152 / 167
ローグパラディズム・イン・ザ・ダークact5
しおりを挟む
アミル・ジ・エンド・・・後世の人はこの事件をそう名付けて巨星の最期を悼むのかもしれない。
「痛ってーっ!ちくしょー、誰だこんな低い梁を作りやがったなあ」
聞こえて来たのは男の高笑いではなく、無様な怒声だった。
頭を必死に抱えていたアミルが恐る恐る目を開けると、男は手を抱えて痛みに打ち震えている。
「チャンスなんっ!」
どっこい生きてるド根性アミルは必死に手足をバタつかせて這い出ると、ようやく足腰も言うことを聞き始めた。出口へ向けて一目散に駆け出す。
「さ、サイナラっ!」
「あっ、このっ!待て畜生!ぬ、抜けねえ。待てえっ!」
「待てと言われて待つわけなっしんぐ~」
アミルを取り押さえるべく支配人の男がタックルを試みる。男の手がアミルの脚に届こうとしていた。なりふり構わぬ男の執念にハニービーももはや策を選んでいる場合ではなくなったようだ。何とかなあれ大作戦を大決行なわけよ。
「ええいっ、ままよっ!」
「逃がすかよっ・・・うべぇっ!」
必死に逃げ出すアミルの後方で喚き声が轟く。振り返ると凶暴な支配人はハニービーが今まで収納していたガラクタの山に押し潰されているではないか。その光景にアミルが歓喜の声を上げる。
「ナイスですん、妖精さま~」
アミルは守った。次どうしよう、教えてリーファさま~
アミル付きのハニービーはトーチとポーターの能力しかなく、キュアやディフェンダーの能力を持たない。守るには守ったものの・・・ハニービーが途方に暮れる。
だがこれで安全になったわけではないようだ。支配人の叫び声を無視してアミルが抜け出した先に待ち受けていたのは従業員たちの怨嗟の声だった
「何てこったあ。どうしてこうなった?」
「5階のスイートルームがズタズタだ。」
従業員たちが頭を抱えてうめいている。後片付けが恐ろしいレベルなんじゃなかろうか。こんな状態で鉢合わせた日にはどうなることだろう。しかし5階と言えばリアンとヴァイスがいたはずだ。
「これは何かあったに違いないのん。まずはべーやんたちを確保して・・・ヴァイスとリアン。いやいや、心配せずともあの二人は無事に決まってるんな。」
アミルが思案していると聞きたくない喚き声が聞こえて来た。どうやら立ち止まって考えている時間などハナからなかったようだ。
「どこ行った、あのクソチビめ?」
「ひいぃっ、復活してるのん。早くもっさんのところに行かな行かにゃいかんのん。」
そろそろそろ・・・
「ん、何かいま??」
「どうした?」
「・・・気のせいか。なんでもない。」
「くっ!少しは油断してほしいのん。アミルでなければ尻隠れ頭隠さずなんな。ふうー危ない」
衣擦れ程度の物音に反応した従業員に戦慄が走る。何にせよこんな場所で見つかってしまっては即フクロ叩きになってしまう。アミルの額から大粒の汗が流れ落ちた。
「ぁんの野郎。」
「うわあっ!・・・支配人?どうされたのですか、ホコリまみれではないですか。」
下の階段から上がって来たホコリまみれの男に仰天した従業員が後ずさりする。あまりの小汚い姿に支配人と認識するまでに数秒かかった。
「クソ!あの羊のガキに不覚をとった。まだ内部にいるはずだ。お前らも見つけたら引っ捕らえて俺のもとに連れて来い。」
「承知しました。おい、支配人のお召し物をお持ちしろ!」
ハニービーがパントリーから取り出した樽にスッポリと収まったアミルは背筋が寒くなる。
「うひーん、アミルのことはお構いなく~」
***
「ぬうぅ・・・不覚。まさか取り逃がした上に見失うとは・・・」
「十騎長殿!」
「どうしたマクシア?」
ワイルドが呼ばれた先にたどり着くとそこにはいくつかの惨殺死体が残されていた。
「これは・・・」
「おのれ毒婦め!」
「むう・・・ん!?これは」
何か手がかりが残されていないか探っていたワイルドが何かに行き当たったようだ。
「いかがなされました?」
「よく見てみろ、これはあの童の仕業にあらず。」
ワイルドが断言するも部下の重騎士たちはその珍説に首を傾げている。その空気を感じ取ったワイルドが根拠を述べるべく言葉を続けた。
「はらわたをぶちまけるのは童のスタイルではなさそうだ。お前たちもセントクーンズの外と中で何度となく目にしたであろう?」
「これはしたり。これは切断したというよりはぶち抜いたといった具合ですなあ。では・・・まさかあのエルフが?」
「それも無かろう。あ奴は魔術封印を施されておった。これを為すに能う腕力などもあるまい。」
ヴァイスたちが逃走経路上で犯した殺人ではないとすれば犯人は誰なのか。しかし彼女らとはまったく無関係に同時多発的に起きたとも断言できない。そこに何か意味が込められていそうだが・・・
「では別の者が?しかし何のためにこのような」
「おそらくこちらに童が向かったと思わせるためのデコイだろう。それにしてはえらく仕事は雑だがなあ。・・・となると我ら以外に何者かが動いておるかもしれぬ。」
「奴ばらの一味でしょうや。」
「あらかじめ申し合わせておくなどあるだろうか?仲間と言うならばこのような通り魔殺人など下策だ。むしろ敵対者のような気がする。」
部下の言い分も筋が通らぬわけではない。ただ己の勘にすぎないことも自覚してはいるのだが
「しかし一体どこの誰が?Aランク相手に命知らずにも程がありましょうや・・・」
「キャアー!」
「ぬっ!」
悲鳴の上がった先に目を向けると複数の若い男女が立っている。しかしこの暗がりでは相手の姿などよく見えない。
「何だよこりゃあ?」
「お前らがやったのか!」
「曲者め!よくもぬけぬけと。」
暗闇の中、互いに人殺しの罪をなすり合っても不毛と考えた重騎士の一人が手をかざす。
「光明よ!」
「何、貴殿は!」
ライティングで照らし出した先にいたのは瀕死の重傷を負った兵士たちを救ってくれた大恩人の少女だった。
「何だリーファ、あいつと知り合いなのか?」
「いや、知らないよマイク。」
「だよなあ。」
「私だ!」
しかし目の前のピカピカフルプレートが知り合いアピールしてくる。あんなゴツイ奴らなんて今までに会ったことなんてないぞ?誰かと勘違いしてるんじゃないか?
「いや、わからねえよ!」
「十騎長殿、フルフェイスの兜ではお顔がわかりませんぞ。」
「そうであった。」
「何やってんだアレ?」
何か既視感がぬぐえない。この感じ、どこかで
「何となくスアレス感があるな。」
「それな。さすがシンディー。」
「その点、俺はスアレス感で言うとまるでスアレスそのもの・・・ん?俺は何を言っているんだ?」
スアレスが何やら自己完結的にドツボ入りしているのは珍しくもない。それはそれとして、妙に聞き覚えのある単語が耳に入って来たなあ。
「十騎長?もしかしてワイルドなのか?」
「痛ってーっ!ちくしょー、誰だこんな低い梁を作りやがったなあ」
聞こえて来たのは男の高笑いではなく、無様な怒声だった。
頭を必死に抱えていたアミルが恐る恐る目を開けると、男は手を抱えて痛みに打ち震えている。
「チャンスなんっ!」
どっこい生きてるド根性アミルは必死に手足をバタつかせて這い出ると、ようやく足腰も言うことを聞き始めた。出口へ向けて一目散に駆け出す。
「さ、サイナラっ!」
「あっ、このっ!待て畜生!ぬ、抜けねえ。待てえっ!」
「待てと言われて待つわけなっしんぐ~」
アミルを取り押さえるべく支配人の男がタックルを試みる。男の手がアミルの脚に届こうとしていた。なりふり構わぬ男の執念にハニービーももはや策を選んでいる場合ではなくなったようだ。何とかなあれ大作戦を大決行なわけよ。
「ええいっ、ままよっ!」
「逃がすかよっ・・・うべぇっ!」
必死に逃げ出すアミルの後方で喚き声が轟く。振り返ると凶暴な支配人はハニービーが今まで収納していたガラクタの山に押し潰されているではないか。その光景にアミルが歓喜の声を上げる。
「ナイスですん、妖精さま~」
アミルは守った。次どうしよう、教えてリーファさま~
アミル付きのハニービーはトーチとポーターの能力しかなく、キュアやディフェンダーの能力を持たない。守るには守ったものの・・・ハニービーが途方に暮れる。
だがこれで安全になったわけではないようだ。支配人の叫び声を無視してアミルが抜け出した先に待ち受けていたのは従業員たちの怨嗟の声だった
「何てこったあ。どうしてこうなった?」
「5階のスイートルームがズタズタだ。」
従業員たちが頭を抱えてうめいている。後片付けが恐ろしいレベルなんじゃなかろうか。こんな状態で鉢合わせた日にはどうなることだろう。しかし5階と言えばリアンとヴァイスがいたはずだ。
「これは何かあったに違いないのん。まずはべーやんたちを確保して・・・ヴァイスとリアン。いやいや、心配せずともあの二人は無事に決まってるんな。」
アミルが思案していると聞きたくない喚き声が聞こえて来た。どうやら立ち止まって考えている時間などハナからなかったようだ。
「どこ行った、あのクソチビめ?」
「ひいぃっ、復活してるのん。早くもっさんのところに行かな行かにゃいかんのん。」
そろそろそろ・・・
「ん、何かいま??」
「どうした?」
「・・・気のせいか。なんでもない。」
「くっ!少しは油断してほしいのん。アミルでなければ尻隠れ頭隠さずなんな。ふうー危ない」
衣擦れ程度の物音に反応した従業員に戦慄が走る。何にせよこんな場所で見つかってしまっては即フクロ叩きになってしまう。アミルの額から大粒の汗が流れ落ちた。
「ぁんの野郎。」
「うわあっ!・・・支配人?どうされたのですか、ホコリまみれではないですか。」
下の階段から上がって来たホコリまみれの男に仰天した従業員が後ずさりする。あまりの小汚い姿に支配人と認識するまでに数秒かかった。
