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超能力姉妹
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私たち姉妹は超能力を持っている。
といっても、物を浮かせたりとか瞬間移動が出来るといった派手なものでは無い。
私と私の妹の間限定でテレパシーが使えるのである。
まぁぶっちゃけ携帯電話がここまで発達している現代において、テレパシーなんてしけた能力だ、しかも妹としか話せないあたり、携帯より劣っていると言える。
そんな事だから、私たち姉妹は滅多にテレパシーを使わない。
「行ってきま~す」
「うぃ~す」
今日は妹は友達と遊ぶ予定があるらしい、せっかくの休日に外に出るなど、なんて恐ろしいことをするんだ、休日は家にこもるに限る。
カチ、カチ、カチ、カチ
静かな時間がただただ流れる。
そうそう、これでいいんだよ、休日まで人間のバカみたいにうるさい声を聞く必要は無い。
穏やかに一人の静寂にひたっていたその時。
「お姉ちゃん!!!助けてぇぇぇぇ!!!」
何年も使っていなかったテレパシーによって伝わってきた妹の叫び声、あまりの声量に体が飛び起きる。
あの声、これはただ事ではない。
「ねぇ!何があったの!!聞こえる!?ねぇってば!!」
急いでテレパシーを妹に飛ばすが、返事がない。
ドキドキと高鳴る心臓、ダラダラと垂れる冷や汗、その日の夜、妹が帰ってくることはなかった。
次の日、妹は死体で発見された。
妹が乗っていたバスの運転手が薬物をしており、突然バスで暴れ回ったらしい。
何十人もの人を跳ねたあと、バスはビルに突っ込み停止した。
バスに乗っていた人は全員死に、轢かれた人も誰一人として生きていなかった。
「ウグッ、ヒッグッ、どうして...どうして死んだのよぉぉぉ!!!!」
妹の葬式、今まで私たちに泣いた所を見せたことの無いお母さんが狂ったように泣いていた。
妹の死体は生きていると思ってしまうほどに綺麗に原型をとどめている、そんな妹が入っている棺に、お母さんはいつまでもしがみついていた。
葬式も一通り終わり、とうとう妹の死体を焼却する時が来た。
皆がおいおいと涙を流す中、妹の死体は焼却炉に入れられる。
「それでは、点火させて頂きます」
そう言うと焼却炉が棺を燃やし始めた。
あぁ、本当に妹は死んでしまったのだ、もう二度と姿を見ることも声を聞くことも出来ないんだ...。
「熱い!!熱いよお姉ちゃん!!なんなのこれ!!」
嘘だ...、妹のテレパシーが聞こえる!!妹はまだ生きていたんだ!!
「熱い!!熱いよぉぉ!!死んじゃう!!死んじゃうぅぅぅ!!」
妹の悲痛の叫び声が脳に響く。
「やめて!!妹を焼かないで!!今すぐ止めて!!」
周りの大人に頼むが、みな妹を失いたくない可哀想な姉という哀れみの目で見てくるだけで、誰も止めようとはしてくれない。
「ア...ツ..イ.ア...ツ..イ.」
妹の声がどんどん薄れていく。
「やめて!!死なないで!!死なないでよ!!」
ガンガンと焼却炉を殴るが、大人に泣きながら止められるだけだった。
「うぅ...、なんで、どうしてこんなことに...」
私の大切な妹は、私の大切な人達の手によって、焼き殺された。
といっても、物を浮かせたりとか瞬間移動が出来るといった派手なものでは無い。
私と私の妹の間限定でテレパシーが使えるのである。
まぁぶっちゃけ携帯電話がここまで発達している現代において、テレパシーなんてしけた能力だ、しかも妹としか話せないあたり、携帯より劣っていると言える。
そんな事だから、私たち姉妹は滅多にテレパシーを使わない。
「行ってきま~す」
「うぃ~す」
今日は妹は友達と遊ぶ予定があるらしい、せっかくの休日に外に出るなど、なんて恐ろしいことをするんだ、休日は家にこもるに限る。
カチ、カチ、カチ、カチ
静かな時間がただただ流れる。
そうそう、これでいいんだよ、休日まで人間のバカみたいにうるさい声を聞く必要は無い。
穏やかに一人の静寂にひたっていたその時。
「お姉ちゃん!!!助けてぇぇぇぇ!!!」
何年も使っていなかったテレパシーによって伝わってきた妹の叫び声、あまりの声量に体が飛び起きる。
あの声、これはただ事ではない。
「ねぇ!何があったの!!聞こえる!?ねぇってば!!」
急いでテレパシーを妹に飛ばすが、返事がない。
ドキドキと高鳴る心臓、ダラダラと垂れる冷や汗、その日の夜、妹が帰ってくることはなかった。
次の日、妹は死体で発見された。
妹が乗っていたバスの運転手が薬物をしており、突然バスで暴れ回ったらしい。
何十人もの人を跳ねたあと、バスはビルに突っ込み停止した。
バスに乗っていた人は全員死に、轢かれた人も誰一人として生きていなかった。
「ウグッ、ヒッグッ、どうして...どうして死んだのよぉぉぉ!!!!」
妹の葬式、今まで私たちに泣いた所を見せたことの無いお母さんが狂ったように泣いていた。
妹の死体は生きていると思ってしまうほどに綺麗に原型をとどめている、そんな妹が入っている棺に、お母さんはいつまでもしがみついていた。
葬式も一通り終わり、とうとう妹の死体を焼却する時が来た。
皆がおいおいと涙を流す中、妹の死体は焼却炉に入れられる。
「それでは、点火させて頂きます」
そう言うと焼却炉が棺を燃やし始めた。
あぁ、本当に妹は死んでしまったのだ、もう二度と姿を見ることも声を聞くことも出来ないんだ...。
「熱い!!熱いよお姉ちゃん!!なんなのこれ!!」
嘘だ...、妹のテレパシーが聞こえる!!妹はまだ生きていたんだ!!
「熱い!!熱いよぉぉ!!死んじゃう!!死んじゃうぅぅぅ!!」
妹の悲痛の叫び声が脳に響く。
「やめて!!妹を焼かないで!!今すぐ止めて!!」
周りの大人に頼むが、みな妹を失いたくない可哀想な姉という哀れみの目で見てくるだけで、誰も止めようとはしてくれない。
「ア...ツ..イ.ア...ツ..イ.」
妹の声がどんどん薄れていく。
「やめて!!死なないで!!死なないでよ!!」
ガンガンと焼却炉を殴るが、大人に泣きながら止められるだけだった。
「うぅ...、なんで、どうしてこんなことに...」
私の大切な妹は、私の大切な人達の手によって、焼き殺された。
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