幼女と執事が異世界で

天界

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第1章

11,無詠唱と成長する執事

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 逃走面、戦闘面、身体面、魔法面、防御面。
 大体のスキルは揃った。
 あとは何か取り残しがないか、もう一度見てみることにする。
 スキルウィンドウを上まで一気にスクロールさせて、ゆっくりと下に移動していく。
 すると、詠唱省略Lv2を取得したときにはなかったはずの、詠唱省略Lv3が表示されていた。

 一体いつ条件を満たしたのか。
 思い当たるのは、魔力増加Lv5と回復力増加Lv5だろうか。
 どちらにしても取得条件を満たしたなら問題ない。

 そういえば、取得条件を満たした状態で取得したスキルは、例えば詠唱省略Lv3を取得してから魔力増加Lv5と回復力増加Lv5を、スキルリセットで消した場合どうなるのか。
 前提条件がなくなっても取得済みとしてスキルとして残るのか、それとも一緒にポイントに戻るのか。
 消えるがポイントに戻らないのが一番最悪だろう。それだけは避けたい。
 特殊スキルに関しては、知っているようなのでアルに聞いてみるのが一番だ。


「アル、質問だ。もし、スキルAの取得条件を満たす為にスキルBを取得して、取得条件を満たしたスキルAを取得した状態で、スキルBをスキルリセットした場合どうなる?」

「その場合はスキルBのみが、ポイントに還元されます」


 よし。詰まるところ、取得条件さえ判明していれば、難しい条件でも条件を満たして取得して条件に必要だったスキルをリセットすれば、少ないポイントで難しい条件のスキルが取得可能ということだ。
 使える! 使えるぞスキルリセット!

 まぁ、取得条件が難しいスキルで、且つ取得できるスキルでそれを埋め合わせできるのに限られるがな? それでもかなり有利なことには変わりない。
 やり方一つでチートスキルはどこまでも伸びるということだ。ククク!

 とりあえず、今のところはさっきの条件に合うスキルはないからいいとして、詠唱省略Lv3を取得してしまおう。
 これがあれば無詠唱になるかもしれない。期待は十分できる。
 Lv4が出てくる可能性もあるが、取っておくべきスキルだ。

 詠唱省略Lv3を取得した。かかったポイントは35。結構多い。
 もう残りのポイントも46しかない。

 さて、さっそく実験だ。
 その前にMPを確認するためステータスを表示する。
 MPは30/130。ちょうど2回分だ。
 単独転移Lv1の消費15は連発すると意外と響くな。回復力は上がっているはずだが、どの程度上がっているのだろうか。
 そんなことを思っていると、MPが33になった。
 どうやら自然回復でMP3回復するようだ。

 自然回復がどの程度の速度で行われるのか、ちょっと実験してみることにした。
 もう一度3回復したときから数え始めてみる。
 28、29、30。回復した。
 MPは39/130。どうやら30秒で3回復するようだ。
 20分ちょいで0から全回復か。これを早いと取るのか遅いと取るのか……。
 単独転移Lv1でかかるMPが15だから一回使うには2分半かかる。

 んー……割と早い?

 まぁ、とりあえず詠唱省略の実験に移る事にした。
 回復力の対策は結局、回復力増加のLvを上げるくらいしか思いつかなかったからだ。

 単独転移Lv1と念じると、なんと待機時間なしでMPが一瞬で抜けていった。
 どうやら無詠唱となったようだ。

 思わず両手の拳を握って天に突き上げてしまった。
 それを静かに見ていたアルが、拍手をしてくれる。


「あはははは……」


 なんだかちょっとこっ恥ずかしかった。
 そんなことをしている間に、場所指定待機時間が過ぎてしまったようで、転移は不発に終わってしまった。
 でも実験は無事終了している。
 とにかくこれで無詠唱も手に入った。
 あとは複数用の転移スキルだが……。

 メニュー、スキルとウィンドウを操作して、スクロールしていく。
 前見たときにはなかったが、詠唱省略同様条件を満たしている可能性がある。
 そしてその考えは物の見事に的中していた。


 複数転移Lv1。


 まるで黄金の輝きを放つかのように、それは表示されていた。
 そして消費ポイントは……40!

