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本編
63:踊る演者たち①
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――また一人死んだ。
綠は打ち付ける雨の中、傘もささずに立っていた。ひと気がなくなった葬式場で、ただ棺のある方を向いている。
「姉さん、風邪ひくよ」
彼女の弟がその姿を見かけると、慌てて傘をさしてくれた。だが、すでに手遅れである。雨が防がれても、綠の髪からはしずくが垂れていた。頬を濡らした雨はまるで涙のようだったが、そこに表情はない。
「もう、こういうものだって、あきらめるしかないのかな」
ぽつりとつぶやいた。その言葉は回答を求めているものではない。弟もそれを察してか、何も言ずただ傍に立っていた。
「最初は小学生の時だった。一番仲の良かった子が急に目の前で苦しんで……」
両親の態度はまだ完全に変わっていなかった。だがこのころから、神童らしさを発揮しなければ怪訝な顔をされていた。そんな時はいつもその子が慰めてくれた。
けれども、もうあの子が何かを話すことはない。こうして綠は悲しみの感情を押さえつけるようになった。
「次はおばさんだった。怒鳴るようになった両親からいつも守ってくれた。わたしはそんなおばさんのことが大好きだった……けど、一緒に出掛けたあの日。わたしはつながれた手を放してしまって。振り返ると、彼女は潰れていた」
車道に出た綠を追いかけようとしたのだろう。その事実に脳が追いつかず、今のように棒立ちになっていたことを思い出す。こうして綠は好意をひた隠しにするようになった。
「わたしの笑顔がいいと言ってくれた、男の子が居た。いろんな子をほめていたから、特別なわけではなかったと思うけど。それでも存在していいよって言われてるようで、心地よくて。そして彼はある日プールの排水溝に吸い込まれ、溺死した」
救出されたときは既に遅く。散々苦しんだのだろう、いつも笑顔だった彼は見れたものではなかった。綠はその頃からあまり笑わなくなった。
「その次は……」
口を開こうとすると、後ろから手でふさがれた。
「もういい。姉さんのせいなんて、そんな風に考えなくていいから」
顔に回された手を見て、綠は弟の成長に驚かされる。前は自分よりも小さかったというのに、いつの間に背は伸びしっかりとした体格になっていたからだ。
「あとどれだけの人を見なければならないんだろうね。穏やかな死なんて、幻想なんじゃないかと思えてくるよ」
綠は手を優しく振りほどくと、後ろを振り返る。その顔はなぜかはっきりせず、ぼんやりとしていた。
『神々の姿はこの世界では秘匿されるからね。そういう仕様なんだ』
頭の中で偽物の声が響く。神と称していないことから、弟以外の姿もそう映るのだろう。
「まだあいつらの足元にも及ばないけど、すぐに立ち向かう力をつけるから。どうか、これ以上壊れないで」
震える声で言う弟を、綠はそっと抱きしめた。
その宣言を守るため。弟は散々心配していたが、勉学のため国外に旅立っていった。精一杯平気なふりをしたのが、功を奏したのだろう。
彼は一か所に留まるような器ではない。もっと広い世界へと羽ばたいてほしいと、ずっと願っていたからだ。
そうして、唯一の味方がいなくなった家では、彼女に対する虐待が激化した。
綠は意識を取り戻すと、目の前には偽物が立っていた。
「思い出した?わたしの周りではたくさんの人が理不尽に死んでいった。しかも大事に思った人たちばかり。まるで呪いのようにね」
吐き気が込み上げてきたのか、口元を抑える。なんどかせき込み、生理的な涙が流れおちる。また青年が何かを叫んでいるのが見えたが、綠は首を横に振った。
「……っう……知っている。でも、あれはそんな非現実なものではなかった。だから……わたしはまだ挫けたりはしない」
綠が強い意志を見せると、偽物は満足そうに頷く。
「うんうん、そうでなくっちゃ。きっと前までのわたしだったら耐えられなかったに違いない」
――殴り、蹴られる。暴力は当たり前の日常だった。
弟がいなくなってすぐ、綠は毎日のように暴行を加えられていた。逃げようとしても、乾の目を逃れることは難しい。どこへ行っても見つけられてしまうだろう。
周りの目を気にしてか、顔や手足はできるだけ避けられて。それゆえどこへ行こうとも誰にも気づかれることはない。彼女自身がそれを恥ずかしく思い、隠しているのもあった。
その頃から体育やプールの授業を避けるようになった。そのせいか未だに綠は運動が得意ではなく、泳げない。
弟と連絡を取るときは必ず、なんともないよと言い続けた。弟の活躍を聞いているだけで、本当の笑顔になれた。自分のことを想ってくれる存在がいれば、何も怖くないと綠は数年間耐え続けた。
帰国のめどが立つと、直接的な暴力は避けられるようになる。粗末であるが毎食食事も与えられた。だが、両親はもちろん周りの者たちを巻き込んで、綠の存在を無視させ続けた。
