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琥珀色の猜疑2
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「どう?聞きたくなったでしょ。」
馴れ馴れしいのが無性に忌々しい。そんなんでこちらを懐柔できるなんて思うなよ。
リーファは胡散臭いと言わんばかりの視線をジェゼーモフに向ける。
「誘拐犯の言う事なんて当てになるものか。」
「言い訳でも何でもないんだけど、私がここにいる本当の理由は誘拐のためではないのよ。」
「はっ!そんなのウソだね。お前はリアンを解放しようとする私たちの邪魔をしたじゃないか!」
「そうなの、心ならずもね~」
「のらりくらりと言い訳しやがって、よくもぬけぬけと」
顔を真っ赤にして怒りの感情をあらわにするリーファに対し、あろうことかジェゼーモフは心外とばかりに口をとがらせてブツブツ言いだす。
「だって私が出張らないと、アンタたちヴァイスに殺されてたわよ?あの子、敵対する相手にはホント容赦ないから。」
「お前だって私たちを殺そうとしたじゃないか。自分のしでかしたことを都合よく改竄すんな!」
「いや、ジェゼーモフの言ったことはウソとも言い切れない。」
リーファは煮えきらないことばかり言うスアレスをにらみつける。いろいろなことが積み重なった結果、そろそろリーファの我慢も限界に来ていた。あまりに不穏な空気にティナがあわてて割って入る。
「私もまったく納得行かないけど、全部聞いて見よう?怒るのはきっとそれからでも良いと思うんだよリーファ」
「私だってわかってる、スアレスは誰よりも信頼できる仲間だってことくらい。」
スアレスとマイクは私なんかと違って、一切の制止を振り切った上に迷わずセンダルタを飛び出したんだ。誰よりも早く救出に駆けつけた彼らと私の思いが違うなんてことあり得ない。
アイツの言葉に耳を傾けるのだって何か理由があるに違いないんだ。そもそも怒りを向けるべきは他にいる。いったん落ち着こう、仲間割れしてる場合じゃないよ。
「ジェゼーモフは一度俺たちを打ち負かしている。もしもリーファの言うことが正しいのなら、そこで俺たちを殺していたはずなんだ。」
「何だって!そんなこと・・・」
「まぁリーファは見てないもんな。知らなくたって無理ねえよ。このシンディーちゃんはスアレスとマイクがボコられてキャインキャイン負け犬してきたところに鉢合わせしたんだ。」
「シンディー・・・言い方」
あまりの言いぐさにスアレスとマイクが絶句している。
「アタシも耳を疑ったんだが、スアレスの言ったことはたぶん真実だろうな。」
しかし実際にハニカムウォールでは打撃を跳ね返すどころか逸らすことしかできなかった事実を踏まえると、あれに殺意が無かったなどとは到底リーファには信じられなかった。誰よりも仲間を守ることに気を配るリーファだからこそ、そのような結論にいたるのも無理はない。
「だってあんなゴーレムで襲いかかって」
「俺はあのゴーレムにぶん殴られたんだが・・・衝突の瞬間に巨大な拳が粉々に分解するのを見た。」
「普通はあの岩石をモロに食らったらミンチになっちまう。アタシもあのゴーレムを目の当たりにして思ったが、何でマイクは骨折だけで済んだのか首をかしげたぜ。なるほどな、そういう訳だったのかよ。」
リーファもティナも驚きのあまり言葉が出なかった。あの死闘を目の当たりにして、スアレスたちの事情を聞いた今も信じられないという気持ちでいっぱいだ。どうにも得心がいかず、ポカンとするしかない。
「そう、聞いての通り私は殺人はしない主義なのよ。人が死ぬのを見るのはまっぴら御免だわ~。」
「スアレスたちがそう言ってるんだ。私たちを殺すつもりがなかったってのは・・・あながちウソじゃないのかもな。」
「誤解が解けたようで嬉しい」
ジェゼーモフが私たちを殺そうとしたわけじゃないってのは釈然としないけど飲んでやるしかないみたいだ。
「でもまだ誘拐の件について納得のいく説明は聞かされてない。」
「そうよね、でもそんな恐い顔しちゃイヤ。」
「良いから話せよおっさん。先に進まねーだろーが」
殺意など無いと否定したばかりのジェゼーモフが殺意の波動をみなぎらせた悪鬼羅刹のような表情でシンディーを見る。
「全ワタシアンケートでブッチギリのおブス・オブ・ザ・イヤーに輝いたわ小娘。後でたっぷり可愛がってあげるから首を洗って待っていなさい。これが~天下一美容界のぉ~、おブスビューティー化宣告じゃい!」
「つくづくいらねえ情報だらけだなぁ。ロから始まる粗忽妖精を思い出すぜ。」
「キツネなんてあのオーガもどきにやられちまえなの。」
ロードチャンセラーがシンディーの肩からひょっこり顔を出す。ジェゼーモフの目が尋常じゃなかったので捨て台詞とともにリーファのもとに避難してしまった。
「も~シンディーは黙っててほしいんだよ~」
「とにかく話を続けて」
すぐ話が横道にそれる。緊張感を緩めないように気を付けないとコイツもすぐ調子に乗るみたいだ。こちらの雰囲気に溶け込んでうやむやにされたら困る。
「ほらリーファってば、また恐い顔する~。ハイハイ、じゃあ話しますー。私は誘拐そのものには一切手を貸さない、誘拐の成否にも一切関知しないって条件で参加しているわ。」
相変わらずリーファが心を開く様子がないことにジェゼーモフはがっかりする。しかし何かおかしなことを口走っているジェゼーモフにリーファがガッツリ食いついた。
「は?じゃあ何もしないのに、ただついて来ただけってこと?」
「何もしないわけじゃなくて、役割が違うと言った方が正しいかしら?ほら、あなたたちとも戦ったし?」
ん?どういうことか理解できん。私に頭使わせるなよ。自慢じゃないがそこまで頭がよくないんだ。
「ねえ、今のどういうことティナ?」
「私にもまだわからないんだよ~」
何やら目の前の小娘二人はヒソヒソと内緒話をしている。あまりもったいぶって話すのも相手を選ぶべきなのだろう。一つ一つ丁寧に話そうとジェゼーモフはスタンスを変えた。
馴れ馴れしいのが無性に忌々しい。そんなんでこちらを懐柔できるなんて思うなよ。
リーファは胡散臭いと言わんばかりの視線をジェゼーモフに向ける。
「誘拐犯の言う事なんて当てになるものか。」
「言い訳でも何でもないんだけど、私がここにいる本当の理由は誘拐のためではないのよ。」
「はっ!そんなのウソだね。お前はリアンを解放しようとする私たちの邪魔をしたじゃないか!」
「そうなの、心ならずもね~」
「のらりくらりと言い訳しやがって、よくもぬけぬけと」
顔を真っ赤にして怒りの感情をあらわにするリーファに対し、あろうことかジェゼーモフは心外とばかりに口をとがらせてブツブツ言いだす。
「だって私が出張らないと、アンタたちヴァイスに殺されてたわよ?あの子、敵対する相手にはホント容赦ないから。」
「お前だって私たちを殺そうとしたじゃないか。自分のしでかしたことを都合よく改竄すんな!」
「いや、ジェゼーモフの言ったことはウソとも言い切れない。」
リーファは煮えきらないことばかり言うスアレスをにらみつける。いろいろなことが積み重なった結果、そろそろリーファの我慢も限界に来ていた。あまりに不穏な空気にティナがあわてて割って入る。
「私もまったく納得行かないけど、全部聞いて見よう?怒るのはきっとそれからでも良いと思うんだよリーファ」
「私だってわかってる、スアレスは誰よりも信頼できる仲間だってことくらい。」
スアレスとマイクは私なんかと違って、一切の制止を振り切った上に迷わずセンダルタを飛び出したんだ。誰よりも早く救出に駆けつけた彼らと私の思いが違うなんてことあり得ない。
アイツの言葉に耳を傾けるのだって何か理由があるに違いないんだ。そもそも怒りを向けるべきは他にいる。いったん落ち着こう、仲間割れしてる場合じゃないよ。
「ジェゼーモフは一度俺たちを打ち負かしている。もしもリーファの言うことが正しいのなら、そこで俺たちを殺していたはずなんだ。」
「何だって!そんなこと・・・」
「まぁリーファは見てないもんな。知らなくたって無理ねえよ。このシンディーちゃんはスアレスとマイクがボコられてキャインキャイン負け犬してきたところに鉢合わせしたんだ。」
「シンディー・・・言い方」
あまりの言いぐさにスアレスとマイクが絶句している。
「アタシも耳を疑ったんだが、スアレスの言ったことはたぶん真実だろうな。」
しかし実際にハニカムウォールでは打撃を跳ね返すどころか逸らすことしかできなかった事実を踏まえると、あれに殺意が無かったなどとは到底リーファには信じられなかった。誰よりも仲間を守ることに気を配るリーファだからこそ、そのような結論にいたるのも無理はない。
「だってあんなゴーレムで襲いかかって」
「俺はあのゴーレムにぶん殴られたんだが・・・衝突の瞬間に巨大な拳が粉々に分解するのを見た。」
「普通はあの岩石をモロに食らったらミンチになっちまう。アタシもあのゴーレムを目の当たりにして思ったが、何でマイクは骨折だけで済んだのか首をかしげたぜ。なるほどな、そういう訳だったのかよ。」
リーファもティナも驚きのあまり言葉が出なかった。あの死闘を目の当たりにして、スアレスたちの事情を聞いた今も信じられないという気持ちでいっぱいだ。どうにも得心がいかず、ポカンとするしかない。
「そう、聞いての通り私は殺人はしない主義なのよ。人が死ぬのを見るのはまっぴら御免だわ~。」
「スアレスたちがそう言ってるんだ。私たちを殺すつもりがなかったってのは・・・あながちウソじゃないのかもな。」
「誤解が解けたようで嬉しい」
ジェゼーモフが私たちを殺そうとしたわけじゃないってのは釈然としないけど飲んでやるしかないみたいだ。
「でもまだ誘拐の件について納得のいく説明は聞かされてない。」
「そうよね、でもそんな恐い顔しちゃイヤ。」
「良いから話せよおっさん。先に進まねーだろーが」
殺意など無いと否定したばかりのジェゼーモフが殺意の波動をみなぎらせた悪鬼羅刹のような表情でシンディーを見る。
「全ワタシアンケートでブッチギリのおブス・オブ・ザ・イヤーに輝いたわ小娘。後でたっぷり可愛がってあげるから首を洗って待っていなさい。これが~天下一美容界のぉ~、おブスビューティー化宣告じゃい!」
「つくづくいらねえ情報だらけだなぁ。ロから始まる粗忽妖精を思い出すぜ。」
「キツネなんてあのオーガもどきにやられちまえなの。」
ロードチャンセラーがシンディーの肩からひょっこり顔を出す。ジェゼーモフの目が尋常じゃなかったので捨て台詞とともにリーファのもとに避難してしまった。
「も~シンディーは黙っててほしいんだよ~」
「とにかく話を続けて」
すぐ話が横道にそれる。緊張感を緩めないように気を付けないとコイツもすぐ調子に乗るみたいだ。こちらの雰囲気に溶け込んでうやむやにされたら困る。
「ほらリーファってば、また恐い顔する~。ハイハイ、じゃあ話しますー。私は誘拐そのものには一切手を貸さない、誘拐の成否にも一切関知しないって条件で参加しているわ。」
相変わらずリーファが心を開く様子がないことにジェゼーモフはがっかりする。しかし何かおかしなことを口走っているジェゼーモフにリーファがガッツリ食いついた。
「は?じゃあ何もしないのに、ただついて来ただけってこと?」
「何もしないわけじゃなくて、役割が違うと言った方が正しいかしら?ほら、あなたたちとも戦ったし?」
ん?どういうことか理解できん。私に頭使わせるなよ。自慢じゃないがそこまで頭がよくないんだ。
「ねえ、今のどういうことティナ?」
「私にもまだわからないんだよ~」
何やら目の前の小娘二人はヒソヒソと内緒話をしている。あまりもったいぶって話すのも相手を選ぶべきなのだろう。一つ一つ丁寧に話そうとジェゼーモフはスタンスを変えた。
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