三分で読める一話完結型ショートホラー小説

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喋る食べ物

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3日前、世界中の食べ物達が喋り出すようになった。
スーパーやコンビニでは命乞いをする食品たちで溢れかえり、10分いるだけで聴覚に悪影響を及ぼすなった。
今日ニュースで見たのだが、食べ物たちにも心がある、生きる権利があるはずだと騒ぎ出してる連中も出てきたらしい。
生きている牛を殺して生産された生肉が喋り出すという、生死感がよく分からない状況をさらに掻き乱し、政府の対応も遅れる一方だ。
早くこの状況を何とかして欲しい、私は食べることが大好きだった。
それが今では2日ほどものを口にしていない。
いざ食べようとすると、食べ物が泣いて命乞いするのだ。
「ううっ...やめて...食べないで...死にたくない...死にたくないよぉぉぉ!!」
私は困惑した、別の食べ物を探したが全てこんな調子だ。
仕方なく包丁を入れる。
「痛い!!痛いよ!!やめて!!この人殺しぃぃぃぃ!!」
罪悪感を押さえ込んで口に放り込む。
グシャ
「アガッ!!ウグッ!!ガァッ!!」
口の中から断末魔が聞こえてくる。
「............」
しばらくして聞こえなくなった。
これはこれで死を感じさせられて辛い。
ひとくち食べるだけでもこれだけの苦労がある、命を奪っている実感がある。
それだけで食べ物を食べれなくなる理由にはなりえた。

最初はあちらこちらで聞こえていた食べ物たちの悲鳴も最近では聞こえない。
きっとみんな食べることをやめたのだろう、こころなしか人の喋り声も最近は聞いていない。
隣のカップルなんかは毎日うるさいのにな。
かくゆう私も、もう餓死寸前なのであった。
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