時には罵倒し、綠の身体的特徴をあげつらう。一番つらかったのは中身についてだった。
このころの綠は無表情で、すり切れた心は何も感じなくなってきていた。そんな彼女に近づくような者はいない。
寂しい感情がよみがえることはあったが、それでも死んでしまうよりはマシだろうと、現状を甘受していた。
「姉さんになにをした!!」
帰国した弟はすぐに気づいた。元々細身ではあったが、折れてしまいそうな体。襟のある服ばかり与えられていたが、その隙間から除く古傷。
極めつけはなにも動かない表情である。ただ、弟が何かを言うときだけ、口元はわずかに動いていた。
激怒した弟は綠を解放することを約束させた。大学生活は一人で送らせ、資金だけを提供する。卒業後は一切関りを持たないことを。
さっさと縁を切らせるも手であったが、今の綠の状態はあまりよくない。無理に働くことになれば、倒れるに違いない。そう結論に至ったからだ。
甲斐あって、その期間は綠の人生の中で一番穏やかな時だっただろう。誰にも何も言われず、ただ自由だった。長い休みのたびに、弟の恩師に招待され国外をまわったこともあった。
そんな穏やかな日々を送ったおかげで、綠は少しずつ回復していった。これがひと時の安らぎだと気付くことなく。
卒業後、綠は両親と縁を切って生活をしなければならない。そのことを甘く見ていたのだ。それほどまでに乾の家は大きく、強い影響力を持っていた。
どこへ行っても、何らかのつながりがある。焦った結果地方の適当なところで雇ってもらい、働き始めた。
――夜が明けても帰れない、仲間はただの蹴落とすべき敵である。
綠はそんな労働環境に身を投じていた。どれだけ辛かろうと、決して弟には心配をかけまいと頼ることはしなかった。
このころ弟の名はどこにでも知れ渡っていた。数百年は時代を進めると言われる研究に携わっていたからだ。これを成せば、死すら人類は克服するだろうと。
確かに辛い環境ではあったが、弟がいなかったあの時に比べればなんてことはない。そう考え綠は働き続け、そうして限界を迎えた。
選んだ病院はもちろん乾の支配下にない所である。だが、そのせいかあまり良い環境とは言えなかった。白い壁はどことなく黄ばんでいて、至らなさを隠すかのようにきつい消毒液のにおいがただよう。
病室はあらゆる患者でごった返していて、老若男女や重症軽傷の区別さえ曖昧だ。そんな場所で、綠は長い闘病生活を送ることになる。
「はじめまして。俺、鍋島敦です。これからよろしくお願いします、綠さん」
まるで野戦病院かのような騒がしさの中、彼は穏やかに笑っていた。
乾綠と鍋島敦。この病室において、同じ病を患った者であった。
綠は打ち付ける雨の中、傘もささずに立っていた。ひと気がなくなった葬式場で、ただ棺のある方を向いている。
「姉さん、風邪ひくよ」
彼女の弟がその姿を見かけると、慌てて傘をさしてくれた。だが、すでに手遅れである。雨が防がれても、綠の髪からはしずくが垂れていた。頬を濡らした雨はまるで涙のようだったが、そこに表情はない。
「もう、こういうものだって、あきらめるしかないのかな」
ぽつりとつぶやいた。その言葉は回答を求めているものではない。弟もそれを察してか、何も言ずただ傍に立っていた。
「最初は小学生の時だった。一番仲の良かった子が急に目の前で苦しんで……」
両親の態度はまだ完全に変わっていなかった。だがこのころから、神童らしさを発揮しなければ怪訝な顔をされていた。そんな時はいつもその子が慰めてくれた。
けれども、もうあの子が何かを話すことはない。こうして綠は悲しみの感情を押さえつけるようになった。
「次はおばさんだった。怒鳴るようになった両親からいつも守ってくれた。わたしはそんなおばさんのことが大好きだった……けど、一緒に出掛けたあの日。わたしはつながれた手を放してしまって。振り返ると、彼女は潰れていた」
車道に出た綠を追いかけようとしたのだろう。その事実に脳が追いつかず、今のように棒立ちになっていたことを思い出す。こうして綠は好意をひた隠しにするようになった。
「わたしの笑顔がいいと言ってくれた、男の子が居た。いろんな子をほめていたから、特別なわけではなかったと思うけど。それでも存在していいよって言われてるようで、心地よくて。そして彼はある日プールの排水溝に吸い込まれ、溺死した」
救出されたときは既に遅く。散々苦しんだのだろう、いつも笑顔だった彼は見れたものではなかった。綠はその頃からあまり笑わなくなった。
「その次は……」
口を開こうとすると、後ろから手でふさがれた。
「もういい。姉さんのせいなんて、そんな風に考えなくていいから」
顔に回された手を見て、綠は弟の成長に驚かされる。前は自分よりも小さかったというのに、いつの間に背は伸びしっかりとした体格になっていたからだ。
「あとどれだけの人を見なければならないんだろうね。穏やかな死なんて、幻想なんじゃないかと思えてくるよ」
綠は手を優しく振りほどくと、後ろを振り返る。その顔はなぜかはっきりせず、ぼんやりとしていた。
『神々の姿はこの世界では秘匿されるからね。そういう仕様なんだ』
頭の中で偽物の声が響く。神と称していないことから、弟以外の姿もそう映るのだろう。
「まだあいつらの足元にも及ばないけど、すぐに立ち向かう力をつけるから。どうか、これ以上壊れないで」
震える声で言う弟を、綠はそっと抱きしめた。
その宣言を守るため。弟は散々心配していたが、勉学のため国外に旅立っていった。精一杯平気なふりをしたのが、功を奏したのだろう。
彼は一か所に留まるような器ではない。もっと広い世界へと羽ばたいてほしいと、ずっと願っていたからだ。
そうして、唯一の味方がいなくなった家では、彼女に対する虐待が激化した。
綠は意識を取り戻すと、目の前には偽物が立っていた。
「思い出した?わたしの周りではたくさんの人が理不尽に死んでいった。しかも大事に思った人たちばかり。まるで呪いのようにね」
吐き気が込み上げてきたのか、口元を抑える。なんどかせき込み、生理的な涙が流れおちる。また青年が何かを叫んでいるのが見えたが、綠は首を横に振った。
「……っう……知っている。でも、あれはそんな非現実なものではなかった。だから……わたしはまだ挫けたりはしない」
綠が強い意志を見せると、偽物は満足そうに頷く。
「うんうん、そうでなくっちゃ。きっと前までのわたしだったら耐えられなかったに違いない」
――殴り、蹴られる。暴力は当たり前の日常だった。
弟がいなくなってすぐ、綠は毎日のように暴行を加えられていた。逃げようとしても、乾の目を逃れることは難しい。どこへ行っても見つけられてしまうだろう。
周りの目を気にしてか、顔や手足はできるだけ避けられて。それゆえどこへ行こうとも誰にも気づかれることはない。彼女自身がそれを恥ずかしく思い、隠しているのもあった。
その頃から体育やプールの授業を避けるようになった。そのせいか未だに綠は運動が得意ではなく、泳げない。
弟と連絡を取るときは必ず、なんともないよと言い続けた。弟の活躍を聞いているだけで、本当の笑顔になれた。自分のことを想ってくれる存在がいれば、何も怖くないと綠は数年間耐え続けた。
帰国のめどが立つと、直接的な暴力は避けられるようになる。粗末であるが毎食食事も与えられた。だが、両親はもちろん周りの者たちを巻き込んで、綠の存在を無視させ続けた。
時には罵倒し、綠の身体的特徴をあげつらう。一番つらかったのは中身についてだった。
このころの綠は無表情で、すり切れた心は何も感じなくなってきていた。そんな彼女に近づくような者はいない。
寂しい感情がよみがえることはあったが、それでも死んでしまうよりはマシだろうと、現状を甘受していた。
「姉さんになにをした!!」
帰国した弟はすぐに気づいた。元々細身ではあったが、折れてしまいそうな体。襟のある服ばかり与えられていたが、その隙間から除く古傷。
極めつけはなにも動かない表情である。ただ、弟が何かを言うときだけ、口元はわずかに動いていた。
激怒した弟は綠を解放することを約束させた。大学生活は一人で送らせ、資金だけを提供する。卒業後は一切関りを持たないことを。
さっさと縁を切らせるも手であったが、今の綠の状態はあまりよくない。無理に働くことになれば、倒れるに違いない。そう結論に至ったからだ。
甲斐あって、その期間は綠の人生の中で一番穏やかな時だっただろう。誰にも何も言われず、ただ自由だった。長い休みのたびに、弟の恩師に招待され国外をまわったこともあった。
そんな穏やかな日々を送ったおかげで、綠は少しずつ回復していった。これがひと時の安らぎだと気付くことなく。
卒業後、綠は両親と縁を切って生活をしなければならない。そのことを甘く見ていたのだ。それほどまでに乾の家は大きく、強い影響力を持っていた。
どこへ行っても、何らかのつながりがある。焦った結果地方の適当なところで雇ってもらい、働き始めた。
――夜が明けても帰れない、仲間はただの蹴落とすべき敵である。
綠はそんな労働環境に身を投じていた。どれだけ辛かろうと、決して弟には心配をかけまいと頼ることはしなかった。
このころ弟の名はどこにでも知れ渡っていた。数百年は時代を進めると言われる研究に携わっていたからだ。これを成せば、死すら人類は克服するだろうと。
確かに辛い環境ではあったが、弟がいなかったあの時に比べればなんてことはない。そう考え綠は働き続け、そうして限界を迎えた。
選んだ病院はもちろん乾の支配下にない所である。だが、そのせいかあまり良い環境とは言えなかった。白い壁はどことなく黄ばんでいて、至らなさを隠すかのようにきつい消毒液のにおいがただよう。
病室はあらゆる患者でごった返していて、老若男女や重症軽傷の区別さえ曖昧だ。そんな場所で、綠は長い闘病生活を送ることになる。
「はじめまして。俺、鍋島敦です。これからよろしくお願いします、綠さん」
まるで野戦病院かのような騒がしさの中、彼は穏やかに笑っていた。
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