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情けは人の為ならず
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この調子で15分そこそこかかったものの、全員手足がつながって一命を取り留めたようだ。とは言え、命に別状はないけが人がまだまだ大勢といった感じだ。あとはそっちで何とかしてくれ。
「実に助かった。是非とも手厚く礼がしたい。」
「お代なら普通のポーションの相場に少し色をつけてくれりゃあいいよ。」
「商人なのだろう?何を欲の無いことを言っておるのだ。これだけのモノを施されてそんなワケにはいかん。我が主から十分な褒賞をいただけるようかけあうゆえ、是非とも一緒に」
いや~、アンダシルヴァでさんざん帝国兵を血祭りにあげた私が帝国のお偉いさんから感謝されるのも気持ちが悪いなあ。また戦わなきゃいけなくなるかもしれないし、なれ合うのも変だよ。
「あ~、悪いけど先約があって先を急ぐんだ。」
「それは困った。セントクーンズには立ち寄るのか?」
「ああ、そのつもり。」
「ちょうど良かった。生憎と今は手持ちの金子が無いのだ。2、3日かかるが衛兵隊本部に立ち寄ってくれれば必ず本日の謝礼を渡す。」
う~ん、面倒だしわざわざ立ち寄るかはわからんけど。まあこの人なりの誠意ってヤツなのかなあ。
「ああ、覚えて置くよ。」
「私はワイルド十騎長だ。証にこれを持って行くがよい。門でそれを見せれば便宜をはかってくれるはずだ。」
「へえ、ありがとう。私はリーファだ。じゃあ預かっておくよ、ワイルド。」
私はワイルドから何やら紋章入りの探検を受け取った。豪華な装飾を見てもわかるがかなり高価な代物なんじゃなかろうか。
リーファが顔を上げるとワイルドはうやうやしく聖印を切る。
「うむ。良き旅路、良き再開を」
***
ワイルドとその部下たちに見送られてその場を後にしたリーファたちは遠くにセントクーンズの城壁へと向かう。しばらく馬車に揺られていると気づかない内に眠っていたようだ。ロミアの駆る馬車はいつの間にかセントクーンズの城壁の前にはたどり着いていた。
まだセントクーンズの中には入ってないのか・・・アレ?いつの間にやら夕暮れじゃないか。それに何やら外が騒々しいぞ?
「入れないなんて聞いてない。」
「いま聞いただろう。」
「何でなんです?さっきまで入城が許されていたじゃないか!」
「そんなことは知らん。」
「いきなり何で閉めるんです?まだそんな時間じゃないし、後ろにもまだまだ人が並んでるんですよ。」
「うるさいヤツめ。中に入れろと言うなら入れてやらんでもない。」
「本当に?やった!」
「ああ、お望み通り牢屋にぶち込んでやる。」
衛兵の意地の悪い言葉に少年がガックリと肩を落とす。
「これじゃあ旦那さまにお叱りを受けてしまう・・・うわあ!」
少年は衛兵に突き飛ばされてその場に尻もちをついた。
「通さんと言っているのだ。わかったならとっとと失せろ!」
「このわからず屋め!」
何やら門の前で衛兵と少年がもめているようだ。それに気づいたスアレスが感心している。
「ほ~う、元気なヤツもいるもんだ。」
私が目を凝らして前方を見ていると今度はマイクが身を乗り出してそれを眺める。
「あの身なりからしてどこかの商会の奉公人だろう。どうしたんだリーファ?」
「いや、あいつどこかで見たような・・・」
さすがに入城できないのは困るので、交渉しに行くことになった。スアレスと私は馬車を降りて城門へと向かう。
「ウギャア!」
「痛い目に会いたいというならこちらも容赦せんぞ、ガキ」
「あいつ立ち上がったぞ。」
自分より一回り大きい衛兵に殴られてその場に倒れた少年が立ち上がると周囲の野次馬たちがどよめく。すると少年の仲間だろうか、小太りの男が近づいて彼に声をかけた。
「もういい、やめておけガノフ。ケガじゃ済まなくなるぞ?」
「ロウイさん、あなただってこれを台無しには出来ないでしょ。」
あの少年はやはりまだ諦めていないらしい。自らの荷馬車を指さして同僚を一喝すると再び衛兵に向かい合い、まっすぐにらみつける。
「何だお前ら。まとめてかかって来るか?」
「くっ!」
「あわわわわ」
今度は他の衛兵たちが集まり出す。その絶望的光景に誰もがおしまいだと思っていると、後から割って入る物好きが現れた。
「あ~、やっぱりお前かガノフ。」
「うん?誰だ。僕を馴れ馴れしく呼ぶお前・・・リーファ!?」
「んなっはっはっは!鼻血出してスゴむって何のギャグなんだよ?」
仰天したガノフの目に映ったのはリーファと自分のことを指さして大笑いするシンディーだった。
「ゲッ!シンディーまで?いや、というかお前・・・シンディーなのか?その耳」
容姿はシンディーなのに特徴的な耳や尻尾が無い。まったくヒュームそのものの容姿にガノフが困惑している。というか、シンディーはいつの間について来たんだよ?
「何だお前らは?」
新手の助っ人登場に衛兵が声を荒げる。ガノフからバトンタッチで今度はリーファが衛兵と向き合った。
「何だと言われてもここに用があって来たんだ。」
「ダメだ。ここは通さん。帰れ。」
「帰れったって、そもそも何で門を閉めてんだ?」
とは言うものの心当たりがありまくるんだよねー・・・おそらくヴァイス絡みなんだろう。んもー、おかげで私たちまで閉め出されちゃったじゃないか。ジェゼーモフの言ったとおりになった。
「お前には関係ない。それともそこのガキみたく痛い目に会いたいのか?」
「良いのかな~私にそんなこと言って~」
「どういう意味だ?」
目の前の衛兵がいぶかしんでいるのがまるわかりの表情をしている。へへへ、じつはちょっと良いもん預かってるんだよね~。
「あんたワイルド十騎長って知らない?」
「十騎長がお前ごとき相手にするものか。適当をぬかすと承知せんぞ!」
あっそういうこと言う?じゃあ見せてやろうじゃないの。
「適当なもんか。私はこれを預かっているんだ。」
目の前の少女はカバンからおもむろに豪華な装飾の短剣を取り出した。たちまち衛兵の顔色が変わる。
「何ぃっ!そのような大事なモノを・・・お前に?」
「掠め取ったのではあるまいな?」
「そんな間抜け扱いしていいのか?十騎長に言いつけちゃおっかな~」
亡骸から剥ぎ取るのであればまだしも、こんなガキが奪い取れるわけがない。それに十騎長だったら何かの感謝のしるしに惜しげもなくくれてやることもあり得る。
「いや待て、失言だった。今のは聞き流してもらいたい。」
リーファは居並ぶ衛兵を見回すとニヤリと微笑む。こうなっては勝負ありだ。
「この門を通ったらキレイさっぱり忘れちゃうかもな~。」
根拠もなく人を疑うもんじゃないよまったく。
「十騎長のお知り合いとあらば通さぬわけに参りません。どうぞお通りを。」
「うん、ありがと。ほら、行くよガノフ。」
「え?あぁ・・・うん。」
先ほどまでこちらを排除しようと集まって来た衛兵たちは手のひら返しに整列してガノフとリーファの馬車を迎え入れた。
「実に助かった。是非とも手厚く礼がしたい。」
「お代なら普通のポーションの相場に少し色をつけてくれりゃあいいよ。」
「商人なのだろう?何を欲の無いことを言っておるのだ。これだけのモノを施されてそんなワケにはいかん。我が主から十分な褒賞をいただけるようかけあうゆえ、是非とも一緒に」
いや~、アンダシルヴァでさんざん帝国兵を血祭りにあげた私が帝国のお偉いさんから感謝されるのも気持ちが悪いなあ。また戦わなきゃいけなくなるかもしれないし、なれ合うのも変だよ。
「あ~、悪いけど先約があって先を急ぐんだ。」
「それは困った。セントクーンズには立ち寄るのか?」
「ああ、そのつもり。」
「ちょうど良かった。生憎と今は手持ちの金子が無いのだ。2、3日かかるが衛兵隊本部に立ち寄ってくれれば必ず本日の謝礼を渡す。」
う~ん、面倒だしわざわざ立ち寄るかはわからんけど。まあこの人なりの誠意ってヤツなのかなあ。
「ああ、覚えて置くよ。」
「私はワイルド十騎長だ。証にこれを持って行くがよい。門でそれを見せれば便宜をはかってくれるはずだ。」
「へえ、ありがとう。私はリーファだ。じゃあ預かっておくよ、ワイルド。」
私はワイルドから何やら紋章入りの探検を受け取った。豪華な装飾を見てもわかるがかなり高価な代物なんじゃなかろうか。
リーファが顔を上げるとワイルドはうやうやしく聖印を切る。
「うむ。良き旅路、良き再開を」
***
ワイルドとその部下たちに見送られてその場を後にしたリーファたちは遠くにセントクーンズの城壁へと向かう。しばらく馬車に揺られていると気づかない内に眠っていたようだ。ロミアの駆る馬車はいつの間にかセントクーンズの城壁の前にはたどり着いていた。
まだセントクーンズの中には入ってないのか・・・アレ?いつの間にやら夕暮れじゃないか。それに何やら外が騒々しいぞ?
