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苦悩
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漫画に集中していると、気づけば午後二時になっていた。
「え……四時間漫画読んでたの…?」
漫画…恐るべし…!
時間を認識した途端、猛烈にお腹がすいてくる。
でもご飯作るの面倒なんだよな。
そういえば鞄にゼリー飲料持ってきていたような…。
そう考えて自室に向かい、鞄の中を探るとお目当ての物が出てきた。
その場で蓋を開けて飲む。
特に身体を動かしたわけでもないため、中身が空になった時には空腹は感じなくなっていた。
この後どうしようかな。
勉強しないといけないけど遊びたい気も…。
あ、そういえば廉もごはん食べてないだろうし作っておくか。
そう考えて台所で簡単に昼食を作る。
そして食事を持って廉の部屋に向かった。
静かにドアを開けてベッドに目を向けると、廉が起きていた。
「入るよー」
「ああ」
食事を机に置いてからベッドに腰掛ける。
「少しは眠れた?」
「…まあ」
…この反応だとあんま寝れてないな。
「ほんとに眠れたの?」
「…寝れなかった」
廉がそう言いながら手を握ってきた。
体調を崩すと妙に寂しさを感じるんだよね…。
多分そのせいかな。
「体調はどう?」
「大分よくなったよ」
「そっか、お腹は空いてる?」
「そこそこ空いてるかな」
「よかった」
そう言って廉に食事を渡す。
食べ終わったのを確認して食器を台所に持っていった。
そのまま片付け、再び廉の部屋に戻る。
「迷惑かけてごめんな」
「大丈夫だから気にしないで。
ていうか廉の生活は本気で命に関わるから、三食食べてちゃんと寝た方がいいよ」
「…そうする」
「それでこの後はどうするの?」
「寝ようと思うんだけどなかなか寝れなくて…」
大分良くなったとはいえど未だに顔色の悪い廉の様子を見て、心配させてしまったことに心が痛んだ。
「何かしてほしいこととかある?」
「…一緒に寝たい」
「じゃあそうしよっか」
そう言って廉の隣に横たわるとそのまま抱き締められた。
「なあ雪…」
「なに?」
あの話題を口にしようとしているのだろうか。
廉の様子を観察する。
「俺のこと…好き?」
「………」
確かめるように尋ねる廉の様子と、廉の目に映る僅かに目を見開いた自分を見て、この関係が酷く脆いものに感じる。
「……うん、好きだよ」
ただ純粋に本心を伝えた。
そして廉の背中に腕を回して抱き締め返す。
…まあ、三人がどういう反応をしようとも私が受け入れられない時点で…ね。
これから薄れる関係なら、今だけは気持ちをちゃんと伝えよう。
それで自分なりにこの日常を大切にしよう。
廉の温かい体温に包まれているうちに自然と眠気が襲ってきて、抗うことなくそれに身を委ねた。
「え……四時間漫画読んでたの…?」
漫画…恐るべし…!
時間を認識した途端、猛烈にお腹がすいてくる。
でもご飯作るの面倒なんだよな。
そういえば鞄にゼリー飲料持ってきていたような…。
そう考えて自室に向かい、鞄の中を探るとお目当ての物が出てきた。
その場で蓋を開けて飲む。
特に身体を動かしたわけでもないため、中身が空になった時には空腹は感じなくなっていた。
この後どうしようかな。
勉強しないといけないけど遊びたい気も…。
あ、そういえば廉もごはん食べてないだろうし作っておくか。
そう考えて台所で簡単に昼食を作る。
そして食事を持って廉の部屋に向かった。
静かにドアを開けてベッドに目を向けると、廉が起きていた。
「入るよー」
「ああ」
食事を机に置いてからベッドに腰掛ける。
「少しは眠れた?」
「…まあ」
…この反応だとあんま寝れてないな。
「ほんとに眠れたの?」
「…寝れなかった」
廉がそう言いながら手を握ってきた。
体調を崩すと妙に寂しさを感じるんだよね…。
多分そのせいかな。
「体調はどう?」
「大分よくなったよ」
「そっか、お腹は空いてる?」
「そこそこ空いてるかな」
「よかった」
そう言って廉に食事を渡す。
食べ終わったのを確認して食器を台所に持っていった。
そのまま片付け、再び廉の部屋に戻る。
「迷惑かけてごめんな」
「大丈夫だから気にしないで。
ていうか廉の生活は本気で命に関わるから、三食食べてちゃんと寝た方がいいよ」
「…そうする」
「それでこの後はどうするの?」
「寝ようと思うんだけどなかなか寝れなくて…」
大分良くなったとはいえど未だに顔色の悪い廉の様子を見て、心配させてしまったことに心が痛んだ。
「何かしてほしいこととかある?」
「…一緒に寝たい」
「じゃあそうしよっか」
そう言って廉の隣に横たわるとそのまま抱き締められた。
「なあ雪…」
「なに?」
あの話題を口にしようとしているのだろうか。
廉の様子を観察する。
「俺のこと…好き?」
「………」
確かめるように尋ねる廉の様子と、廉の目に映る僅かに目を見開いた自分を見て、この関係が酷く脆いものに感じる。
「……うん、好きだよ」
ただ純粋に本心を伝えた。
そして廉の背中に腕を回して抱き締め返す。
…まあ、三人がどういう反応をしようとも私が受け入れられない時点で…ね。
これから薄れる関係なら、今だけは気持ちをちゃんと伝えよう。
それで自分なりにこの日常を大切にしよう。
廉の温かい体温に包まれているうちに自然と眠気が襲ってきて、抗うことなくそれに身を委ねた。
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