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CⅬⅩ 星々の順行と逆行編 後編(2)
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第1章。セプティの視点
本当は逃げ出したい。
わたしは、アバウト学院の校舎の招待口で、レウス公女陛下の一行を待っている。
時間通りに、目の前に、鉄馬車が流れ込んできた。
そして馬車が止まり、入口が開く。
護衛の騎士のあとに、レウス公女が降りてくる、もの凄く優美だ。
その清涼さを感じさせる服も、レウス公女陛下に奉仕しているのを感じさせる。
『セプティさん。一流を超える人物には、服が自然に奉仕を始めるのよ。』
と、ユウイさんが工房で言っていたのが、よくわかる。
わたしは、6世の統治で傷ついた旧帝国の人々、
黒い森から離脱してきた旧創派の人々、
双月教国から脱出してきた人々・・・。
エリース、アマトさん、ユウイさん、イルムさん、ルリさん、キョウショウさん
・・・、そう、わたしは、この国に住んでいる人々、
新たに移住を決めた人々のために、
新帝国の旗になる覚悟を決めたはずだった。
だけど、レウス公女と対面したら、その決意は融雪しかけている。
わたしを旗に例えれば、ありあわせの端切れを集めて、
それと見えるように縫い合わせて、形を作っているにすぎない。
そして、だらしなく、風に流されているだけ・・・。
レウス公女陛下を旗に例えれば、一本一本、厳選された糸を組み合わせて、
名人と言われる人々が、長い時間をかけて、織り込んでいったもの。
それが、凛々しく、涼風にたなびいている。
・・・・・・・・
「レウス=ゴルディール公女殿下、テイシア=ウィーギンティー=ゴルディール
と申します。このたび、ご尊顔を拝する栄誉に・・・。」
わたしは、イルムさんから教えを受けた挨拶を、一言一句間違えないよう
出来の悪い舞台俳優よろしく、口を動かしている。
「ねえ、テイシアさま、今日は公的な行事じゃありませんから、
わたしのことは、レウスとお呼び下さい。」
そう、レウス公女はわたしの話を切り、満面の笑みで応礼をしてくれた。
その姿勢は、イルムさんが考えてくれた10を超えるこの場面の
対策の台本から外れていて、どうにも対応できない。
わたしが、糸の切れたお人形さんと化したので、
すかさずイルムさんが、
「テイシアさま、遠慮なく、そうお呼びなさればよろしいかと。
ただし呼び捨てといわけにはいきませんので、
レウスさまと・・・。」
そう言って、わたしが呼び方にとまどっているふうに補ってくれた。
「わかりました、レウスさま。では、わたしのほうも、
セプティとお呼び下さい。」
なんとか、イルムさんの機転でとりつくろったけど、レウス公女殿下の目には、
わたしは、情けなく写っているに違いない。
そのあと、他の方たちとの挨拶も済ませ、アバウト学院の貴賓室に案内して、
席につき、会談が始まる。
たぶん由緒のある長机のわたしの側に、イルムさんが、
その後ろに警護として、エリースと騎士に扮したラファイアさんが控え、
机の向こう側のリウス殿下の横に、エレナさんという名の騎士が略礼服で、
シレイアという名の騎士が略武装のいで立ちで、後ろに控えている。
「今日は、セプティさま、イルムさまに、わたしのわがままのために、
お時間をとっていただき、ありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ、クリル大公国の名花と言われるレウス様に
お会いできるというこの機会を、楽しみにしてました。」
すでに、この時点で、いっぱい いっぱい。
わたしの代わりに、イルムさんが応対してくれる。
