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CⅬⅩⅧ 星々の象意と進行編 前編(3)
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第1章。双月教国からの使者(3)
『何なのよ。この沈黙は!?』
学園から帰宅するなり、リントから、わたしとセプティに、
目の前の騎士が、双月教国からの使者で、白光の騎士団に帰属していた、
ナナリスとスーシル、そして、エリミーにエルミーの姉妹と
紹介は受けたけど・・・。
とにかく、ラティスへのお願いが、彼女たちの目的のようだから、
セプティには、皇帝予定者への挨拶だけは受けさせて、すぐに部屋に戻らせて、
ラファイスに精神波で、セプティの護衛だけは、お願いしたわ。
先日の、アマト義兄ィへの切りつけ事件の貸が残っていると、思ったからね。
この短距離の精神波に気付けなかったようだから、お客さんの4人に、
超上級妖精の契約者がいないのは、確認できたし。
たしか、白光の騎士団は、旧帝国で言えば儀仗隊にあたるはず。
だから、ナナリスをはじめ4人とも、わたしの目からみても
見目麗しい美人というべき麗姿。
リントやイルム・ルリ・キョウショウも、並外れた美人だけど、
それはもう、猛禽類の美しさ。
しかし、双月教国の彼女らは、美術品のような美しさがあるよね。
だけど、疲労と緊張と、おそらくは良心が、その美貌を蝕んでいるわ。
ま、たしかに、〖暗黒の妖精に、避難民への加護を依頼せよ。〗なんて話は、
双月教を信仰する戦士にとっては、悪魔に魂を売るような
屈辱だろうしね。
だけど、使者としての能力は、持ち合わせているみたい、
彼女たちから言えば、わたしがリントと、タメ口で話している事とか、
最上級妖精の契約者だという噂とかから、
わたしが、ここにいる理由は何かと、洞察はしているようだから。
しかし、左手で、いまだ騎士の姿で立っているアホ妖精、教会内で、
『直接、暗黒の妖精に依頼してみれば、いかがです。』などと、
言い放っただなんて・・・。
どれだけ考えもなしに、行動するのよ。
このアホ妖精、目を合わせようとすると反らすし、精神波で会話しようとすると、
精神波受容感覚を微妙にずらし続けているらしくて、
文字通り、話にならない。
『ちょっと外で、アンタの頭を、わたしの電撃で、適正化してあげようか。』
と言って、連れ出そうと思っても、どうにもならないわ。
このようなセコイ技術は、巧みねと言うより、匠のレベルねというのが、
正鵠を射た表現なのかもしれない。
今夜は、アストリアの探索を諦めて、リーエにラティスを
呼びに行かせたんだけど、ちょっと遅いわね。
ラティスが逃げようとしたら、攻撃してもいいよと言ったけど、
リーエのやつ、本当に、楽しんで戦闘してるんじゃないかしら。
義兄ィも、話題がなくなってだんまりだし、沈黙が雄弁に劣るのは、
義兄ィの容姿を考えれば、仕方ないか。
だいたい、アマト義兄ィの目の前に、美貌の女性を置いたら、
すぐに固まってしまうでしょうが・・・。
んっ!遠くからふたつの気配が・・・。
ま、あのラティスの性格からいったら、逃げるわけないか・・・。
さてさて、気を引き締めないとね。ラティスとラファイアだけではなく、
上の階には、ラファイスもいる、どこで燃爆石に点火するか
わからないから。
そう、忘れてはいけない、わたしの妖精のリーエが、
起爆剤になる可能性も、十分すぎるほど、あるからね。
第2章。双月教国からの使者(4)
バタンと、勢いよく扉が開いた。
「アンタたちなの、わたしに会いたいという物好きなやつは?」
ラティスのやつ、会うなり、圧を全開!いや、全力ではないか・・・。
双月教国の4人、顔が真っ青で、呼吸もままならない状態じゃない。
なんで、話も聞かずに、けんか腰になるかな。
一応、正式な使節であるんだから。アマト義兄ィが、オロオロしているじゃない。
ん、今日は、ラファイアが絡んでこないわね。
仕方ないな、わたしが介入するしかないか。
「ねぇ、ラティス。そんな尖ってないで、話だけでも、
聞いてあげたら。」
ほんと芸のない問いかけで、話に割り込んだわ。
「ん、エリース。アンタこのわたしに、命令するき!?」
「バカには、バカへの話し方があるでしょう。
わたしは、それをなぞっただけ。」
「ほほ~う、エリース。前回の時よりレベルを上げて、
お遊びをしてあげようか?」
「そのつもりなら、『表に出ろ!』とでも、叫んだらどう!?」
ふふ、どちらのバカ妖精と対峙しても、全身の感覚が泡立つのは違いはないわね。
こらリーエ、なんであんたが、精神波で悲鳴を上げてんのよ!?
