三分で読める一話完結型ショートホラー小説

排水口

｢ふぅぅ、気持ちぃぃ｣
一日の終わりに入るお風呂は最高だ、昼のうちにかいた汗や汚れを綺麗に落としてくれる。
私はぬるめのお湯をはって長風呂するのが好きで、シャワーで済ますことはほとんどない。
｢そろそろお湯を張り替える頃かな？｣
お風呂を出た後にお湯を抜けばいいことは分かっているが、ちょうど湯の量がすこし多い気がしていたのでお風呂に入りながらお湯を抜いた。
グポッ
少し気味の悪い音を立てお湯は穴の中に吸い込まれていく。
このお湯は今からどんな道を通ってどんな場所に出るのだろう？そんなことを思いながらお湯が流れていくのを眺めていた。
何気なく、指を排水口近づけた。
ギュンッ！！
｢キャッ！！何！？｣
指がすごい力で吸い込まれる、まるで大男に思いっきり指を引っ張られてるみたいだ。
ミシミシミシ
あまりの力に骨が軋む
｢痛！！痛い！！なんで抜けないの！？｣
こちらが全体重をかけて引っ張っても抜けない、それどころか引っ張られる力は増す一方だ。
バキッバキッ
痛い。このままでは指がひきちぎられる
｢なんなのよ！！抜けてよ！！｣
ポンッ
｢キャッ！！｣
ギャグのような音を立て、指が抜けた。
｢あっ...お湯が全部抜けてる...｣
私はお湯に連れ去られる所だったのだろか？ともかくなんであれ、私はもう排水口には指は近づけない。