「イルムさまと言えば、ノープル学院の入学式の際、
3回生の最上位者を指名し撃破したのを皮切りに、
伝説と呼ばれた、学院の3年間を過ごされた才媛。
わたしが聴講生として学院に在籍した時には、
もう卒業なされていて・・・。」
「昔のことです、レウスさま。」
「いえ、イルムさまにとって、クリル大公国は小さすぎたのでしょう。
今日お会いした時には、テムスのアウレス大公陛下・ミカルのレリウス大公陛下
にも認められ、新帝国の執政官になられるとは・・・」
「ノープル学院の後輩として、わたし レウスも、鼻が高いですわ。」
ふたりとも、軽く微笑んでいる。
イルムさんにとって、相手は自分を辱めた男の娘。
レウス殿下にとっても、父の妾だった女。
本心はともかく、ふたりの会話に感情の破綻はみられない。
本当に、凄いとしか言いようがない。
ひとり落ち込んでいると、背後から温かい眼差しを感じる、エリースね。
わかったわ、エリース。わたしも勇気を出して、ふたりの会話に加わってみる。
〖身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ〗というものね。
「レウスさま。レウスさまご自身が、皇都にいらっしゃたのには、
何か、ご理由があってのことと、考えますが?」
第2章。エメラルアの視点
驚いた。先に、お人形さんの方が、口火をきったか。
レウスの奴、『すきがあったら、8世予定者と執政官に魔力攻撃をしてみたら。』
なんて、軽い口調で言っていたが、あの左後ろの騎士、
間違いなく、白光の妖精 ラファイアよね。
わたしが、魔力を振るう、だが即、ラファイアの奴も、十重二十重の障壁を
構築するだろう。腐っても妖精界魔力頂点のひとり、それに超近接戦闘でも、
わたしに後れをとることは、ないでしょうから。
「セプティさま。それは何だと思います?」
ほう、レウスの奴、質問を質問で返したか。
さて、あのお人形さんがどう返すか・・・。
ん、ラファイアの奴、何を睨んでいる。机の上・・・?
あいつの視線の先にあるのは・・・。
香茶の茶碗・・・!?
「レオヤヌス大公陛下、いえお父様への・・・叛乱では、ありませんか!」
ほお、お人形さんが、芯を打った答えを返したぞ、どうするレウス?
左耳に指をあてるのか?その時は戦いの合図だったわね。
やはり、ここでやるのか!?
うん!?ラファイアの奴、まだ香茶の茶碗を見つめている。
このような状況で何を思っている、あの、アホが。
わたしは、あさっての方向に注意が向いている白光の妖精に攻撃を仕掛けて、
某暗黒の妖精に『アンタ、やっぱり、卑怯者ね!』とそしられるという
将来の不快を避けるべく、精神波を目の前のアホに送る。
≪ラファイア!お前も警護に来たのだろう。あさっての方向ばかりを睨んで、
どういうつもりだ。≫
あのアホ妖精、やっとこっちを見た。
≪何か勘違いなされているようですが。わたしは、アイファラ。
新帝国親衛隊の騎士です。≫
こいつ、もっとまともな言い訳を言わないのか。
昔から、どこか頭のねじが外れた奴だと思ってはいたが・・・。
これで同じ、妖精界の魔力頂点のひとりだと思うと、全く情けなくなる。
≪わたしの、この精神波を受けれるのは、妖精界も頂点にいるものだけだろうが。
親衛隊の騎士だと!?何を、とちくるった事をぬかしている!≫
なんか、こんどは、考え込んでしまっているな。いやはや・・・。
「すべての子供が父親を慕うわけではありません。
わたしの母にしたことを思うと、わたしは父 6世を、憎んでいます。」
「そして、リウスさまには、わたしと同じ匂いがします。」
「匂いですか、セプティさま。これは、困りましたね。」
微笑みが、少し歪んでいるわね、リウス。どうするの?
