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本編
87:打ち明ける胸の内②
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「ただお互いの好意を確認するだけでは終わらせない。ヌイはまだちゃんと、僕の気持ちが分かっていないはずだ」
「さ、さっきの言葉で、充分理解したよ」
熱くなる頬を押さえると、その上から手を重ねられた。そのまま無言で視線を交わし、ノルの顔が近づいてくる。
「……だ、だめだ。まだ手を出すのは早い。話が終わってからだ」
ノルは手を離す。耐えるように顔をしかめると、横に振った。つまり、終わった後はどうなるのかと。そんなことを聞けるはずもなかった。
「出会った時から気になっていたと思う。けど、余計な意地から、あんな態度を取ってしまった。それさえなければ、すぐに求愛していたはずだ」
「さすがにそれはないでしょ。わたしミレナちゃんみたいに容姿端麗とかじゃないんだし」
身近な美女を具体例に挙げてみるが、すぐに後悔した。同意されても、むなしくなるだけだからである。
「ヌイはきれいだろう?なにを言っている?ほかの誰だって、君には及ばない。この華奢な体、好奇心に満ちた目に小さな口。全てが僕の好みだ」
強烈な口説き文句で返される。ぬいは空いた口がふさがらなかった。
「自覚をしたのは毒をあおった時だが、今考えれば過去映しのあとから、好意を持っていたと思う」
ぬいは過去の記憶を呼び起こす。ようやくノルのことを名前で呼びはじめたころだ。さすがに自分もと同意はできない。
「あの頃のノルくん、まだ結構ツンツンしてたよね?」
「確かに全く素直ではなかったな。思い出すと、自分を殴ってやりたくなる」
「そんなことさせないよ!わたしはそのあとノルくんのこと撫でてあげる。根は変わってないし、なんだか若々しくてかわいかったからね」
するとノルは以前の再現かのように、ムスッとした顔をする。
「そうやって、君はいつも僕のことを子供扱いする。それがずっと気に入らなくて、より良くない態度を取っていたんだ。もっと、異性として意識して欲しかった」
不機嫌になる彼をなだめようと、ぬいは片手をあげる。だが、頭を撫でても逆効果だろう。行き場をなくし、少しさまよわせると、ノルの頬に手を当てた。
「今はちゃんと……その、してるし。うん」
彼のようにすらすらと好意を伝える言葉が出てこなかった。そのしどろもどろになる様子を見て、ノルは笑った。
「あー……本当にかわいいな」
頬に当てた手を包み込むように重ねてくる。感情をかみしめるようにしたあと、ノルはぬいの手を離した。
「僕は君がなんだろうと、存在そのものが好きだ。人間でなくなっても、愛せると確信している。だから年や身分など気にしないでほしい。言うのは簡単だろうが、ヌイのためなら称号や身分、家も捨てられる。君さえ最後に居てくれれば、それだけでいい」
「それはだめだよ!ノルくんは家族が大好きで、お家を大事にしているんだから」
亡くなってしまった両親だけではない。スヴァトプルク家に居るすべての人たちが、ノルのことを大事に思っていた。
それはノルが、そう思われるような対応を積み重ねた結果だろう。外見の第一印象で判断せず、中身を見てくれる人たちをないがしろになどできない。
「そう言ってくれると思っていた。なら、求めてもいいか?結婚を前提として、恋人になってほしい」
ノルはほほ笑んだ。そう返すことを予想し、ぬいのことを信じ切ったからこその発言だったのだろう。
「君をこの地に留まらせる理由を作りたい。どうか僕と家族に……って、だめだ。焦りすぎだ。まだそれは早い……すまない、聞かなかったことにしてくれ。前者に関しての返事だけでいい」
だが、すぐに答えを出すことができなかった。自分から想いをこぼしたときは、その先のことまで考えていなかったからだ。そのためらいを見て、ノルは何かを察したようだ。
「もしすべてが重荷に感じた時は、先ほどの言葉を思い出して欲しい。僕にとっての一番はヌイだ。他の何にも代えられない」
「……あのね、ノルくん」
呼びかけにノルは頷いた。言葉をせかすこともせず、ただぬいのことを待っている。その優しさに胸が締め付けられた。
「少し前までは愛人になって、遠くから見ているくらいなら水晶国を出て行ってやる!とか思ってたんだ」
「待て、色々と飛躍していないか。どこからそんな話がでてきた」
呆れた表情でノルは言う。強烈な好意と愛の言葉に当てられ、うまく話がまとまらない。
「ここに来る話をしたとき、見合い話がーって言ってたよね。今思い出せば、あれが最初の嫉妬だったと思う。身分があると気持ちはどうあれ、正妻は同格の人をとか、あるでしょ?」
言葉のつなぎがグダグダになっていく。それでもただ素直な気持ちをと、ぬいは言葉を連ねていく。
「ヌイ!」
なにが伝わったのか、ノルは嬉しそうにぬいの体を胸元に引き寄せる。
「嫉妬と言ったな?本当か?」
「う、うん。あとね、宿の食事処で女の人と楽しそうに話すのを見たときもだね」
「あれはヌイのことを待っていると、言っただけだ」
「えっ、わたしのこと?」
「聞くまでもない。当然のことだろう……ああ、嬉しいな」
絞り出すような声から感情が伝わってくる。感極まったのか、しばらくそのままの状態だった。
「話が逸れた。正妻などと、よくわからないことを言っていたが、魔法国でもあるまいし、どこのことを言っている?はっ、もしかしてヌイの国では……だからあいつも」
その言い方からして、水晶国には存在しないのだろう。確かに教義には多情を推奨する項目はなかった。
「ないよ……って、昔はあったけど。かなり古い話だよ。あと、あいつってトゥーくんのことだよね?どういうこと?」
ぬいと同じ母国の人間と言えば一人しかいない。その名を出した途端、ノルは心底不快そうに顔を歪めた。
「まだあいつは未練を完全に断ち切れていない」
「でも、たぶんミレナちゃんと、いい感じになってるんだよね?」
ぬいはあれからトゥーに会っていない。聞いた話ではそう思っていた。
「未練を持ちながら、別の人にも好意を持っている。それだけのことだ。許されたならあいつは複数人はべらしていただろう」
ノルは吐き捨てるように言った。
「もうあいつの話はやめよう。嫉妬でまた頭がおかしくなりそうだ」
頭をぐしゃぐしゃにかき混ぜている。珍しい行動である。その後乱れた髪をそっとなおすと、ノルは嬉しそうに顔を緩ませる。
「僕が生涯の伴侶としたいのは、ヌイ一人だけだ」
ノルは服の内側を探ると、指輪を取り出した。やはりそれは水晶でできている。その小さなサイズから、たった一人のために作られたものだと、すぐに理解できた。
「わたし、ノルくんが思っているよりずっと重いよ。もし先に死んだりしたら、迷わず自ら後を追う」
ぬいはずっと、寿命が引っ掛かっていた。だから感情が戻っても、押し込めていたものをすぐに取り出せなかったのだろう。
「どちらが先なんてわからない。でも、最後のことを気にして迷うのはやめる。わたしはノルくんと一緒に生きたい」
そう言うと、彼に手を差し出した。はめられた指輪は案の定ぴったりで、ぬいはそれを透かすように眺める。
「これ、ノルくんの目の色だね」
「当たり前だ。自分を連想させるものを渡さなくてどうする。ヌイには常に僕のことを考えてもらいたい」
「もうずっと、考えてるよ」
ノルのことを見て笑うと、ぬいは抱きしめられる。耳元で好意と愛を囁かれ、照れながらも同じ言葉を返した。
「さ、さっきの言葉で、充分理解したよ」
熱くなる頬を押さえると、その上から手を重ねられた。そのまま無言で視線を交わし、ノルの顔が近づいてくる。
「……だ、だめだ。まだ手を出すのは早い。話が終わってからだ」
ノルは手を離す。耐えるように顔をしかめると、横に振った。つまり、終わった後はどうなるのかと。そんなことを聞けるはずもなかった。
「出会った時から気になっていたと思う。けど、余計な意地から、あんな態度を取ってしまった。それさえなければ、すぐに求愛していたはずだ」
「さすがにそれはないでしょ。わたしミレナちゃんみたいに容姿端麗とかじゃないんだし」
身近な美女を具体例に挙げてみるが、すぐに後悔した。同意されても、むなしくなるだけだからである。
「ヌイはきれいだろう?なにを言っている?ほかの誰だって、君には及ばない。この華奢な体、好奇心に満ちた目に小さな口。全てが僕の好みだ」
強烈な口説き文句で返される。ぬいは空いた口がふさがらなかった。
「自覚をしたのは毒をあおった時だが、今考えれば過去映しのあとから、好意を持っていたと思う」
ぬいは過去の記憶を呼び起こす。ようやくノルのことを名前で呼びはじめたころだ。さすがに自分もと同意はできない。
「あの頃のノルくん、まだ結構ツンツンしてたよね?」
「確かに全く素直ではなかったな。思い出すと、自分を殴ってやりたくなる」
「そんなことさせないよ!わたしはそのあとノルくんのこと撫でてあげる。根は変わってないし、なんだか若々しくてかわいかったからね」
するとノルは以前の再現かのように、ムスッとした顔をする。
「そうやって、君はいつも僕のことを子供扱いする。それがずっと気に入らなくて、より良くない態度を取っていたんだ。もっと、異性として意識して欲しかった」
不機嫌になる彼をなだめようと、ぬいは片手をあげる。だが、頭を撫でても逆効果だろう。行き場をなくし、少しさまよわせると、ノルの頬に手を当てた。
「今はちゃんと……その、してるし。うん」
彼のようにすらすらと好意を伝える言葉が出てこなかった。そのしどろもどろになる様子を見て、ノルは笑った。
「あー……本当にかわいいな」
頬に当てた手を包み込むように重ねてくる。感情をかみしめるようにしたあと、ノルはぬいの手を離した。