「入れないなんて聞いてない。」
「いま聞いただろう。」
「何でなんです?さっきまで入城が許されていたじゃないか!」
「そんなことは知らん。」
「いきなり何で閉めるんです?まだそんな時間じゃないし、後ろにもまだまだ人が並んでるんですよ。」
「うるさいヤツめ。中に入れろと言うなら入れてやらんでもない。」
「本当に?やった!」
「ああ、お望み通り牢屋にぶち込んでやる。」
衛兵の意地の悪い言葉に少年がガックリと肩を落とす。
「これじゃあ旦那さまにお叱りを受けてしまう・・・うわあ!」
少年は衛兵に突き飛ばされてその場に尻もちをついた。
「通さんと言っているのだ。わかったならとっとと失せろ!」
「このわからず屋め!」
何やら門の前で衛兵と少年がもめているようだ。それに気づいたスアレスが感心している。
「ほ~う、元気なヤツもいるもんだ。」
私が目を凝らして前方を見ていると今度はマイクが身を乗り出してそれを眺める。
「あの身なりからしてどこかの商会の奉公人だろう。どうしたんだリーファ?」
「いや、あいつどこかで見たような・・・」
さすがに入城できないのは困るので、交渉しに行くことになった。スアレスと私は馬車を降りて城門へと向かう。
「ウギャア!」
「痛い目に会いたいというならこちらも容赦せんぞ、ガキ」
「あいつ立ち上がったぞ。」
自分より一回り大きい衛兵に殴られてその場に倒れた少年が立ち上がると周囲の野次馬たちがどよめく。すると少年の仲間だろうか、小太りの男が近づいて彼に声をかけた。
「もういい、やめておけガノフ。ケガじゃ済まなくなるぞ?」
「ロウイさん、あなただってこれを台無しには出来ないでしょ。」
あの少年はやはりまだ諦めていないらしい。自らの荷馬車を指さして同僚を一喝すると再び衛兵に向かい合い、まっすぐにらみつける。
「何だお前ら。まとめてかかって来るか?」
「くっ!」
「あわわわわ」
今度は他の衛兵たちが集まり出す。その絶望的光景に誰もがおしまいだと思っていると、後から割って入る物好きが現れた。
「あ~、やっぱりお前かガノフ。」
「うん?誰だ。僕を馴れ馴れしく呼ぶお前・・・リーファ!?」
「んなっはっはっは!鼻血出してスゴむって何のギャグなんだよ?」
仰天したガノフの目に映ったのはリーファと自分のことを指さして大笑いするシンディーだった。
「ゲッ!シンディーまで?いや、というかお前・・・シンディーなのか?その耳」
容姿はシンディーなのに特徴的な耳や尻尾が無い。まったくヒュームそのものの容姿にガノフが困惑している。というか、シンディーはいつの間について来たんだよ?
「何だお前らは?」
新手の助っ人登場に衛兵が声を荒げる。ガノフからバトンタッチで今度はリーファが衛兵と向き合った。
「何だと言われてもここに用があって来たんだ。」
「ダメだ。ここは通さん。帰れ。」
「帰れったって、そもそも何で門を閉めてんだ?」
とは言うものの心当たりがありまくるんだよねー・・・おそらくヴァイス絡みなんだろう。んもー、おかげで私たちまで閉め出されちゃったじゃないか。ジェゼーモフの言ったとおりになった。
「お前には関係ない。それともそこのガキみたく痛い目に会いたいのか?」
「良いのかな~私にそんなこと言って~」
「どういう意味だ?」
目の前の衛兵がいぶかしんでいるのがまるわかりの表情をしている。へへへ、じつはちょっと良いもん預かってるんだよね~。
「あんたワイルド十騎長って知らない?」
「十騎長がお前ごとき相手にするものか。適当をぬかすと承知せんぞ!」
あっそういうこと言う?じゃあ見せてやろうじゃないの。
「適当なもんか。私はこれを預かっているんだ。」
目の前の少女はカバンからおもむろに豪華な装飾の短剣を取り出した。たちまち衛兵の顔色が変わる。
「何ぃっ!そのような大事なモノを・・・お前に?」
「掠め取ったのではあるまいな?」
「そんな間抜け扱いしていいのか?十騎長に言いつけちゃおっかな~」
亡骸から剥ぎ取るのであればまだしも、こんなガキが奪い取れるわけがない。それに十騎長だったら何かの感謝のしるしに惜しげもなくくれてやることもあり得る。
「いや待て、失言だった。今のは聞き流してもらいたい。」
リーファは居並ぶ衛兵を見回すとニヤリと微笑む。こうなっては勝負ありだ。
「この門を通ったらキレイさっぱり忘れちゃうかもな~。」
根拠もなく人を疑うもんじゃないよまったく。
「十騎長のお知り合いとあらば通さぬわけに参りません。どうぞお通りを。」
「うん、ありがと。ほら、行くよガノフ。」
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