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愛し合う二人
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旦那が目の前で死んだ。
ニコニコとこちらに向かってくる最中につまづいてしまい、頭を強く打ち死んだのである。
まだ結婚してから1年も経っていない、さっきまで幸せの絶頂期だったのに...。
「うそ、嘘でしょ...、目を覚ましてよ...」
死体からは血も出ておらず、死んでいるのが嘘みたいだ。
「嫌よ!死んじゃ嫌!愛してるの!あなたを愛してるのよ!」
いくら叫ぼうが、人は一度死んだら蘇ることは無い。
嫌だ、彼がいない生活なんて考えられない。
「か、隠さなきゃ...」
この死体が見つかってしまったら、きっと焼却されてしまう、そうなったら二度と彼を見ることが出来なくなる。
ズルズルと冷たい彼を引きずり、押し入れの中に隠す。
「ごめんね、ここしか隠せそうなところがないの」
こうして私と彼の死体との生活が始まった。
「何も無いのは寂しいからお花置いとくね、このお花好きって言ってたよね、今日買ってきたの」
彼のそばに彼が好きだった花の花瓶を置く、
これで彼も少しは窮屈な空間のストレスを紛らわせるだろう。
それにしても、彼は死んでからさらに美しくなった気がする。
青ざめた肌は彼の涼し気な顔立ちと非常にマッチしており、壁に力なくもたれ掛かる姿もセンチメンタルな趣をしており、彼の魅力を引き立てている。
「あぁ、私があなたに惹かれた理由がわかる気がするわ、人形のように美しい...」
服を脱ぎ、彼の手を使って自慰をする。
冷ややかな指が熱い体に入ってきて、私の欲を慰める。
こうして愛する人の死体と混じり合うと、死の世界が垣間見えてくる、静かで不気味、それでいてどこか惹かれる魅力がある。
私はただ自慰をしているのでは無い、生の世界と死の世界の間をこの身で感じているのだ、その世界を見せてくれているのは、紛れもない愛する彼だ。
それからも私達は幾度となく生の世界と死の世界の間で愛し合った、生と死が調和し、生きているのか死んでいるのか分からなくなる。
だがそんなことはどうでもいい、彼と一緒の空間にいる、それが一番重要なのだ。
だが、そんな生活も長くは続かない。
彼の体が腐り、虫が湧き、酷い匂いを発してきた。
彼の人形のような顔立ちも崩れ落ち、顔中からウジが湧いている。
彼は死の世界の奥深くまで行ってしまったのだ。
こうなれば、私が死の世界に近づくしかない、自分自身の体に刃を入れ、血を流しながら彼に抱きつく。
切った傷口から彼の蛆虫が入り込み、うねうねとした感覚がする。
彼の目玉のウジを啜り、私の目にも彼のウジを流し込む。
死の世界の奥底に、彼の姿が見えてくる。
私達は抱き合う、永遠に愛を誓い合う。
「ねぇ、私達、ずっと一緒よね」
「あぁ、もちろんだよ、もう僕達はもう離れない」
うねうねと暖かい彼の胸の中、私は微笑みながら死の世界へと旅立った。
ニコニコとこちらに向かってくる最中につまづいてしまい、頭を強く打ち死んだのである。
まだ結婚してから1年も経っていない、さっきまで幸せの絶頂期だったのに...。
「うそ、嘘でしょ...、目を覚ましてよ...」
死体からは血も出ておらず、死んでいるのが嘘みたいだ。
「嫌よ!死んじゃ嫌!愛してるの!あなたを愛してるのよ!」
いくら叫ぼうが、人は一度死んだら蘇ることは無い。
嫌だ、彼がいない生活なんて考えられない。
「か、隠さなきゃ...」
この死体が見つかってしまったら、きっと焼却されてしまう、そうなったら二度と彼を見ることが出来なくなる。
ズルズルと冷たい彼を引きずり、押し入れの中に隠す。
「ごめんね、ここしか隠せそうなところがないの」
こうして私と彼の死体との生活が始まった。
「何も無いのは寂しいからお花置いとくね、このお花好きって言ってたよね、今日買ってきたの」
彼のそばに彼が好きだった花の花瓶を置く、
これで彼も少しは窮屈な空間のストレスを紛らわせるだろう。
それにしても、彼は死んでからさらに美しくなった気がする。
青ざめた肌は彼の涼し気な顔立ちと非常にマッチしており、壁に力なくもたれ掛かる姿もセンチメンタルな趣をしており、彼の魅力を引き立てている。
「あぁ、私があなたに惹かれた理由がわかる気がするわ、人形のように美しい...」
服を脱ぎ、彼の手を使って自慰をする。
冷ややかな指が熱い体に入ってきて、私の欲を慰める。
こうして愛する人の死体と混じり合うと、死の世界が垣間見えてくる、静かで不気味、それでいてどこか惹かれる魅力がある。
私はただ自慰をしているのでは無い、生の世界と死の世界の間をこの身で感じているのだ、その世界を見せてくれているのは、紛れもない愛する彼だ。
それからも私達は幾度となく生の世界と死の世界の間で愛し合った、生と死が調和し、生きているのか死んでいるのか分からなくなる。
だがそんなことはどうでもいい、彼と一緒の空間にいる、それが一番重要なのだ。
だが、そんな生活も長くは続かない。
彼の体が腐り、虫が湧き、酷い匂いを発してきた。
彼の人形のような顔立ちも崩れ落ち、顔中からウジが湧いている。
彼は死の世界の奥深くまで行ってしまったのだ。
こうなれば、私が死の世界に近づくしかない、自分自身の体に刃を入れ、血を流しながら彼に抱きつく。
切った傷口から彼の蛆虫が入り込み、うねうねとした感覚がする。
彼の目玉のウジを啜り、私の目にも彼のウジを流し込む。
死の世界の奥底に、彼の姿が見えてくる。
私達は抱き合う、永遠に愛を誓い合う。
「ねぇ、私達、ずっと一緒よね」
「あぁ、もちろんだよ、もう僕達はもう離れない」
うねうねと暖かい彼の胸の中、私は微笑みながら死の世界へと旅立った。
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