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伏魔殿で踊れ
腹は割れない探り合い
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「あぁその通りさ。俺はあんたを騙していた。だが俺はあんたを見誤っていたよ。想像以上の男だっば!?」
気づくとマリーが青ざめた顔で勇騎の口を閉じようとしている。
「馬鹿っ!口をつつしめユーキ!」
「むががごが!」
マリーちょっ、待っ!何だその馬鹿力っ?ギブギブ。あ、アゴが・・・砕ける。
ギリギリと万力で締め上げるようにマリーに下アゴを鷲づかみにされて勇騎はひょっとこみたいに不細工な顔を晒していた。
すると何やら伏せてゴロゴロしていたハヤテまでテーブルに乗り出して来た。俺の危機を察して助けに来てくれたらしい。さすが頼れる相棒、ハヤテさんだぜ!
「ユーキ、ずるいぞ。我も仲間に入れるのだ。ほら、マリー。我はここにいるぞ。」
バカヤロー、遊んでねぇわ!助けて・・・、ハヤテ。
「ふははは、良い。ヴェラン、その不届き者を解放してやれ。」
「ご無礼仕りました。」
「危ねぇ、アゴが砕けるところだったぜ。あっ、頭蓋骨がきしむ。」
<ゴトンッ>
「ほら、お前も頭を下げろ。」
鈍い音がしたが今度はマリーに頭を鷲づかみにされて机に頭を押し付けられてしまったのだ。ミシミシと頭蓋骨が悲鳴を上げていた。
「何だ?それ楽しいのか?さっきから二人でずるいぞ。我を仲間ハズレにするな。ねぇ、我も我も。」
これが楽しそうに見えるならお前の目はふし穴だ。いいから俺を早く助けて、ハヤテ。
「良し、許すっ!」
「お前、俺がか弱いゴブリンだって事忘れてねーか?一瞬、天国のじいちゃんに再会しちまったよ。」
あまりの扱いの酷さに勇騎はマリーに猛烈な抗議をした。
「わ、悪い。つい気が動転してな。すまなかった。」
「はっはっは、愉快な奴らめ。これほど笑ったのも久しぶりだ。ところで何だ?お前はワシに何を聞きたいというのだ?だがその前に。」
大笑いしていた王が真剣な表情に切り替わった。思わず勇騎とマリーが顔を見合わせる。
「この者とサシで話がしたい。ヴェランは席を外せ。」
***
マリーとハヤテは部屋を後にし、勇騎だけが残された。
あれだけ人前で話すことを嫌がっていたのにユーキはどうしたのだろう。王の言葉に引っかかるものがあったみたいだが。何だったか?いや、そんなこと今はどうでも良い。頼むから無礼をはたらかないでくれよ。
「何かある度に頭蓋骨が砕かれそうになってたら話が進まねぇよなぁ、まったく。ほんで、あんたが言ってた『存在の階梯』って?」
「ふん、やはりその事だったか。だがお前はどこまで知っている。申してみよ。」
漫然と説明しろと言われても相手にふさわしい内容を伝えるにはどこまで相手が知っているのか把握するのが手っ取り早いことは確かだ。
「魔石を持つ生命体は高次の存在に昇華する可能性を秘めている。その際、魔石は血肉として吸収されて消えてしまうという仮説だと俺は理解している。ただその昇華のきっかけもメカニズムも全く明らかになっていない。その根拠となっているのが歴史上いくつかの目撃証言だ。ただどの証言にも共通するのが、昇華した生命体は高い知能と膨大な魔力を保有する美しくも妖しい存在だということか。どこまで本当なのかわからないが次代の魔王になるという話もある。俺の知っていることはこの程度だ。」
勇騎が他の場所をぼんやり見ながら話をし終えて王の顔をうかがうと、王には驚愕の表情が刻まれていた。勇騎はそれを見て面喰らってしまった。
「お前一体どこまで知って・・・、いやそもそもどこでどうやってそれを知ったのだ?」
王が不意に席を立った。勇騎はいきなりのことにビクッとする。
「え?」
「え?ではない!これはとある破戒僧の記した禁書の内容だ。ワシとて少ししか所蔵しておらん。全て焚書となったとワシは聞いている。なのにワシの知らないことまでお前は知っておるではないか。何故だ?どこかに蔵書が眠っておるとでも言うのか?それともどこかに弟子が逃げのびて師の教えを伝えておるのか?一体どういうことなのだ?」
そう言われればクロヴィウスの著書は全て破棄されてもおかしくないことに勇騎は気づいた。信仰の前提を覆す危険思想を教会が見逃すはずも無い。そうなればかつての弟子たちも師の教えを捨てない限りは命を狙われたであろう。しまった、話しすぎたと勇騎は後悔した。全て一気に話さなくとも相手の反応を見ながら小出しすれば良かったではないか。
「俺は傭兵として北方を遍歴していた時に行き倒れの僧侶を助けたことがある。その時聞いた話なんだが、胡散臭い話だったのでおとぎ話と考えていた。だがその俺が今や魔石生命体だ。しかも最弱のゴブリンとあっては『存在の階梯』が心の支えとなっても不思議はないだろう?」
「なるほど、筋は通っておる。だがいかんせんお前は嘘つきだ。この話、嘘ではあるまいな。」
今までさんざん喝破してくれたんだ、通じるとも限らんが嘘をつき通して見よう。
「ああ、俺は確かにその破戒僧とやらの弟子筋から聞いた。あんたの話を聞いて理解したよ。おおかた混乱が続く北方に活路を見出して今も教えを残しているんだろう。なるほどなぁ、そういう事だったのか。」
「ふむ。」
またあの目だ。この何もかも見通してやると言わんばかりに勇騎を貫く視線に気圧されながらも必死に踏みとどまる。
「良かろう。お前はまだ何かを隠してはいるが信じてやろうではないか。新たにわかったことがあれば必ずワシに伝えるのだぞ。ワシは公爵時代、学究生活をしておったのだ。もし蔵書を見つけたら教会ではなく、必ずワシの下に持って来い。何なりと望むだけの褒美を取らせる。」
「わかった、約束だ。」
どうやら嘘であることがバレバレであったようだが、締め上げたところで本当のことを聞き出せそうにないとアンリは諦めたのだった。
しかしこの親父、まさか自分が学究生活に戻りたいがために王太子を救わんとしているのではなかろうなぁ?どこまでも食えない親父だ。
気づくとマリーが青ざめた顔で勇騎の口を閉じようとしている。
「馬鹿っ!口をつつしめユーキ!」
「むががごが!」
マリーちょっ、待っ!何だその馬鹿力っ?ギブギブ。あ、アゴが・・・砕ける。
ギリギリと万力で締め上げるようにマリーに下アゴを鷲づかみにされて勇騎はひょっとこみたいに不細工な顔を晒していた。
すると何やら伏せてゴロゴロしていたハヤテまでテーブルに乗り出して来た。俺の危機を察して助けに来てくれたらしい。さすが頼れる相棒、ハヤテさんだぜ!
「ユーキ、ずるいぞ。我も仲間に入れるのだ。ほら、マリー。我はここにいるぞ。」
バカヤロー、遊んでねぇわ!助けて・・・、ハヤテ。
「ふははは、良い。ヴェラン、その不届き者を解放してやれ。」
「ご無礼仕りました。」
「危ねぇ、アゴが砕けるところだったぜ。あっ、頭蓋骨がきしむ。」
<ゴトンッ>
「ほら、お前も頭を下げろ。」
鈍い音がしたが今度はマリーに頭を鷲づかみにされて机に頭を押し付けられてしまったのだ。ミシミシと頭蓋骨が悲鳴を上げていた。
「何だ?それ楽しいのか?さっきから二人でずるいぞ。我を仲間ハズレにするな。ねぇ、我も我も。」
これが楽しそうに見えるならお前の目はふし穴だ。いいから俺を早く助けて、ハヤテ。
「良し、許すっ!」
「お前、俺がか弱いゴブリンだって事忘れてねーか?一瞬、天国のじいちゃんに再会しちまったよ。」
あまりの扱いの酷さに勇騎はマリーに猛烈な抗議をした。
「わ、悪い。つい気が動転してな。すまなかった。」
「はっはっは、愉快な奴らめ。これほど笑ったのも久しぶりだ。ところで何だ?お前はワシに何を聞きたいというのだ?だがその前に。」
大笑いしていた王が真剣な表情に切り替わった。思わず勇騎とマリーが顔を見合わせる。
「この者とサシで話がしたい。ヴェランは席を外せ。」
***
マリーとハヤテは部屋を後にし、勇騎だけが残された。
あれだけ人前で話すことを嫌がっていたのにユーキはどうしたのだろう。王の言葉に引っかかるものがあったみたいだが。何だったか?いや、そんなこと今はどうでも良い。頼むから無礼をはたらかないでくれよ。
「何かある度に頭蓋骨が砕かれそうになってたら話が進まねぇよなぁ、まったく。ほんで、あんたが言ってた『存在の階梯』って?」
「ふん、やはりその事だったか。だがお前はどこまで知っている。申してみよ。」
漫然と説明しろと言われても相手にふさわしい内容を伝えるにはどこまで相手が知っているのか把握するのが手っ取り早いことは確かだ。
「魔石を持つ生命体は高次の存在に昇華する可能性を秘めている。その際、魔石は血肉として吸収されて消えてしまうという仮説だと俺は理解している。ただその昇華のきっかけもメカニズムも全く明らかになっていない。その根拠となっているのが歴史上いくつかの目撃証言だ。ただどの証言にも共通するのが、昇華した生命体は高い知能と膨大な魔力を保有する美しくも妖しい存在だということか。どこまで本当なのかわからないが次代の魔王になるという話もある。俺の知っていることはこの程度だ。」
勇騎が他の場所をぼんやり見ながら話をし終えて王の顔をうかがうと、王には驚愕の表情が刻まれていた。勇騎はそれを見て面喰らってしまった。
「お前一体どこまで知って・・・、いやそもそもどこでどうやってそれを知ったのだ?」
王が不意に席を立った。勇騎はいきなりのことにビクッとする。
「え?」
「え?ではない!これはとある破戒僧の記した禁書の内容だ。ワシとて少ししか所蔵しておらん。全て焚書となったとワシは聞いている。なのにワシの知らないことまでお前は知っておるではないか。何故だ?どこかに蔵書が眠っておるとでも言うのか?それともどこかに弟子が逃げのびて師の教えを伝えておるのか?一体どういうことなのだ?」
そう言われればクロヴィウスの著書は全て破棄されてもおかしくないことに勇騎は気づいた。信仰の前提を覆す危険思想を教会が見逃すはずも無い。そうなればかつての弟子たちも師の教えを捨てない限りは命を狙われたであろう。しまった、話しすぎたと勇騎は後悔した。全て一気に話さなくとも相手の反応を見ながら小出しすれば良かったではないか。
「俺は傭兵として北方を遍歴していた時に行き倒れの僧侶を助けたことがある。その時聞いた話なんだが、胡散臭い話だったのでおとぎ話と考えていた。だがその俺が今や魔石生命体だ。しかも最弱のゴブリンとあっては『存在の階梯』が心の支えとなっても不思議はないだろう?」
「なるほど、筋は通っておる。だがいかんせんお前は嘘つきだ。この話、嘘ではあるまいな。」
今までさんざん喝破してくれたんだ、通じるとも限らんが嘘をつき通して見よう。
「ああ、俺は確かにその破戒僧とやらの弟子筋から聞いた。あんたの話を聞いて理解したよ。おおかた混乱が続く北方に活路を見出して今も教えを残しているんだろう。なるほどなぁ、そういう事だったのか。」
「ふむ。」
またあの目だ。この何もかも見通してやると言わんばかりに勇騎を貫く視線に気圧されながらも必死に踏みとどまる。
「良かろう。お前はまだ何かを隠してはいるが信じてやろうではないか。新たにわかったことがあれば必ずワシに伝えるのだぞ。ワシは公爵時代、学究生活をしておったのだ。もし蔵書を見つけたら教会ではなく、必ずワシの下に持って来い。何なりと望むだけの褒美を取らせる。」
「わかった、約束だ。」
どうやら嘘であることがバレバレであったようだが、締め上げたところで本当のことを聞き出せそうにないとアンリは諦めたのだった。
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