三分で読める一話完結型ショートホラー小説

千里眼

見える、俺には全てが見える。
1ヶ月ほど前から俺の視力は異常なまでに発達した、2.0とかそんな次元じゃない、この世界であればどこだって見れるのだ。
いわゆる千里眼と言うやつだろう、建物を透けて中を見ることも出来るので、他の奴らの知られたくない私生活もまるわかりだ。
別に見たくもないのに知らないおっさんの自慰行為などが目に入ってしまうことがたまに傷だが、その分かわいい女のそういうことも見れる訳で、あんがいこの能力を楽しんでいる。
｢さて、今日はどこら辺を見ようかなぁ｣
最近部屋にこもりきりだ、久しぶりに海外を見てみるのはどうだろう？
｢そうだなぁ、アメリカとかどうかな？｣
目線をアメリカに向ける、そこはどうやらホワイトハウスらしかった。
｢おお！？これは国家機密を知れるチャンスでは！？｣
ワクワクしながら覗いてると、怒鳴り合う大人たちの姿が見えた。
｢え？あれってアメリカの大統領じゃね？｣
暴れる大統領を何人ものスーツを着た大人が押さえ込んでいる、どうやら相当な修羅場を覗いてしまっているらしい。
｢おいおい、なんかやべーぞアメリカ...｣
なんて他人事のように言いながら眺めていると、大統領が制止を振り切って何やら厳格なボタンを押した。
｢おいおい、なんのボタンなんだよ｣
急いで辺りを見渡す。

俺は見た、アメリカの軍事基地から、大量の核が発射されるところを...。