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斎藤福寿、寿管士に就職する。
4 あの女の子が本当にマザー?
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それから僕らは職業ごとでの話し合いになるため、ホールを後にする。その各部署に案内を待つ時間で、周りの人とのひそひそ話が聞こえる。どうやら、僕みたいにマザーがあんな女の子だったことに驚く意見が多い。しかし、マザーに対する批判などはないようだ。日本人はよくマザーによく調教されていると思う。こんなパソコンが決める未来を信用を受け入れるなんて、僕は怖いと思った。怖いと思わないのが普通なんて、マザーは国民をうまく教育したものだ。しばらく僕はざわざわするホールでスマホを眺めていた。まだ体力は満タンではない。そこまで時間は経過していなかったわけだ。
「八00番と八0一番ののお二人の方は二階の奥の部屋へ」
とアナウンスがホールに流れると、隣の席に座っていたさっきマザーに自ら質問した派手な女の人も立った。なので、僕はこの人も同じ職業なのかな?と単純に思っていた。そうしたら僕が今まで生きてきて接点のないような女性から話しかけられた。僕はどきりとする。だってこんな派手な人は怖い印象だ。僕はいじめられるかもしれないと不安になる。
「あなたも私と同じお仕事なのかもね」
「そうだけど、君もなんだね」
と僕はできるだけの笑顔を作って無理にでも明るく返した。多分ではあるがこれからの同僚だ。僕は無難な水色のネクタイをしていて、地味なスーツ姿だった。僕とは正反対な外見な人だけど、仲良くしておくべき人だ。
女の人は金髪に近い髪色の巻き髪で、国家公務員にはふさわしくないようなギャルみたいな感じだった。それに爪だって凶器のように長い。ストライプ柄の格好良いスーツの下の靴は、赤色のハイヒールでそれはこの場所には似合わない。エレベーターは使わず階段を使ったため、コツコツとヒールの音が響く。僕がそこまで背が高くないこともあって、この女の人はハイヒールのせいか背が僕より高く感じる。詩乃とは大違いだ。詩乃は黒髪で古風におさげをしているし、こんなにも背は高くない。それにヒールの高い靴も履かない。
「で、君はマザーについてどう思う?」
「やっぱり気になりますよねぇ……」
「私はあんな世間知らずのお嬢様みたいなのが仕切っているなんて許せないわ」
階段を上りながら女の人は言った。確かに女の子はお上品な感じはしたが、嫌味な雰囲気ではない。これは性別による受け取り方の違いかもしれない。
「マザーを見せてくるなんて、この仕事ってきっと国家機密よね。だってはがきにも何も書いてないじゃない」
「そういう決めつけは良くないですよ」
「そうだけどさ。きっと危険な仕事だよ。嫌になるね」
その女の人と話したけれど、僕はこんなギャルっぽい人間とは接点のない生き方をしてきたから、途中で会話は止まってしまう。こんな人と同僚でうまくやっていけるのだろうかと不安になる。でも、この強そうに見える女の人だって不安なのだ。女の人はよいしょと言って重そうなかばんを右から左に持ち変えた。僕もかばんは持ってきたけど、荷物は財布とネームプレートと飲み物ぐらいだ。あと、バスの中でずっと触っていたスマホ。今度に詩乃に会うときは、紙の資料の話とマザーの話を内緒でしようとか考えていた。でも死にたくはないしどうするか。でも、詩乃も国家公務員で育児科の職員だ。マザーの真実を知っているだろう。付き合っていると言っても頻繁に連絡を取るわけではない。ゲームのイベントあればもちろんデートよりもそっちが優先だ。僕の彼女は落ち着いた性格でこんな女の人とは正反対の立ち位置だ。
怖い印象の女の人は大学卒業と同時に僕と同じ仕事を紹介されたらしい。僕は大学院卒だから何もなく生きてきたら二歳年下ということになる。案内された二階の奥の部屋は会議室のような部屋だ。そこには男性が居た。
僕はてっきりこれから働く場所の紹介でもされるのかと思ったけど、その部屋にはそういうドラマなどで見る会社的なイメージのものが何もない。本棚もなければ普通のパソコンもコピー機もない。僕が男性にこれからどこに通えば良いのですか?と聞くと基本的に在宅勤務だからねと言った。男性が椅子に座るように言うので、僕らは椅子に座った。そして僕はいつもの癖でかばんから筆記用具とメモ帳を出した。ゲームの体力は半分ぐらい回復しただろうか。今の時代の日本人は辞書やメモの機能も兼ねた眼鏡をしている。これは大学の入学祝いに買ってもらったもので、少々型落ちだがまだ使える。でも、実際問題書いた方が頭に入るので僕は古いタイプの人間だ。
