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優しい店主
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「ねぇ奥さん聞いてよ、あの八百屋さんまたリンゴサービスしてくれたのよ、ホントにあそこの店主さんいい人よねぇ」
「あらおたくも?私も昨日店に行った時にバナナサービスしてくれたのよ、噂じゃ来るお客さん全員にサービスしてるらしいわよ、どれだけ優しい店主さんなのかしら」
最近できた近所の八百屋さんの店主さんがすごくいい人だと、ココ最近主婦たちの間で噂になっている。
かくゆう私も何度か行ってみたのだが、その度に何かしらのサービスをしてくれた。
店主さんはとても優しい笑顔をするおじいちゃんで、見ていてなんだが実家に帰ったような安心感がある。
ただ、この八百屋には一つだけおかしいところがある。
店の一番よく見える場所、つまりは路上に少し出ている一押しの品を置く所に、ヤギの生首が置かれているのだ。
値段は150円。
特に調理も加工もされていない、ただただ胴体から切り離されたヤギの生首、最初に目に入ってきた時はあまりのグロさに気絶しかけた。
笑顔の素敵なおじいちゃんの店主、その店で売られているヤギの生首。
そのギャップが更に狂気を引き立てている。
周りの人はどうも思わないのかと周りの客を見てみたが、皆ただの売り物のひとつとしてしか見ておらず、特にリアクション等はしていなかった。
だからといって購入する人がいるわけでもなく、ある程度日にちが経ち腐ってくるとどこで仕入れたのか新しいヤギの生首が飾られる。
近所の主婦の噂話を盗み聞きしてみても、ヤギの生首について話している人は一人としていなかった。
ここまで誰も騒がないとなると、おかしいと思っている私がおかしいのではないのかと思ってくる。
次の日、私は例の八百屋に行くことにした。
店主にヤギの生首の事を直接聞くためだ、いつまでもモヤモヤしているのはじれったいし、買い物に行くたびにヤギの生首を見るのはゴメンだからだ。
近くの少し寂れた商店街の奥の方に行くと、八百屋が見えてくる、今日も今日とてヤギの生首が当たり前のように売られていた。
「あっ、今日は130円だ、少し安くなってる」
いやいや、そんなことはどうでもいい、ニコニコと笑いかけてくるおじいちゃん店主に、ヤギの生首について聞いてみた。
「あの、この生首ってなんのために売ってるんですか?誰も買ってるところを見たことないんですけど...」
そう言った瞬間、店主の優しい笑顔が消え、真顔でこちらを見てきた。
「えっ?あ、あの...」
思わず顔を逸らしてしまう、すると、周りの人達が視界に入ってきた。
みんな、そこいる全員が私のことを真顔で見ていた。
「あ、あの!なんなんですか!?」
私の声に対して全く答えようとしない、みんな、真顔でただ私を見つめるだけだ。
なんで?どうしてこんなことに?
そういえば、海外ではヤギは悪魔の象徴として扱われることがあるらしい。
私は、触れてはいけない何かに、触れてしまったのかもしれない...。
「あらおたくも?私も昨日店に行った時にバナナサービスしてくれたのよ、噂じゃ来るお客さん全員にサービスしてるらしいわよ、どれだけ優しい店主さんなのかしら」
最近できた近所の八百屋さんの店主さんがすごくいい人だと、ココ最近主婦たちの間で噂になっている。
かくゆう私も何度か行ってみたのだが、その度に何かしらのサービスをしてくれた。
店主さんはとても優しい笑顔をするおじいちゃんで、見ていてなんだが実家に帰ったような安心感がある。
ただ、この八百屋には一つだけおかしいところがある。
店の一番よく見える場所、つまりは路上に少し出ている一押しの品を置く所に、ヤギの生首が置かれているのだ。
値段は150円。
特に調理も加工もされていない、ただただ胴体から切り離されたヤギの生首、最初に目に入ってきた時はあまりのグロさに気絶しかけた。
笑顔の素敵なおじいちゃんの店主、その店で売られているヤギの生首。
そのギャップが更に狂気を引き立てている。
周りの人はどうも思わないのかと周りの客を見てみたが、皆ただの売り物のひとつとしてしか見ておらず、特にリアクション等はしていなかった。
だからといって購入する人がいるわけでもなく、ある程度日にちが経ち腐ってくるとどこで仕入れたのか新しいヤギの生首が飾られる。
近所の主婦の噂話を盗み聞きしてみても、ヤギの生首について話している人は一人としていなかった。
ここまで誰も騒がないとなると、おかしいと思っている私がおかしいのではないのかと思ってくる。
次の日、私は例の八百屋に行くことにした。
店主にヤギの生首の事を直接聞くためだ、いつまでもモヤモヤしているのはじれったいし、買い物に行くたびにヤギの生首を見るのはゴメンだからだ。
近くの少し寂れた商店街の奥の方に行くと、八百屋が見えてくる、今日も今日とてヤギの生首が当たり前のように売られていた。
「あっ、今日は130円だ、少し安くなってる」
いやいや、そんなことはどうでもいい、ニコニコと笑いかけてくるおじいちゃん店主に、ヤギの生首について聞いてみた。
「あの、この生首ってなんのために売ってるんですか?誰も買ってるところを見たことないんですけど...」
そう言った瞬間、店主の優しい笑顔が消え、真顔でこちらを見てきた。
「えっ?あ、あの...」
思わず顔を逸らしてしまう、すると、周りの人達が視界に入ってきた。
みんな、そこいる全員が私のことを真顔で見ていた。
「あ、あの!なんなんですか!?」
私の声に対して全く答えようとしない、みんな、真顔でただ私を見つめるだけだ。
なんで?どうしてこんなことに?
そういえば、海外ではヤギは悪魔の象徴として扱われることがあるらしい。
私は、触れてはいけない何かに、触れてしまったのかもしれない...。
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