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CⅬⅩⅩⅣ 星々の象意と進行編 中編(1)
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第0章。新たな螢火
忌まわしい記憶として語り継がれていた、暗黒の妖精のこの世界への帰還は、
各国の支配層に、激しい緊張をもたらした。
そして、新帝国に潜ませた諜報者からもたらされた、
〖暗黒の妖精の魔力〗
ふたつの巨大な山の破壊と、広大な湖の創造は、支配層の安寧をも崩壊させ、
各国は、他の施策に超越する新たな政策を、ほぼ同時に誕生させた。
【出自にかかわらず、超上級妖精以上の妖精と契約した者は、
高位な地位と報酬を約束する・・・。】
第1章。そして、またひとり・・(1)
妖精の門の入門の予定の刻限は、大幅に超過している。
巨大な魔法半円盤の中心部は、白く光り続け、
いつでも、人が通れる状態が続いている。
本心を言えば、ぼくは期待していた。
俗に言う、対暗黒の妖精の施策
【出自にかかわらず、超上級妖精以上の妖精と契約した者は、
高位な地位と報酬を約束する。】に、
未来を賭けようと、思えたんだ。
だけど実際は、上層国民から順番で、中層国民、・・・・。
最後にぼくが属する下層国民と、順番が厳格に決めてあり、
なんと、上層階級の人間の全員の妖精契約が完全に終わらなければ、
妖精の門への入場は、許されなかった。
・・・・・・・・
「あとは、下層階級のなかでも、下流のおまえたちだけだ。
早く終えるように!」
妖精の門の守護騎士が叫んだ。
ぼく以外の全員が、魔法円の中心部分に、駆け出していく。
ひとり遅れて、魔法円を通過すると、回廊と呼ばれる空間に入った。
足から地面の感覚が消える。
その青緑色の世界、大きさがどれだけあるか、わからない。
絶望な気分が続くなか、ただただその世界にのまれ、
無言のうちに足を進めていた・・・、時間の感覚もすでにない。
やっと前方に輝く光が、見えてくる。
光るなにかに近づいていくと、それは段々と巨大な城のようなものに、
変化をしていった。
壁面に魔法文字が浮かんでいる。
ぼくは教わった聖呪を唱え、なんの障害もなくその中へ侵入する・・・。
まばゆい光がぼくを包んだ。
しばらくして、やっとこの場に、目が慣れてくる・・・。
4色の光球が、いろんなところで、輝いている。
思っていたより、光が薄い。
激しく輝く光球は、ぼくより上層階級の人間たちが、契約したのだろう。
呆然として、周囲を見渡した。ここには、もうぼく以外の姿はない。
白い世界が揺らぎだす。残りの時間も、おそらくあまりないのだろう。
ぼくはこの場に座り込む。
現実が、ここから先の人間の世界での立ち位置の予想が、
ぼくの心を削り取っていく。
ぼくは生涯、他人の目を気にし、ひたすら頭を下げ続ける、
そんな人生を送るしか、ありえないのだろう。
「ばかやろう!!!」
ぼくは、人間の世界では、絶対言えない言葉を、大声で叫んだ。
この城もどきのなかでは、木霊が起こる事さえない・・・。
・・・それでも、生きなければならない。
ぼくは、ふらふらと、ぼくの目の前に寄ってきた、
消えるんではないかと思えるような明滅を、繰り返す黄色の光球、
ーたぶん土のエレメントに属する妖精ーなんだろうけれども、
契約を試みる。
『あ!?土のエレメントに属する妖精は、極上級妖精はおろか、
超上級妖精の契約者も、歴史上いなっかたはず・・・。』
激しい自己侮蔑も似た感情が湧きあがるなか、
目の前の光球が、一瞬の閃光と化し、消えていった。
『契約がなったのか?』
次の瞬間、全身が爆発するような衝撃が弾ける。
ぼくは死ぬのではないかと、おぼろげに感じながらも、
かりそめの意識は、暗黒に沈んだ。
第2章。そして、またひとり・・(2)
「ここは・・・。」
ガチャガチャと音がする。頭になにかが、かぶっている。
手で撫でまわす、金属ようだ、なんとか脱がせないかとあがいたとき、
腹部が激しい痛みが!!
