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苦悩
(3) 滝本side
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ゲームに熱中していたらいつの間にか日が暮れていた。
「ねえ廉、そろそろご飯にしない?」
時計を見ると既に七時になっている。
「そうだな。じゃあゲーム終わるか」
「え……」
「え…?」
「今夜は遅くまでゲームをしようと…」
雪から悲壮感が漂う。
「でもご飯にするんだろ?」
「…そのあとにまた…」
…この感じだと徹夜でゲームしてそうだしな…。
「じゃあご飯の後にしてもいいけど十時までな」
「はーい……廉、お母さんみたい」
「……」
明日は学校だから早めに寝かせてあげようと思ったけど、やっぱやめるか…。
雪が何かを察知したのか、少し後ずさりしている。
「あの…?」
「どうしたの?」
にこりと笑いかけたのに雪の顔が引きつっていた。
「夕飯作ってくるから雪は待ってて」
「あ…はい…」
そのまま台所に向かい、さっと料理を作って部屋に持っていく。
ドアを開けると雪がベッドから起き上がり近づいてきた。
「ご飯ありがとね」
「大丈夫だよ」
食事を並べて二人で食べる。
すると雪に話しかけられた。
「ねえ廉」
「どうした?」
「明日はテスト返却と終業式でしょ?」
「ああ」
「夏休み中こっちにいることになったし、明日は帰りに家に寄って服とか持ってくるね」
「俺もついて行くよ」
「んー…でも時間かかるよ?」
「全然大丈夫。雪は明日部活ある?」
「うん、でも学校自体が午前で終わるし部活も四時には終わるよ。廉は?」
「俺も同じ」
「じゃあいつも通り玲と石田も誘って四人で帰ろっか」
「…え、二人じゃないの?」
雪を見ると少し戸惑っている。
「流石に道が違うから途中で玲達とは別れるよ?」
「そうじゃなくて最初から二人で帰るのは?」
雪がピシッと固まった。
「…それは私の公開処刑…」
「…二人で一緒に帰るのは嫌?」
「いやそういうことじゃなくて…廉の人気えげつないから…」
俺としては雪と付き合ってることを周りにアピールしたいんだが…。
「……雪は付き合ってることを隠したいの?」
「…できれば。ファンクラブが結構怖い…」
たしかに西野が言うには一部過激なのがいるらしいしな…。
まあ少なくとも雪に彼氏がいることは分かるだろうからいいか。
覗き込まないと分からないところに赤い花を咲かせたことを思い出し、そう自分で納得した。
「分かった」
返事をすると、雪がほっとして嬉しそうな表情を浮かべる。
「ありがとう!」
「…ん」
…かろうじて学校に行けるくらいの体力を残しておけば、あとは好きにしていいよな。
そんなことを思いながらご飯を食べた。
「ねえ廉、そろそろご飯にしない?」
時計を見ると既に七時になっている。
「そうだな。じゃあゲーム終わるか」
「え……」
「え…?」
「今夜は遅くまでゲームをしようと…」
雪から悲壮感が漂う。
「でもご飯にするんだろ?」
「…そのあとにまた…」
…この感じだと徹夜でゲームしてそうだしな…。
「じゃあご飯の後にしてもいいけど十時までな」
「はーい……廉、お母さんみたい」
「……」
明日は学校だから早めに寝かせてあげようと思ったけど、やっぱやめるか…。
雪が何かを察知したのか、少し後ずさりしている。
「あの…?」
「どうしたの?」
にこりと笑いかけたのに雪の顔が引きつっていた。
「夕飯作ってくるから雪は待ってて」
「あ…はい…」
そのまま台所に向かい、さっと料理を作って部屋に持っていく。
ドアを開けると雪がベッドから起き上がり近づいてきた。
「ご飯ありがとね」
「大丈夫だよ」
食事を並べて二人で食べる。
すると雪に話しかけられた。
「ねえ廉」
「どうした?」
「明日はテスト返却と終業式でしょ?」
「ああ」
「夏休み中こっちにいることになったし、明日は帰りに家に寄って服とか持ってくるね」
「俺もついて行くよ」
「んー…でも時間かかるよ?」
「全然大丈夫。雪は明日部活ある?」
「うん、でも学校自体が午前で終わるし部活も四時には終わるよ。廉は?」
「俺も同じ」
「じゃあいつも通り玲と石田も誘って四人で帰ろっか」
「…え、二人じゃないの?」
雪を見ると少し戸惑っている。
「流石に道が違うから途中で玲達とは別れるよ?」
「そうじゃなくて最初から二人で帰るのは?」
雪がピシッと固まった。
「…それは私の公開処刑…」
「…二人で一緒に帰るのは嫌?」
「いやそういうことじゃなくて…廉の人気えげつないから…」
俺としては雪と付き合ってることを周りにアピールしたいんだが…。
「……雪は付き合ってることを隠したいの?」
「…できれば。ファンクラブが結構怖い…」
たしかに西野が言うには一部過激なのがいるらしいしな…。
まあ少なくとも雪に彼氏がいることは分かるだろうからいいか。
覗き込まないと分からないところに赤い花を咲かせたことを思い出し、そう自分で納得した。
「分かった」
返事をすると、雪がほっとして嬉しそうな表情を浮かべる。
「ありがとう!」
「…ん」
…かろうじて学校に行けるくらいの体力を残しておけば、あとは好きにしていいよな。
そんなことを思いながらご飯を食べた。
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