの監督は昔からこういう古い手法でアニメを作り、今は少ない映画館で上映するつもりなのだ。
「仕方ないな。死んだら呪にあげるよ」
「良いんですか?」
つい嬉しくて答えてしまう。保護人から死んだらものをもらうとか、なんだか不謹慎な気がするのだけれども。
「あぁ、桜がこのアニメ楽しんで観れるぐらいまで生きたかったな……」
「やっぱり窓華さんでも後悔はするんですね」
「その言い方は酷いよ。でも、親子で姉妹みたいに仲良しとか、そういう未来がったかもなって思うと楽しいよ」
僕は窓華さんと子どもが歩いていたところを見ている。子どもの桜ちゃんも可愛い女の子でとても幸せそうだった。旦那さんは調書でしか知らないけれど、調書で旦那さんは浮気していた。だから旦那さんにも爪痕を残して死のうとしている。僕に対しても初日に同じようなことを言っている。それでも、窓華さんの家は一般的に見たら普通の家族だった。
「それは窓華さんに喜代也が効かないから仕方ないですよ」
「そうなるよねぇ。私もそれについては思うことがあるよ」
「旦那さんと桜ちゃんだって、窓華さんを失いたくないと思います」
そう言うと、窓華さんはしばらく黙った。自分が死んでしまってから残される家族について考えているのだろうか。僕はあれだけ幸せそうに見えたのに。それは見えただけで本当のところはどうなのか分からない。僕はまた酷いことを言っているのだろうか。
「桜は参加型のアニメしか観てないから、この作品はどうだろうなぁ」
「今の子はだいたいそうですよね」
「私は参加型も好きだよ。でも、同じ結末にならないからオタクとしての会話の盛り上がりには欠けるのよね」
今見ているアニメは傍観型で見ているだけだ。もちろん、自分が主人公にはなれないしアニメの世界に存在すらしない。参加型だと自分がその世界に入り込むことができるが、見る人によって結末が違ってしまう。
「参加型は最終回とかどうなるのかって論争もないですし」
「そう思うと、人生っていうのは未来が分からないから楽しいわけよ」
「今はマザーがありますし、どっちにしろ窓華さんの未来は死ですけど……」
昔のアニメは結末が一つしかない。僕のやっているノベルゲームは選択肢によって結末が変わることもあるが、基本的に目指す最終回は一緒だ。だから、僕も窓華さんも死に向かって生きているのだけれども、自分が居なくなった後の世界を考えることがあるんだなって。
「何見ているの?」
「昨日録画したアニメ」
「へぇ、呪もアニメを見るんだ。私もオタクだから詳しいよ。呪がやってたゲームのエンドザワールドで好きなキャラぐらい分かるよ」
そうして窓華さんは推していたキャラのモノマネをする。似ていたわけじゃないけどその行動に僕はびっくりした。確かにプレイ人口はとても多いし、ダウンロード数も半端ない。もう関係のない話だけど。でも、僕はどうして好きなキャラがバレたのかが気になった。
「なんで僕の推しが分かるんですか?」
「そりゃあ、スマホにラバストつけてたら分かるよぉ」
僕は前にアニメショップでくじを引いたときのラバーストラップだ。好きなキャラだったからつけていた。シンプルだからバレるとは思っていなかった。詩乃と一緒に一番くじを引きに行ってペアで付けた。一般人にバレるとは思わなかった。
「ならこれ見てたんです?」
と言って、僕は昨日録画した魔法少女のアニメを見せた。これもコンビニやお菓子でコラボしているので、見たことない人は少ないだろう。内容をみんなが知っているほどメジャーなアニメではない。
「大人の魔法少女アニメよね。キャラとかばんばん死ぬし、桜に見せられなくて私も録画で見ていたなぁ」
「なるほど。知ってたとは驚きですね」
「これ、家に初代からBOX持っているよ。あと豪華特典もあったかな」
僕は羨ましいなと思った。僕はアニメのグッズとか高値の商品を買うことがなかったから。でも窓華さんの財産はどうなるのだろう。 今の時代はアニメもドラマも参加型が多い。でも、僕は古い考え方でこういう鑑賞するだけの作品が好きだった。そして、こういういにしえの文化はまだ日本では続いていて、オタクはだいたいこういう作風を好む。だからこの監督は昔からこういう古い手法でアニメを作り、今は少ない映画館で上映するつもりなのだ。
「仕方ないな。死んだら呪にあげるよ」
「良いんですか?」
つい嬉しくて答えてしまう。保護人から死んだらものをもらうとか、なんだか不謹慎な気がするのだけれども。
「あぁ、桜がこのアニメ楽しんで観れるぐらいまで生きたかったな……」
「やっぱり窓華さんでも後悔はするんですね」
「その言い方は酷いよ。でも、親子で姉妹みたいに仲良しとか、そういう未来がったかもなって思うと楽しいよ」
僕は窓華さんと子どもが歩いていたところを見ている。子どもの桜ちゃんも可愛い女の子でとても幸せそうだった。旦那さんは調書でしか知らないけれど、調書で旦那さんは浮気していた。だから旦那さんにも爪痕を残して死のうとしている。僕に対しても初日に同じようなことを言っている。それでも、窓華さんの家は一般的に見たら普通の家族だった。
「それは窓華さんに喜代也が効かないから仕方ないですよ」
「そうなるよねぇ。私もそれについては思うことがあるよ」
「旦那さんと桜ちゃんだって、窓華さんを失いたくないと思います」
そう言うと、窓華さんはしばらく黙った。自分が死んでしまってから残される家族について考えているのだろうか。僕はあれだけ幸せそうに見えたのに。それは見えただけで本当のところはどうなのか分からない。僕はまた酷いことを言っているのだろうか。
「桜は参加型のアニメしか観てないから、この作品はどうだろうなぁ」
「今の子はだいたいそうですよね」
「私は参加型も好きだよ。でも、同じ結末にならないからオタクとしての会話の盛り上がりには欠けるのよね」
今見ているアニメは傍観型で見ているだけだ。もちろん、自分が主人公にはなれないしアニメの世界に存在すらしない。参加型だと自分がその世界に入り込むことができるが、見る人によって結末が違ってしまう。
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「そう思うと、人生っていうのは未来が分からないから楽しいわけよ」
「今はマザーがありますし、どっちにしろ窓華さんの未来は死ですけど……」
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