溺愛系男子との甘い同居生活 (旧題:親友と好きな人が両思いらしいのでここは大人しく諦めて応援しようと思います)

捕獲

(5)

あ、玲がいる。

教室の窓から外を見ていると玲の姿を見つけた。
小柄でスタイルがよく、マネージャーとしての記録道具等を持っているために見つけやすいのだ。
そのまま見ていると玲と目が合った。
嬉しそうな顔をしてこちらに駆け寄ってくる。

「雪ちゃんここにいたんだね」

「おつかれさま！私は今来たところだよ」

「そうなんだ！
 先生が会議あるの忘れていたらしくて、今日はもう部活終わるから帰れるんだ」

「予定より早かったね。
 それならそろそろ私もそっちに行くね」

「うん！じゃあ戻るね」

「はーい」

どうやら部員も練習を終えたようで片付けを始めていた。
その中に滝本の姿を見つけ、複雑な気持ちになる。
気持ちを伝えた後も友達として受け入れてくれるのか、それとも拒まれるのか。
それが分からないからただただ怖いのだ。
今は滝本を見ていたくないという気持ちから目を逸らし、荷物を持って教室を出る。
そして下駄箱に行き靴を履いて校舎を出た。


グラウンドに行くと片付けの終わった玲が近づいてくる。

「雪ちゃん片付け終わったよ」

「おつかれさま」

「雪ちゃん…？」

「え、どうかした？」

「ううん、なんでもない…。
 あ、石田くんと滝本くんも一緒に帰る？」


近くに二人に玲が声をかける。

「そうしようぜ」

石田が即座に答えた。
考査が終わって元気を取り戻したようだ。

「じゃあそうしよう」

玲の一言で四人で帰ることになった。
滝本が近くにいることは普段なら嬉しいが、今は心の整理ができておらず複雑な気持ちで校門を出た。





さりげなく石田の近くにより小さく背中を叩く。

会話をしている玲と滝本に気づかれないよう、小さな声で話しかけた。

「…ねえ石田」

「ん？」

「今日ちょっと相談したいことがあるんだけど今からって時間空いてる？」

「清水が相談って珍しいな、俺は空いてるよ」

「近くにあるカフェに行けたりしない？」

「高い店じゃなければいける」

「ありがと、じゃあ行こう」


決まったところで少し先程より大きめな声で言う。


「あ、学校に忘れ物した！石田一緒に来てくれない？」

「え？…ああ、いいよ」

「ありがとう！じゃあ二人ともまたね！」

「私達も行こっか？」

「ううん、大丈夫だよ」

「清水、俺が一緒に行くよ」

そそくさと離れようとすると滝本に声をかけられた。

「えっと…実は先生から自習用の課題貰ってるんだ。
 石田も貰ってるらしいから石田と一緒に行くね！
 玲のこと宜しく！」

そう言って半ば言い逃げするように石田と学校の方向に戻った。


「店でちゃんと説明しろよ…」

「…ハイ」

石田が何故か震えながら言う。
普段下校する方向とは逆方向に店があるので、学校に戻るという言い訳は使いやすかった。
数分歩いた後、目の前に見える店に入る。