一緒に会議室に入ることになった派手な格好をした女の人はというと、まだ席で大きなかばんから鏡を出して化粧を直していた。そして僕は説明会場を出て眼鏡の電源を入れた。ホールの式典のときは、電源を落とすように言われていたからだ。女の人は頭につけた巻かれた長い髪につけたカチューシャが電子機器の代わりをしているのだろう。話を聞くために電源を入れている。
「八00番と八0一番ののお二人の方は二階の奥の部屋へ」
とアナウンスがホールに流れると、隣の席に座っていたさっきマザーに自ら質問した派手な女の人も立った。なので、僕はこの人も同じ職業なのかな?と単純に思っていた。そうしたら僕が今まで生きてきて接点のないような女性から話しかけられた。僕はどきりとする。だってこんな派手な人は怖い印象だ。僕はいじめられるかもしれないと不安になる。
「あなたも私と同じお仕事なのかもね」
「そうだけど、君もなんだね」
と僕はできるだけの笑顔を作って無理にでも明るく返した。多分ではあるがこれからの同僚だ。僕は無難な水色のネクタイをしていて、地味なスーツ姿だった。僕とは正反対な外見な人だけど、仲良くしておくべき人だ。
女の人は金髪に近い髪色の巻き髪で、国家公務員にはふさわしくないようなギャルみたいな感じだった。それに爪だって凶器のように長い。ストライプ柄の格好良いスーツの下の靴は、赤色のハイヒールでそれはこの場所には似合わない。エレベーターは使わず階段を使ったため、コツコツとヒールの音が響く。僕がそこまで背が高くないこともあって、この女の人はハイヒールのせいか背が僕より高く感じる。詩乃とは大違いだ。詩乃は黒髪で古風におさげをしているし、こんなにも背は高くない。それにヒールの高い靴も履かない。
「で、君はマザーについてどう思う?」
「やっぱり気になりますよねぇ……」
「私はあんな世間知らずのお嬢様みたいなのが仕切っているなんて許せないわ」
階段を上りながら女の人は言った。確かに女の子はお上品な感じはしたが、嫌味な雰囲気ではない。これは性別による受け取り方の違いかもしれない。
「マザーを見せてくるなんて、この仕事ってきっと国家機密よね。だってはがきにも何も書いてないじゃない」
「そういう決めつけは良くないですよ」
「そうだけどさ。きっと危険な仕事だよ。嫌になるね」
その女の人と話したけれど、僕はこんなギャルっぽい人間とは接点のない生き方をしてきたから、途中で会話は止まってしまう。こんな人と同僚でうまくやっていけるのだろうかと不安になる。でも、この強そうに見える女の人だって不安なのだ。女の人はよいしょと言って重そうなかばんを右から左に持ち変えた。僕もかばんは持ってきたけど、荷物は財布とネームプレートと飲み物ぐらいだ。あと、バスの中でずっと触っていたスマホ。今度に詩乃に会うときは、紙の資料の話とマザーの話を内緒でしようとか考えていた。でも死にたくはないしどうするか。でも、詩乃も国家公務員で育児科の職員だ。マザーの真実を知っているだろう。付き合っていると言っても頻繁に連絡を取るわけではない。ゲームのイベントあればもちろんデートよりもそっちが優先だ。僕の彼女は落ち着いた性格でこんな女の人とは正反対の立ち位置だ。
怖い印象の女の人は大学卒業と同時に僕と同じ仕事を紹介されたらしい。僕は大学院卒だから何もなく生きてきたら二歳年下ということになる。案内された二階の奥の部屋は会議室のような部屋だ。そこには男性が居た。
僕はてっきりこれから働く場所の紹介でもされるのかと思ったけど、その部屋にはそういうドラマなどで見る会社的なイメージのものが何もない。本棚もなければ普通のパソコンもコピー機もない。僕が男性にこれからどこに通えば良いのですか?と聞くと基本的に在宅勤務だからねと言った。男性が椅子に座るように言うので、僕らは椅子に座った。そして僕はいつもの癖でかばんから筆記用具とメモ帳を出した。ゲームの体力は半分ぐらい回復しただろうか。今の時代の日本人は辞書やメモの機能も兼ねた眼鏡をしている。これは大学の入学祝いに買ってもらったもので、少々型落ちだがまだ使える。でも、実際問題書いた方が頭に入るので僕は古いタイプの人間だ。
一緒に会議室に入ることになった派手な格好をした女の人はというと、まだ席で大きなかばんから鏡を出して化粧を直していた。そして僕は説明会場を出て眼鏡の電源を入れた。ホールの式典のときは、電源を落とすように言われていたからだ。女の人は頭につけた巻かれた長い髪につけたカチューシャが電子機器の代わりをしているのだろう。話を聞くために電源を入れている。
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