「このバカ野郎が!」
「おいやめろ、ダイト。殺したら、オレたちが的にさせられるぞ!」
臭い匂いのする石畳の上で、痛みに耐えかねて転がり回るぼくに、
記憶が戻ってくる。
妖精契約終了後からの、ぼくの記憶はあいまいで、
それどころか、ところどころ、全く覚えがなかった。
そして、その時々の記憶が、あとから追いかけてきている。
妖精契約が終了し、ぼくは、妖精の門からふらふらと出てきたのだろう。
その場で、妖精の門の騎士に拘束され、引きずられていき判定され、
判定者から、
『契約妖精は、級外枠下妖精。エレメント判定は、微弱すぎるのか不能。
おそらくは、土のエレメントに属する妖精だろうな。』
と、言われたようだ。確かにその記憶が、後日戻ってきている。
そのあと、それまで通りの生活を、操り人形のようにこなしていた。
そしてあの日、ぼくは、集合住宅のボロ屋に雪崩れ込んできた、
治安の騎士の奴らに囲まれ、さんざんに殴り・蹴られしたあとに、
⦅叛乱罪の容疑⦆で拘束、連行され、牢に放り込まれた・・・。
北カブラ公国、いやカブラ連合王国において、下層国民が治安騎士団に
逮捕されたら、裁きなしで処刑されることを意味している。
泣き叫ぶ両親、妹の表情が、記憶の奥底から甦ってきた。
「おい、立て!おまえをこれから、日々の悩みもない世界に送ってやるから。」
やっと、顔を覆う仮面の外へ空いている位置と、目の位置が合う。
ぼくの瞳に、牢番の歪んだ顔が写った。
「ダイトよ、この小僧も自分の殺され方がわからなければ不安だろう。
このツイトさまが、教えてやろう。」
「ヒッヒッヒッ、物好きなやろうだぜ。はやく終わらせろよ。」
「まあ、まてまて。こいつの番までは、まだ時間があるからな。」
ツイトという獄吏は、ニヤニヤと笑いながら、ぼくに話をしだした。
「ぼうず、今日は、カブラ王国軍事学院の、卒業試練の日よ。
学生さんらが、どんなに訓練を積んでいたとしても、天才だとしても、
そのままで、初めての戦場に行きゃ、9割方が生きては戻れねえ・・・。」
「なぜだか、わかるか?」
「・・・・・・・。」
「人殺しの経験よ!相手を殺さなきゃ、自分が殺されるという局面でさえ、
一瞬の躊躇がでてしまう。自分が死ぬのはしかたねえ。
だがな、所属する師団の何人かも、巻き添えをくってしまうんだ。」
「それを避けるための親心で、今日学生さんたちに、
免疫をつけさせるのよ。」
「そうだよ。はじめは、処刑される罪人たちを、あてがったんだが、
人数が足りねえ。」
「次第に、流れ者や、下層国民のうちでも、下流階級のおまえたちを叛乱者
として、数合わせに使うようになったのよ。」
『国家ぐるみなのか!』 ぼくの心は、どうしようもないように震え冷える。
「ふははは、それが王国連合のなかでも、最強と言われるカブラの騎士の
育成授業のカラクリよ!」
「じゃ今度は、このダイトさまも教えてやる。
おまえの両親も、叛乱者をかくまった罪で、すぐ殺処分されたぜ。
妹の方は娼館送りか、ま、壊れるまでは、生かされるだろうがな。」
この直後、ぼくのなかで何かが砕け散った。
奇声をあげて、暴れだそうとした瞬間、後頭部に鋭い衝撃が・・・。
目の前に星が飛ぶ、ぼくは闇に堕ちてゆく・・・。
忌まわしい記憶として語り継がれていた、暗黒の妖精のこの世界への帰還は、
各国の支配層に、激しい緊張をもたらした。
そして、新帝国に潜ませた諜報者からもたらされた、
〖暗黒の妖精の魔力〗
