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地底人
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都市伝説としてしか扱われなかった地底人が、日本の新潟県で発見された。
体に毛は一本も生えておらず、日に当たって居ないためか異常に体が白かった。
見つかった地底人は緊急出動した自衛隊によって捕獲され、現在はとある研究室に閉じ込められている。
以下、研究所の記録
地底人と意思疎通をとるために、地球上のあらゆる言語による対話を行ったが、どれも相手には通じず、地底人は怯えるだけだった。
この実験で明らかになったのは、地底人は我々の同程度の知性を持っているということ、この個体にかぎる話かもしれないが、性格は非常に繊細である。
個体をガラス張りの個室に移し、一時睡眠をとらせる。
次の日、地底人に我々の食事を与えてみた。
メニューはアジの味噌煮と炊きたての白ご飯、そして熱々の味噌汁というThe和食だ。
地底人は最初は部屋の隅でがたがたと震え動こうとはしなかったが、やはり空腹には耐えられないのか渋々和食を口にした。
モグモグと飲み込まずに味をチェックしている、噛み始めてから5秒後、突然顔を歪め食べ物を吐き出した。
涙を流しながら嘔吐し続け、再び部屋の隅でガタガタと震え出した。
和食が体に合わないだけという可能性を考え、世界中の料理を食べさせたが、どれも同じ結果に終わった。
今回の実験で地底人は痩せこけ、命の危険が考えられる。
医療班により点滴による経管栄養を開始する。
部屋を逃げ回る地底人を取り押さえ、腕に針を注射する。
地底人は甲高い叫び声をあげ、じたばたと抵抗する。
医療班により経管栄養が始まる。
開始から5分、暴れていた地底人が大人しくなる。
開始から10分、ガタガタと体が痙攣し始める、医療班は急いで針を地底人から抜く。
開始から20分、地底人か鼓膜が破れそうなほどの甲高い叫び声をあげ、突然暴れだす。
開始から23分、地底人は内蔵を全て吐き出し、動かなくなった。
今回の実験により地底人は死亡、今後は地底人に経管栄養をすることを禁止する。
また、新たな実験体の捕獲のために新潟県の地底人第一号が発見された場所から新たな地底人を確保することを自衛隊に要請すること。
一ヶ月前に、とうとう我々は地上世界への道を見つけた。
長年我々はこの暗い地下の中、圧迫感のある天井に苦しみながら生活してきた。
そんな生活ももう終わるのだ。
しかも、地上世界には地上人と言われる人類が生活しており、かなり発展した文明を持っていると言われている、人間お互いに助け合いだ、これが本当ならば我々を助けてくれるに違いない。
地上世界への探索員第一号としてアバロン研究員が選ばれた、彼ならば有益な情報を地上から持って帰ってくれるに違いない。
これからの地上人との平和な生活を考えると、今まで苦しんできたこの生活が報われる気がする。
体に毛は一本も生えておらず、日に当たって居ないためか異常に体が白かった。
見つかった地底人は緊急出動した自衛隊によって捕獲され、現在はとある研究室に閉じ込められている。
以下、研究所の記録
地底人と意思疎通をとるために、地球上のあらゆる言語による対話を行ったが、どれも相手には通じず、地底人は怯えるだけだった。
この実験で明らかになったのは、地底人は我々の同程度の知性を持っているということ、この個体にかぎる話かもしれないが、性格は非常に繊細である。
個体をガラス張りの個室に移し、一時睡眠をとらせる。
次の日、地底人に我々の食事を与えてみた。
メニューはアジの味噌煮と炊きたての白ご飯、そして熱々の味噌汁というThe和食だ。
地底人は最初は部屋の隅でがたがたと震え動こうとはしなかったが、やはり空腹には耐えられないのか渋々和食を口にした。
モグモグと飲み込まずに味をチェックしている、噛み始めてから5秒後、突然顔を歪め食べ物を吐き出した。
涙を流しながら嘔吐し続け、再び部屋の隅でガタガタと震え出した。
和食が体に合わないだけという可能性を考え、世界中の料理を食べさせたが、どれも同じ結果に終わった。
今回の実験で地底人は痩せこけ、命の危険が考えられる。
医療班により点滴による経管栄養を開始する。
部屋を逃げ回る地底人を取り押さえ、腕に針を注射する。
地底人は甲高い叫び声をあげ、じたばたと抵抗する。
医療班により経管栄養が始まる。
開始から5分、暴れていた地底人が大人しくなる。
開始から10分、ガタガタと体が痙攣し始める、医療班は急いで針を地底人から抜く。
開始から20分、地底人か鼓膜が破れそうなほどの甲高い叫び声をあげ、突然暴れだす。
開始から23分、地底人は内蔵を全て吐き出し、動かなくなった。
今回の実験により地底人は死亡、今後は地底人に経管栄養をすることを禁止する。
また、新たな実験体の捕獲のために新潟県の地底人第一号が発見された場所から新たな地底人を確保することを自衛隊に要請すること。
一ヶ月前に、とうとう我々は地上世界への道を見つけた。
長年我々はこの暗い地下の中、圧迫感のある天井に苦しみながら生活してきた。
そんな生活ももう終わるのだ。
しかも、地上世界には地上人と言われる人類が生活しており、かなり発展した文明を持っていると言われている、人間お互いに助け合いだ、これが本当ならば我々を助けてくれるに違いない。
地上世界への探索員第一号としてアバロン研究員が選ばれた、彼ならば有益な情報を地上から持って帰ってくれるに違いない。
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