三分で読める一話完結型ショートホラー小説

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テスト

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今日は僕が通っている小学校で算数のテストがある、僕は算数が大の苦手だ、朝からなんだかどんよりとした気持ちになる。
「はぁ、学校行きたくないなぁ」
「ほら、そんなこと言ってないで早くご飯食べちゃいなさい、遅刻しちゃうわよ」
「でもテストのせいで食欲なんてないよぉ」
ママには申し訳ないが、今日は朝ごはん抜きで学校に行こう...。
そう思って椅子を立とうとした。
「こら、ちゃんと食べなきゃ頭が動かないわよ、一口でいいから、ほら、口を開けて」
少し照れくさいが口を開け食べさせてもらう。
「もぐもぐ、ママ、ありがとう」
「ふふふ、ちゃんと口の中の物が無くなってから喋るのよ」
僕は優しくて美人なママが大好きだ、今日だって僕の嫌な気持ちを今みたいに和らげてくれた。
「車に気をつけて行くのよー」
「はーい!」
とことことこ
学校への道を歩く、季節は春だ、辺りにはもう桜が咲いていた。
「わぁ、綺麗だなぁ、そうだ!今日は帰ったらママとお花見にいこう!」
そう思うとテストだって頑張れる気がする、僕はスキップしたがら学校へ向かった。

「はーい、皆さん席に着いてくださーい。今からテストを配りまーす」
先生の無機質な声が教室にひびき、教室が急に静かになる。
テストを作る先生は毎回違う、この先生はいつも難しい問題ばかり出してくる。
「うわっ、よりにもよってこの先生かぁ、この先生何を考えているか分からなくてこわいんだよぉ」
それはみんなも思っていることで、この先生は学校の生徒全員から畏怖されていた。
「いや、今はそんなこと考えてる場合じゃない、テストに集中しなきゃ」
用紙が前の席から自分の元に配布され、いよいよテストが始まった。

問一、佐藤くんはりんごを3個持ってい     
             ました、しかし我慢できずに2個  
             食べてしまいました、さて、りん   
             ごは何個でしょう?

お、これは簡単だ、3個から2個減った、つまり3-2でりんごは1個だ。
よし、この調子ならなんとかなるぞ。
問二問三と、このような文章問題が続いていく、どれも簡単な問題ばかりで、僕は難なく問題を突破していった。
しかし、問八で不思議な問題に行き詰まる。

問八、今、あなたのおうちの前に包丁を
             持った怪しい男がいます、あなた
             はどうするべきでしょう?

なんだろう?この問題、これは算数なのかな?
よく分からないけど、何も書かないのは良くない、僕はこう解答した。

解答
外に出るのはあぶないので、家から出ないようにする。

うん、これが一番無難だと思う、どうしてこんな問題が出たのか分からないけど、あの先生が作ったテストだ、変なところがあってもおかしくない。
蟠りは残るが、次の問題に取り掛かる。

問九、あなたが家に引きこもっている  
            と、包丁を持った男は無理やりド  
            アをこじ開けて家に入ってきまし    
            た、さて、あなたはどうするべき 
            でしょう?

な、なにこれ?まるで僕がどう解答するかを知っているかのような問題だ。
不気味な問題にたじろくが、こんなことで点数を落とす訳にはいかない、怖い気はするけど解答する。

解答
ママに助けてもらう。

これでいいのかな?ママならきっと何とかしてくれるはずだ、今までも僕をいっぱい助けてくれたんだもん。
今日もこの不気味なテストを終わらせたらママとお花見にいくんだ、こんな問題に怯んでられないよ!
よーし、次が最後の問題だ!早く終わらせちゃおう!!

問十、あなたがお母さんに助けを求めた
             が為に、お母さんは包丁で刺され
             て死んでしまいました。これにつ
             いてあなたはどう感じましたか?
             今日家に帰って、じっくり考えて   
             から解答してくださいね。
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