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斎藤福寿、寿管士に就職する。
9 上司の李子は韓国人?
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「とりあえず、来週ぐらいかな?それくらいには引っ越してもらって。あ、この引越したってことも親族以外には内緒ね」
「というか、この仕事って外ではどう言えば良いのよ?国家公務員だけど、胸を張ってできる仕事じゃないし、日常生活まで左右されるし!」
「まぁ、そうカリカリしなさんな」
男性は霞さんをなだめる。これは僕についての問題でもある。僕だって国家機密である仕事をどこまで人に言えるのか気になった。この仕事内容について両親についても詩乃についても、どこまで言って良いことなのか分からない。
「僕もどういう職業って言えば良いのか知りたいですね」
「大丈夫だよ。そういうこと話す人も居なくなるから。これは俺の経験談。死ぬまでの保護人を見届けるのが仕事だ。ずっとその繰り返しが仕事ね。こんな生活に部外者が入る場所があると思う?俺なんてマザーのマッチングで結婚はしたけど、置いてきた家族となんて何年も会ってない」
男性は若作りはしているが五0ぐらいに見える。だから奥さんも子どもも居るんだと僕は思った。それなのに会えないとか、どんな辛い仕事なのだろう。置いてきたという言葉が気になるけど、マザーが結婚相手を決めても離婚することもある。だから子どもの親権が取れなかったとかそんな感じだろう。大学院の先生は初めての給与で親に温泉旅行をプレゼントすると良いと言った。普通に生きていたら簡単にできるような親孝行が僕にできるのだろうか。
「きつい仕事なんですね」
「君たちがするのはそういう仕事ってこと。それに人の死に触れることは、むしろ慣れてはいけないと思う」
慣れてはいけない。そりゃあ、保護人と言っても人の命を預かる仕事だからそうなるだろう。僕はきっと慣れるなんてできない。どんな命でも奪うことは悪だ。それにこれは正当防衛ではなく、喜代也が効く一般的な僕が保護人の心の傷をえぐるのではないだろうか。僕がいじめる側になってしまう。
「保護人にとって、僕らは悪役。つまりいじめる側になりますよね?」
「私、そんな怖い仕事できませんよ」
霞さんは僕の言いたいと思ったことを代わりに言ってくれた。寿命を秘密にして死ぬまで一緒に生活するなんて。死因も教えられない。僕は嘘をつくことが苦手だからぽろりと言ってしまうかもしれない。
「給料は良いんだけどねぇ……」
「お給料とやりがいは違うと思います。一緒に暮らした人を失い続ける仕事なんて私は壊れてしまいます……」
というと霞さんは黙った。僕だって、保護人の死を看取る仕事なんて嫌だ。自殺者を減らしたいという、、マザーは何を考えているのだろう。僕は弱気な声の霞さんの方を見ると、霞さんは少し肩が震えていた。僕も足がガタガタとして力が入らない。
「保護人だって今の世の中で好きでなっているんじゃないんだよ」
「まぁ、幸せな未来を約束してくれるマザーが居ますからね」
「だから、保護人は道に外れた可哀想な人なんだ。一緒に楽しく生活して死んでもらう。これが君達の仕事」
僕はマザーの真実を知っている癖に皮肉で言った。僕には幸せな未来なんてマザーは見せてくれない。そして保護人も喜代也による普通の人生を与えられなかった。なんだ僕と同じ種類の人じゃないか。こんな仕事に選ばれてしまったのだからそれは確実だ。マザーは保護人の処分に困っている。保護人になった人は僕よりマザーに見捨てられたことになる。つまりは僕と同じようで、僕よりも惨めな人だ。
「あぁ、こんなに話してきて名前を良い忘れていたね。俺の名前は李子と言う。すももって意味ね。だから気軽にすももと呼んでくれ」
「何語ですももって言うんですか?」
と僕はその男性を呼ぶのに恥ずかしいニックネームに突っ込まず、言語のことを突っ込む霞さんはやはりどこか変な人だと確信した。
「韓国語だよ。そして僕は韓国人だよ」
「え、李さんは日本は鎖国しているのに海外から来たの?」
「それは建前だよ。今もしっかり外交している。今の世の中、国一つだけで経済は回っていかないでしょ?君も頭良いから分かるよね?」
僕は今まで受けていた教育がすべて嘘だったと分かり、この日本という国は信用ならない国で、国家公務員というのもいい加減かもしれないと思った。そしてヘルスメーターも保護人を死因を検知できないクズだ。
「だからさっき残された家族って言ったの?私、ちょっと気になってたのよね。あのマザーが決めるんだもん」
「そう、母国に残された家族とは会ってない。韓国でも僕は家庭を持っていたけど捨ててきたんだ」
捨ててきたという言葉が気になっている。僕は嘘が付けないタイプだから聞いてしまった。
「捨ててきたってどういう?」