ふたつの巨大な山の破壊と、広大な湖の創造は、支配層の安寧をも崩壊させ、
各国は、他の施策に超越する新たな政策を、ほぼ同時に誕生させた。
【出自にかかわらず、超上級妖精以上の妖精と契約した者は、
高位な地位と報酬を約束する・・・。】
第1章。そして、またひとり・・(1)
妖精の門の入門の予定の刻限は、大幅に超過している。
巨大な魔法半円盤の中心部は、白く光り続け、
いつでも、人が通れる状態が続いている。
本心を言えば、ぼくは期待していた。
俗に言う、対暗黒の妖精の施策
【出自にかかわらず、超上級妖精以上の妖精と契約した者は、
高位な地位と報酬を約束する。】に、
未来を賭けようと、思えたんだ。
だけど実際は、上層国民から順番で、中層国民、・・・・。
最後にぼくが属する下層国民と、順番が厳格に決めてあり、
なんと、上層階級の人間の全員の妖精契約が完全に終わらなければ、
妖精の門への入場は、許されなかった。
・・・・・・・・
「あとは、下層階級のなかでも、下流のおまえたちだけだ。
早く終えるように!」
妖精の門の守護騎士が叫んだ。
ぼく以外の全員が、魔法円の中心部分に、駆け出していく。
ひとり遅れて、魔法円を通過すると、回廊と呼ばれる空間に入った。
足から地面の感覚が消える。
その青緑色の世界、大きさがどれだけあるか、わからない。
絶望な気分が続くなか、ただただその世界にのまれ、
無言のうちに足を進めていた・・・、時間の感覚もすでにない。
やっと前方に輝く光が、見えてくる。
光るなにかに近づいていくと、それは段々と巨大な城のようなものに、
変化をしていった。
壁面に魔法文字が浮かんでいる。
ぼくは教わった聖呪を唱え、なんの障害もなくその中へ侵入する・・・。
まばゆい光がぼくを包んだ。
しばらくして、やっとこの場に、目が慣れてくる・・・。
4色の光球が、いろんなところで、輝いている。
思っていたより、光が薄い。
激しく輝く光球は、ぼくより上層階級の人間たちが、契約したのだろう。
呆然として、周囲を見渡した。ここには、もうぼく以外の姿はない。
白い世界が揺らぎだす。残りの時間も、おそらくあまりないのだろう。
ぼくはこの場に座り込む。
現実が、ここから先の人間の世界での立ち位置の予想が、
ぼくの心を削り取っていく。
ぼくは生涯、他人の目を気にし、ひたすら頭を下げ続ける、
そんな人生を送るしか、ありえないのだろう。
「ばかやろう!!!」
ぼくは、人間の世界では、絶対言えない言葉を、大声で叫んだ。
この城もどきのなかでは、木霊が起こる事さえない・・・。
・・・それでも、生きなければならない。
ぼくは、ふらふらと、ぼくの目の前に寄ってきた、
消えるんではないかと思えるような明滅を、繰り返す黄色の光球、
ーたぶん土のエレメントに属する妖精ーなんだろうけれども、
契約を試みる。
『あ!?土のエレメントに属する妖精は、極上級妖精はおろか、
超上級妖精の契約者も、歴史上いなっかたはず・・・。』
激しい自己侮蔑も似た感情が湧きあがるなか、
目の前の光球が、一瞬の閃光と化し、消えていった。
『契約がなったのか?』
次の瞬間、全身が爆発するような衝撃が弾ける。
ぼくは死ぬのではないかと、おぼろげに感じながらも、
かりそめの意識は、暗黒に沈んだ。
第2章。そして、またひとり・・(2)
「ここは・・・。」
ガチャガチャと音がする。頭になにかが、かぶっている。
手で撫でまわす、金属ようだ、なんとか脱がせないかとあがいたとき、
腹部が激しい痛みが!!