「エリースちゃん。女の子なのに、『表に出ろ!』ってどういうことかしら。」
あ!! 一番めんどくさい人のことを、忘れてた。
・・・・・・・・
「エリースちゃん。こっちを向きなさい。お義姉ちゃん、悲しいわ。」
わたしは、首をあさっての方向に向けている。耐えなければ・・・。
こうなったら、ユウイ義姉ェの話は、下手うったら長くなる。
「ラティスさん、なにがあったの。教えていただけるかしら。」
バカ妖精の圧が消えた。なぜか、もうひとりのバカもキョドリはじめている。
条件反射というやつかね。ほんと、わかりやすい。
「ユウイ義姉ェ、ナナリスさんのラティスさんへの話は、急ぎなんだ。」
は~あ。アマト義兄ィ、遅いよ。
ま、これでナナリスさんたちも、なんとか、話せるようには、なったはずだよね。
「あら、アマトちゃん。そうなの。だったら、ラティスさん、
お話合いが終わったら、わたしとも、お話しましょう。
なぜ、エリースちゃんが、あんな言葉を言ったか、お聞きしたいわ。」
白の妖精がホッとしてるのが、見なくてもわかるわ。
もう、ひとりは、わたしを睨んでいるわね。おつかれさま!
『何なのよ。この沈黙は!?』
学園から帰宅するなり、リントから、わたしとセプティに、
目の前の騎士が、双月教国からの使者で、白光の騎士団に帰属していた、
ナナリスとスーシル、そして、エリミーにエルミーの姉妹と
紹介は受けたけど・・・。
とにかく、ラティスへのお願いが、彼女たちの目的のようだから、
セプティには、皇帝予定者への挨拶だけは受けさせて、すぐに部屋に戻らせて、
ラファイスに精神波で、セプティの護衛だけは、お願いしたわ。
先日の、アマト義兄ィへの切りつけ事件の貸が残っていると、思ったからね。
この短距離の精神波に気付けなかったようだから、お客さんの4人に、
超上級妖精の契約者がいないのは、確認できたし。
たしか、白光の騎士団は、旧帝国で言えば儀仗隊にあたるはず。
だから、ナナリスをはじめ4人とも、わたしの目からみても
見目麗しい美人というべき麗姿。
リントやイルム・ルリ・キョウショウも、並外れた美人だけど、
それはもう、猛禽類の美しさ。
しかし、双月教国の彼女らは、美術品のような美しさがあるよね。
だけど、疲労と緊張と、おそらくは良心が、その美貌を蝕んでいるわ。
ま、たしかに、〖暗黒の妖精に、避難民への加護を依頼せよ。〗なんて話は、
双月教を信仰する戦士にとっては、悪魔に魂を売るような
屈辱だろうしね。
だけど、使者としての能力は、持ち合わせているみたい、
彼女たちから言えば、わたしがリントと、タメ口で話している事とか、
最上級妖精の契約者だという噂とかから、
わたしが、ここにいる理由は何かと、洞察はしているようだから。
しかし、左手で、いまだ騎士の姿で立っているアホ妖精、教会内で、
『直接、暗黒の妖精に依頼してみれば、いかがです。』などと、
言い放っただなんて・・・。
どれだけ考えもなしに、行動するのよ。
このアホ妖精、目を合わせようとすると反らすし、精神波で会話しようとすると、
精神波受容感覚を微妙にずらし続けているらしくて、
文字通り、話にならない。
『ちょっと外で、アンタの頭を、わたしの電撃で、適正化してあげようか。』
と言って、連れ出そうと思っても、どうにもならないわ。
このようなセコイ技術は、巧みねと言うより、匠のレベルねというのが、
正鵠を射た表現なのかもしれない。
今夜は、アストリアの探索を諦めて、リーエにラティスを
呼びに行かせたんだけど、ちょっと遅いわね。
ラティスが逃げようとしたら、攻撃してもいいよと言ったけど、
リーエのやつ、本当に、楽しんで戦闘してるんじゃないかしら。
義兄ィも、話題がなくなってだんまりだし、沈黙が雄弁に劣るのは、
義兄ィの容姿を考えれば、仕方ないか。
だいたい、アマト義兄ィの目の前に、美貌の女性を置いたら、
すぐに固まってしまうでしょうが・・・。
んっ!遠くからふたつの気配が・・・。
ま、あのラティスの性格からいったら、逃げるわけないか・・・。
さてさて、気を引き締めないとね。ラティスとラファイアだけではなく、
上の階には、ラファイスもいる、どこで燃爆石に点火するか
わからないから。
そう、忘れてはいけない、わたしの妖精のリーエが、
起爆剤になる可能性も、十分すぎるほど、あるからね。
第2章。双月教国からの使者(4)
バタンと、勢いよく扉が開いた。
「アンタたちなの、わたしに会いたいという物好きなやつは?」
ラティスのやつ、会うなり、圧を全開!いや、全力ではないか・・・。
双月教国の4人、顔が真っ青で、呼吸もままならない状態じゃない。
なんで、話も聞かずに、けんか腰になるかな。
一応、正式な使節であるんだから。アマト義兄ィが、オロオロしているじゃない。
ん、今日は、ラファイアが絡んでこないわね。
仕方ないな、わたしが介入するしかないか。
「ねぇ、ラティス。そんな尖ってないで、話だけでも、
聞いてあげたら。」
ほんと芸のない問いかけで、話に割り込んだわ。
「ん、エリース。アンタこのわたしに、命令するき!?」
「バカには、バカへの話し方があるでしょう。
わたしは、それをなぞっただけ。」
「ほほ~う、エリース。前回の時よりレベルを上げて、
お遊びをしてあげようか?」
「そのつもりなら、『表に出ろ!』とでも、叫んだらどう!?」
ふふ、どちらのバカ妖精と対峙しても、全身の感覚が泡立つのは違いはないわね。
こらリーエ、なんであんたが、精神波で悲鳴を上げてんのよ!?
「エリースちゃん。女の子なのに、『表に出ろ!』ってどういうことかしら。」
あ!! 一番めんどくさい人のことを、忘れてた。
・・・・・・・・
「エリースちゃん。こっちを向きなさい。お義姉ちゃん、悲しいわ。」
わたしは、首をあさっての方向に向けている。耐えなければ・・・。
こうなったら、ユウイ義姉ェの話は、下手うったら長くなる。
「ラティスさん、なにがあったの。教えていただけるかしら。」
バカ妖精の圧が消えた。なぜか、もうひとりのバカもキョドリはじめている。
条件反射というやつかね。ほんと、わかりやすい。
「ユウイ義姉ェ、ナナリスさんのラティスさんへの話は、急ぎなんだ。」
は~あ。アマト義兄ィ、遅いよ。
ま、これでナナリスさんたちも、なんとか、話せるようには、なったはずだよね。
「あら、アマトちゃん。そうなの。だったら、ラティスさん、
お話合いが終わったら、わたしとも、お話しましょう。
なぜ、エリースちゃんが、あんな言葉を言ったか、お聞きしたいわ。」
白の妖精がホッとしてるのが、見なくてもわかるわ。
もう、ひとりは、わたしを睨んでいるわね。おつかれさま!
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