三分で読める一話完結型ショートホラー小説

真っ赤

日本の札幌に隕石が落ちてきた。
隕石は地球に衝突した瞬間に砕け散り、一瞬のうちに地球を赤に染めた。
予想だにしない緊急事態に世界中の学者達が研究をした結果、隕石が砕けた時に中に入っていた粉塵が世界中に拡散し、それが光と反射して地球を赤くしてしまったということが分かった。
視界が常に赤い、それ以外は人体に害は無く、粉塵が機械に影響を及ぼすこともなかった。
ただ単に、地球が赤一色に染っただけである。
最初のうちは我々も戸惑った、だが慣れてみると別にいつもの生活と変わらない、一ヶ月もするとパニックは収まり、再び平和な日常が訪れた。
と、思われた。
地球が赤に染ってから三ヶ月後、世界中で暴力事件が急増した。
学者達の見解によると赤色により脳が興奮し、短期かつ暴力的な思想になってしまっているということがわかった。
これを解決するために様々な議論がなされたが、どれも議論中に喧嘩が起き、まともに議論ができない状況に陥っていた。
各地で戦争が起こり、一方的な虐殺や仲間割れにより多くの犠牲者が出た。
地球が赤に染まってから一年後、ほとんどの国が機能しなくなり、地球は暴力に支配された星になった。
人口も半分以下まで減り、このペースだとあと二年ほどで人類は滅亡するだろう。
きっかけはただ色が変わっただけだ、たったそれだけ、されどそれだけ。
小さな変化が気がつくと大きな変化に繋がる、地球を遠くから見ていた宇宙人たちは、今回の出来事でそんな教訓を得た。