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変化
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「じゃあ連絡は終わりだ」
新井先生のその言葉を合図に日直が号令をかける。
「起立、礼」
「「「さようなら」」」
「また来週な」
私立は土曜日も授業がある。
しかし土曜日だけは午前中授業なので、自然と部活の時間も長くなる仕組みだ。
HRが終わってすぐ、玲が近づいてきた 。
「雪ちゃんはこのあと部活あるの?」
「今日は顧問がいないから休みなんだよね、玲は部活?」
「うん!」
「なるほどね、がんばって!」
「ありがとう!あと滝本くんのことは先生に伝えておくね」
「おー、ありがとな」
「じゃあ行くね!」
「いてら!」
「またな」
教室から出ていく玲を見送る。
「俺らも帰るか」
「だね」
他の人から変に思われないかという不安から、滝本に失礼だとは思いながらも微妙な距離を保ち、会話もあまりせず校門を出た。
「それで、話したいことなんだけどさ」
「…他の生徒もいるから俺の家で話さない?」
「え?家?」
「そう、ここだと目立つし頼む」
「わ、分かった」
どうしようか迷っていると、滝本が突然真剣な顔をして言うからつい了承してしまった。
もう今更一回や二回行っても変わらないか。
考えることをやめて大人しくついていくことにした。
「…手を繋いでもいい?」
「え…?」
「手、繋ぎたい」
突然の申し出に困惑していると滝本に手を取られて恋人繋ぎになってしまった。
恥ずかしすぎて辛い…!!
人生初めての恋人繋ぎで心臓が暴れる。
手汗は大丈夫だろうか、ハンドクリームとかしっかり塗るべきだった…!という思いが頭の中を埋め尽くす。
昨日も思ったけど滝本の手って大きくてあったかいな…。
そうこうしている内に滝本の家に着いた。
半ば押し込められるように家に入りドアが閉まる。
無言のまま滝本の部屋に連れていかれた。
「………」
どうしよう。
これって話しかけていいのかな?
それとも黙っておくべき?
滝本をちらっと見ると目が合った。
「突然変なこと言ってごめんな」
「ううん、それは全然大丈夫だけど何かあったの?」
「昨日の不審者っぽいのが曲がり角の端からこっちを見ていたんだよ。
それでマズいと思ったから家に呼んだ」
「え………」
自分でも血の気が引いていくのが分かった。
警戒していなかったわけではなかったが、昼だから流石にいないだろうと油断していたのだ。
「大丈夫か?」
「あ、ああ…うん…なんとか」
「今日も親は家にいないんだっけ?」
「…うん。今朝留守電があったから確認したら、トラブルがあったらしくて家に帰るのが再来週に延びそうって」
「そうか…それなら暫く俺の家泊まれよ」
「いや、流石にそんなに迷惑かけられないし大丈夫だよ」
「俺が泊めたい」
「あ、う……でも、それぞれの親の了承とか…」
本当に滝本はかっこよすぎて心臓に悪い。
真剣な顔で言われてしまい、無意識に頷きそうになってしまった。
もう少し私の心に優しいことを言ってくれと訳が分からない文句を言いたくなるものだ。
「じゃあ親の了承があればいいんだよな?」
「まあ…」
「清水のご両親の電話番号って分かる?」
「え?スマホに入ってるから分かるけど…」
「俺が連絡するから教えて貰ってもいい?」
「滝本が?」
「俺が連絡した方がいいかなって」
「あ、じゃあお願い」
電話番号を教えると、滝本は電話を掛けに部屋を離れた。
新井先生のその言葉を合図に日直が号令をかける。
「起立、礼」
「「「さようなら」」」
「また来週な」
私立は土曜日も授業がある。
しかし土曜日だけは午前中授業なので、自然と部活の時間も長くなる仕組みだ。
HRが終わってすぐ、玲が近づいてきた 。
「雪ちゃんはこのあと部活あるの?」
「今日は顧問がいないから休みなんだよね、玲は部活?」
「うん!」
「なるほどね、がんばって!」
「ありがとう!あと滝本くんのことは先生に伝えておくね」
「おー、ありがとな」
「じゃあ行くね!」
「いてら!」
「またな」
教室から出ていく玲を見送る。
「俺らも帰るか」
「だね」
他の人から変に思われないかという不安から、滝本に失礼だとは思いながらも微妙な距離を保ち、会話もあまりせず校門を出た。
「それで、話したいことなんだけどさ」
「…他の生徒もいるから俺の家で話さない?」
「え?家?」
「そう、ここだと目立つし頼む」
「わ、分かった」
どうしようか迷っていると、滝本が突然真剣な顔をして言うからつい了承してしまった。
もう今更一回や二回行っても変わらないか。
考えることをやめて大人しくついていくことにした。
「…手を繋いでもいい?」
「え…?」
「手、繋ぎたい」
突然の申し出に困惑していると滝本に手を取られて恋人繋ぎになってしまった。
恥ずかしすぎて辛い…!!
人生初めての恋人繋ぎで心臓が暴れる。
手汗は大丈夫だろうか、ハンドクリームとかしっかり塗るべきだった…!という思いが頭の中を埋め尽くす。
昨日も思ったけど滝本の手って大きくてあったかいな…。
そうこうしている内に滝本の家に着いた。
半ば押し込められるように家に入りドアが閉まる。
無言のまま滝本の部屋に連れていかれた。
「………」
どうしよう。
これって話しかけていいのかな?
それとも黙っておくべき?
滝本をちらっと見ると目が合った。
「突然変なこと言ってごめんな」
「ううん、それは全然大丈夫だけど何かあったの?」
「昨日の不審者っぽいのが曲がり角の端からこっちを見ていたんだよ。
それでマズいと思ったから家に呼んだ」
「え………」
自分でも血の気が引いていくのが分かった。
警戒していなかったわけではなかったが、昼だから流石にいないだろうと油断していたのだ。
「大丈夫か?」
「あ、ああ…うん…なんとか」
「今日も親は家にいないんだっけ?」
「…うん。今朝留守電があったから確認したら、トラブルがあったらしくて家に帰るのが再来週に延びそうって」
「そうか…それなら暫く俺の家泊まれよ」
「いや、流石にそんなに迷惑かけられないし大丈夫だよ」
「俺が泊めたい」
「あ、う……でも、それぞれの親の了承とか…」
本当に滝本はかっこよすぎて心臓に悪い。
真剣な顔で言われてしまい、無意識に頷きそうになってしまった。
もう少し私の心に優しいことを言ってくれと訳が分からない文句を言いたくなるものだ。
「じゃあ親の了承があればいいんだよな?」
「まあ…」
「清水のご両親の電話番号って分かる?」
「え?スマホに入ってるから分かるけど…」
「俺が連絡するから教えて貰ってもいい?」
「滝本が?」
「俺が連絡した方がいいかなって」
「あ、じゃあお願い」
電話番号を教えると、滝本は電話を掛けに部屋を離れた。
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