 スキル名が輝いていたのではなく、消費ポイントの方が輝いて見えたようだ。
 なんせ残りポイントは46。
 これを取ったら6しか残らない。

 どうしたものか……。
 単独転移の消費MP量を考えると、複数転移なら確実に消費MPが増えるだろう。最低でも15を下回ることはあるまい。
 そうすると、MP増加Lv10をリセットするのは心許ない。
 当然、回復力Lv5も外せない。
 外すとしたらアイテムボックス拡張あたりだろうか。
 今は荷物もない。アイテムボックスに入れる予定のあるアイテムも、とりあえずほとんどない。
 Lvを1下げたとしても問題にはならないだろう。

 まぁとりあえず、ポイントが必要になったらの話だ。
 今のところ欲しいスキルは全部とってしまったし、リセットする必要もないだろう。
 6ポイント残るわけだしな。

 というわけで、複数転移Lv1を取得した。


 さっそく実験開始だ。
 恐らく使用方法は単独転移と同じだろう。
 だが、問題となるのは複数とはどこまでが線引き対象となるのか。
 PT編成がある世界なんだ。PTが複数としての線引き対象だと思われる。
 しかしここで問題がまた出てくる。今はPT編成が使えない。冒険者という職業を取得する条件がわからないからだ。
 わからないならば……!


「アル、質問だ! 冒険者という職業の取得条件を教えてくれ」

「職業冒険者の取得条件は、冒険者ギルドに加入することにございます。
 最短でもラッシュの街に到着しなければ、不可能かと愚考致します」

「やっぱりかー!」


 なんとなくわかってた。そんなことじゃないかと……!
 冒険者っていう単語が出てきた時点で、冒険者ギルドみたいなのがあるんじゃないかと思ってたさ。
 クエストとかある世界なんだしさ!

 ということは、PT編成はラッシュの街までお預け。
 PTが線引き対象なら複数転移も意味がないな……うーん……。

 と思案していると質問に答えた後は、静かに佇んでいたアルがこちらに熱の篭った視線を向けてくる。
 なんだろう。助言をいうタイミングを計ってるのか? 前に助言した時はそんなことはなったのだが、こいつも成長したということだろうか。


「なぁ、アル。何か言いたいことがあるなら言っていいんだぞ?」

「申し訳ありません。助言のタイミングを計っておりました」

「やっぱりか。まぁ……んで?」

「それでは僭越ながら助言させていただきます。
私はワタリ様の従者。従者と所有者は常にPT状態にございます。従ってPT編成を使用する必要はございません。
PT状態のデメリットはほとんどありません。せいぜいが複数を対象とする攻撃系や状態異常系スキルを使われると、まとめて受けてしまう程度です」

「逆を言えば複数対象系の補助スキルも、PTに対して作用するってことだろ。
デメリットばかりというわけじゃないさ。念話とかあるしな」

「さすが我が主。感服致しました」

「はは……まぁPT状態だってことはわかったからいいか」


 助言するタイミングを計っていたのもきっと、オレが快適に云々での改善した結果ということだろう。
 とりあえず、アルとはPT状態だってことがわかった。今はそれでよしとしよう。
 これで実験を再開できる。


「アル、今から複数転移で飛ぶから、準備しといて」

「畏まりました。いつ転移されても問題ありません」

「ん。わかった」


 一応の断りを入れて、複数転移Lv1と念じた。
 詠唱省略Lv3の効果はきっちり発揮されているようで、MPが抜けていく時間は一瞬。
 そして単独転移Lv1の時と同じように、転移場所を仮指定してみた。
 ターゲッティングされた場所が、ウィンドウで出現する。
 やはり指定方法なども同じようだ。場所は近場にしようかと思ったが、MPが結構消費されたようなので、思い切って限界まで遠くに飛んでみることにした。

 ウィンドウにLimit!!と表示される場所を仮指定しなおして、ウィンドウをフォーカスし選択する。
 一瞬にして場所が切り替わり、草が腰まである――指定した場所にたどりついていた。
 横にはきちんとアルも付いてきている。

 よし、完璧だ。
 これで一気に距離を稼ぐ手段も確保した。

 単独転移Lv1はポイントも10しかかからないし、残しておくことにする。

 とりあえず草の中では身動きも取り辛いので、近場に開けた場所を見つけたので、一旦そちらに移動することにした。
 気配察知のおかげで、どこに魔物がいるのかがよくわかる。
 開けた場所には何もいないことがわかっているので、一応安全だ。

 1分もしないうちに、開けた場所にたどりつくとアルが失礼します、と言って浄化を掛けてくれた。

 もしかして開けた場所にでたら、いちいちやるつもりなんだろうか。
 まぁオレのMPじゃないから別にいいけどさ。
 こいつ的にはそれしか今のところやることないしな。


 残ったポイントは6。

 さて、どうしたものか。
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