「僕は君がなんだろうと、存在そのものが好きだ。人間でなくなっても、愛せると確信している。だから年や身分など気にしないでほしい。言うのは簡単だろうが、ヌイのためなら称号や身分、家も捨てられる。君さえ最後に居てくれれば、それだけでいい」
「それはだめだよ!ノルくんは家族が大好きで、お家を大事にしているんだから」
亡くなってしまった両親だけではない。スヴァトプルク家に居るすべての人たちが、ノルのことを大事に思っていた。
それはノルが、そう思われるような対応を積み重ねた結果だろう。外見の第一印象で判断せず、中身を見てくれる人たちをないがしろになどできない。
「そう言ってくれると思っていた。なら、求めてもいいか?結婚を前提として、恋人になってほしい」
ノルはほほ笑んだ。そう返すことを予想し、ぬいのことを信じ切ったからこその発言だったのだろう。
「君をこの地に留まらせる理由を作りたい。どうか僕と家族に……って、だめだ。焦りすぎだ。まだそれは早い……すまない、聞かなかったことにしてくれ。前者に関しての返事だけでいい」
だが、すぐに答えを出すことができなかった。自分から想いをこぼしたときは、その先のことまで考えていなかったからだ。そのためらいを見て、ノルは何かを察したようだ。
「もしすべてが重荷に感じた時は、先ほどの言葉を思い出して欲しい。僕にとっての一番はヌイだ。他の何にも代えられない」
「……あのね、ノルくん」
呼びかけにノルは頷いた。言葉をせかすこともせず、ただぬいのことを待っている。その優しさに胸が締め付けられた。
「少し前までは愛人になって、遠くから見ているくらいなら水晶国を出て行ってやる!とか思ってたんだ」
「待て、色々と飛躍していないか。どこからそんな話がでてきた」
呆れた表情でノルは言う。強烈な好意と愛の言葉に当てられ、うまく話がまとまらない。
「ここに来る話をしたとき、見合い話がーって言ってたよね。今思い出せば、あれが最初の嫉妬だったと思う。身分があると気持ちはどうあれ、正妻は同格の人をとか、あるでしょ?」
言葉のつなぎがグダグダになっていく。それでもただ素直な気持ちをと、ぬいは言葉を連ねていく。
「ヌイ!」
なにが伝わったのか、ノルは嬉しそうにぬいの体を胸元に引き寄せる。
「嫉妬と言ったな?本当か?」
「う、うん。あとね、宿の食事処で女の人と楽しそうに話すのを見たときもだね」
「あれはヌイのことを待っていると、言っただけだ」
「えっ、わたしのこと?」
「聞くまでもない。当然のことだろう……ああ、嬉しいな」
絞り出すような声から感情が伝わってくる。感極まったのか、しばらくそのままの状態だった。
「話が逸れた。正妻などと、よくわからないことを言っていたが、魔法国でもあるまいし、どこのことを言っている?はっ、もしかしてヌイの国では……だからあいつも」
その言い方からして、水晶国には存在しないのだろう。確かに教義には多情を推奨する項目はなかった。
「ないよ……って、昔はあったけど。かなり古い話だよ。あと、あいつってトゥーくんのことだよね?どういうこと?」
ぬいと同じ母国の人間と言えば一人しかいない。その名を出した途端、ノルは心底不快そうに顔を歪めた。
「まだあいつは未練を完全に断ち切れていない」
「でも、たぶんミレナちゃんと、いい感じになってるんだよね?」
ぬいはあれからトゥーに会っていない。聞いた話ではそう思っていた。
「未練を持ちながら、別の人にも好意を持っている。それだけのことだ。許されたならあいつは複数人はべらしていただろう」
ノルは吐き捨てるように言った。
「もうあいつの話はやめよう。嫉妬でまた頭がおかしくなりそうだ」
頭をぐしゃぐしゃにかき混ぜている。珍しい行動である。その後乱れた髪をそっとなおすと、ノルは嬉しそうに顔を緩ませる。
「僕が生涯の伴侶としたいのは、ヌイ一人だけだ」
ノルは服の内側を探ると、指輪を取り出した。やはりそれは水晶でできている。その小さなサイズから、たった一人のために作られたものだと、すぐに理解できた。
「わたし、ノルくんが思っているよりずっと重いよ。もし先に死んだりしたら、迷わず自ら後を追う」
ぬいはずっと、寿命が引っ掛かっていた。だから感情が戻っても、押し込めていたものをすぐに取り出せなかったのだろう。
「どちらが先なんてわからない。でも、最後のことを気にして迷うのはやめる。わたしはノルくんと一緒に生きたい」
そう言うと、彼に手を差し出した。はめられた指輪は案の定ぴったりで、ぬいはそれを透かすように眺める。
「これ、ノルくんの目の色だね」
「当たり前だ。自分を連想させるものを渡さなくてどうする。ヌイには常に僕のことを考えてもらいたい」
「もうずっと、考えてるよ」
ノルのことを見て笑うと、ぬいは抱きしめられる。耳元で好意と愛を囁かれ、照れながらも同じ言葉を返した。
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