フフフ 引くも行くも、わたしがあなたを、見捨てることはないわ。
≪エルメルア殿。本当は、わたしは、聖チャウコの騎士で・・・。≫
≪わたしを、エメラルアと見抜いたこと自体が、自分をラファイアと
言っているようなものだろうが。≫
≪ あ れ ~~~≫
バカはほっといて、お、人間の方は、話が動きそうだな。
「ここにいる4にんは、同じ匂いがあるということですね。」
「そのとおり、わたしは、父を、いえレオヤヌスを討とうと考えてます。」
「義姉上!!」
「いいのよ、エレナ。この会談が不成功に終わったら、エメラルアに
この皇都ごと氷結破壊して、もらうつもりだったから。」
「いえ、リウスさま。ここには、暗黒の妖精はいません。
ですが、エメラルアさまに暴走をさせないような、策はうってあります。」
「イルムさん、だったら、ここでリウスさまと不可侵協定を結ぶことも・・・。」
≪ククク、よくぞ見抜いた、エメラルア。だがわたしの正体は、
同じ白光の妖精でも、ラファイス。光の表を司どるもの。≫
≪こら、アホ妖精。その下手すぎる演技で、ひとを巻き込むな!≫
なに、違う精神波・・・。エリースとか言ったか、ラファイスの変化だったのか、
やられたようね・・・。
まあ ラファイスに、四角四面の魔力で来られた日には、わたしでも気付けない。
ため息がでる、いちおう、聞いてはみるか。
≪ラファイス、ここでやり合う気があるの?≫
≪エメラルア。おまえが、今、手を出さぬというなら、やり合う気はない。≫
≪ラファイアやラティスと、わたしもわたしの契約者も、組んではいない。
あとは、すきにしたら。≫
そういうことか。リウスを、ここで失わせるのはイヤだな。
声をかけるか。わたしも丸くなったものね。
「レウス!そこにいるのは、ラファイアと信じられないけどラファイス。
光の裏と光の表を司る両妖精がいる。
やりあうには、分が悪い。」
「わたしは、賭け事のような戦いは望まない。」
レウスの奴、振り返りざま開口一番、
「そうなの、エメラルア。伝説の水の妖精も全く情けないわね。
この前のラティスとラファイアの二人組だったら、やってくれたの?」
と、ぬかした。契約者でなければ、氷の彫像にするところだ。
「ああ、あれは、いちたすいちが、2ぶんの1や3分の1に、なるかもしれない
極めて面白い、組み合わせだからな。」
「それに、こちらの超上級妖精もどきは、『散歩にでかける。』と言ったきり、
どこに行っているのか、わからないしね。」
と、話をつないでやったが、どうやらここまでのようだ。
「レウス公女殿下、新帝国も、建国なかばです。
あなた方がこちらに干渉しないかぎり、こちらからは手をだしません。」
「イルム執政官。ではいづれ戦場で、ということでよろしいのでしょうか。」
「最悪の場合ですが、そうならないことを祈ります。」
フフフ、終わったのか。いや、始まりなのかな。
レウスよ。この水の妖精の頂点で煌めくわたしを、退屈させるなよ。
本当は逃げ出したい。
わたしは、アバウト学院の校舎の招待口で、レウス公女陛下の一行を待っている。
時間通りに、目の前に、鉄馬車が流れ込んできた。
そして馬車が止まり、入口が開く。
護衛の騎士のあとに、レウス公女が降りてくる、もの凄く優美だ。
その清涼さを感じさせる服も、レウス公女陛下に奉仕しているのを感じさせる。
『セプティさん。一流を超える人物には、服が自然に奉仕を始めるのよ。』
と、ユウイさんが工房で言っていたのが、よくわかる。
わたしは、6世の統治で傷ついた旧帝国の人々、
黒い森から離脱してきた旧創派の人々、
双月教国から脱出してきた人々・・・。
エリース、アマトさん、ユウイさん、イルムさん、ルリさん、キョウショウさん
・・・、そう、わたしは、この国に住んでいる人々、
新たに移住を決めた人々のために、
新帝国の旗になる覚悟を決めたはずだった。
だけど、レウス公女と対面したら、その決意は融雪しかけている。
わたしを旗に例えれば、ありあわせの端切れを集めて、
それと見えるように縫い合わせて、形を作っているにすぎない。
そして、だらしなく、風に流されているだけ・・・。
レウス公女陛下を旗に例えれば、一本一本、厳選された糸を組み合わせて、
名人と言われる人々が、長い時間をかけて、織り込んでいったもの。
それが、凛々しく、涼風にたなびいている。
・・・・・・・・
「レウス=ゴルディール公女殿下、テイシア=ウィーギンティー=ゴルディール
と申します。このたび、ご尊顔を拝する栄誉に・・・。」
わたしは、イルムさんから教えを受けた挨拶を、一言一句間違えないよう
出来の悪い舞台俳優よろしく、口を動かしている。
「ねえ、テイシアさま、今日は公的な行事じゃありませんから、
わたしのことは、レウスとお呼び下さい。」
そう、レウス公女はわたしの話を切り、満面の笑みで応礼をしてくれた。
その姿勢は、イルムさんが考えてくれた10を超えるこの場面の
対策の台本から外れていて、どうにも対応できない。
わたしが、糸の切れたお人形さんと化したので、
すかさずイルムさんが、
「テイシアさま、遠慮なく、そうお呼びなさればよろしいかと。
ただし呼び捨てといわけにはいきませんので、
レウスさまと・・・。」
そう言って、わたしが呼び方にとまどっているふうに補ってくれた。
「わかりました、レウスさま。では、わたしのほうも、
セプティとお呼び下さい。」
なんとか、イルムさんの機転でとりつくろったけど、レウス公女殿下の目には、
わたしは、情けなく写っているに違いない。
そのあと、他の方たちとの挨拶も済ませ、アバウト学院の貴賓室に案内して、
席につき、会談が始まる。
たぶん由緒のある長机のわたしの側に、イルムさんが、
その後ろに警護として、エリースと騎士に扮したラファイアさんが控え、
机の向こう側のリウス殿下の横に、エレナさんという名の騎士が略礼服で、
シレイアという名の騎士が略武装のいで立ちで、後ろに控えている。
「今日は、セプティさま、イルムさまに、わたしのわがままのために、
お時間をとっていただき、ありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ、クリル大公国の名花と言われるレウス様に
お会いできるというこの機会を、楽しみにしてました。」
すでに、この時点で、いっぱい いっぱい。
わたしの代わりに、イルムさんが応対してくれる。
「イルムさまと言えば、ノープル学院の入学式の際、
3回生の最上位者を指名し撃破したのを皮切りに、
伝説と呼ばれた、学院の3年間を過ごされた才媛。
わたしが聴講生として学院に在籍した時には、
もう卒業なされていて・・・。」
「昔のことです、レウスさま。」
「いえ、イルムさまにとって、クリル大公国は小さすぎたのでしょう。
今日お会いした時には、テムスのアウレス大公陛下・ミカルのレリウス大公陛下
にも認められ、新帝国の執政官になられるとは・・・」
「ノープル学院の後輩として、わたし レウスも、鼻が高いですわ。」
ふたりとも、軽く微笑んでいる。
イルムさんにとって、相手は自分を辱めた男の娘。
レウス殿下にとっても、父の妾だった女。
本心はともかく、ふたりの会話に感情の破綻はみられない。
本当に、凄いとしか言いようがない。
ひとり落ち込んでいると、背後から温かい眼差しを感じる、エリースね。
わかったわ、エリース。わたしも勇気を出して、ふたりの会話に加わってみる。
〖身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ〗というものね。
「レウスさま。レウスさまご自身が、皇都にいらっしゃたのには、
何か、ご理由があってのことと、考えますが?」
第2章。エメラルアの視点
驚いた。先に、お人形さんの方が、口火をきったか。
レウスの奴、『すきがあったら、8世予定者と執政官に魔力攻撃をしてみたら。』
なんて、軽い口調で言っていたが、あの左後ろの騎士、
間違いなく、白光の妖精 ラファイアよね。
わたしが、魔力を振るう、だが即、ラファイアの奴も、十重二十重の障壁を
構築するだろう。腐っても妖精界魔力頂点のひとり、それに超近接戦闘でも、
わたしに後れをとることは、ないでしょうから。
「セプティさま。それは何だと思います?」
ほう、レウスの奴、質問を質問で返したか。
さて、あのお人形さんがどう返すか・・・。
ん、ラファイアの奴、何を睨んでいる。机の上・・・?
あいつの視線の先にあるのは・・・。
香茶の茶碗・・・!?
「レオヤヌス大公陛下、いえお父様への・・・叛乱では、ありませんか!」
ほお、お人形さんが、芯を打った答えを返したぞ、どうするレウス?
左耳に指をあてるのか?その時は戦いの合図だったわね。
やはり、ここでやるのか!?
