135 / 139
本編
134:エピローグ 確定された未来の切れ端
しおりを挟む
ある少女は一枚の絵画を持っていた。とは言っても大げさなものではなく、軽く持ち運べるものである。丁寧に包まれた布から解くと、そこには仲睦まじい二人の男女が描かれていた。
それを確認すると、もう一人の少女は嬉しそうに飛び上がる。何度もお礼を言った後、大事そうにそれを持ち帰っていった。
なぜ彼女はあれほどまでに喜んでいたのか。そんな質問を投げかけられた。
少女は複雑そうな表情を浮かべながら答える。曰く、この絵の娘から受け取ると、より恋愛成就の確立があがる。はたまた運命の人に出会えるなど、恋愛関連に関すること全てが、尾ひれのように付随されているらしい。
嫌ならやめればいい。そう言われるが、少女は首を横に振った。
この二人のことが、良いほうに周知されるのは止めたくない。しかし、いまだ何者でもない自分には、不適格なのではないかと。そんな自虐気味な言葉に対し、気にする意味が分からないと言葉を投げかけられる。
それを聞くと、少女は笑った。会話を交わしていくうちに、なんて小さな悩みだったのだと、そう思えてきたのだろう。徐々に明るさを取り戻していく。
あの絵がどういったいきさつで描かれたのか。その時の状況を楽しそうに語る少女の目は輝きに満ちていた。一目で彼らに好意があるものだとわかる。
少女が今笑ったのではないかと指摘するが、そんなはずはないと否定する。結論の出ない言い合いをした後、両親のことは好きかと質問された。
少女はもちろんと返事をすると、幸せそうに笑みを浮かべた。
それを確認すると、もう一人の少女は嬉しそうに飛び上がる。何度もお礼を言った後、大事そうにそれを持ち帰っていった。
なぜ彼女はあれほどまでに喜んでいたのか。そんな質問を投げかけられた。
少女は複雑そうな表情を浮かべながら答える。曰く、この絵の娘から受け取ると、より恋愛成就の確立があがる。はたまた運命の人に出会えるなど、恋愛関連に関すること全てが、尾ひれのように付随されているらしい。
嫌ならやめればいい。そう言われるが、少女は首を横に振った。
この二人のことが、良いほうに周知されるのは止めたくない。しかし、いまだ何者でもない自分には、不適格なのではないかと。そんな自虐気味な言葉に対し、気にする意味が分からないと言葉を投げかけられる。
それを聞くと、少女は笑った。会話を交わしていくうちに、なんて小さな悩みだったのだと、そう思えてきたのだろう。徐々に明るさを取り戻していく。
あの絵がどういったいきさつで描かれたのか。その時の状況を楽しそうに語る少女の目は輝きに満ちていた。一目で彼らに好意があるものだとわかる。
少女が今笑ったのではないかと指摘するが、そんなはずはないと否定する。結論の出ない言い合いをした後、両親のことは好きかと質問された。
少女はもちろんと返事をすると、幸せそうに笑みを浮かべた。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。

順番を待たなくなった側室と、順番を待つようになった皇帝のお話 〜陛下!どうか私のことは思い出さないで〜
白猫
恋愛
主人公のレーナマリアは、西の小国エルトネイル王国の第1王女。エルトネイル王国の国王であるレーナマリアの父は、アヴァンジェル帝国との争いを避けるため、皇帝ルクスフィードの元へ娘を側室として差し出すことにした。「側室なら食べるに困るわけでもないし、痛ぶられるわけでもないわ!」と特別な悲観もせず帝国へ渡ったレーナマリアだが、到着してすぐに己の甘さに気付かされることになる。皇帝ルクスフィードには、既に49人もの側室がいたのだ。自分が50番目の側室であると知ったレーナマリアは呆然としたが、「自分で変えられる状況でもないのだから、悩んでも仕方ないわ!」と今度は割り切る。明るい性格で毎日を楽しくぐうたらに過ごしていくが、ある日…側室たちが期待する皇帝との「閨の儀」の話を聞いてしまう。レーナマリアは、すっかり忘れていた皇帝の存在と、その皇帝と男女として交わることへの想像以上の拒絶感に苛まれ…そんな「望んでもいない順番待ちの列」に加わる気はない!と宣言すると、すぐに自分の人生のために生きる道を模索し始める。そして月日が流れ…いつの日か、逆に皇帝が彼女の列に並ぶことになってしまったのだ。立場逆転の恋愛劇、はたして二人の心は結ばれるのか?
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる