60 / 106
夢に見た出産
しおりを挟む
待ちに待った日がやってきた。
今日、私のお腹の中から赤ちゃんが生まれるのだ。
お腹の中の赤ちゃんに愛着が湧きすぎて、産まれる前から泣きそうだ、約10ヶ月も同じ体で生活してきたのだ、愛着がわかない方がおかしい。
もしこの子が男の子だったらどう育てよう?もしこの子が女の子だったらどう育てよう?
考えるだけでも幸せな気持ちになる。
「はーい、それでは分娩室に行きますよー」
妄想に浸っている私に看護師さんがいう。
分娩室、この言葉を聞くと赤ちゃんを今から産むのだという実感が湧いてくる。
私は分娩室へと看護師さん達に運ばれ、分娩台に固定される。
「はい、それじぁ力んでください」
グッと力を込める。
「い、痛い...痛いよぉ...」
この世のものとは思えない痛みだ。
聖書ではイブ(女)への罰として出産の痛みが与えられたと書いてあるが、さすが神のすることだ、相当に痛い。
あまりの痛みに失神しそうになる、そんな地獄のような時間がとても長く続いた。
「頑張ってください!!頭が見えて来ましたよ!!」
そう言われた私は残された最後の力を振り絞って力む、早く赤ちゃんに会いたい、頭の中はそれしか考えられなかった。
「頑張って!!頑張って!!」
「んんん!!!んんん!!うぐぅぅぅ!!」
おぎゃー、おぎゃー
分娩室に産声が響く。
あぁ、産まれた、私の赤ちゃんが。
気絶しかけていた意識が冴え、涙で前が見えなくなる。
「お、おめでとうございます...」
感動する私とは裏腹に、看護師や医師の顔は血の気が引いている。
「え?どうかしましたか?」
「い、いえ、なんでもありません。おつかれでしょう、部屋で休んでいてください...」
そう言うと赤ちゃんは看護師によってどこかの部屋に連れていかれてしまった。
訝しむ私をいそいそと部屋に連れ戻す。
「なによ、赤ちゃんの顔くらい見せてくれてもいいじゃない」
部屋に戻され、ベットに寝かせられた私はこの病院の対応の悪さに苛立っていた。
「キャーーーーーーー!!!!」
どれほど待たされただろうか、突然甲高い悲鳴が聞こえてきた。
「なに!?何が起こったの!?」
突然のことに戸惑う。
「うぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「いやぁぁぁぁ!!!!」
「やめて!!死にたくないぃぃぃ!!!!」
あちこちから悲鳴が聞こえてくる。
私は怖くなり、布団に包まりガタガタと震えることしか出来なかった。
「...........」
最初の悲鳴からしばらくたち、病院の中は怖いくらいに静かになった。
キィィ
私の部屋の扉が開く音がする。
ズリ、ズリ、ズリ、ズリ
何かがゆっくりとこちらに近づいてくる。
怖い怖い怖い怖い、私はきっと殺される。
せめて、せめて赤ちゃんの顔だけは見たかった...。
まだ見ぬ愛しの赤ちゃんの無事を祈りながら私は死を覚悟した。
「ママァ...ママァ...」
「えっ?ママ?」
驚きベットの下を見る。
「ママァ...ママァ...」
そこには血だらけの赤ん坊がいた。
赤ん坊にも関わらず眼が見開かれており、歯も綺麗に生え揃っている。
爪は異様に鋭く伸びており、くちゃくちゃと肉片を食べていた。
「ママァ...ママァ...」
「マ、ママ?私が?あなたの?」
赤ん坊がベットの側面をジリジリと登ってくる。
顔は微笑んでおり、狂気すら感じる。
「ママァ...ママァ...」
「い、いや、いやぁぁぁぁ!!!!」
どうやら私は、悪魔の子を産んでしまったらしい。
今日、私のお腹の中から赤ちゃんが生まれるのだ。
お腹の中の赤ちゃんに愛着が湧きすぎて、産まれる前から泣きそうだ、約10ヶ月も同じ体で生活してきたのだ、愛着がわかない方がおかしい。
もしこの子が男の子だったらどう育てよう?もしこの子が女の子だったらどう育てよう?
考えるだけでも幸せな気持ちになる。
「はーい、それでは分娩室に行きますよー」
妄想に浸っている私に看護師さんがいう。
分娩室、この言葉を聞くと赤ちゃんを今から産むのだという実感が湧いてくる。
私は分娩室へと看護師さん達に運ばれ、分娩台に固定される。
「はい、それじぁ力んでください」
グッと力を込める。
「い、痛い...痛いよぉ...」
この世のものとは思えない痛みだ。
聖書ではイブ(女)への罰として出産の痛みが与えられたと書いてあるが、さすが神のすることだ、相当に痛い。
あまりの痛みに失神しそうになる、そんな地獄のような時間がとても長く続いた。
「頑張ってください!!頭が見えて来ましたよ!!」
そう言われた私は残された最後の力を振り絞って力む、早く赤ちゃんに会いたい、頭の中はそれしか考えられなかった。
「頑張って!!頑張って!!」
「んんん!!!んんん!!うぐぅぅぅ!!」
おぎゃー、おぎゃー
分娩室に産声が響く。
あぁ、産まれた、私の赤ちゃんが。
気絶しかけていた意識が冴え、涙で前が見えなくなる。
「お、おめでとうございます...」
感動する私とは裏腹に、看護師や医師の顔は血の気が引いている。
「え?どうかしましたか?」
「い、いえ、なんでもありません。おつかれでしょう、部屋で休んでいてください...」
そう言うと赤ちゃんは看護師によってどこかの部屋に連れていかれてしまった。
訝しむ私をいそいそと部屋に連れ戻す。
「なによ、赤ちゃんの顔くらい見せてくれてもいいじゃない」
部屋に戻され、ベットに寝かせられた私はこの病院の対応の悪さに苛立っていた。
「キャーーーーーーー!!!!」
どれほど待たされただろうか、突然甲高い悲鳴が聞こえてきた。
「なに!?何が起こったの!?」
突然のことに戸惑う。
「うぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「いやぁぁぁぁ!!!!」
「やめて!!死にたくないぃぃぃ!!!!」
あちこちから悲鳴が聞こえてくる。
私は怖くなり、布団に包まりガタガタと震えることしか出来なかった。
「...........」
最初の悲鳴からしばらくたち、病院の中は怖いくらいに静かになった。
キィィ
私の部屋の扉が開く音がする。
ズリ、ズリ、ズリ、ズリ
何かがゆっくりとこちらに近づいてくる。
怖い怖い怖い怖い、私はきっと殺される。
せめて、せめて赤ちゃんの顔だけは見たかった...。
まだ見ぬ愛しの赤ちゃんの無事を祈りながら私は死を覚悟した。
「ママァ...ママァ...」
「えっ?ママ?」
驚きベットの下を見る。
「ママァ...ママァ...」
そこには血だらけの赤ん坊がいた。
赤ん坊にも関わらず眼が見開かれており、歯も綺麗に生え揃っている。
爪は異様に鋭く伸びており、くちゃくちゃと肉片を食べていた。
「ママァ...ママァ...」
「マ、ママ?私が?あなたの?」
赤ん坊がベットの側面をジリジリと登ってくる。
顔は微笑んでおり、狂気すら感じる。
「ママァ...ママァ...」
「い、いや、いやぁぁぁぁ!!!!」
どうやら私は、悪魔の子を産んでしまったらしい。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる