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本編
49:異邦者の彼②
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「そも神たちとは」
教皇による、長い説法がはじまろうとしたとき、トゥーが勢いよく手を挙げた。
「は~い、ヴァーツラフ!ちょっと聞きたいんだけど」
元気よく質問をする。教皇のことをいきなり名前で呼ぶ人は今まで一度も見たことがない。その堂々たる態度にミレナは見惚れていた。
「転移の御業とかないの?明かりを照らすのとか、力を強くするのとかは試してみて、普通にできたんだけど。それ以外ないのかなって気になってさ」
転移とは一部の人にしか行使することができないものである。もちろんミレナは使えない。
「然り、存在する」
そう言うと、教皇はトゥーにその聖句を教える。ミレナはその様子を遠くから見守っていた。
「わかった!転移!」
なにを理解したのかさっぱりわからないセリフである。トゥーは長い聖句を無視し、省略して言い放った。
すると、トゥーの姿は掻き消えミレナの目の前へと姿を現した。額同士がくっついてしまいそうな、かつてない近距離である。
「うわっ、ごめん。ミレナの所って思ったら、こんな近くにきちゃって」
トゥーは慌てて、後ろへと下がる。
「いいえ、お気になさらず」
ミレナは顔を真っ赤にしながら目を伏せた。余裕そうなトゥーの態度がなんだか悔しく感じた。照れたりときめいたりするのはミレナばかりであって、トゥーにそんな様子は見られないからだ。
「そなたには御業の加護があることが確認できた。ゆえに今日から人前でこの面を着けて生活せよ」
教皇はどこからか、仮面を取り出した。動物をモチーフにしたそれはどこか独特で、おそらくこの国のものではないだろう。
「何それ?なんか和風っぽいけど、ちょっと違うような」
トゥーの言うワフウという単語の意味はよく理解できなかったが、概ねミレナと同じ意見なのだろう。不思議そうに首をひねっている。
「教皇さま、なぜそのような必要があるのでしょうか。その面を着けると、日常生活に著しく支障がでそうに思えます」
目の部分は空いてるのかよくわからないくらいに細かった。御業を常時使わない限り、まっすぐ歩くのも困難に思える。
すると、教皇は錫杖の先を軽く叩きつけるとその場に膝を付き、胸に手を当てた。そのただならぬ様子にミレナも同じ態勢を取った。
「これは尊き神からのご指示である。異邦者トゥーは次に訪れるであろう者に素顔を見せてはならぬ」
教皇はうそをついたり、物事を大げさに言ったりすることがない。その口から紡がれる言葉はすべて真実である。
であるがゆえに、神の指示というのはとても重いものだった。過去の記録を紐解いてみても、直接神から声をかけられたことなど、片手で数えられるくらいだ。
そんな歴史的場面に今立ち会っている。ミレナは緊張から体を固くする。
「時が来るまではその姿さえも、本名も明かしてはならぬ」
「俺、自分の本当の名前わからないから、それは心配する必要ないって。でもさ、それってずっとつけてなくちゃダメなのかな」
嫌だ。ミレナはそう思ってしまった。尊き神の指示だというのに、自分はもしかしたら神官を名乗る資格もなかったのかもしれない。
その事実に打ち震える。だが、トゥーが仮面を身に着けてしまえば、あの笑顔を見ることができなくなってしまう。
「否。あくまで人前に出るときだけである。すでに素顔を見ている者や、誰もいない部屋までそうする必要はない」
ミレナはその言葉を聞いた瞬間、安堵で膝から崩れ落ちそうになってしまうが、なんとかこらえた。つまりミレナと二人きりならば、素顔を見せてもいいということだ。その事実に歓喜した。
「あのさ、ミレナ。なにか食い物ない?」
ひとしきり教皇から御業の使い方を教わったあと、トゥーはそう言った。途中から青い顔をしはじめていたのが気になっていたが、そういうことだったらしい。
「はい!もちろんございます。少々お待ちください」
ミレナが立ち上がり、出て行こうとすると腕を捕まれた。
「あ、ごめんね。その、ただしてもらうのはなんか嫌で。案内してもらってもいい?そのあとで、一緒にここに帰って食べよう」
トゥーは仮面をつける。外へ一歩出れば、他の人たちが居るからだろう。ミレナは素顔が隠されてしまい、残念に思った。
「まだ、この状態なれてないからさ。支えてくれると嬉しい」
頼られているという事実がミレナを歓喜させた。
◇
今日は三日に一度のスープの日だ。だからと言って、味気ないことには変わりない。これを毎日食べ続けれるのは一部の敬虔な信者と枢機卿くらいのものだろう。
ミレナやほかの神官たちは外で食事を摂ることが多く、それをとがめられることはない。だが、トゥーと共に摂る食事はいつもよりおいしく感じた。
「この国の食事ってさ、全部が全部こういうのじゃないよね?なんていうんだろう、味が精進料理?違うか、宇宙食?軍食?食べたことないけどね」
やはりトゥーにとって、この食事はひどく味気ないものだったらしい。思いが通じなかったことに落胆しつつ、この食事であれば致し方ないと考える。
トゥーはおいしくなさそうな顔をしながらも、平らげていた。余程お腹がすいていたのだろう。次に注がれたものを眺め、これお酒だよねとつぶやいていた。
「ええ、神々に身を捧げる者たちの食事ですので……もちろん、外で食べることは制限されていませんし、おいしいものはたくんさんありますよ」
ミレナが話している途中で、トゥーはグラスの中身を一気に煽る。無茶な飲み方をするものだから、少しだけハラハラした。
「俺あんまり強いの飲んだことなかったけど、おいしいし結構いけるな……今度おすすめの場所に連れていってくれる?」
「わたくしでよければ、ぜひ」
「そんな謙遜する必要はないよ。俺、そもそも友達ミレナしかいないし、こんなきれいな人と出かけられるなんて、ちょっと今から浮かれてるんだ」
ストレートな誉め言葉にミレナは顔が赤くなるのを感じた。今まで散々褒められたことはあったが、やはりトゥーのかけてくれる言葉は違う。会って間もないこのときに、ミレナは己の恋心を自覚した。
◇
このままトゥーはずっと自分の近くに住んでいて、毎日顔を合わせる日々が続くのだろう。そう思っていた。
だが、トゥーはすぐに行動を開始した。教皇に頼ることをせず、己の力と御業を行使してお金を稼いだ。
その途中で何度も人助けをしたり、またはある重教義違反者の集団を捉え、感謝した貴族の一人が娘を差し出そうとした事態もあった。
――あっという間にトゥーはこの街の人気者となり、勇者とよばれるようになった。
最初こそはトゥーの英雄譚に胸躍らせていたが、次第に素直に喜べなくなっていた。なぜなら、彼を慕う人物は数を増やしていったからだ。その中には本気で恋情を抱く者もいる。彼はいつも不特定多数の女性に取り囲まれるようになった。
だが、素顔を見せられる女性はたった一人だけである。気疲れするだろうと、ミレナはよくトゥーを食事に誘いまた彼も誘ってくれた。
そのころだろうか、彼がなんとなく照れ臭そうに笑うようになったのは。どこか違和感を抱きながらも、ミレナは照れているという事実をそのまま受け取ってしまった。
このころからミレナは己の精神状態が不安定になっていくのを感じていた。大きな障害が生まれたことにより、よりミレナの恋心は増していく。
まるで自分ではないかのように、浮き沈みが激しくなった。そんな自身を嫌悪しながらも、誰かにこの想いを伝えたい欲求にかられる。
しかしミレナには、そんな等身大の恋心を言うような相手はいない。神官たちに言っても困らせてしまうだけだろう。そんな葛藤を胸の内に秘めていた時。
もう一人の異邦者が現れた。
教皇による、長い説法がはじまろうとしたとき、トゥーが勢いよく手を挙げた。
「は~い、ヴァーツラフ!ちょっと聞きたいんだけど」
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「転移の御業とかないの?明かりを照らすのとか、力を強くするのとかは試してみて、普通にできたんだけど。それ以外ないのかなって気になってさ」
転移とは一部の人にしか行使することができないものである。もちろんミレナは使えない。
「然り、存在する」
そう言うと、教皇はトゥーにその聖句を教える。ミレナはその様子を遠くから見守っていた。
「わかった!転移!」
なにを理解したのかさっぱりわからないセリフである。トゥーは長い聖句を無視し、省略して言い放った。
すると、トゥーの姿は掻き消えミレナの目の前へと姿を現した。額同士がくっついてしまいそうな、かつてない近距離である。
「うわっ、ごめん。ミレナの所って思ったら、こんな近くにきちゃって」
トゥーは慌てて、後ろへと下がる。
「いいえ、お気になさらず」
ミレナは顔を真っ赤にしながら目を伏せた。余裕そうなトゥーの態度がなんだか悔しく感じた。照れたりときめいたりするのはミレナばかりであって、トゥーにそんな様子は見られないからだ。
「そなたには御業の加護があることが確認できた。ゆえに今日から人前でこの面を着けて生活せよ」
教皇はどこからか、仮面を取り出した。動物をモチーフにしたそれはどこか独特で、おそらくこの国のものではないだろう。
「何それ?なんか和風っぽいけど、ちょっと違うような」
トゥーの言うワフウという単語の意味はよく理解できなかったが、概ねミレナと同じ意見なのだろう。不思議そうに首をひねっている。
「教皇さま、なぜそのような必要があるのでしょうか。その面を着けると、日常生活に著しく支障がでそうに思えます」
目の部分は空いてるのかよくわからないくらいに細かった。御業を常時使わない限り、まっすぐ歩くのも困難に思える。
すると、教皇は錫杖の先を軽く叩きつけるとその場に膝を付き、胸に手を当てた。そのただならぬ様子にミレナも同じ態勢を取った。
「これは尊き神からのご指示である。異邦者トゥーは次に訪れるであろう者に素顔を見せてはならぬ」
教皇はうそをついたり、物事を大げさに言ったりすることがない。その口から紡がれる言葉はすべて真実である。
であるがゆえに、神の指示というのはとても重いものだった。過去の記録を紐解いてみても、直接神から声をかけられたことなど、片手で数えられるくらいだ。
そんな歴史的場面に今立ち会っている。ミレナは緊張から体を固くする。
「時が来るまではその姿さえも、本名も明かしてはならぬ」
「俺、自分の本当の名前わからないから、それは心配する必要ないって。でもさ、それってずっとつけてなくちゃダメなのかな」
嫌だ。ミレナはそう思ってしまった。尊き神の指示だというのに、自分はもしかしたら神官を名乗る資格もなかったのかもしれない。
その事実に打ち震える。だが、トゥーが仮面を身に着けてしまえば、あの笑顔を見ることができなくなってしまう。
「否。あくまで人前に出るときだけである。すでに素顔を見ている者や、誰もいない部屋までそうする必要はない」
ミレナはその言葉を聞いた瞬間、安堵で膝から崩れ落ちそうになってしまうが、なんとかこらえた。つまりミレナと二人きりならば、素顔を見せてもいいということだ。その事実に歓喜した。
「あのさ、ミレナ。なにか食い物ない?」
ひとしきり教皇から御業の使い方を教わったあと、トゥーはそう言った。途中から青い顔をしはじめていたのが気になっていたが、そういうことだったらしい。
「はい!もちろんございます。少々お待ちください」
ミレナが立ち上がり、出て行こうとすると腕を捕まれた。
「あ、ごめんね。その、ただしてもらうのはなんか嫌で。案内してもらってもいい?そのあとで、一緒にここに帰って食べよう」
トゥーは仮面をつける。外へ一歩出れば、他の人たちが居るからだろう。ミレナは素顔が隠されてしまい、残念に思った。
「まだ、この状態なれてないからさ。支えてくれると嬉しい」
頼られているという事実がミレナを歓喜させた。
◇
今日は三日に一度のスープの日だ。だからと言って、味気ないことには変わりない。これを毎日食べ続けれるのは一部の敬虔な信者と枢機卿くらいのものだろう。
ミレナやほかの神官たちは外で食事を摂ることが多く、それをとがめられることはない。だが、トゥーと共に摂る食事はいつもよりおいしく感じた。
「この国の食事ってさ、全部が全部こういうのじゃないよね?なんていうんだろう、味が精進料理?違うか、宇宙食?軍食?食べたことないけどね」
やはりトゥーにとって、この食事はひどく味気ないものだったらしい。思いが通じなかったことに落胆しつつ、この食事であれば致し方ないと考える。
トゥーはおいしくなさそうな顔をしながらも、平らげていた。余程お腹がすいていたのだろう。次に注がれたものを眺め、これお酒だよねとつぶやいていた。
「ええ、神々に身を捧げる者たちの食事ですので……もちろん、外で食べることは制限されていませんし、おいしいものはたくんさんありますよ」
ミレナが話している途中で、トゥーはグラスの中身を一気に煽る。無茶な飲み方をするものだから、少しだけハラハラした。
「俺あんまり強いの飲んだことなかったけど、おいしいし結構いけるな……今度おすすめの場所に連れていってくれる?」
「わたくしでよければ、ぜひ」
「そんな謙遜する必要はないよ。俺、そもそも友達ミレナしかいないし、こんなきれいな人と出かけられるなんて、ちょっと今から浮かれてるんだ」
ストレートな誉め言葉にミレナは顔が赤くなるのを感じた。今まで散々褒められたことはあったが、やはりトゥーのかけてくれる言葉は違う。会って間もないこのときに、ミレナは己の恋心を自覚した。
◇
このままトゥーはずっと自分の近くに住んでいて、毎日顔を合わせる日々が続くのだろう。そう思っていた。
だが、トゥーはすぐに行動を開始した。教皇に頼ることをせず、己の力と御業を行使してお金を稼いだ。
その途中で何度も人助けをしたり、またはある重教義違反者の集団を捉え、感謝した貴族の一人が娘を差し出そうとした事態もあった。
――あっという間にトゥーはこの街の人気者となり、勇者とよばれるようになった。
最初こそはトゥーの英雄譚に胸躍らせていたが、次第に素直に喜べなくなっていた。なぜなら、彼を慕う人物は数を増やしていったからだ。その中には本気で恋情を抱く者もいる。彼はいつも不特定多数の女性に取り囲まれるようになった。
だが、素顔を見せられる女性はたった一人だけである。気疲れするだろうと、ミレナはよくトゥーを食事に誘いまた彼も誘ってくれた。
そのころだろうか、彼がなんとなく照れ臭そうに笑うようになったのは。どこか違和感を抱きながらも、ミレナは照れているという事実をそのまま受け取ってしまった。
このころからミレナは己の精神状態が不安定になっていくのを感じていた。大きな障害が生まれたことにより、よりミレナの恋心は増していく。
まるで自分ではないかのように、浮き沈みが激しくなった。そんな自身を嫌悪しながらも、誰かにこの想いを伝えたい欲求にかられる。
しかしミレナには、そんな等身大の恋心を言うような相手はいない。神官たちに言っても困らせてしまうだけだろう。そんな葛藤を胸の内に秘めていた時。
もう一人の異邦者が現れた。
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