「僕はマザーの呼び出しで日本に在籍してるの。簡単に会えるわけないでしょう」
「そうですね、ごめんなさい」
僕はあのマザーが李さんを韓国から日本に呼んで、何がしたかったのだろうと思っていた。李さんは若いわけでも老けているわけでもない。だから、どうして日本なんかに来たか分からない。
「というか、この仕事って外ではどう言えば良いのよ?国家公務員だけど、胸を張ってできる仕事じゃないし、日常生活まで左右されるし!」
「まぁ、そうカリカリしなさんな」
男性は霞さんをなだめる。これは僕についての問題でもある。僕だって国家機密である仕事をどこまで人に言えるのか気になった。この仕事内容について両親についても詩乃についても、どこまで言って良いことなのか分からない。
「僕もどういう職業って言えば良いのか知りたいですね」
「大丈夫だよ。そういうこと話す人も居なくなるから。これは俺の経験談。死ぬまでの保護人を見届けるのが仕事だ。ずっとその繰り返しが仕事ね。こんな生活に部外者が入る場所があると思う?俺なんてマザーのマッチングで結婚はしたけど、置いてきた家族となんて何年も会ってない」
男性は若作りはしているが五0ぐらいに見える。だから奥さんも子どもも居るんだと僕は思った。それなのに会えないとか、どんな辛い仕事なのだろう。置いてきたという言葉が気になるけど、マザーが結婚相手を決めても離婚することもある。だから子どもの親権が取れなかったとかそんな感じだろう。大学院の先生は初めての給与で親に温泉旅行をプレゼントすると良いと言った。普通に生きていたら簡単にできるような親孝行が僕にできるのだろうか。
「きつい仕事なんですね」
「君たちがするのはそういう仕事ってこと。それに人の死に触れることは、むしろ慣れてはいけないと思う」
慣れてはいけない。そりゃあ、保護人と言っても人の命を預かる仕事だからそうなるだろう。僕はきっと慣れるなんてできない。どんな命でも奪うことは悪だ。それにこれは正当防衛ではなく、喜代也が効く一般的な僕が保護人の心の傷をえぐるのではないだろうか。僕がいじめる側になってしまう。
「保護人にとって、僕らは悪役。つまりいじめる側になりますよね?」
「私、そんな怖い仕事できませんよ」
霞さんは僕の言いたいと思ったことを代わりに言ってくれた。寿命を秘密にして死ぬまで一緒に生活するなんて。死因も教えられない。僕は嘘をつくことが苦手だからぽろりと言ってしまうかもしれない。
「給料は良いんだけどねぇ……」
「お給料とやりがいは違うと思います。一緒に暮らした人を失い続ける仕事なんて私は壊れてしまいます……」
というと霞さんは黙った。僕だって、保護人の死を看取る仕事なんて嫌だ。自殺者を減らしたいという、、マザーは何を考えているのだろう。僕は弱気な声の霞さんの方を見ると、霞さんは少し肩が震えていた。僕も足がガタガタとして力が入らない。
「保護人だって今の世の中で好きでなっているんじゃないんだよ」
「まぁ、幸せな未来を約束してくれるマザーが居ますからね」
「だから、保護人は道に外れた可哀想な人なんだ。一緒に楽しく生活して死んでもらう。これが君達の仕事」
僕はマザーの真実を知っている癖に皮肉で言った。僕には幸せな未来なんてマザーは見せてくれない。そして保護人も喜代也による普通の人生を与えられなかった。なんだ僕と同じ種類の人じゃないか。こんな仕事に選ばれてしまったのだからそれは確実だ。マザーは保護人の処分に困っている。保護人になった人は僕よりマザーに見捨てられたことになる。つまりは僕と同じようで、僕よりも惨めな人だ。
「あぁ、こんなに話してきて名前を良い忘れていたね。俺の名前は李子と言う。すももって意味ね。だから気軽にすももと呼んでくれ」
「何語ですももって言うんですか?」
と僕はその男性を呼ぶのに恥ずかしいニックネームに突っ込まず、言語のことを突っ込む霞さんはやはりどこか変な人だと確信した。
「韓国語だよ。そして僕は韓国人だよ」
「え、李さんは日本は鎖国しているのに海外から来たの?」
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僕は今まで受けていた教育がすべて嘘だったと分かり、この日本という国は信用ならない国で、国家公務員というのもいい加減かもしれないと思った。そしてヘルスメーターも保護人を死因を検知できないクズだ。
「だからさっき残された家族って言ったの?私、ちょっと気になってたのよね。あのマザーが決めるんだもん」
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「捨ててきたってどういう?」
「僕はマザーの呼び出しで日本に在籍してるの。簡単に会えるわけないでしょう」
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