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CCⅩⅩⅩⅩ 星々の膨張と爆縮編 中編(6)

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第1章。ラファイアさんの内心の声


 『ふ~う。』

わたしは心の中で、ため息をつきました。

今、ヨクスさんと、ミカル大公国のリリカ副宰相さんが、
中央の一番広くて大きい門を出られて、鉄馬でこちらに駆けてこられるので、
ラティスさんとエリースさんに、精神波で呼びかけたんですが、
ふたりとも、全くの無視です。
ただ、雷光と雷鳴が小さくなっていっても、それでもいるので、
急遽きゅうきょ、半透明な蜃気楼しんきろう体の分身を創って、
止めに行かせたんです・・・。

しかし・・・、

≪「退きなさいよ、ラファイア。今日と言う今日は許さないんだから!」≫

と怒声を、エリースさんから、浴びせられます。

底知れぬお怒りの表情でにらまれ、そう、そのわりには、エリースさんは、
肩で息をされていますし、
契約妖精のリーエさんにおいては、もう表情が死んでますね。

≪あなたも、わたしたちと魔力で、長々と遊べる超上級妖精でしょう?≫

と、リーエさんに、よっぽど精神波で言いたかったんですが、
わたしも、、妖精さんです。
自分の意思で動くのと、契約者のエリースさんの、なかば恐喝!?で動くのでは、
精神的な負担が違うということに、しておいてあげましょう。

けど、さすがは、ラティスさんです。
わたしは、わたしの分身体の視覚を通して、見たんですが、
エリースさんの渾身こんしんの雷撃を、軽く受け、あるいは受け流し、
あるいは身体をかすかによじって避け、余裕綽々しゃくしゃくの表情です。

ま、千年以上も前のあの時、わたしの全霊全力の攻撃を浴びせられて生き残った、
わけの分からない妖精さんですから、何を言わんやの状況なんですかね~。
そうそう、わたしも、あの時は、ラティスさんの攻撃をいやと言うほど、
受けたんですよ・・・。

ここで、エリースさんやリーエさんに加勢して・・・、とも思いますが、
わたしの本体は、アマトさんのところで、治癒ヒールを行っているし、
わたしは、暗黒の妖精ラティスさんと違って、平穏といやしの妖精さんですから、
すぐに、その考えは改めました・・・。
そこが、できる妖精と、の違いでしょう。

それはそうと、エリースさんリーエさんの雷撃が止まりません。
ここは、やはり仲介に入るべきでしょうから、
早速わたしは行動に移りました・・・。

そう、わたしは賢い妖精さんです。
近い過去、ラティスさんとアピスさんの闘いの時に、
≪アピスさんに、ラティスさん。1000年以上振りに逢えて嬉しいのは
分かりますが、そろそろおやめになりませんか?≫
とふたりの超絶の妖精さんに、おだやかに精神波で話かけましたが、
≪ラファイア、あんた何言ってるの。すぐ片付けてやるから、バッタもんは
黙っときなさい!≫
とか、
所詮しょせんは、ラファイスのまがいもの。我らの聖なる闘いに口を出すんじゃない!≫
とか言われ、
『ククク・・・ふたりとも、いっぺん滅してみるか!!』
と心の内で咆哮ほうこうし、私自身も参戦した、あの時のは、
絶対に避けなければなりません。



≪アマトさんが、いったん意識を取り戻しましたが、
また意識を無くしています!≫

と、大きな精神波で叫びました。

これは、さすがにいたようで、エリースさんは、ラティスさんへの雷撃を中止、
即、わたし本体の方へ、高速飛翔に移られ・・・。

ラティスさんは、ラティスさんで、

≪何してんのよ、アンタ!≫

と、わたしの分身体の側で、精神波で絶叫され、空間移動の魔力ちからで、
わたし本体の前に、空間を、らめきをまといながら、
その姿を、わたし、本体の前に、顕現けんげんさせてきました。

・・・・・・・・

「ラファイア。アマトの様子は、そんなに悪いの!?」

と、ラティスさんが、そう問いかけてきます。

「いえ、別に。」

「は~あ!?じゃあ、さっきの精神波は、何よ!」

「方便というやつですよ。前から、ミカルのリリカ副宰相さんも、
駆けてきているでしょう。だったら、正使さんがいなければ、
がつかないでしょう。」

「・・・・・・・・。」

そうこうしているうちに、リリカさんに、ヨクスさんが、到着しました。

「ラティスさんに、ラファイアさん、何が起こったんだ?
アマトくんは大丈夫なのか?」

鉄馬を下馬されると同時に、ヨクスさんが問いかけます。
ラティスさんは・・・、明後日あさっての方向を見てらっしゃいますね。
やれやれ、わたしが対応するしかないようです。

「ヨクスさん、アマトはさんは大丈夫です。
そちらは、リリカ副宰相様でしたね。
この姿勢で、お話することを、お許し下さい。」

そう言って、わたしは軽く頭を下げます。
ははは、本来のわたしなら、何者にも、頭を下げることはないのですが、
こういう御遊戯おゆうぎの演技も、わたしは大好きなんですよ。

「ラファイアさん、失礼ではあるが、この状況の説明を、
お願いできないだろうか?」

リリカさんも、お尋ねしてきましたね。
わかりますよ、この状態のラティスさんに声をかけるなんて、
いくつ命があっても足らないでしょう。う~ん、わかります。わかります。

「ラティスさん。ご説明したらいかがです。」

わたしは、ラティスさんに話をふります。
あなただけが、カヤの外で、楽をしようなんて、わたしの誇りが許しませんよ。

「めんどくさいわね。あの程度の魔力で消し飛ぶなんて、
あれで、公都ミカルの防御のための障壁になると思うの。
わたしは、舎弟のレリウスのために、身をもって示してあげたのよ・・・。
このわたしみずから、大盤振る舞いしたのよ。わかった!」

やはり、ラティスさんです、期待を裏切りません。
明後日あさっての方に振り切った回答です。
これは、リリカさんも、言葉に詰まるでしょう。

「・・・・・・・・。」

やはり、沈黙されてます。
暗黒の妖精のが、また、この世界に示されました。

「ま、魔力障壁の方は、修理から、気にする必要はないわ。」

?誰にです。
ははは、ラティスさん。ケンカを売っているんですか。
いいでしょう。いいでしょう。買ってあげましょう。

それはそうと、本当にアマトさんが、目を覚ましません。
エリースさんが、到着するまでに、なんとかしないと。

これは、いけません。
前回、前々回のの二の舞は、避けなければ・・・。
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