幼女と執事が異世界で

天界

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第5章

110,シトポーの祝福

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 大量のアサルトウルフの解体を終えると次は特殊進化個体モンスターの番だ。
 体中に大小さまざまな怪我を負い、前足の1本を失い、翼を引き千切られ、最後には首を落とされた。
 想定していた結果の上位に並ぶ戦闘内容だったといえるだろう、最後の召喚でアリアローゼさんが怪我を負わなければだけど。まぁその怪我ももう治療済みだし、それ以外での被害はないのだから上出来といえるだろう。

 死して尚その巨体は見上げるほど大きく恐ろしい。
 だがもう完全に死んでいるために戦闘中に感じていた威圧感は欠片も無い。
 手を翳して解体と念じるだけで巨体は光の粒子となり、巨大な素材だけが残っていた。


 素材は事前情報通りに魔結晶が4つと巨大な腕のような翼のようなものとこれまた巨大な牙だった。

 鑑定で確認してみると。


        ■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 狂狼の翼腕
 魔結晶を複数取り込み、異常に強化された翼腕。
 中級魔法:風を使いこなし同時に身体能力を強化することが出来る。

 付与効果:風魔法強化【特大】

        ■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 あの特殊進化個体モンスターは狂狼という名前だったらしい。
 それにしても風魔法強化【特大】って……。
 このままではとてもじゃないがでかくて邪魔で使い勝手が悪いのでランカスターさん辺りに相談してみるべきだろうか。
 でもまだ以前倒した魔結晶8つ持ちの素材の巨大な爪も手をつけていない。

 素材をどうするかはとりあえず置いておいて、次の牙を見てみることにしよう。


        ■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 狂狼の牙
 魔結晶を複数取り込み、異常に強化された牙。
 物理魔法を問わず全てを食い破る鋭さと強靭さを併せ持つ。

 付与効果:筋力+5 防御貫通

        ■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 防御貫通……。
 これは噛みつかれていたらもしかしなくても障壁を食い破られていたのではないだろうか。
 まぁあの巨体での噛み付きに障壁が耐えられたかどうかも微妙な所だからあまり意味無いかもしれないけど。
 それにしてもこの牙で作った武器を使えばどんなに硬いヤツでもダメージを与えられるのではないだろうか。毒でも塗っておけば尚ベターだろう。

 やはり特殊進化個体モンスターだけあって素材はとんでもない代物だ。
 魔結晶8つ持ちの素材は鑑定すらしていないのだが、これ以上だということは確定だろう。
 やっぱり帰ったらランカスターさんのところに持ち込んでみるべきかもしれない。






      ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 アイテムボックスに素材を収納してまだ動けないでいるレーネさんのところへ集合する。
 すでに5分以上経っているがまだ動けないようだ。


【レーネさん大丈夫ですか?】

【すみません……思ったより負荷が強かったみたいで……】

【まぁあれほどの大技でしたしねぇ~……まさか結界まで壊しちゃうとは思わなかったですよ】

【そ、その……以前使った時はもっと威力は低かったんですが……】

【あぁもしかして、朱珠白塵と筋力強化Lv3の合わせ技であれほどの威力になっちゃったんですか?】

【はい、そうみたいで……】


 あれほどの威力のあるスキルを早々使うこともないだろうから朱珠白塵と筋力強化Lv3によって威力がとんでも状態になっていたことに気づかなかったみたいだ。
 レーネさんらしからぬ失態ではあるがフォローが効く時に判明してくれてよかった。
 まぁ天翔竜翼は元々反動で行動不能になるスキルだから使った後の安全を確保できないなら使わないだろうから結局は大丈夫だったろうけど。