うん!?ラファイアの奴、まだ香茶の茶碗を見つめている。
このような状況で何を思っている、あの、アホが。
わたしは、あさっての方向に注意が向いている白光の妖精に攻撃を仕掛けて、
某暗黒の妖精に『アンタ、やっぱり、卑怯者ね!』とそしられるという
将来の不快を避けるべく、精神波を目の前のアホに送る。
≪ラファイア!お前も警護に来たのだろう。あさっての方向ばかりを睨んで、
どういうつもりだ。≫
あのアホ妖精、やっとこっちを見た。
≪何か勘違いなされているようですが。わたしは、アイファラ。
新帝国親衛隊の騎士です。≫
こいつ、もっとまともな言い訳を言わないのか。
昔から、どこか頭のねじが外れた奴だと思ってはいたが・・・。
これで同じ、妖精界の魔力頂点のひとりだと思うと、全く情けなくなる。
≪わたしの、この精神波を受けれるのは、妖精界も頂点にいるものだけだろうが。
親衛隊の騎士だと!?何を、とちくるった事をぬかしている!≫
なんか、こんどは、考え込んでしまっているな。いやはや・・・。
「すべての子供が父親を慕うわけではありません。
わたしの母にしたことを思うと、わたしは父 6世を、憎んでいます。」
「そして、リウスさまには、わたしと同じ匂いがします。」
「匂いですか、セプティさま。これは、困りましたね。」
微笑みが、少し歪んでいるわね、リウス。どうするの?
フフフ 引くも行くも、わたしがあなたを、見捨てることはないわ。
≪エルメルア殿。本当は、わたしは、聖チャウコの騎士で・・・。≫
≪わたしを、エメラルアと見抜いたこと自体が、自分をラファイアと
言っているようなものだろうが。≫
≪ あ れ ~~~≫
バカはほっといて、お、人間の方は、話が動きそうだな。
「ここにいる4にんは、同じ匂いがあるということですね。」
「そのとおり、わたしは、父を、いえレオヤヌスを討とうと考えてます。」
「義姉上!!」
「いいのよ、エレナ。この会談が不成功に終わったら、エメラルアに
この皇都ごと氷結破壊して、もらうつもりだったから。」
「いえ、リウスさま。ここには、暗黒の妖精はいません。
ですが、エメラルアさまに暴走をさせないような、策はうってあります。」
「イルムさん、だったら、ここでリウスさまと不可侵協定を結ぶことも・・・。」
≪ククク、よくぞ見抜いた、エメラルア。だがわたしの正体は、
同じ白光の妖精でも、ラファイス。光の表を司どるもの。≫
≪こら、アホ妖精。その下手すぎる演技で、ひとを巻き込むな!≫
なに、違う精神波・・・。エリースとか言ったか、ラファイスの変化だったのか、
やられたようね・・・。
まあ ラファイスに、四角四面の魔力で来られた日には、わたしでも気付けない。
ため息がでる、いちおう、聞いてはみるか。
≪ラファイス、ここでやり合う気があるの?≫
≪エメラルア。おまえが、今、手を出さぬというなら、やり合う気はない。≫
≪ラファイアやラティスと、わたしもわたしの契約者も、組んではいない。
あとは、すきにしたら。≫
そういうことか。リウスを、ここで失わせるのはイヤだな。
声をかけるか。わたしも丸くなったものね。
「レウス!そこにいるのは、ラファイアと信じられないけどラファイス。
光の裏と光の表を司る両妖精がいる。
やりあうには、分が悪い。」
「わたしは、賭け事のような戦いは望まない。」
レウスの奴、振り返りざま開口一番、
「そうなの、エメラルア。伝説の水の妖精も全く情けないわね。
この前のラティスとラファイアの二人組だったら、やってくれたの?」
と、ぬかした。契約者でなければ、氷の彫像にするところだ。
「ああ、あれは、いちたすいちが、2ぶんの1や3分の1に、なるかもしれない
極めて面白い、組み合わせだからな。」
「それに、こちらの超上級妖精もどきは、『散歩にでかける。』と言ったきり、
どこに行っているのか、わからないしね。」
と、話をつないでやったが、どうやらここまでのようだ。
「レウス公女殿下、新帝国も、建国なかばです。
あなた方がこちらに干渉しないかぎり、こちらからは手をだしません。」
「イルム執政官。ではいづれ戦場で、ということでよろしいのでしょうか。」
「最悪の場合ですが、そうならないことを祈ります。」
フフフ、終わったのか。いや、始まりなのかな。
レウスよ。この水の妖精の頂点で煌めくわたしを、退屈させるなよ。
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