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苦悩
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朝になり自然と目が覚めた。
隣で寝ている廉の頭を撫でてから枕元に置いてあるスマホの電源を入れる。
「……ん……?」
あれ、たしか廉の部屋で最後おやすみって言って自分の部屋に来たはず…。
なんで廉がここで寝てるんだ…?
そんなことを考えていると華子からメッセージがきた。
……まあ…廉のことは後で考えるか。
そう思って華子とのトーク画面を開く。
[雪おはよー]
[華子タイミングいいね、おはよう]
[私今起きたところ]
[私も!それでどうしたの?]
[山口さんいるでしょ?]
[うん]
[あれから私も気になって他の友達に聞いてみたんだけど、山口さんが滝本くんのこと狙ってるらしいよ]
[え、そうなの?]
[うん。雪は滝本くんのこと好きだから伝えた方がいいかなって]
[あれ、言ったっけ?]
[言われてはないけど雪のこと見てたら分かるよ。
花火大会の日に雪が滝本くんの話をしていた時、少しだけ明るい表情だったから]
華子には敵わないな…。
そんなことを思いながらうつ伏せになり、両肘をベッドに付いてスマホを触る。
[華子ってほんとに観察力すごいよね…]
[雪限定でね]
[……華子ちゃん、付き合おうか]
[彼氏いるからむりー]
[泣ける]
華子とやりとりをしていると自然と口が綻ぶ。
周りから見たらスマホに向かってにやにやしてる変なやつだけど、誰にも見られてないから私の勝ち!
[それで話戻すけど]
[なに?]
[山口さんって学校が違うでしょ?]
[うん]
[もしかしたら校門前とかにいる可能性もあるから気をつけてね]
[フラグかい…まあ気をつけます]
[そういうことだからよろしく!]
[うん、また遊ぼうね!]
[うん!]
なんで山口さんと会うと全然余裕無くなるのに、華子と話していると落ち着いていられるんだろう…。
やっぱ華子の力が偉大すぎる…。
そんなことを考えながらスマホの電源を切る。
そしてスマホを再び枕元に置いて廉の方を見ると目が合った。
「おはよう」
「………おはよ…え、いつから起きてたの?」
「雪が百面相を始めた時から」
それってほぼ最初からでは……。
「…それより体調はどう?」
「昨日よりは大分良くなったと思う」
「そっか、よかったね」
「いろいろとありがとな」
「ううん……それで、なんで体調悪かったの?」
「………」
心当たりがあるのか廉が目を逸らした。
「この痩せ方もそうだし目の下の隈もそうだし…ちゃんとご飯食べて寝た?」
「…食欲が湧かなくて…」
「どのくらいの頻度で食べたの?」
「…二日に一回くらい…」
「……量は?」
「…卵一個…」
「………」
断食ダイエットでもあるまいし…部活もしてるのによく生きていられたな…。
「ちなみにだけど」
「あ、ああ」
「一日の睡眠時間は?」
「…三十分とか…」
「………」
「あの…雪…?」
廉が恐る恐る聞いてくる。
「…廉って普段そんな生活送ってたっけ?」
「いや…」
廉の様子を窺うとすっかり縮こまっていた。
「あー、怒ってるように聞こえてたらごめんよ」
「いや、それは大丈夫なんだけど…」
廉の何か言うのを躊躇っている姿を見て即座に話を切り替える。
「とりあえずご飯にしよっか」
「…分かった」
「作ってくるから待ってて」
「俺も行くよ」
「まだ治ってないし大丈夫だよ」
「…ありがとな。顔洗いたいし部屋の洗面台借りていい?」
「うん」
廉との会話を終え、ベッドから降りて部屋から出た。
隣で寝ている廉の頭を撫でてから枕元に置いてあるスマホの電源を入れる。
「……ん……?」
あれ、たしか廉の部屋で最後おやすみって言って自分の部屋に来たはず…。
なんで廉がここで寝てるんだ…?
そんなことを考えていると華子からメッセージがきた。
……まあ…廉のことは後で考えるか。
そう思って華子とのトーク画面を開く。
[雪おはよー]
[華子タイミングいいね、おはよう]
[私今起きたところ]
[私も!それでどうしたの?]
[山口さんいるでしょ?]
[うん]
[あれから私も気になって他の友達に聞いてみたんだけど、山口さんが滝本くんのこと狙ってるらしいよ]
[え、そうなの?]
[うん。雪は滝本くんのこと好きだから伝えた方がいいかなって]
[あれ、言ったっけ?]
[言われてはないけど雪のこと見てたら分かるよ。
花火大会の日に雪が滝本くんの話をしていた時、少しだけ明るい表情だったから]
華子には敵わないな…。
そんなことを思いながらうつ伏せになり、両肘をベッドに付いてスマホを触る。
[華子ってほんとに観察力すごいよね…]
[雪限定でね]
[……華子ちゃん、付き合おうか]
[彼氏いるからむりー]
[泣ける]
華子とやりとりをしていると自然と口が綻ぶ。
周りから見たらスマホに向かってにやにやしてる変なやつだけど、誰にも見られてないから私の勝ち!
[それで話戻すけど]
[なに?]
[山口さんって学校が違うでしょ?]
[うん]
[もしかしたら校門前とかにいる可能性もあるから気をつけてね]
[フラグかい…まあ気をつけます]
[そういうことだからよろしく!]
[うん、また遊ぼうね!]
[うん!]
なんで山口さんと会うと全然余裕無くなるのに、華子と話していると落ち着いていられるんだろう…。
やっぱ華子の力が偉大すぎる…。
そんなことを考えながらスマホの電源を切る。
そしてスマホを再び枕元に置いて廉の方を見ると目が合った。
「おはよう」
「………おはよ…え、いつから起きてたの?」
「雪が百面相を始めた時から」
それってほぼ最初からでは……。
「…それより体調はどう?」
「昨日よりは大分良くなったと思う」
「そっか、よかったね」
「いろいろとありがとな」
「ううん……それで、なんで体調悪かったの?」
「………」
心当たりがあるのか廉が目を逸らした。
「この痩せ方もそうだし目の下の隈もそうだし…ちゃんとご飯食べて寝た?」
「…食欲が湧かなくて…」
「どのくらいの頻度で食べたの?」
「…二日に一回くらい…」
「……量は?」
「…卵一個…」
「………」
断食ダイエットでもあるまいし…部活もしてるのによく生きていられたな…。
「ちなみにだけど」
「あ、ああ」
「一日の睡眠時間は?」
「…三十分とか…」
「………」
「あの…雪…?」
廉が恐る恐る聞いてくる。
「…廉って普段そんな生活送ってたっけ?」
「いや…」
廉の様子を窺うとすっかり縮こまっていた。
「あー、怒ってるように聞こえてたらごめんよ」
「いや、それは大丈夫なんだけど…」
廉の何か言うのを躊躇っている姿を見て即座に話を切り替える。
「とりあえずご飯にしよっか」
「…分かった」
「作ってくるから待ってて」
「俺も行くよ」
「まだ治ってないし大丈夫だよ」
「…ありがとな。顔洗いたいし部屋の洗面台借りていい?」
「うん」
廉との会話を終え、ベッドから降りて部屋から出た。
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