「改めて御礼を言わせて貰うよ~。
 退治してくれてありがとうねぇ~。ささやかだけど祝福をあげるよ~」


 ふよふよ、と漂いながらやってきたユーウイトさんが軽い調子で言うのと同時にユーウイトさん以外の全員から薄っすらと光が溢れて……そしてすぐに消える。


「わたくしも頂いてよろしかったの? ユーちゃん」

「あーちゃんは私を守ってくれたからねぇ~。貰う権利はあるよ~」

「そうですの。ではありがたく頂きますわ」


 割と大怪我を負ってまでしっかりとユーウイトさんを守っていたアリアローゼさんも精霊の祝福を貰う事ができたようだ。ていうか、あーちゃんて……。

 ちなみにステータスを確認したところ加護同様に記載はなかった。
 ステータスも上昇していなかったのでどんな効果なのかいまいちわからない。


「みんなにあげた祝福は『シトポーの祝福』だよ~」

「まぁ! あの物語に出てくる伝説の祝福ですのね!」

「シトポーの祝福?」

「あら、ワタリは知りませんの? 結構有名な祝福ですのよ?」

「ちょっと知らないです。どんな効果があるんですか?」


 精霊のシトポー族というのは物語にもなっているくらい有名だというのは前に聞いたけどその祝福までは知らない。
 というか精霊とか祝福とかこの小川に来てから初めて知ったのだから仕方ない。


「シトポーの祝福はLvアップが早くなるんですのよ」

「まじですか!?」

「えぇ、まじですわ」


 これはなんという幸運か。
 Lvアップがとにかく遅いオレにはぴったりの祝福ではないか。
 レーネさんの話ではステータスが上がったりするという事だったのでこういう効果は期待していなかっただけに非常に嬉しい。


「わたりんはすごく神聖で、なんかその神聖すぎる力が邪魔してたから特に強めに祝福かけておいたよ~。
 これで普通の人くらいにはLvアップできると思うよ~」

「ど、どういうことですか? 最初あった時もなんか神聖な感じがするって言ってましたけど、神聖だとLvアップの邪魔になるんですか?」


 創造神の手によって転生したオレだから神聖だっていうのはまぁわかる。加護もあるし。
 でもその加護とか神聖な何かのせいでLvアップの妨げになっていたという話には驚きだ。ていうか、わたりんて!


「うん。なんか神聖すぎて魔物とか倒した時に手に入る力を弾いちゃってたみたいだねぇ~。
 だからLvアップが人よりも大分遅かったりしてない?」

「はい、ものすごく遅かったです。
 ……そうか。そういうことだったのか……あのやろう……」


 オレのLvアップの遅さの原因がまたアイツだということが判明してイラっとしたが次の瞬間には以前にも見たことがある神印のメールが届いていた。
 今このタイミングでメールが届くということはLvアップの真実を解明するという条件か、もしくはまた・・覗いていたか。


 とにかくメールを見てみることにした。


【すいませんでした! ほんとうにすいませんでしたぁああ!!】


 前回はふざけた文章だけだったのだが今回は動画だった。
 地面に頭をこすりつけてDOGEZAしている創造神。画面左上にはLiveのマーク。生中継のご様子だ。
 地面が陥没するのではないかという勢いで何度も頭を地面に叩きつけて謝罪してから、創造神は釈明を開始した。
 ちなみにDOGEZAの姿勢のままで。





      ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 内容をまとめるとこうだ。

 今回のLvアップ阻害は創造神にも予期せぬことだった。
 Lvアップが遅いことには気づいていたけれど、自分の与えた加護のせいだとはちっとも思っていなかった。
 ユーウイトさんからの指摘がなければ気づくのはもっと遅かっただろう。

 お詫びに特殊スキルを1つプレゼントするので選んでくれ、ということだった。

 あ、あと覗いてたのは素直に認めてたけどそれに関する謝罪はなかった。プライベートなところは覗いていないと胸を張っていたが、まず覗きをやめろ。


 お詫びの特殊スキルはメールに添付ファイルとして何かくっついていたのでそれをタッチするとウィンドウが出てそこから選ぶらしい。
 種類は豊富にあるようだがウィンドウを閉じるともう二度と開けなくなるので時間があるときに選んだ方がいいと言われた。
 とりあえず帰ってから選ぶ事にしよう。


 他の人達には当然ながら動画は見えなかったようでオレがものすごく嫌そうな顔をしていたからか、レーネさんは動けないままおろおろし、ユーウイトさんは可愛らしく小首を傾げ、アリアローゼさんも頭の上にはてなマークを出している。
 ちなみにアルはいつものようにオレの傍で控えていた。


「ま、まぁこれで私のLvも普通にあがってくれるだろうから一安心ですね!」


 なんとか誤魔化す為に少し大きな声を出してみたが、やっぱり微妙な空気は微妙なままだった。
 どうしてくれるんだ、創造神。


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