「このバカ野郎が!」
「おいやめろ、ダイト。殺したら、オレたちが的にさせられるぞ!」
臭い匂いのする石畳の上で、痛みに耐えかねて転がり回るぼくに、
記憶が戻ってくる。
妖精契約終了後からの、ぼくの記憶はあいまいで、
それどころか、ところどころ、全く覚えがなかった。
そして、その時々の記憶が、あとから追いかけてきている。
妖精契約が終了し、ぼくは、妖精の門からふらふらと出てきたのだろう。
その場で、妖精の門の騎士に拘束され、引きずられていき判定され、
判定者から、
『契約妖精は、級外枠下妖精。エレメント判定は、微弱すぎるのか不能。
おそらくは、土のエレメントに属する妖精だろうな。』
と、言われたようだ。確かにその記憶が、後日戻ってきている。
そのあと、それまで通りの生活を、操り人形のようにこなしていた。
そしてあの日、ぼくは、集合住宅のボロ屋に雪崩れ込んできた、
治安の騎士の奴らに囲まれ、さんざんに殴り・蹴られしたあとに、
⦅叛乱罪の容疑⦆で拘束、連行され、牢に放り込まれた・・・。
北カブラ公国、いやカブラ連合王国において、下層国民が治安騎士団に
逮捕されたら、裁きなしで処刑されることを意味している。
泣き叫ぶ両親、妹の表情が、記憶の奥底から甦ってきた。
「おい、立て!おまえをこれから、日々の悩みもない世界に送ってやるから。」
やっと、顔を覆う仮面の外へ空いている位置と、目の位置が合う。
ぼくの瞳に、牢番の歪んだ顔が写った。
「ダイトよ、この小僧も自分の殺され方がわからなければ不安だろう。
このツイトさまが、教えてやろう。」
「ヒッヒッヒッ、物好きなやろうだぜ。はやく終わらせろよ。」
「まあ、まてまて。こいつの番までは、まだ時間があるからな。」
ツイトという獄吏は、ニヤニヤと笑いながら、ぼくに話をしだした。
「ぼうず、今日は、カブラ王国軍事学院の、卒業試練の日よ。
学生さんらが、どんなに訓練を積んでいたとしても、天才だとしても、
そのままで、初めての戦場に行きゃ、9割方が生きては戻れねえ・・・。」
「なぜだか、わかるか?」
「・・・・・・・。」
「人殺しの経験よ!相手を殺さなきゃ、自分が殺されるという局面でさえ、
一瞬の躊躇がでてしまう。自分が死ぬのはしかたねえ。
だがな、所属する師団の何人かも、巻き添えをくってしまうんだ。」
「それを避けるための親心で、今日学生さんたちに、
免疫をつけさせるのよ。」
「そうだよ。はじめは、処刑される罪人たちを、あてがったんだが、
人数が足りねえ。」
「次第に、流れ者や、下層国民のうちでも、下流階級のおまえたちを叛乱者
として、数合わせに使うようになったのよ。」
『国家ぐるみなのか!』 ぼくの心は、どうしようもないように震え冷える。
「ふははは、それが王国連合のなかでも、最強と言われるカブラの騎士の
育成授業のカラクリよ!」
「じゃ今度は、このダイトさまも教えてやる。
おまえの両親も、叛乱者をかくまった罪で、すぐ殺処分されたぜ。
妹の方は娼館送りか、ま、壊れるまでは、生かされるだろうがな。」
この直後、ぼくのなかで何かが砕け散った。
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