「クソ!あの羊のガキに不覚をとった。まだ内部にいるはずだ。お前らも見つけたら引っ捕らえて俺のもとに連れて来い。」
「承知しました。おい、支配人のお召し物をお持ちしろ!」
ハニービーがパントリーから取り出した樽にスッポリと収まったアミルは背筋が寒くなる。
「うひーん、アミルのことはお構いなく~」
***
「ぬうぅ・・・不覚。まさか取り逃がした上に見失うとは・・・」
「十騎長殿!」
「どうしたマクシア?」
ワイルドが呼ばれた先にたどり着くとそこにはいくつかの惨殺死体が残されていた。
「これは・・・」
「おのれ毒婦め!」
「むう・・・ん!?これは」
何か手がかりが残されていないか探っていたワイルドが何かに行き当たったようだ。
「いかがなされました?」
「よく見てみろ、これはあの童の仕業にあらず。」
ワイルドが断言するも部下の重騎士たちはその珍説に首を傾げている。その空気を感じ取ったワイルドが根拠を述べるべく言葉を続けた。
「はらわたをぶちまけるのは童のスタイルではなさそうだ。お前たちもセントクーンズの外と中で何度となく目にしたであろう?」
「これはしたり。これは切断したというよりはぶち抜いたといった具合ですなあ。では・・・まさかあのエルフが?」
「それも無かろう。あ奴は魔術封印を施されておった。これを為すに能う腕力などもあるまい。」
ヴァイスたちが逃走経路上で犯した殺人ではないとすれば犯人は誰なのか。しかし彼女らとはまったく無関係に同時多発的に起きたとも断言できない。そこに何か意味が込められていそうだが・・・
「では別の者が?しかし何のためにこのような」
「おそらくこちらに童が向かったと思わせるためのデコイだろう。それにしてはえらく仕事は雑だがなあ。・・・となると我ら以外に何者かが動いておるかもしれぬ。」
「奴ばらの一味でしょうや。」
「あらかじめ申し合わせておくなどあるだろうか?仲間と言うならばこのような通り魔殺人など下策だ。むしろ敵対者のような気がする。」
部下の言い分も筋が通らぬわけではない。ただ己の勘にすぎないことも自覚してはいるのだが
「しかし一体どこの誰が?Aランク相手に命知らずにも程がありましょうや・・・」
「キャアー!」
「ぬっ!」
悲鳴の上がった先に目を向けると複数の若い男女が立っている。しかしこの暗がりでは相手の姿などよく見えない。
「何だよこりゃあ?」
「お前らがやったのか!」
「曲者め!よくもぬけぬけと。」
暗闇の中、互いに人殺しの罪をなすり合っても不毛と考えた重騎士の一人が手をかざす。
「光明よ!」
「何、貴殿は!」
ライティングで照らし出した先にいたのは瀕死の重傷を負った兵士たちを救ってくれた大恩人の少女だった。
「何だリーファ、あいつと知り合いなのか?」
「いや、知らないよマイク。」
「だよなあ。」
「私だ!」
しかし目の前のピカピカフルプレートが知り合いアピールしてくる。あんなゴツイ奴らなんて今までに会ったことなんてないぞ?誰かと勘違いしてるんじゃないか?
「いや、わからねえよ!」
「十騎長殿、フルフェイスの兜ではお顔がわかりませんぞ。」
「そうであった。」
「何やってんだアレ?」
何か既視感がぬぐえない。この感じ、どこかで
「何となくスアレス感があるな。」
「それな。さすがシンディー。」
「その点、俺はスアレス感で言うとまるでスアレスそのもの・・・ん?俺は何を言っているんだ?」
スアレスが何やら自己完結的にドツボ入りしているのは珍しくもない。それはそれとして、妙に聞き覚えのある単語が耳に入って来たなあ。
「十騎長?もしかしてワイルドなのか?」
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?


転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜
黒城白爵
ファンタジー
とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。
死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。
自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。
黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。
使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。
※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。
※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる