上 下
251 / 261

CCⅬⅠ 星々の膨張と爆縮編 後編(9)

しおりを挟む
第1章。交流試合から10日


 交流試合から10日。
わたしは、あの交流試合の翌々日から、ミサール・テクト・フレルらと同様、
レリウス大公の気づかいもあり、毎日のように特別聴講生として、
ギリウス学院に通っている。

レリウス大公からわたしに、ヨスクを討伐軍、いえ自軍に引き入れるために、
イルム執政官への・・・新帝国への打診を依頼されたので、
わたしは、わたしの契約妖精の超上級妖精のリーエを、皇都へパシらせたわ。
その代償としては、安いものね。

リーエのやつも、本当にイヤそうな笑顔で、皇都へけていったけど・・・。
わたしは知っている・・・本心からいやがっていないのを。
基本的にアイツは、何の制約も無く空中を飛びまわるのが、大好物なのだ。

そのイルムからの返事は、『ご随意ずいいに。』と言うことだったと、
そしてジンバラ講師を、代りの随伴の講師として、
ミカル・ウルブスに送ると・・・。
リリカ副宰相から、そう話を聞かされたわ。

だから、あの時から6日目、ヨスクは、ミカル公国軍が出発した際、客將として、
叛ミカル地域へ出征して行った。

そう、この10日間、ラティスとの聖なる諍いコイントスで負けたラファイアが、
分身体と合わせて8体で、叛乱地域の上空で、降伏勧告の精神波!?を、
叛乱軍に、にぎやかに拡散させたいたのよね。

『エリースさん。様の恐怖を、拡散しろとの
ラティスさんのがあったので、
アピスさんが、巨大シューマ湖を決壊させ、王国連合軍を壊滅させた映像も、
さもラティスさんが、関与したで、ばらいたんですよ。』

なんて、ほんとうに事を、言っていたわ。
あの白のアホは、黒のバカを、落としめることに関しては、
手を抜かないから・・・。

その精神波の映像のおかげで、
叛乱軍からの降伏の申し出とか、指揮する貴族の逃亡とか追放とかが
相次いでいて、
最後まで抵抗を止めない勢力は、最大時の10分の1以下に
落ち込んでいるらしい。
もはや戦にもならない可能性の方が多いわ。

黒のバカのほうは、アマト義兄ィが、ライド学長の好意で、
ギリウス学院の図書の館に、入りびたっているのに、付き合っている。
よく、あのバカ妖精が、イラついて暴発しないものだとは思うけど、
妖精には妖精の、独自の時間の流れというものが、あるのだろうね。

・・・・・・・・

「エリース。ここにいたの?」

ギリウス学院の食堂で、果実水を飲みながら、そのようなことを考えていると、
ルティア学生会長が声をかけてきた。

「エリースは、創派の村にも行った事があると、言っていたよね。
創派の人達って、どういう感じなの?」

これは、ルティアの取り巻き?いえ、友人のコニアの問いかけだ。
私は、超上級妖精の契約者ということで、学院の生徒たちに、
警戒か無視されると思っていたんだけど、
親・貴族主義者のレイト副会長らを、叩きのめしたのが、
思いのほか皆さん、お気に召したらしい。
ミカルにしても、新帝国にしても、旧貴族というものが、
過去のものになろうとしている。
それにあらがう集団というのが、滑稽こっけいでもあり、もあったんだろう。
それは、貴族階級以外の生徒、開明派の貴族階級の生徒はもちろんのこと、
中立派の貴族階級の生徒も、水面下で、よくは思っていなかったんだろう。

「創派の人たちね・・・・。」

ルティアもその友人たちも、わたしの経験を、しきりに聞きたがる。
今の時代、彼女たちも、軍に志願するか、公国の外交官僚にでもならなければ、
生涯、このミカル・ウルブスと周辺の地区しか、自分の目で見る事も無く、
体験せずに、人生を過ごす事になるだろう・・・。
だから、いろんな地のことを知りたい好奇心からと思ったのだけど・・・。

よく考えると、ルリが言っていた事が、頭の中に浮かんできた。

『エリース。
あなたもアマトもわたしたちも、今や歴史のなかの登場人物になっているわ。
遠くない将来、吟遊詩人が詠う詩
出てくるでしょうね・・・。』

これが、本当の理由なのかもしれない。

それに、模範試合の時に、親・貴族主義者のお子様たちをたたきのめす際に、
思いつきで、〖ラファイスの禁呪〗をとなえたのがいけなかったか・・・。

わたしは、吟遊詩人が詠う、詩の中の登場人物の認定を・・・、
現在生きている登場人物として、
彼女たちに、認定されているのかもしれない・・・。

けど、あなたたちも、皇都にまでは来れる時代が、到来するかもしれないわ。
なんせ、あのモクシのじいさんが、それまで大貴族のみの結婚式の受付を、
時間さえ空けば、若く貧しいのためにも、行い出したのよね~。

これだけでなく、教会前での広場での、人々への祝福をすることも始めていて、

『エリース。じきに皇都への婚礼・礼拝旅行というのが、始まるわよ・・・。』

と、カシノがあきれたように、言っていたわね。
ほんと、あのじいさん、商売人としても、
最上位の存在じゃないかしら・・・。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

血と束縛と

BL / 連載中 24h.ポイント:1,343pt お気に入り:1,263

少年は淫らな夢の中でお隣さんと事を致す ~succubus neighbor~

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:91

本当に醜いのはあなたの方では?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:248pt お気に入り:245

恩を返して欲しいのはこっちのほうだ!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:3,643

淫魔にとりつかれまして

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:18

記憶を取り戻したアラフォー賢者は三度目の人生を生きていく

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:1,976

モブなのに巻き込まれています ~王子の胃袋を掴んだらしい~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:305pt お気に入り:14,243

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:425

処理中です...