31 / 34
31 義母と妹
しおりを挟む
父に問い合わせてもらったところ、義母の都合は「いつでも喜んで!」とのことだったので、クローディアが早く帰れる日に合わせて、サロンでお茶会が催されることになった。
父も同席したいと申し出たが、クローディアは「女三人でやりたいのです」と断った。彼女ら二人と仲良くやれるかどうか見極めるためにも、父はいない方がいいだろう。
そして当日。花瓶には義母の好きな花がふんだんに生けられ、テーブルには色とりどりの美味しそうなお菓子が並べられている準備万端に整ったサロンに、義母と妹が現れた。
義母は記憶にあるより若干老けているものの、相変わらず美しい女性だった。地味だが品のいいものをまとっており、センスの良さがうかがえる。そして初めて会う妹のソフィアは想像以上に可愛らしい少女だった。ゆるやかにウェーブがかった栗色の髪、つぶらな瞳にふっくらした薔薇色の頬、まるで陶器の人形のようだ。
「クローディア様、本日はお招きありがとうございます」
義母が深々と頭を下げると、隣でソフィアも「お姉様、本日はおねまきありがとうございます!」と挨拶した。ちょこんとドレスをつまんでお辞儀する仕草がなんとも言えず可愛らしい。ちょっと噛んだのも可愛らしい。
「ご無沙汰しております、お義母様。本日はようこそおいでくださいました。それからソフィア、立派なご挨拶ありがとう。とてもしっかりしてるのね」
クローディアが褒めると、照れたようにえへへと笑うのも可愛らしい。
(天使よ! 天使だわ!)
クローディアは心の中でそう叫んでいた。
父も同席したいと申し出たが、クローディアは「女三人でやりたいのです」と断った。彼女ら二人と仲良くやれるかどうか見極めるためにも、父はいない方がいいだろう。
そして当日。花瓶には義母の好きな花がふんだんに生けられ、テーブルには色とりどりの美味しそうなお菓子が並べられている準備万端に整ったサロンに、義母と妹が現れた。
義母は記憶にあるより若干老けているものの、相変わらず美しい女性だった。地味だが品のいいものをまとっており、センスの良さがうかがえる。そして初めて会う妹のソフィアは想像以上に可愛らしい少女だった。ゆるやかにウェーブがかった栗色の髪、つぶらな瞳にふっくらした薔薇色の頬、まるで陶器の人形のようだ。
「クローディア様、本日はお招きありがとうございます」
義母が深々と頭を下げると、隣でソフィアも「お姉様、本日はおねまきありがとうございます!」と挨拶した。ちょこんとドレスをつまんでお辞儀する仕草がなんとも言えず可愛らしい。ちょっと噛んだのも可愛らしい。
「ご無沙汰しております、お義母様。本日はようこそおいでくださいました。それからソフィア、立派なご挨拶ありがとう。とてもしっかりしてるのね」
クローディアが褒めると、照れたようにえへへと笑うのも可愛らしい。
(天使よ! 天使だわ!)
クローディアは心の中でそう叫んでいた。
333
お気に入りに追加
11,449
あなたにおすすめの小説
(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
いつだって二番目。こんな自分とさよならします!
椿蛍
恋愛
小説『二番目の姫』の中に転生した私。
ヒロインは第二王女として生まれ、いつも脇役の二番目にされてしまう運命にある。
ヒロインは婚約者から嫌われ、両親からは差別され、周囲も冷たい。
嫉妬したヒロインは暴走し、ラストは『お姉様……。私を救ってくれてありがとう』ガクッ……で終わるお話だ。
そんなヒロインはちょっとね……って、私が転生したのは二番目の姫!?
小説どおり、私はいつも『二番目』扱い。
いつも第一王女の姉が優先される日々。
そして、待ち受ける死。
――この運命、私は変えられるの?
※表紙イラストは作成者様からお借りしてます。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい
高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。
だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。
クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。
ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。
【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる