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受容
(3)
しおりを挟む少しの沈黙の後、滝本が口を開く。
「それで…その訳って何のこと?」
「が、学校の人がいたから見られたくないなと…」
「雪は付き合ってることを隠したいの?」
「できれば…!」
「ふーん…ちなみに理由は?」
「滝本モテるから目立ちそうっていうか…」
「流石に俺も少しくらいモテているのは自覚しているけどそこまでじゃなくないか?」
「いや!滝本は尋常じゃなくモテてるよ!?
もっとしっかり自覚した方がいいと思う!」
「お、おお…」
「つまりそういうことですね!」
「…逃げた理由ってそれだけ?」
「あと、その…水着見られるの恥ずかしいなって…」
「………」
気まずさと恥ずかしさから目線を横にずらした。
「水着、似合っててすごく可愛いよ」
「!?」
驚いて滝本を見ると少し照れているようだ。
「ていうかむしろ可愛すぎて他の人に見せたくない…俺の雪なのに…」
「「………」」
恥ずかしさでお互いに黙り込んでしまう。
「えっと…滝本もかっこいいよ…?」
「………」
何この付き合いたての初々しいカップル感!
いや実際そうなんだけど…!
一人で心の中で会話を始めてしまう。
滝本の反応が無いので様子を窺うと固まっていた。
「滝本…?」
呼びかけるとようやく動き出し、深呼吸をし始めた。
「…ごめん、いろいろ考えてた」
「そ、そっか」
心を落ち着かせているのか、何かと戦っているような顔をしている。
「あれ、そういえばさっき近くにいた他の女子は?」
「今彼女といるからって言ったら見事に固まったからその隙にこっちに来た」
「おぉ…」
周りを急いで見回すと老若男女問わずちらちら見られている。
もう既にバレてるかもしれないのね…。
あー、今すぐ消えたい…。
再び隠れようかと一瞬考えたが、せっかく四人で遊びに来たのだから流石にもうやめた方がいいだろう。
そう思って遅すぎる覚悟を決めた。
あとは普通に滝本が許してくれなさそうだし…。
チラッと滝本を見ると微笑みかけられる。
「えっと…玲と石田はどうしてる?」
二人のことが気になり滝本に尋ねる。
「二人で奥の方のプールで遊んでるって言ってたけど合流する?」
「する!」
「了解」
そのまま今いるプールから出て、二人のいる奥の方に向かった。
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